連載:第6回 経営・SaaSイベントレポート2022
上司は忍者であれ。コーチングは「使えて当然」のスキルに?部下の成長を促すマネジメント術
社内コミュニケーションに1on1を取り入れる企業が増えています。とはいえ、「1on1、どうやって進めるのが効果的なのか…」と悩む上司・管理職の方は多いのではないでしょうか。そこで活用できるのが「コーチング」スキルです。今回、500人を超える経営者やビジネスリーダーにコーチングを実施してきた林健太郎さんに、コーチングをどう活用することで成果に結びつけられるのか、導入のポイントやコーチングにおけるコミュニケーションのコツについて語っていただきました。
1973年、東京都生まれ。バンダイ、NTTコミュニケーションズなどに勤務後、日本におけるエグゼクティブ・コーチングの草分け的存在であるアンソニー・クルカス氏との出会いを契機に、プロコーチを目指して海外修行に出る。帰国後、2010年にコーチとして独立。日本を代表する大手企業や外資系企業、ベンチャー企業や家族経営の会社まで、のべ500人を超える経営者やビジネスリーダーに対してコーチングを実施。
2004年に株式会社ベンチャー・リンク入社。2009年日本郵便株式会社に入社。同社にて、組織風土改革、異業種他社との共創PJの推進など、多数の組織横断プロジェクトを牽引。2018年株式会社インヴィニオに入社。企業の組織変革・リーダー育成に携わる。2021年3月より現職。
「上司部下」は、実は1on1の会話が作りにくい関係性
畑俊彰さん(以下、畑): ここ数年で1on1が急激に普及し、約半数の企業は1on1を導入しているというデータもあります。一方で、導入したは良いけどうまく浸透しない、導入したことによりマネージャーが疲弊しているなど、本来期待している効果が出せていない企業も多いと聞きますね。それはなぜなのでしょう?
林健太郎さん(以下、林): 日本では、本間浩輔さんが書かれた「ヤフーの1on1 部下を成長させるコミュニケーションの技法」がきっかけで1on1がブームとなりましたね。しかし、1on1って実はすごく難しいんです。
親密で継続性があって頻度が高い関係性「夫婦」「親子」「上司部下」は、1on1の会話が作りにくい3大関係 だと言われています。
日本企業は役職に権威性があり上下関係が生まれがちで、上司は高圧的になりやすい傾向があります。普段は「何やってんだ、早くやれ」と威圧的な上司が、1on1になった途端「なんでも話していいよ」と言いだしたら怖いですよね(笑)。部下も本音を言えず、忖度してしまうかもしれません。
畑: それまでの数年間の日常の関係がある中で、1on1を急に導入するとなると、今までやってきた関係と乖離が生まれてしまうということなんですね。
林: そうですね。ほかの面談ではKPIなどの指標があり、それに対しての進捗度を測るクローズドクエスチョンで確認する、質問することも多い中、1on1でいきなり「どう思う?」とオープンクエスチョンをしても、質問された側は困惑してしまうこともあるでしょう。
1on1研修などを行っている企業もありますが、「傾聴」「フィードバック」といった切り出したスキルだけを教えていることが多く、本人が「現場で何をすればいいか」理解できていないまま送り出してしまっています。ゴルフにたとえると、スイングの仕方や立ち方、クラブの飛距離などは教えるものの、実践練習はさせないままゴルフ場に立たせるようなものですね。実際に現場に立つと、学んだスキルを活用しながら会話を成立させるのが難しく、そこでつまずくことが多いのではないかと思います。
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