長時間労働
長時間労働は過労死や過労自殺のリスクを高めるものであり、深刻な社会問題になっています。政府は長時間労働の削減に力を入れており、直近では、働き方改革関連法を成立させて時間外労働に上限規制を設けるなど様々な法整備も行っています。今回は長時間労働になる原因やその削減に向けた対策、また、厚生労働省の取り組みについてご紹介します。
長時間労働について
長時間労働を削減するための取組は、中小企業も含め徐々に実施されるようになりました。平成29年9月29日に発表された労働経済白書「平成29年版 労働経済の分析」によると、92.6%の企業が所定外労働時間の削減に向けて取り組んでいます。ただし、取組を実施している企業のうち、実際に「短縮された」と効果を実感している企業は52.8%に留まっているのが現状です。
実効性があり効果の高い取組を実施するためには、長時間労働に関係した基礎知識として時間外労働の上限規制や過労死ライン、36(サブロク)協定などを確認することから始めましょう。
【参考】厚生労働省:平成29年版 労働経済の分析 ―イノベーションの促進とワーク・ライフ・バランスの実現に向けた課題― 〔要約版〕、平成29年9月、p19
長時間労働の定義
長時間労働とは、そもそもどのくらい長く働いた状態をいうのでしょうか。実のところ、長時間労働の定義は明確ではありません。そこで、1つの目安として、長時間労働と健康障害の発症リスクの関係、また、労働安全衛生法における長時間労働者への医師による面接指導の要件を紹介します。
労働安全衛生法における長時間労働
厚生労働省は、時間外労働や休日労働が月45時間を超えた場合、労働時間が長くなるにつれて健康障害のリスクが高くなるとして、事業主や労働者向けに注意喚起を行っています。特に、時間外・休日労働が月に100時間超、または2~6か月間の平均が月80時間超の場合、脳・心臓疾患の発症と業務との関連が強くなることは医学的に確認されているので注意が必要です。
一方、労働安全衛生法では、長時間労働者の健康保持のために医師による面接指導の実施を使用者の義務としています。実施義務が発生するのは、時間外・休日労働が「月100時間」を超え、かつ、労働者に「疲労の蓄積」が認められ、「本人から申出」があった場合です。
以上のことから、長時間労働とは1か月の時間外や休日労働が100時間を超えた場合、あるいは2~6か月間の月平均が80時間を超えた場合と考えられます。ただし、時間外や休日労働が月45時間を超えると徐々に健康障害のリスクが高まることを考えれば、月80時間より短くても長時間労働と判断されることもあるでしょう。
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