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2018年11月19日(月)更新

スマートワーク

労働力不足が深刻化するなか、多様な働き方を採り入れて生産効率を上げるスマートワークの導入が進んでいます。目的を明確にして導入した企業の多くは、生産性向上をはじめとした導入効果を実感し、さらなる改善や競争力強化に向け経営戦略として取り組んでいます。スマートワーク普及のカギとなるICTの進化により、導入環境も整ってきています。

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スマートワークとは?

スマートワークとは、労働生産性を高めるためにICTを活用して、場所や時間に縛られない柔軟な働き方のことです。日本では、総務省がICT利活用のひとつとしてテレワークを推進しており、その目的は少子高齢化対策の推進、ワーク・ライフ・バランスの実現、有能・多様な人材の確保、生産性の向上、コスト削減などをあげています。スマートワークの明確な定義はなく、テレワークとほぼ同義として認識され、使われているのが現状です。

政府は一億総活躍社会実現に向けた、最大のチャレンジ位置づけている「働き方改革」の13の意義の中で、テレワーク導入支援をはじめとした普及活動を推進しています。その他に、日本マイクロソフトは2017年7月から「働き方改革推進会社ネットワーク(仮称)」をスタートし、政府や自治体とも連動しながら働き方改革の推進活動をはじめています。今後はさらに、スマートワーク導入の動きが加速化していくでしょう。

「短時間労働」ではない

スマートワークは時短労働というイメージがありますが、導入の主な目的は生産性向上です。短時間労働で生産性が向上すれば、スマートワーク導入の効果はあります。目的のない短時間労働はスマートワークにはなりえないことを認識する必要があります。

スマートワークが生まれた背景

スマートワークが生まれた背景には主に3つの理由があります。

ワークスタイル変革の影響

昨今、少子高齢化による労働力不足、育児や介護との両立問題、長時間労働が社会問題として取り上げられています。またグローバル化が進む中、日本企業もダイバーシティの推進を余儀なくされています。

こうした時代の変化に合わせてITテクノロジーも進化を続けており、高速通信やクラウドサービスの活用、スマートデバイスの普及などその恩恵を受けられるようになりました。また、テレワークやフリーランスなど働き方の多様化が進んでおり、場所や時間に縛られない多様な働き方を採り入れやすくなっています。

【関連】BizHint HR/今こそワークスタイル変革を! 導入方法やメリット、活用できる助成制度もご紹介

労働力不足

少子高齢化により労働力不足は着実に進んでいます。その打開策として子育てや介護で職場を離れた女性や高齢者の人材活用が必須となっています。そのためにはライフスタイルに応じた多様な働き方を可能にするスマートワークの導入や、適正な処遇や労働条件の確保が不可欠です。

こうした中、厚生労働省では短時間正社員制度の導入支援として、助成金の支給や情報提供などを行っています。

【参考】厚生労働省/短時間正社員制度 導入支援ナビ

男女の格差

男女の格差をみる指標のひとつとして、世界経済フォーラム発表の各国における男女格差を測るジェンダー・ギャップ指数があります。2016年の日本の順位は144か国中111位となっており、男女の格差があることが認められます。

内閣府では男女の格差を是正して男女共同参画社会の実現を目指しています。その施策のひとつとして、結婚、出産、育児などで退職せざるをえない立場の女性が、仕事を継続しながら家庭や子育てを両立できる就業形態の普及に力を入れています。

【参考】内閣府男女共同参画局/「共同参画」2017年1月号
【参考】内閣府男女共同参画局/雇用等の分野における男女の均等な機会と待遇の確保

スマートワークを企業が導入することのメリット

実際に企業がスマートワークを導入するメリットは何か、具体的に見てみましょう。

労働生産性の向上

少子高齢化が進むなかで企業競争力をつけるためには、従来の働き方から仕事の質を高めて短時間で労働生産性を向上する働き方へと転換していく必要があります。実際にテレワークを導入している企業では、導入して良かったことの1位が労働生産性の向上という調査結果もあります。

その理由は、電話や会話による中断がないため仕事に集中しやすいことや、怠けていると思われないためにも結果を出さなくてはという意識が高まることなどがあります。

【参考】SankeiBiz/人事担当者に聞く「テレワーク」実態調査テレワーク導入企業は9%、目的は生産性向上が第1位。

ワーク・ライフ・バランスの実現

従来の働き方では実現が難しかったワーク・ライフ・バランスも、スマートワークの導入によって就業形態が多様化することで、余暇時間を楽しんだり、家族や大切な人と過ごしたり、あるいは自己啓発に取り組むことができます。

こうして仕事とプライベートの調和をはかることで、健康が増進され、発想やアイデアが湧きやすくなり、仕事時間外にインプットしたことや体験したことが仕事のクオリティを上げるなど、ワーク・ライフ・バランスの実現が労働におけるパフォーマンス向上にも繋がります。

【関連】BizHint HR/ワーク・ライフ・バランスとは?企業の取り組み事例と実現のポイント

従業員のモチベーションアップ

ライフスタイルに合わせた働き方を可能にすることは、仕事のキャリアや生き方を見直すきっかけになります。仕事に活かそうと自己啓発に積極的に取り組むなど自発的な行動が増えるほか、仕事とプライベートのバランスが良くなることで満足度が上がり、仕事への意欲が高まります。こうして社員のモチベーションがアップすれば離職率低下にも繋がります。

【関連】BizHint HR/モチベーションの意味とは?上げる・高める・維持する方法をご紹介

ダイバーシティの推進

ダイバーシティには性別、年齢、国籍、障がい者、LGBTといった様々な多様性があります。ダイバーシティを推進していくためには、その概念や考え方など正しい理解を促すための教育や意識改革に全社をあげて取り組む必要があります。こうして多様な価値観を持つ人材が同じ組織で共に働くことは、新たなイノベーションを生み、企業発展へと繋がります。

【関連】BizHint HR/ダイバーシティとは?意味や経営を推進するためのポイント

スマートワークの働き方一例

スマートワークにはいくつかの働き方があります。その一例をご紹介します。

時短勤務

時短勤務は、週あたりの労働時間が短い正社員のことです。時短勤務は短時間正社員制度として厚生労働省が導入を進めています。その目的は、年々増加する育児や介護などの理由で長い時間働けない人たちの就業機会や就業継続の機会を増やすことで、人材活用の課題解決のひとつとして捉えています。

【参考】厚生労働省/短時間正社員制度について : 短時間正社員制度 導入支援ナビ
【関連】BizHint HR/時短勤務制度

リモートワーク

リモートワークは、働く場所にとらわれない働き方のことです。トヨタ自動車やリクルートホールディングスをはじめ多くの企業で導入されており、コスト削減や生産性向上に効果を実感する事例が増えています。

【関連】BizHint HR/リモートワークの意味とは?メリットや注意点、事例を一挙紹介

テレワーク

総務省ホームページによると、「テレワークとは、ICTを活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方」のことです。テレワークにはいくつかの分類があります。雇用形態で見た場合は雇用型と自営型があります。勤務場所で見た場合は在宅勤務、モバイル勤務(場所に依存しない営業職など)、施設利用型勤務(サテライトオフィス等活用)があります。

総務省「平成27年通信利用動向調査」によると、テレワークを導入した企業の8割以上が効果を実感しており、スマートワーク導入のひとつとして有効であることが分かります。

【出典】総務省/テレワークの意義・効果
【参考】総務省/平成28年版 情報通信白書:テレワーク
【関連】BizHint HR/テレワークの課題とは?企業事例を徹底解説

クラウドソーシング

総務省ホームページによると、クラウドソーシングとは「不特定の人(クラウド=群衆)に業務を外部委託(アウトソーシング)するという意味の造語」で、発注者がインターネット上のウェブサイトで受注者を公募し、仕事を発注することができる働き方の仕組みとされています。

発注者と受注者はインターネットを介してコミュニケーションをとり、受注者は空き時間を活用して自宅などで作業を行うため、時間と場所に囚われずに働けるメリットがあります。クラウドソーシング市場は右肩上がりで年々普及が進み、2018年度の流通金額は1,820億円に達する見込みです。

【出典】総務省/平成27年版 情報通信白書:クラウドソーシング

日本の企業がスマートワークを導入できない理由と改善策

スマートワーク導入を検討するものの、今一歩踏み切れない阻害要因となる3つの理由とその解決策についてご説明します。

業務管理が難しい

職場環境では目が行き届きますが、スマートワークでは業務管理をどのように行えばよいのかという不安や、周りの目がないため生産性が落ちることが懸念されます。

理由

離れた場所で仕事をすることにより、業務管理が可視化できないことへの不安は拭えないでしょう。しかし、ICTやAIの飛躍的進歩により、離れた場所でも業務管理が可能なシステムやツールが増えています。こうしたICT活用によって職場と同じように業務管理を行うことは可能です。

改善策

  • 業務内容を明確にして、業務管理を行いやすくする。
  • チャットツールの活用など適度なコミュケーションをとる。
  • 進捗報告のタイミングをルール化するなど業務管理できる工夫を行う。
  • 個人評価は成果でのみ行うなど、ワークスタイルの変化に応じた評価制度の見直しを行う。

導入コストや費用対効果の不安

スマートワーク導入にはICTの活用が必須になります。こうした新たにかかるコストや費用対効果はあるのかが懸念されます。

理由

ICT導入の具体例として、セキュリティを確保した通信環境の整備や、Web会議やチャットなどのコミュニケーションツールの導入、勤怠や業務管理システムの導入などが挙げられます。企業規模や予算、目的によって何を導入するかが異なるため、コストが見えにくいことがあります。また、前例がなく新しい取り組みには費用対効果への不安もあります。

一方でスマートワーク導入により通勤・交通費、オフィス賃料、光熱費、採用・教育費、残業代、ペーパレスによる印刷代、BYOD(私用端末の業務利用)によるデバイス費用など、削減できる費用もあります。

改善策

  • スマートワーク導入によりかかるコストと削減できるコストの試算を行う。
  • コストや業務効率など定量的評価項目を設定し、半年や1年など試行期間を経て評価して実態の把握や利害得失、問題点の洗い出しなど検証を行う。

情報漏えいリスクの不安

自宅など離れた場所に社内で作業するとの同じ環境を構築するにあたり、情報漏洩リスクへの不安が挙げられます。

理由

スマートワークを導入することで、情報の一元管理が難しくなるだけでなく、ネットワーク経由での情報漏洩リスクが高まる危険性が考えられます。これらの不安に応えるセキュリティをはじめとしたICT技術を導入することでリスクを回避することが可能になってきています。

改善策

  • 情報資産の洗い出しを行い、どのようなリスクや脆弱性があるのかを把握する。
  • 外部からのアクセスにも対応するネットワークのセキュリティ環境を整備する。
  • 外部からのアクセスは、許可された人が許可された端末のみ使用可能にする。
  • 外部からのアクセスを許可された端末の管理を行うことでセキュリティレベルを維持する。
  • シンクライアントを導入して情報セキュリティを強化する。

スマートワーク導入を成功させるポイント

スマートワークを育児、介護に関わる社員限定の「働き方改革」に止まることなく、「経営戦略」の一環として捉えてその活用に本気で取り組む企業では、成功している事例が多くあります。しかし、多くの企業で導入に踏み切れない理由のひとつに失敗への恐れがあるのも事実でしょう。そこで成功へと導くためのポイントをご説明します。

働き方の選択肢を増やす

ライフスタイルに合わせて働き方を選択できるようになれば、プライベートと仕事の両立を可能になり、通勤時間をゆとり時間に変えて自己啓発やプライベートの体験が仕事の効率化につながる好循環を生むことも多くの事例から明らかです。

働き方の選択肢を増やすことは、企業と社員さらには企業と顧客がより良い関係を築くきっかけになります。

企業と従業員の信頼関係を構築

スマートワークの導入によって、自宅など離れた場所での勤務や時短勤務になると、社員同士も顔を合わせて話すことが減り、電話やチャット、メールを通したコミュニケーションが中心となります。そのため信頼関係が弱いと誤解や齟齬を生む危険性が大きくなります。そこで定期的に会って話をする機会を積極的に作り、互いの信頼関係を深める工夫が必要です。

評価制度の見直し

社員の能力を適切に評価するには、従来の評価制度を見直す必要があります。在宅勤務制度などスマートワークを導入している企業の多くが、目標管理制度を活用して成果による人事評価を行っています。

目標管理制度導入は、企業側が達成してほしい目標を提示して上司と社員が話し合い、個人の目標設定を定めたら、社員が自発的に達成方法を考えて行動するように促します。日々の業務報告や進捗確認で目標とのずれがあれば、上司が指摘してアドバイスするなど修正をはかりましょう。

評価は数値や目に見える成果のみで行い、憶測や推測を評価の判断に入れないよう注意が必要です。成果による評価制度を導入して社員ひとりひとりを適切に評価することはモチベーションや能力向上にも繋がります。

【関連】BizHint HR/目標管理制度の目的とは?問題点を克服し失敗しない制度導入に必要なこと
【関連】BizHint HR/人事評価制度とは?評価対象や評価手法、企業事例などもご紹介

個人の意識を変えることが必要

日本社会には長時間労働を美徳とする文化が根強く残っています。労働力不足が深刻化する昨今、経営層の取締役から従業員まで社員ひとりひとりの意識改革をして、時代に合わせた柔軟な考え方をしていく必要があります。

意識改革は優秀な人材の流出を防ぎたい、生産性を上げたいなど企業が抱える切実な課題と向き合い、改善への強い気持ちから始まります。意識改革の重要性はすでに導入している企業の事例が大いに参考になるでしょう。

スマートワークを導入した企業事例

スマートワーク導入は、生産性や従業員の意識にどのような変化をもたらすのでしょうか?実際に導入している企業事例をご紹介します。

株式会社リクルートスタッフィング

リクルートスタッフィングは、「限られた時間の中で、賢く・濃く・イキイキと働くことで、最大の成果を出すこと」という狙いから2013年1月にスマートワークを採用しました。その背景には、過去約10年のデータ分析の結果、営業成績と労働時間に相関は見られなかったこと、さらに社内アンケートの結果、男女間でキャリア形成に対する意識の差があることが分かったこときっかけでした。 企業成長のためには男女の差なく共に活躍できる環境を作り、時間当たりの生産性を上げることを重視していく必要があり、そのベストアンサーがスマートワークの導入でした。スマートワーク導入前と導入3年後のデータを比較した結果、一日あたりの平均労働時間が3.3%ダウンした一方で、時間あたりの売上生産性が4.6%アップしたそうです。

社内でも子育てや介護など労働時間を制限される人が増えていくなか、その解決策として新たな職種を設けて時短勤務を可能にしたことで、顧客満足や業務効率を上げることにも成功しています。今後もスマートワーク先駆け企業として進化が期待されます。

【参考】「スマートワーク」という新たな働き方への改革で着実な成果!

ソフトバンク株式会社

ソフトバンクは「Smart & Fun!」というスローガンのもと、ITを駆使して働き方を変え、半分の時間で生産性を2倍にするために様々な取り組みを導入しています。

例えば、最大限に時間を有効活用するためのスーパーフレックスタイムの全社導入や、育児、介護の負担のある社員のための週3回までの在宅勤務を認めています。こうしてできたゆとり時間を自己成長に投資してもらうためにSmart & Fun!支援金を全正社員に毎月支給しています。

こうした取り組みに共通するのは、時間を有効活用して生産性と成果を最大限に高める狙いがあります。今後はさらにダイバーシティの観点も取り入れた「働き方改革」を推進していくそうです。

【参考】スマートワークスタイルの推進

まとめ

  • 働き方改革は日本の労働問題からみて避けて通れない改革であり、スマートワーク導入により生産性向上や競争力の強化、社員の能力向上など様々な効果があります。
  • ICTやAIの飛躍的な進化により、スマートワーク導入を実現する環境整備のハードルは下がってきています。
  • スマートワーク導入を進めるには、試行期間を設けてまず一歩を踏み出してみることから始まります。また、導入企業例が増えていることも普及の後押しになっています。

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