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2018年11月8日(木)更新

セルフ・キャリアドック

「セルフ・キャリアドック」という言葉をご存知でしょうか。「セルフ・キャリアドック」は、現在、厚生労働省が中心となって普及・推進を図っている制度です。「日本再興戦略(改訂2015)」「日本再興戦略2016」等の政府方針に基いた、「日本産業再興プラン」において、労働市場インフラとしてセルフ・キャリアドックの導入がとても重要だとされています。

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セルフ・キャリアドックとは?

「セルフ・キャリアドック」という言葉は、2015年6月に行われた第7回産業競争力会議課題別会合にて創設されました。「セルフ・キャリアドック」の「ドック」は人間ドックの「ドック」と同じ意味で使用されており、体の健康診断と同様にキャリアの健康診断を行うという意味が含められています。

セルフ・キャリアドックが注目される背景

近年、人口減少社会による労働力の減少が問題となっています。そこで政府は、人口減少社会において人的資本への投資が最もリターンを得ると考え、経済社会の変革に柔軟に対応するための「ひとりひとりの主体的な学び」を支援することを通じ、高付加価値人材の養成、生産性の向上、日本経済の成長へとつなげるための手段として、「セルフ・キャリアドック」というキャリア形成の手法を提示しました。

「セルフ・キャリアドック」制度を取り入れることで助成金を受給できることもあり、「セルフ・キャリアドック」に取り組む企業が年々増えています。

セルフ・キャリアドック制度とは?

セルフ・キャリアドック制度とは、企業の人材育成ビジョンに基づき、労働者がキャリア形成を行うにあたって重要となる「気づき」を支援するため、年齢、就業年数、役職などの節目において、定期的にキャリアコンサルティングを受ける機会を設ける取り組みをいいます。

セルフ・キャリアドック制度

セルフ・キャリアドックでは、社内外のキャリアコンサルタント等によるキャリアコンサルティングを節目に合わせて行っていきます。入社時や役職登用時、育児休業からの復帰の際など、節目に効果的なタイミングでキャリアコンサルティングを行うことで、従業員のモチベーションの向上や、職場定着率の向上が見込まれます。企業側にとっても、人材育成の課題の発見や従業員の意識把握を行うことができるため、企業の生産性向上につながるという効果が期待されます。

まず、入社時には「職業人生の目標等の明確化」「目標に照らした今後の課題の抽出とその解決策の明確化」「実行の動機づけ」等を行います。中堅社員に向けては、役職登用時に「中長期に渡るキャリアパスの検討」「中長期的キャリアを見通して必要な能力開発の方向付の明確化」等を行います。

そして、勤続年数の長い中高年に対しては、一定の年齢に到達した時等に「これまでのキャリアの棚卸」「目標の再設定」「目標に照らした今後の課題の抽出とその解決策の明確化」「実行の動機づけ」等を行い、それぞれのタイミングに応じたキャリアプランの明確化を行うことで、企業側はこれらを元に人事・教育訓練等の取り組みを行うことができます。

セルフ・キャリアドック制度導入で助成金の対象に

政府は、セルフ・キャリアドックを企業におけるキャリアコンサルティングの導入促進策として推奨しており、企業が人材開発支援助成金(旧:キャリア形成促進助成金)を活用する際には、セルフ・キャリアドックを実施することを要件にしています。

主体的な能力開発を促すため、雇用する労働者に対して職務に関連した専門的な知識及び技能を習得させるための職業訓練などを計画に沿って実施した場合や、人材育成制度を導入し、労働者に適用した際に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等が助成されます。 支給額については、制度導入助成として47.5万円(生産性要件を満たす場合には60万円)とされています。(2017年6月現在)

セルフ・キャリアドック制度の導入

セルフ・キャリアドック制度の導入方法は以下の通りです。

就業規則・労働協約の作成・届出

労働協約、就業規則又は事業内職業能力開発計画のいずれかに、セルフ・キャリアドック制度の実施について定めることが必要です。

セルフ・キャリアドック実施計画書の作成

セルフ・キャリアドック実施計画書を作成します。セルフ・キャリアドック実施計画書には、対象となる労働者、設定した節目、キャリアコンサルティングを実施する日付、キャリアコンサルティングの詳細などを記入します。

セルフ・キャリアドック実施計画書の周知

就業規則または労働協約、セルフ・キャリアドック実施計画書を労働者に周知します。

労働局への提出

計画実施1カ月前までに下記の書類を都道府県労働局に提出します。

  1. 人材開発支援助成金 制度導入・適用計画届(制度導入様式第1号)
  2. 登記事項証明書などの写し
  3. 事業所確認票(制度導入様式第3号)
  4. 改訂前後の就業規則・労働協約の写し
  5. セルフ・キャリアドック実施計画書(制度導入様式第8号)
  6. キャリアコンサルタント実施者の登録証の写し
  7. 中小企業事業主であることを確認できる書類(制度導入様式第3号)

【参考】厚生労働省:キャリア形成促進助成金 申請様式のダウンロード
【参考】日本商工会議所:職業能力評価制度とセルフ・キャリアドック制度の導入・適用のお勧め

キャリアコンサルティングの実施

労働局長が認定した制度を導入し、実施計画書に基づき、キャリアコンサルタントによるキャリアコンサルティングを実施します。

ジョブカード作成

キャリアコンサルティングに基づき、ジョブカードを作成します。

助成金の申請

制度を導入・実施した日の翌日から起算して6か月間経過した日から2か月以内に以下の書類をそろえて都道府県労働局に申請を行います。

  1. キャリア形成促進助成金(制度導入コース)支給申請書(制度導入様式第12号)
  2. キャリアコンサルティング実施状況報告書(制度導入様式第15号)
  3. 対象労働者の労働条件通知書(写)又は雇用契約書(写)
  4. 対象労働者の出勤状況を確認できる書類(出勤簿(写)等)
  5. 対象労働者に賃金が支払われていることが確認できる書類(賃金台帳(写)等)
  6. 事業主がキャリアコンサルティングに係る経費を負担していることが確認できる書類(領収書、振込通知書、請求内訳書などの写し)
  7. 支給要件確認申立書
  8. その他労働局長が求める書類

【参考】厚生労働省:キャリア形成促進助成金 申請様式のダウンロード
【参考】日本商工会議所:職業能力評価制度とセルフ・キャリアドック制度の導入・適用のお勧め

その他、助成金に関する詳細はこちらをご参照ください。
厚生労働省ホームページ<人材開発支援助成金(旧:キャリア形成促進助成金)>

セルフ・キャリアドック制度導入のメリット

企業が定期的にキャリアコンサルティングを受ける機会を提供することにより、労働者はキャリアプランを考えることができます。自身の職業能力開発について主体的な観点を持てることで、責任感や仕事のやりがい、向上心を高めることにつながります。

新規採用時にセルフ・キャリアドックを行う場合には、入社時からのキャリアプランの明確化・具体化をおこなうことができ、職場定着の効果も期待されます。

労働者と会社の目指す目標地点が異なっている場合には、労働意欲が減少したり、不満をため込んだりすることで業務効率が悪くなりますが、セルフ・キャリアドックを行うことで、企業側と労働者側の意識のすり合わせを行うことがきるため、目的意識の共有、キャリア教育ができるようになります。

まとめ

  • 2015年に創設されたキャリアの健康診断「セルフ・キャリアドック」。
  • 「セルフ・キャリアドック」を導入することで助成金の受給も可能。
  • 労働者のキャリア形成、キャリア開発、企業との目的意識のすり合わせなどにも効果が期待されている。

<執筆者>
高橋永里 社会保険労務士(和泉中央社会保険労務士事務所 代表)

大学卒業後、ホテルのウエディングプランナーの仕事に従事。数百件の結婚式をプロデュースする中で、結婚式という期間限定のサポートではなく、より長く人のサポートを行う仕事に就きたいと思い、社労士業界に転職。顧問件数6,000社を超える大手税理士法人で法人設立、労務管理の仕事の経験を経たのち、2015年に「和泉中央社会保険労務士事務所」を開業。現在は、年金アドバイザー、簿記、ファイナンシャルプランニングの資格を活かし、中小企業の設立、労務管理、就業規則作成、助成金申請など幅広い業務を行う。


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