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2018年11月3日(土)更新

モバイルワーク

モバイルワークとは、ノートPCやスマートテバイスなどのモバイル端末を活用し、どこでも仕事ができる働き方のことです。意思決定の迅速化や業務効率の向上などが期待されますが、セキュリティ対策や導入コストなど、導入にあたって様々な課題があります。この記事では、モバイルワークとは何か、普及しはじめた背景やメリット、導入にあたっての課題と対策について解説します。

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モバイルワークとは?

モバイルワークとは、ノートPCやスマートフォン、タブレット端末などのモバイル端末を活用し、外出先でもスムーズに業務が遂行できるようにする働き方のことです。

「モバイルワーク」と混同しやすい言葉に「テレワーク」がありますが、テレワークとモバイルワークの違いは何でしょうか。日本テレワーク協会によると、テレワークとは「『tele = 離れた所』と『work = 働く』をあわせた造語」であり、「情報通信技術(ICT = Information and Communication Technology)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のこと」です。モバイルワークや在宅勤務、サテライトオフィス勤務などは、それぞれテレワークの一形態を指します。

【関連】BizHint:テレワークの課題とは?企業事例を徹底解説
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【図表1】テレワークの全体像

【出典】テレワークとは|テレワークの導入・活用|一般社団法人日本テレワーク協会

モバイルワークが普及した背景

近年企業におけるモバイルワークの導入が進んでいますが、これにはいくつかの背景があります。

モバイル端末の普及、ICTの発達

ノートPCや携帯電話など一般的なモバイル端末に加え、タブレットやスマートフォンなどのスマートデバイスが普及してきています。無線での通信技術や、ウェブアプリケーションやクラウドサービスの発達もあり、技術的にはどこからでも必要なデータやコンテンツにアクセスが可能です。結果として、これまで社内でしかできなかった仕事が、社外でも可能になってきました。

意思決定の高スピード化

ビジネスにおける企業間競争が激化し、情報共有や意思決定のスピードの差がビジネスの勝敗を大きく左右する時代になってきています。モバイルワーク導入による意思決定の高速化が注目されています。

災害対策の一つとしてのモバイルワーク

東日本大震災を機に、従業員がオフィスに出勤しなくても事業を継続させるBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)の必要性がより強く求められるようになりました。BCPの対策の一つとして、モバイルワークを含めたテレワークへの期待が高まっています。

モバイルワークの活用シーン

このように普及が進んでいるモバイルワークですが、一口にモバイルワークと言っても活用シーンは様々です。どのように活用されているのかをご紹介します。

商談やプレゼンテーションで資料を参照する

例えば外出先で、お客様に商品カタログやパンフレット等の営業資料を見せたり、タブレット端末やモバイルPCの画面を映しプレゼンテーションを行うケースです。資料印刷のコスト削減や、紙媒体を持たずに済むため機動性の向上に寄与します。

外出先から社内リソースへアクセスし業務を行う

ネットワークを通じ、メーラー・スケジューラー・ストレージ・業務アプリケーション等の社内リソースへアクセスし業務を行うケースです。現場での商品在庫確認や、出張先でのメール処理、資料作成など、社外でのスムーズな業務遂行が可能になります。

モバイルワーク前提のビジネス環境を構築する

社外での業務が中心となる場合、その分だけ情報漏えいリスクも高まります。その対策として、そもそも端末自体にデータを持たず、通信で社内リソースへアクセスするようなビジネス環境を構築している企業もあります。例えばリモートデスクトップや仮想デスクトップ、データレスPCの活用等で、このようなビジネス環境を実現しています。

モバイルワークのメリット

このように企業において様々な形態で導入、活用されているモバイルワークですが、改めてモバイルワーク導入のメリットについて整理します。

生産性や業務効率の向上

外出先から社内リソースにアクセスでき、移動時間が短縮できる為、業務の効率化や、生産性向上への寄与が期待できます。例えばお客様先での商談時に納期や在庫等の詳細な質問があった時に、社内に戻って確認するのではなく、外出先からそれらを確認できます。その為、スピーディな商談が可能になります。

働き方が広がる

どこからでも仕事ができるようになる為、従業員に多様なワークスタイルを提供できます。例えば育児や介護などで定期的な出社がしづらかったり、突発的な帰宅を余儀なくされるような社員でも、モバイルワークが出来る環境があれば自宅からの業務遂行が可能になります。

コスト削減

モバイルワークを導入し移動時間を有効活用できるようになれば、これまで必要としていた残業代削減にもつながります。

また、ザイマックス不動産総合研究所の調査によると、モバイルワークや在宅勤務制度の導入や、座席のフリーアドレス化などに取り組んでいる・検討している企業は、取り組んでいない・検討していない企業に比べて、従業員1人あたりのオフィス面積が小さいことがわかっています。モバイルワークの導入と併せ、本社オフィスの面積削減を行うことができれば、オフィスコストの削減にも繋がる可能性があります。

【図表2】 働き方とオフィスの取り組み状況別にみるオフィスの1人当たり面積 (単位:坪 )

【出典】ザイマックス不動産総合研究所:働き方とオフィス利用についてのアンケート調査2015

出社できない状況でも業務を止めない

例えば悪天候による交通網の麻痺や、子どもの急な病気などで出社が困難になった場合でも、自宅や社外から仕事ができる環境があれば、業務や企業活動の継続が可能になります。

モバイルワーク導入にあたっての課題と対策

ここまで、モバイルワーク普及の背景やメリットについて説明してきました。ここからは、実際にモバイルワークを導入するにあたって検討すべき課題と対策について解説します。

セキュリティ

モバイルワーク導入にあたって、最も重要な課題がセキュリティ対策です。社外に企業所有のデータを持ち出したり、社外から企業内のリソースへアクセスする事になる為、必然的にセキュリティリスクは高まります。しかし、リスクを恐れるあまり、モバイルワークという利便性を損ねてしまっては本末転倒です。従って、利便性を活かしつつ、セキュリティリスクを最小限にする工夫が求められます。ここでは、セキュリティに関する具体的なリスクとその対策を紹介します。

ウイルス感染のリスク

パソコンやモバイル端末にウイルスが感染すると、端末内の顧客情報やデータ、会社の知的財産としてのファイルなどが漏えいしてしまうリスクがあります。また、特に2016年に入ってから、「ランサムウェア」という身代金要求型のコンピュータウイルスの被害が増加しています。

対策としては、ウイルス対策ソフトを導入すること、各端末においてOSやソフトウェアのアップデートをしっかり行うこと、個人情報や社外秘の情報など流出すると企業に大きい被害を与えるようなデータはできるだけ持ち歩かないこと、特にウイルスに感染しやすいUSBフラッシュメモリの利用はできるだけ避けること、ウイルスの感染経路となるあやしいサイトやメールを開かないよう周知することなどが考えられます。

紛失、盗難のリスク

端末を紛失してしまったり 盗難にあう可能性もあります。紛失に関して特に注意すべきは、飲酒後に店や電車に忘れるなどのセキュリティ事故です。

対策としては、紛失や盗難時に端末上のデータが削除できるよう遠隔データ消去ソフトの導入や、ノートPCならハードディスク暗号化やデータレスPCの利用などが考えられます。また、携帯電話には必ずストラップをつける、モバイル端末を入れたカバンから目を離さない、飲酒時にはモバイル端末は安全な場所に保管するなど、運用面での対策も重要でしょう。

通信経路によるリスク

モバイル端末から社内環境へ通信を行う際には、通信の盗聴、改ざん、なりすまし等による情報流出リスクがあります。対策としては、通信内容を暗号化するSSL(Secure Sockets Layer)や、通信経路を暗号化するVPN(Virtual Private Network)といった技術の活用が考えられます。

導入コスト

前述の通り、モバイルワーク環境を完璧に整えようとすると、様々なシステムやデバイスの導入が必要となります。デスクトップの仮想化やその他高度なセキュリティ対策、外出先から参照することを前提にした業務インフラの整備等を行う場合は、要求レベルに見合うだけの導入コストを必要とします。

一方、商品カタログやパンフレットなど比較的リスクの低い社内データの参照などに範囲を絞れば、導入コストも比較的割安で済むでしょう。モバイルワーク導入によるコスト削減や業務効率化等のメリットと比較し、費用対効果を元にどのようなシステムやデバイスが必要かを検討しましょう。

最適なシステム・デバイス選び

自社で行いたい運用やモバイルワーク導入の対象者等を整理した上で、最適なシステム、デバイスを選定しましょう。以下に選定の参考となる項目を紹介します。

デバイスの種類

単純に電話だけできれば良い場合は、通話のみに機能を絞ったフィーチャーフォンで充分でしょう。しかし、ちょっとした資料の確認や、メーラー、スケジューラーへのアクセスが必要な場合は、スマートフォンやタブレット端末の導入を検討しましょう。プレゼンテーションに活用したり、頻繁に入力操作を行う場合は、タブレット端末かノートPCという選択肢になるかと思います。

検討項目としては、価格、サイズ、重さ、頑丈さ、操作性、Bluetoothや無線LAN、無線WAN等各種無線通信技術への対応、指紋認証や顔認証といった生体認証機能の有無、プレゼンテーションに利用する場合は外部出力端子の有無などが挙げられます。

端末の利用形態

端末の利用形態としては、大きくレンタルか購入かの2種類があります。長期的に見ると購入のほうが安く感じるかもしれませんが、保管スペースの確保やメンテナンスにかかる労力が発生したりと、見えにくいコストが発生します。レンタルの場合、保管庫が不必要であったり、セットアップやメンテナンスをアウトソーシングできる業者もある為、管理費も含めると安価で済むケースもあります。

また、BYOD(Bring your own device)という、従業員の私物のモバイル端末を業務にも利用する形態もあります。 端末支給のコストが削減できたり、従業員それぞれが使い慣れた端末を利用できる為、作業効率や生産性の向上が期待できる一方、セキュリティ対策や端末管理などに工夫が必要になります。

管理システム

MDM(Mobile Device Management)と呼ばれる、モバイル端末管理システムの導入も検討しましょう。盗難・紛失時に遠隔操作でロック・初期化したり、アプリケーションの利用可否を一括で管理したり、パスワード設定ルールやカメラの不使用などセキュリティポリシーを一斉に適用したりと、大量のモバイル端末を一斉に管理することができます。

勤怠管理

モバイルワークを導入し、直行直帰を可能にした場合、これまで行っていた勤怠の管理方法を変更する必要が生じる企業もあるでしょう。電話やメールで担当者に連絡し出退勤を管理したり、タイムカードからモバイル打刻システムに変更する、といった方法が考えられます。

ルールやフローの策定

モバイルワーク導入に関する運用ルールやフローを策定しましょう。以下に検討すべき事項を紹介します。

  • モバイルワーク対象者の検討
    職種や職位、経験年数など、社員の中でモバイルワークが可能な対象者を検討しましょう。まずは営業担当者など、外勤がメインになり、効果が出やすい対象者に絞って開始すると良いかもしれません。

  • セキュリティポリシーの見直し
    会社で所有する情報資産の保護やセキュリティ対策の基本方針である「情報セキュリティポリシー」を再検討しましょう。例えばパソコンのパスワード設定ルールの強化や、持ち出し可能なデータの再検討が必要となるでしょう。

  • モバイルワークの申請フローの策定
    従業員がモバイルワークを行う際に、誰にどのように承認してもらうのか、申請フローを検討しましょう。

  • セキュリティ事故発生時の対応フローの策定
    万が一セキュリティ事故が発生した際には、迅速な対処が必要とされます。連絡体制の整備や責任者の明確化、漏えいした情報の影響範囲調査手法や担当者、通知・報告・公表の方法など、対応フローを策定しておきましょう。

  • ルール、フロー徹底のための教育の実施
    モバイルワークの実現は、これらの策定したルール、フローを従業員が遵守することが前提となります。情報セキュリティに関する研修を必修とし、定期的に開催するなど、定期的な教育の実施をお勧めします。

導入の成功事例

モバイルワーク導入の成功事例を紹介します。

カルビー株式会社

スナック菓子メーカー大手のカルビー株式会社は、2009年から経営トップが変わり、「働き方改革」に着手してきました。「フリーアドレス」「フレックスタイム」「早帰りデー」「サマータイム」等の様々な取り組みを実施し、実際働き方改革を推進し始めた2009年から増収増益を果たしています。

そんなカルビー株式会社ですが、2017年度から自宅、オフィスにかぎらず勤務できるモバイルワークの制度を導入しています。執行役員・人事総務本部本部長の江木忍氏は、モバイルワークのメリットについて次のように語っています。

「1つ目のメリットは、通勤時間の節約になること。従業員の中には、通勤に往復で3時間かかる社員もいるので、出社する必要がなければ、そのぶん業務やプライベートな時間にあてることができます。また、自分だけで仕事をしていると外的要因が少なく、予定通りに業務が終わるという声もあるんです」
(中略)
「子育て中の女性社員には、学校の授業参観や送迎など子どもに関わる用事がたくさんあります。弊社の制度ならば“半日モバイルワーク”もできるので、午前中は在宅勤務をして、午後は子どもの学校行事にあてられるなど、とても好評ですね」

【引用】IoT Today:モバイルワーク導入のカルビーに聞く、多様化する働き方

また、モバイルワークの導入に関しては、段階的な働き方改革によりスムーズに実行できたようです。カルビー株式会社では、2010年からダーツシステムで自動的に席が決まるフリーアドレス制度を導入。固定席を持たずに業務を遂行してきました。2014年4月からは週2日を上限とした在宅勤務も可能に。こうした段階を踏んでの改革だったため、モバイルワーク制度の導入も従業員の理解が早かったそうです。

【参考】IoT Today:モバイルワーク導入のカルビーに聞く、多様化する働き方 

日本マイクロソフト株式会社

ソフトウェア開発・販売大手の日本マイクロソフト株式会社では、モバイルワークの導入成果として、「一人当たりの事業生産性が26%改善された」「従業員のワークライフバランスに対する満足度は約40%改善」「女性の離職率が40%下がり、コストも下がっている」と説明しています。

また、モバイルワークの導入成功の秘訣については、「明確な経営ビジョン」「制度・ポリシー」、「オフィス環境」「ICT活用」などをポイントとして挙げています。

【参考】ITpro Success:中堅・中小企業こそモバイルワークの導入に向け第一歩を踏み出すとき

豊島区役所

行政組織でもモバイルワークの導入が進んでいます。東京都豊島区役所では、、働き方の変革のため、モバイルワークの導入を開始しています。

具体的には、管理職全員にタブレット端末や携帯電話を配布し決済スピードを向上させたり、全ての執務スペースで無線LANが利用できる状態にし会議のペーパレス化を進めるなどの取り組みを行ってきています。

こうした取り組みの結果として、「ペーパレス会議の実践により印刷枚数を前年同期比で32%削減」「通信経費が半額以下となる見込みが立つ」といった経費面の成果が上がっています。それに加え、事務作業の効率化・時間削減により、本来目的としていた住民サービスの向上に結びついているそうです。

【参考】豊島区公式ホームページ:豊島区役所職員のワークスタイルが「テレワーク優秀賞」を受賞

まとめ

  • モバイルワークとは ITを活用して柔軟に働く「テレワーク」の一形態。
  • 導入のメリットは、生産性や業務効率の向上、多様な働き方の実現、コスト削減、災害時の事業継続など。
  • 導入には、情報漏えい対策や勤怠管理方法の見直し、必要なシステムやデバイスの選定、運用フローの検討などが必要。

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