中心化傾向
中心化傾向とは、様々な心理的要因によって中央値に集中した人事評価を行ってしまう心理的偏向のことを指す心理学用語です。人事戦略の効果を最大限に高めるために重要な人事評価情報を正しく取得することができるよう、人事評価者が中心化傾向に陥ってしまう要因や具体例、対策について解説致します。
中心化傾向とは
中心化傾向とは、重大な評価エラーを引き起こす心理的偏向の1つであり、パフォーマンスやポテンシャル(潜在能力)の優劣に関わらず、一律的に標準値や中央値(中間値)などの普通評価を選択してしまう心理状況のことを表した心理学用語です。また、英語でCentral Tendencyと表記することから中央化傾向とも呼ばれています。
評価するべき成果を残した人物に対して過小評価を、改善点や反省点が多い人物に対して過大評価を付けてしまうことにより、評価結果を大きく歪めてしまう中心化傾向は、組織にとって大きな脅威となる危険な心理的偏向だといえるでしょう。
中心化傾向はアンケートなどの統計作業でも発生する
中心化傾向のよるトラブル発生は何も人事評価に限ったことではありません。意識調査アンケートや自己評価シート(セルフチェックシート)などを用いて組織内改善を図ろうとしても、中心化傾向に染まった組織構成員は当たり障りのない回答ばかりを並べてしまうため、統計から新たな気付きや発見を生み出すことが出来なくなります。 そのような状態に陥ることがないよう、早期発見と適切な対応によって組織内から全ての中心化傾向を排除しなければならないのです。
日本人は中心化傾向に陥りやすい
排除といっても中心化傾向に陥った人物を解雇するというわけではありません。なぜなら心理的偏向を持ってしまった人物をその都度解雇するだけでは、本質的な解決は望めないからです。
1970年代、内閣府が実施した『国民生活に関する世論調査』や日本社会学会が実施した『社会階層と社会移動全国調査』において、自分の生活水準や所属階層を『中(中の中)』と解答した割合が非常に多かったことから、一億総中流(国民総中流)という言葉が生まれました。また多くの日本人は、小さい頃から周りの人と足並みを揃える重要性を繰り返し教わることによって、強い協調性や連帯感を身に付けてきました。
長い年月をかけて染み付いた個人格差や自己主張に抵抗感を持つ国民性の自発的改善は容易ではなく、組織全体を対象とした大規模な意識改革や環境改善を実施しなければ、中心化傾向が発生しない組織を作り上げることはできません。
しかし、優れた経営者や人事担当者は全ての日本企業が無自覚のうちに抱えているこのマイナス要因をピンチではなくチャンスととらえ、ライバル会社に大きな差をつけるため最大限に活用しています。事の重大性にいち早く気付き、問題の洗い出しと適切な対策を講ずることによって中心化傾向を完全に排除した組織は、競合他社に対して持続的なアドバンテージを得ることができるでしょう。
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