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2018年10月26日(金)更新

生産年齢人口

生産年齢人口とは、簡単に言えば労働できる能力あるいは資格を持ちうる年齢層を指す言葉として定義できますが、近年の推移を見てみると、こうした人口、言い換えれば企業、ひいては組織を支える人材が、大幅に減少していくことが見てわかります。特に海外と比較してみるとその影響の大きさは、甚大なものになってくると思われ、企業には対応が求められてくることが間違いなさそうです。

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「生産年齢人口」とは?

人手不足と言われる昨今。リーマン・ショック後の不景気から脱し、緩やかながら景気回復が続いていることが一因ですが、より構造的な問題があります。人口減少です。

2008年には初めて総人口が前年を下回りましたが、働き手はもっと前から減少が始まっています。「生産年齢人口」と呼ばれる、15~64歳の年齢層です。

単純に15歳以上を指す場合もあります。働く意思・能力の有無にかかわらず、少なくとも潜在的にはこの年齢の人は労働に従事しうる、という意味で使われる経済学用語です。対を為すのが「従属人口」または「被扶養人口」で、支える側と支えられる側、と言い換えられます。

生産年齢人口はどのくらい減っているのか?

総人口のうち、生産年齢人口に限ると1996年から減少に転じていました。90年代前半には8700万人だった生産年齢人口は、2016年には7600万人と、約20年で1割強減っています。

今後はさらに減少テンポが速まります。社会保障・人口問題研究所の推計では、出生率・死亡率などに大きな変化がなければ、20年後(2036年)の生産年齢人口は6200万人、2050年ごろには5000万人を割り込むと見込まれています。

総人口に占める割合は現在の60%から56%、51.5%に低下します。今年新卒で入社した世代が役員になるころには、人口の半分しか働き手がいない社会になるのです。

生産年齢人口の推移

出典:国立社会保障・人口問題研究所

海外の生産年齢人口推移

世界的に見ても人口の生産年齢人口の減少傾向は同様ではあるものの、特に日本の次世代の担い手の減少ぶりは、比較を通してみるとその深刻さがわかります。下のグラフは、世界的な金融会社モルガン・スタンレーによる調査で、生産年齢人口15~64歳までの人口に対する55~64歳の高齢層の割合の推移を示したものです。

高齢層の割合が高いということは、すなわち若年層、未来の担い手が少ないことを意味しますが、主要国平均(グラフ:World)でも高年齢化が進んでいるものの、2016年現在で13%ほど、2040年でも15%で労働者の15人に1人の割合で高齢層が含まれると予想されています。

これに対して日本(グラフ:Japan)は、2016年現在で世界平均の倍近い21%、2040年には27%と他国に圧倒的な差をつけて高齢化が進行し、若い世代の労働力の確保が難しくなることが目に見えています。

出典:Global Labor Force Ageing Rapidly / BUSINESS INSIDER

生産年齢人口が減ると、どんな影響があるのか?

総人口は現在の1億2600万人から2048年に1億人を割り込み、2050年には9800万人程度に減ります。この間、総人口は23.5%減る計算ですが、生産年齢人口は34.6%減と総人口よりも大きく減少するとみられています。

モノやサービスを消費する側よりも、生産・供給する側が速いスピードで減っていくわけです。ヒトの消費活動が大きく変わらないとすれば、供給側が効率を上げなければ、人々が必要なモノ・サービスを賄えなくなってしまいます。

日本は人口減少に陥るとしても、国際市場がいきなり縮小するわけではありません。企業として生産力を維持しなければ、グローバル競争のなかで生き残ることはより厳しくなっていくでしょう。

企業にとっては、働き手の奪い合いになることが想定されます。今も建設業や運輸業、飲食業、保育・介護などで人手不足が起きていますが、一部には雇用する側とされる側の希望が合っていない「ミスマッチ」が背景にあります。

しかし生産年齢人口の減少は、業種・職種を問わず、そもそも「働ける人がいない」状況をもたらします。不況の時期ですら慢性的に人が足りない、という事態になりかねません。

働く側にとっても負担増になると予想されます。就職・転職活動は有利になるかもしれませんが、入社後は今10人でやっている仕事を30年後には7人でやらなければならないわけです。

働き手の減少に対して、どう取り組むべきか?

生産力は、労働力(労働者×労働時間)と生産性の掛け算で決まります。生産力の維持には、①労働力を増やす、②生産性を上げる、の2つのアプローチが必要になります。

ならば労働時間を増やせばいい、と長時間労働に向かうのは得策とは言えません。過労死・過労自殺が問題視されるなか、長時間労働が前提の会社は働き手にとって魅力的に映らないでしょう。

むしろムダな労働時間を減らし仕事の効率を上げることこそ、働き手を引き留め優秀な人材を集めることにつながる、と考えるべきです。

労働時間は増やさずとも、労働者を増やすことで労働力を維持できます。現在も生産年齢人口の全員が働いているわけではありません。15~64歳でも働く意思や能力のない人は「労働力」としてカウントされません。

学生や専業主婦や早期退職者、病弱者などがこれに当たります。生産年齢人口が減る中で、まずは一人でも多くの人が働ける社会・企業を目指すことが重要です。

ひとりでも多くの人が働ける社会・企業を目指すために必要なこと

女性の働きやすい環境づくりはその分かりやすい例です。出産・育児で仕事を辞めなくても済むよう、育児休暇制度や短時間勤務制度など、特に大企業は競うように福利厚生を充実させています。

しかし、「制度はあっても使いにくい」という声は当の本人たちから聞こえてきます。長い育休はブランクになる、早く帰ると周りに迷惑がかかる、重要な仕事を与えてもらえなくなる、昇進が遅れる……。

居心地が悪くなり、結局会社を辞めてしまう、という事態も少なくありません。「制度を整えたから、あとは自分で頑張って」ではなく、職場全体でワーキングママを支える雰囲気が必要です。経営者が方針を明確に示し、トップダウンで意識改革を進めることが早道のようです。

ゴールは「誰にとっても働きやすい会社」。女性活用はその試金石にすぎません。

例えば親の介護は男性社員でも誰でも、ある日突然生じうる制約です。育児ほど社会的に認知されていないため、職場に打ち明けられずに抱え込み、容量超過になって退職してしまうケースも後を絶ちません。

こうした「介護離職」は年齢的に管理職世代に生じやすく、企業にとっても働き手にとっても大きな痛手となります。育児女性に限らず、休暇や時短などの制度に広く門戸が開かれていることが必要になってきます。

高齢者も有力な労働力になります。定義上は65歳から高齢者に当たりますが、働く意欲のあるベテラン労働者は大勢います。

将来は高齢者も企業間の奪い合いになると考えて、嘱託・再雇用制度など長く働ける仕組みを整えておかなければなりません。

求められる「働き方」の改革とITの活用

いずれもハードルとなるのは硬直的な人事・賃金制度。どの部署に何人、という配置にとらわれ過ぎると、育児や介護で休んだ人の仕事を周りが穴埋めしなければならず、職場全体が疲弊していきます。

また年功序列式の賃金制度では、休業した人とそうでない人との間に不公平感が生まれたり、高齢者を長く雇いにくくなったりします。

働き手を確保する一方で、生産性の引き上げも重要です。ITの活用はその代表例でしょう。モノとモノをインターネットでつなぐIoT、人工知能、自動運転技術など、人手不足に対応した新技術が次々と生み出されています。

働く側にとっては、いかにITでは達成できない技能を身に着けるかがカギになります。10~20年後には日本の労働人口の49%の職業が人工知能やロボットに取って代わられるとの研究もあります。(https://www.nri.com/jp/news/2015/151202_1.aspx

この研究では「芸術、歴史学・考古学、哲学・神学など抽象的な概念を整理・創出するための知識が要求される職業、他者との協調や、他者の理解、説得、ネゴシエーション、サービス志向性が求められる職業は、人工知能等での代替は難しい」と指摘。技術の進歩は予想を超えるスピードで進みます。

IT化とは無縁と思える業種・職種でも、ムダな会議や資料作り、多すぎる決裁、似通った作業の重複など、見直せば効率化につながる部分は必ずどこかにあるはずです。30年後も生き残れる会社にするために、今一度仕事の流れを見直してみましょう。

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