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若者雇用促進法

2020年1月27日(月)更新

若者雇用促進法(青少年の雇用の促進等に関する法律)は、若者の適職選択の支援や能力開発・向上についての措置を総合的に講じ、若者の雇用を促進するため、平成27年9月に公布されました。この法律により新設された制度としては「①事業主による職場情報の提供」「②ハローワークによるブラック企業の新卒求人不受理」「③ユースエール認定制度の創設」などがあります。

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若者雇用促進法とは

若者雇用促進法は、正式名称を「青少年の雇用の促進等に関する法律」といいます。

若者の雇用に関する法律としては、従前から「勤労青少年福祉法」(昭和45年公布)がありました。しかし昭和45年当時と現在とでは若者を取り巻く雇用環境は大きく変化しています。とりわけ若年者層の失業率の高さや不安定な雇用実態は社会問題化しており、具体的な策を講じる必要がありました。

そのため、平成27年9月、「勤労青少年福祉法」を改正する形で、「青少年の雇用の促進等に関する法律(若者雇用促進法)」が公布、同年10月より順次施行されました。

若者の定義・年齢とは

「若者雇用促進法」でいう「若者」とは、どの年齢の者を指すのでしょうか?「青少年雇用対策基本方針」(平成28年1月14日厚生労働省告示)では、「青少年」は次のように定義されています。

  • 35歳未満
  • ただし個々の施策・事業の運営状況等に応じ、おおむね「45歳未満」の者も対象とすることは妨げない
  • 現に働いている者に限らず、求職者やニート等を含む

【参考】青少年雇用対策基本方針

制定の背景

「若者雇用促進法」制定の背景には、少子化に伴う深刻な労働力人口の減少があります。

15歳以上の就業者+失業者」の人数を労働力人口といいますが、2000年に6,766万人だった労働力人口は2017年には6,556万人となり、更に2030年には6,180万人に減少すると予測されています。こうした中で経済を維持していくには、労働力人口を増やすとともに労働生産性を上げていく必要があります。中でも次世代を担う若者には大きな期待がかかるところです。

しかし長期化する不況や雇用形態の変化などにより、若者の雇用実態は概して厳しいものとなっています。仕事を覚える段階の若者に安定した職がなければ、職業能力を向上させる機会も得られず、結果、その者の生産性も上がりません。

このような若者の雇用実態に対処し、雇用の促進を図るとともに能力開発・向上を総合的に行う措置を講じるため、「若者雇用促進法」が制定されました。

【参考】厚生労働白書

若者雇用促進法の内容

若者雇用促進法の主な内容は3つです。それぞれ順番に説明していきます。

①職場情報の積極的な提供

新卒で無事に就職しても、その会社の実態が就職前に考えていたものと大きく乖離していたら、「こんなはずではなかった」と、早期に離職してしまう若者もいるでしょう。「求人詐欺」という言葉がありますが、賃金や残業時間について実態と異なる求人広告を出し、労働者を使い捨てる悪質な企業が少なからずあり、若者が被害者となることも多いのです。

そして経験がまだ浅く十分な職業スキルのない段階で離職すれば、当然ですが再就職は難しくなります。結果、その若者は労働市場における弱者となり不安定雇用を繰り返してしまう可能性も否定できません。

こうしたことを未然に防ぐため、若者雇用促進法では、平均勤続年数や有給休暇の平均取得日数など一定の情報提供項目を定め、会社が新卒者を対象とする求人を行うときには、その情報を提供する制度を新設しました

尚、この情報提供は、会社のホームページ、説明会での資料配布、求人票への記載などにより、自ら積極的に行うこととされています。

情報提供の努力義務

若者雇用促進法では、情報提供項目について、可能な限り幅広い情報を提供することが“努力義務”とされています。

雇用関係情報の公開が「義務」とされず「努力義務」にとどまっているため、応募者が本当に知りたい情報が公開されない可能性もあります。では企業側が積極的な情報公開を行わない場合、応募者側から情報を得るためのアクションはできるのでしょうか?

応募者が求められた場合は「義務」に変わる

応募者等は企業に対し、情報提供を希望している旨を伝えることができます。

そして応募者等の側から求めがあった場合は、情報提供は「努力義務」から「義務」に変わり、以下の「情報提供項目の3類型」から、企業側が選択する1つ以上の情報を提供する必要があります。

尚、応募者等が情報提供を求めたことを理由とする不利益取り扱いは禁止されています。

情報提供項目の3類型

情報提供項目の3類型と具体的な項目は次表の通りです。

1.募集・採用に関する状況

  • 過去3年間の新卒採用者数・離職者数
  • 過去3年間の新卒採用者数の男女別人数
  • 平均勤続年数

2.職業能力の開発・向上に関する状況

  • 研修の有無及び内容
  • 自己啓発支援の有無及び内容
  • メンター制度の有無
  • キャリアコンサルティング制度の有無及び内容
  • 社内検定等の制度の有無及び内容

3.企業における雇用管理に関する状況

  • 前年度の月平均所定外労働時間の実績
  • 前年度の有給休暇の平均取得日数
  • 前年度の育児休業取得対象者数・取得者数(男女別)
  • 役員に占める女性の割合及び管理的地位にある者に占める女性の割合

②ハローワークにおける求人の不受理

新卒で入社した会社が、残業代未払いや過重労働などのトラブルが頻発するいわゆるブラック企業だった場合、新卒者の受けるダメージは大きいものです。

そうしたブラック企業を若者が選択することのないよう、労働関係法令違反のあった事業所が新卒求人を出そうとしても、ハローワーク側でその求人を不受理にできる制度が開始されました。

不受理とは

そもそも公共職業安定所(ハローワーク)は、原則として求人の申込みは全て受理しなければならないことになっています(職業安定法5条の5)。今回開始された若者雇用安定法による新卒求人不受理の制度は、この例外を定めるものとなります。

尚、不受理とすることができる求人は「新規学卒者を対象としたもの」のみです。

不受理の対象

求人の不受理扱いとなる労働関係法令違反とは、どのようなものでしょうか?

不受理の対象となる労働関係法令違反は、大きく3種類に分けられています。違反が求人不受理につながる主な対象条項を挙げてみましょう。

1.過重労働の制限などに対する規定違反

  • 強制労働の禁止(労働基準法5条)
  • 最低賃金(労働基準法24条、最低賃金法4条1項)など

2.仕事と育児等の両立等に関する規定違反

  • 出産等を理由とする不利益取扱の禁止(男女雇用機会均等法9条1~4)など
  • セクシュアルハラスメント(男女雇用機会均等法5~7条他)など

3.その他、青少年に固有の事情を背景とする課題に関する規定違反

  • 労働条件の明示(労働基準法15条1項)
  • 年少者にかかる労働基準(労働基準法56条他)など

求人を不受理とされる期間は、違反した法律と違反の程度により異なります。基本的には次の2種類です。


  • 労働基準法または最低賃金法の対象条項違反で、1年に2回以上是正勧告を受けている場合
  • 違法な長時間労働を繰り返している企業として公表された場合
  • 男女雇用機会均等法等の対象条項違反の是正勧告従わず、公表された場合

⇒法違反が是正されるまで、及び是正後6ヶ月が経過するまで


  • 労働基準法または最低賃金法の対象条項違反により送検され、公表された場合

⇒送検された日から1年を経過するまで(是正後6ヶ月経過するまでは不受理期間を延長)


詳細は以下のページでご確認いただけます。

【参考】若者雇用促進法のあらまし

③ユースエール認定制度

「ユースエール認定制度」とは、若者の採用・育成に積極的で、若者の雇用管理状況が優良な中小企業を厚生労働大臣が認定する制度です。

ユースエール認定企業になると、企業のイメージアップにつながるだけでなく、次のようなメリットがあります。

  • 若者の採用・育成を支援する助成金の加算措置
  • 日本政策金融公庫の低利融資
  • 認定企業限定の就職面接会への参加

【関連】ユースエール認定企業とは?内容やメリット、要件や他の認定制度もご紹介 / BizHint

若者雇用促進法における職業能力開発・向上支援制度

職業能力を開発していく際に、適性や経験などの棚卸しをするツールや専門家の助言等があればより効率的です。

そのため若者雇用促進法では、ジョブ・カードやキャリアコンサルタント制度を法律上に位置づけ、能力開発・向上を支援する制度の整備を図っています。

ジョブ・カードの普及促進

ジョブ・カードとは、職業能力開発促進法15条の4に定められた職務経歴等記録書のことをいいます。「職務経歴等記録書(ジョブ・カード)」は従来からあったものですが、若者雇用促進法の改正により、初めて法律上の位置づけを得ることとなりました。

ジョブ・カードには、履歴、免許や資格、職業訓練歴、職務経験、訓練等の評価、職場での評価などの情報を蓄積していき、職業選択やキャリアコンサルティングなどの場面に応じて、必要な情報を取り出し活用します。

ジョブ・カードの役割は「生涯を通じたキャリア・プランニング」や「職業能力証明」とされており、法律上の地位を得たことで今後益々、活用が広がると考えられています。

キャリアコンサルタントの登録制の導入

職業能力開発促進法の改正により、平成28年4月からキャリアコンサルタントは国家資格となり、キャリアコンサルタント名簿への登録(5年更新)が必要となりました。また、守秘義務や信用失墜行為禁止義務が課され、信頼度の向上が図られています。

キャリアコンサルタントによる相談や助言(キャリアコンサルティング)は、今後、若者の能力開発において役割の増大が予想されており、今回の法改正により、より信頼ある資格として整備がされたと言えるでしょう。

【関連】国家資格化で注目される「キャリアコンサルタント」とは? / BizHint

技能検定制度の整備

技能検定についても平成28年4月より検定制度の整備が行われることとなりました。技能検定の実技試験について実践的な評価方法を規定することで、対人サービス分野を対象とした技能検定を構築していきます。

技能検定とは

技能検定とは、職業能力開発促進法44条に定められた労働者の技能を評価する国家検定です。労働者が働く上で必要とされる技能を、一定の基準で評価し国が証明するもので、昭和34年から実施されています。建築大工、配管、ファイナンシャル・プランニング、ウェブデザイン、和裁、知的財産管理など126種(平成29年10月現在)の検定が実施されています。

若者の雇用機会確保・職場定着における事業主等の指針

「若者雇用促進法」の公布に伴い、企業や職業紹介事業者がどのような措置を講じたらよいかについて、厚生労働省が指針を出しています。

「青少年の雇用機会の確保及び職場への定着に関して事業主、特定地方公共団体、職業紹介事業者等その他の関係者が適切に対処するための指針(平成27年厚生労働省告示406号)」というものです。この指針の主なポイントを挙げていきます。

1. 事業主などが青少年の募集や採用に当たって講じるべき措置

青少年を募集・採用時するときに企業の講じるべき主な措置は次の通りです。

  • 事業主、募集受託者、求人者等は、労働条件の明示義務を遵守する。
  • 固定残業代を採用している会社が募集をする場合は、固定残業代に含まれる残業等の時間数、金額の計算方法、基本給の額、固定残業代に含まれる時間を超過する時間外労働などがあった場合は別途支払いをする旨などを明示する。
  • 採用内定の取消しは極力避け、やむを得ず内定取消しをする場合は対象者の就職先の確保について最大限の努力をする。
  • 通年採用や秋季募集の導入による応募機会の増加、トライアル雇用などの活用による就業機会の増加といった措置を講じるよう努める。
  • 既卒者についても、少なくとも卒業後3年間は新卒募集の採用枠に応募できるような募集条件を設定するよう努める。
  • 青少年雇用情報(後述します)については、適切な情報提供を行う。

固定残業代の表示

固定残業代とは、毎月定額で支払われる割増賃金のことです。あらかじめ一定時間分の時間外労働などの割増賃金を毎月の給与に組み込み、定額の手当として支払います。(休日労働分や深夜労働分が含まれているケースもあります)固定残業代を採用している会社においては、その固定残業代に該当する手当について内訳を明示する必要があります。

※例:「基本給〇〇円、固定残業手当(▲時間分)××円」

しかし、忙しい月に▲時間を超える残業をした場合は、超過分(固定残業手当で網羅されない部分)については、別途、割増賃金を支払う必要があります。

固定残業代を採用している企業が青少年を募集・採用するときには、次の事項について明示しなければなりません。

  • 固定残業代を採用している旨
  • 固定残業代の計算方法
  • 固定残業代に含まれる労働時間数
  • 固定残業代を除外した基本給の額
  • 時間外労働などが固定残業代に含まれる時間数を超えた場合は、別途割増賃金を支払う旨

2. 事業主が青少年の職場への定着促進のために講じるべき措置

次に、若者が職場に定着し安定した環境でキャリア形成をしていくために、会社がするべき主な措置を挙げます。

  • 青少年の雇用管理の改善に努めるとともに、キャリア形成についての情報の明示、非正規雇用青少年の正社員登用制度の検討、労働法制の基礎的内容の周知などの措置を講じるよう努める。
  • OJT及びOFF-JTの計画的実施、キャリアコンサルティングを受ける機会の確保、自発的職業訓練のための休暇の付与、ジョブ・カードの活用支援など、青少年の職業能力の開発・向上のための措置を講じるよう努める。

3. 職業紹介事業者などが青少年の雇用機会の確保や職場への定着促進のために講じるべき措置

最後に、職業紹介事業者などが講じるべき措置を挙げていきます。

  • 募集情報提供事業者は、就職支援サイトで提供する情報をわかりやすいものとするよう配慮するとともに、サイト利用に関する苦情や相談について適切な対応に努める。
  • 職業紹介事業者は、学校卒業見込者等求人を受理する際、青少年雇用情報の提出を求めるとともに、青少年雇用情報の全ての項目について情報提供をするよう働きかけるよう努める。
  • 職業紹介事業者は、ハローワークが不受理とすることのできるブラック企業の新卒求人についてハローワークに準じた扱いをするため、職業紹介事業の取扱職種の範囲などの届出を行うことが望ましい。

【参考】青少年の雇用機会の確保及び職場への定着に関して事業主、特定地方公共団体、職業紹介事業者等その他の関係者が適切に対処するための指針

若者雇用促進法にまつわる助成金制度

「青少年の雇用を促進しキャリアアップを図る」という若者雇用促進法の目的が、日本社会に必要なものであることには、誰しも異論はないでしょう。

しかし実際に青少年に雇用機会を与えたり教育訓練をしたりするには、それなりに費用も時間もかかります。そのため人事部の採用担当者としては、即戦力であるベテラン労働者を採用したくなるかもしれません。

そこで厚生労働省では、若者の雇用促進や教育訓練のための助成金制度を整備し、条件を満たした会社に対し、支給を行っています。ここでは、若者の雇用促進に関連した助成金を紹介します。

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金は、非正規雇用労働者の雇用安定やキャリアアップを促進するための助成金です。

この助成金には「正社員化コース」「人材育成コース」「賃金規定等改定コース」など8つのコースが用意されていますが、ここではよく利用されている「正社員化コース」を取り上げます。非正規雇用の青少年を正規雇用に移行させる場合に利用することが可能です。

要件

就業規則などに有期雇用労働者などを正社員に転換する制度を定め、実際に転換を行い、一定期間雇用した場合に支給されます。

助成金額

<キャリアアップ助成金「正社員化コース」の基本的な助成額(中小企業の場合)>

  • 有期雇用を正規雇用に転換した場合:1人当たり570,000円
  • 有期雇用を無期雇用に転換した場合:1人当たり285,000円
  • 無期雇用を正規雇用に転換した場合:1人当たり285,000円

※ユースエース認定事業所において35歳未満の対象労働者を転換等した場合は、助成金が加算されます。

詳細については、以下のページにてご確認ください。

【参考】キャリアアップ助成金

人材開発支援助成金

人材開発支援助成金は、生涯を通じてのキャリア形成を支援する助成金です。「特定訓練コース」「一般訓練コース」など7種類があり、教育訓練を実施した場合やキャリアコンサルタントによる相談制度の導入などをした場合に、費用助成や制度助成を受けることができます。

ここでは「特定訓練コース(若年人材育成訓練)」を取り上げます。

要件

採用5年以内かつ35歳未満の労働者に、あらかじめ提出した訓練計画に従いOFF-JTの訓練を受けさせた場合に支給されます。

助成金額

<人材開発支援助成金・特定訓練コース(若年人材育成訓練)の助成額>

  • 経費助成:かかった経費の45%
  • 賃金助成:1時間当たり760円

※ユースエール認定事業所の場合は、経費助成率が60%になります。

【参考】人材開発支援助成金

特定求職者雇用開発助成金

特定求職者雇用開発助成金は、高年齢者など、一定の就職が困難な者を雇入れた場合に支給される助成金です。この助成金には8つのコースがありますが、ここでは「三年以内既卒者等採用定着コース」を紹介します。

要件

「三年以内既卒者等採用定着コース」は、学校等の既卒者または中退者でも応募可能な新卒求人の募集を行い、そうした既卒者を新卒枠で初めて採用し、一定期間定着させた事業主に支給されます。

助成金額

<特定求職者雇用開発助成金・三年以上既卒者等採用定着コース(中小企業)の助成額>

  • 既卒者コース:1年定着後500,000円/2年定着後100,000円/3年定着後100,000円
  • 高校中退者コース:1年定着後600,000円/2年定着後100,000円/3年定着後100,000円

※ユースエール認定事業主の場合は、上記に100,000円が加算されます。

【参考】特定求職者雇用開発助成金

まとめ

  • 若者雇用促進法は、青少年の雇用促進とキャリア形成を支援するための法律です。
  • 事業主が新卒求人を行うときには、職場情報を提供する義務があります。
  • ハローワーク等は、いわゆるブラック企業の新卒者向け求人を不受理とすることができます。
  • 青少年の雇用環境が優秀な事業主を認定する制度があります。
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