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2018年11月16日(金)更新

プランド・ハップンスタンス

プランド・ハップンスタンスというキャリア理論をご存知でしょうか。明確なキャリアプランは必ずしも必要なく、偶然の出来事や出会いを味方に付けるようなポジティブ・シンキングによって、キャリアアップを図ることができるという斬新な理論です。近年、この考え方に基づくキャリア教育を実践している企業が増えているという、注目の理論をご紹介します。

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プランド・ハップンスタンス(計画的偶発性)とは?

プランド・ハップンスタンス(Planned Happenstance)は、1999年にスタンフォード大学の教育学・心理学教授であるクランボルツ教授によって提唱された、キャリア形成に関する理論です。日本語では「計画的偶発性理論」「計画された偶然」などと訳されます。成功を収めたビジネスパーソンを対象にキャリア分析を行った結果、実に8割の対象者が「現在の自分のキャリアは予期せぬ偶然に因るところが大きい」と答えたそうで、これらの研究データに基づいて構築されました。

端的に言うと、キャリアは偶然によって左右されることが多く、これらの偶然をポジティブな方向に考えることでキャリアアップにつなげることができる、という理論となります。 なお、「プランド・ハプンスタンス」とも表記されることもありますので、ご注意ください。

プランド・ハップンスタンスの理論的骨子

クランボルツ教授のプランド・ハップンスタンス理論は、3つの骨子をポイントとして構成されています。

  1. 個人のキャリアは、その8割が「予期しない偶然の出来事」によって形成される。
  2. その偶然の出来事は、本人の主体性や努力によって最大限に活用することで、キャリアを歩む力に発展させることができる
  3. 偶然の出来事は、ただ待つのではなく意図的にそれらを生み出すよう、積極的に行動したり、自分の周りに起きていることに心を研ぎ澄ませたりすることで、自らのキャリアを創造する機会を増やすことができる。

プランド・ハップンスタンスの歴史的背景

このような考え方が注目を集めたのには、当時のアメリカの労働環境が大きく影響しています。クランボルツ教授が一般的な社会人を対象に行った調査では、18歳の時になりたいと考えていた職業に実際に就いている人の割合はたったの2%でした。これは、当時のアメリカで主流だった、「キャリアとは自分自身で計画し、それに合わせて意図的に職歴を積み上げて形成するものである」というキャリア論の限界を意味しています。ゴールを決めてそこに至るアプローチを逆算して積み上げていくことが必ずしも有効とは限らない、という現実が浮き彫りとなったのです。

【参考】計画された偶発性理論 / 日本の人事部

なぜ今、日本でプランド・ハップンスタンスが注目されているのか?

企業が安定して成長していた高度成長期には、個人のキャリアにおいても十分に先を見通すことができたため、綿密にキャリアプランを設計してそれに合わせて経験や知識、スキルを身に付けていくというアプローチが有効でした。しかし、現在の日本ではビジネス環境の変化も激しく、やりたい仕事ができない・見つからないだけでなく、現実には「やりたくない仕事」や「得意ではない仕事」がほとんどであると言っても過言ではありません。

その結果、個人としてキャリアアップが思うように進まずに行き詰ってしまうビジネスパーソンが多いのはもちろん、企業としても効果的な人材育成・社員教育ができずに試行錯誤を繰り返す状態に陥っているため、プランド・ハップンスタンス理論に注目が集まっていると考えられます。

偶然をキャリア形成に活かすために必要な5つのスキル

このような「予期しない偶然の出来事」をキャリアアップにつなげるには、どのようなポイントがあるのでしょうか。プランド・ハップンスタンスを効果的に実践するために欠かせない5つのスキルをご紹介します。

好奇心

自分の専門分野に閉じこもってはいけません。そもそも関心のあることや目標に関わることだけでなく、自分の知らない分野にも積極的に視野を広げて好奇心を持って臨むことが大切となります。新しい学習の機会を常に模索し続けましょう。

持続性

うまくいかなかったり失敗したりしても簡単に投げ出すようなことはせずに、努力し続けましょう。自分の価値観や信念についてはこだわりを持ち、あきらめないことが重要です。足元を固めながら、粘り強く取り組みましょう。

柔軟性

必要のないこだわりは捨てて、環境の変化にフレキシブルに対応できるように準備しておきましょう。理想や現状にとらわれすぎると、想定外のチャンスを逃してしまうことにもつながります。「なんでも来い」という気持ちを持ち続けましょう。

楽観性

思い通りにいかないことでも悲観的に受け止めるのではなく、自分の知らない世界に飛び込むチャンスだととらえるようにしましょう。どのようなことでもポジティブに解釈することができれば、すべては自身のキャリアにプラスにすることができます。

冒険心(リスク・テイキング)

結果がどうなるか見えない不確実な場合でも、リスクを恐れず冒険心を持って行動に起こしましょう。もちろん、最初から大きなリスクを取る必要はありません。手ごたえに応じて足場を固めた上で、大きく踏み出せば良いのです。

偶然を味方につける3つのスタンス

最後に、このような5つのキーワードを常に意識して行動できるような心の持ち方について詳しくご紹介します。これらのスタンスはキャリア形成に役立つのはもちろん、就職活動を行う上でも精神的な手助けとなってくれる可能性があります。

方向性だけ定めて、将来の職業(仕事・職種)は決めない

キャリアだけに限らず、人生はあらかじめ計画した通りや期待した通りにはなかなか進みません。早いうちから「やりたいこと」を厳密に決めてしまうと、その他の選択肢を捨ててしまうことにもなり、かえって人生の幅を狭め、キャリアを失敗に導いてしまうことも考えられます。実際に「やりたいこと」ができる仕事に就いても、思っていたものとは違ったり、自分には向いてなかったりする場合も多いからです。

漠然と「こういう仕事がしたい」「こんな役に立ちたい」という方向性を定めるだけで十分であり、当面の希望や計画は持っても、それに固執しすぎないことが重要です。

常に開かれた心(オープンマインド)を持ち続ける

「自分はこれ」と決めつけるような硬直的・閉鎖的な考え方はせずに、目の前にあることはとりあえずやってみよう、というオープンな心を持ち続けることも重要です。良い意味で優柔不断になり、様々なことにチャレンジしているうちに、自分が本当にやりたいことや進むべき方向性、目指すべき将来像が出来上がってきます。

社会人となって仕事に就くと、否が応でも「やりたいこととできることは違う」「好きなことと得意なことは違う」という経験をするものです。その時に、開き直ることができるかどうかが、以降のキャリア形成において重要なポイントとなるのです。

「出来事」や「出会い」を大切にする

このように、自身の目指すおおまかな方向性を決めてオープンマインドの姿勢を保ち続けることができれば、自然と「出来事」や「出会い」に遭遇します。そのような出来事や出会いに対して常にアンテナを張っていれば、キャリアに転換できる機会を逃すことはありません。

これまでの経験の中でも、考え方を大きく左右するような出来事に遭遇したことや、まったく興味や関心のない人の言葉に大きく影響を受けたことがあるはずです。偶然の「出来事」や「出会い」を大切にするスタンスが、それらをキャリアアップにつなげる必然へと変えてくれるのです。

まとめ

  • プランド・ハップンスタンスとは、「偶然の出来事」をポジティブなキャリア形成につなげるための積極的な行動理論である。
  • プランド・ハップンスタンスが提唱された当時のアメリカと現代日本の「不安定な状況」が似ていることから、注目されている。
  • プランド・ハップンスタンスを効果的に実践するキーワードは「好奇心・持続性・柔軟性・楽観性・冒険心」の5つである。
  • 目標を具体的に決めて綿密に逆算するのではなく、漠然とした方向性を保ちつつ、開かれた心をもって偶然の出来事や出会いに接することで、ポジティブなキャリア形成に発展させることができる。

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