地域限定社員
日本型雇用システムの中では、支社や営業所を持つ規模の企業であれば、それらを転勤しながら長期的にキャリアを積み、昇進していくのが一般的でした。しかし、近年では新しい働き方として、「地域限定社員」制度を導入する企業が増えていると言います。本記事ではそのメリット、デメリットなどを具体的に見ていきましょう。
地域限定社員とは
地域限定社員とは、勤務地を限定し、転居を伴う異動(転勤)が発令されない正規雇用労働者の事を指します。
労働時間や勤務地、職種・職務といった雇用内容を限定して勤務できる「限定正社員」の一種です。
例えば、アルバイト・パートタイム労働者などの非正規雇用労働者を正規雇用に転換させる際、労働者側にとってネックになることが多いのが勤務地の問題です。全国区に転勤する可能性のある正規雇用労働者になると、家庭との両立が困難になることから、特に女性の登用の妨げとなるケースがあります。
転勤の辞令を受けた時点で、能力や意欲があったとしても自ら非正規雇用を選択するか離職するケースも珍しくなく、企業側もそれを受け入れてきました。
しかし、労働力人口の減少や働き方の価値観の多様化に伴い、企業にとって有用な人材の確保を目的として、地域限定社員制度を導入する企業が増えてきています。
増加傾向にある地域限定社員
2013年の全国各業種1,000社を対象とした調査によれば、地域限定社員が在籍している割合は、調査対象のうち複数の事業所に限定すると12.4%です。(データは2011年のもの)
2013年、第ニ次安倍政権下で閣議決定された「日本再興戦略」の雇用政策のひとつとして「多様な正社員の普及」が盛り込まれ、その後2015年の調査によれば、勤務地が限定される働き方の区分がある企業は19.4%でした。
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