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キャリアドリフト

2020年6月17日(水)更新

組織の一員として従事し、職業人生を送る上では、将来の自身の姿や目指す方向性を明確にするキャリアデザインが欠かせません。キャリアドリフトは、従来の目標管理をベースにした「自分で決めること」による主体的な考え方とは異なり、「環境変化に流されること」を前提にした新発想のキャリアデザイン手法です。

キャリアドリフトとは

キャリアドリフトとは、自身の将来のキャリアについて、あえて事前にその道筋を詳細に決めることをせず、節目ごとに起こる変化を楽しみ、自然の流れに身を任せるようにキャリアを過ごしていく考え方を指します。

こうした「キャリアに身を任せる」生き方は、特に日本ではまだ珍しいものかもしれません。 終身雇用や年功序列などの制度が基盤となってきた日本の企業では、大学3年生のある時期に一斉に就職活動が始まって、内定時にはキャリアとノンキャリアでコースが分けられ、年齢ごとの昇進プロセスに想像がつくようなことも少なくありません。また、入社時の研修には「1年後の自分」「3年後の自分」「10年後の自分」の短期・中期・長期でのキャリアプランを作るといったプログラムが実施されることもよく聞く話です。

「キャリアプランニング」や「キャリアデザイン」などの言葉に表されるように、企業はもちろん、教育の場でも日本の組織では「キャリアは決めておく」ということが重視されてきました。自分がこれから歩む道筋、キャリアパスを明確に設定しておき、それに沿って邁進していくことが、ビジネスキャリアを歩んでいく上での正攻法だと考える傾向があるようです。

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キャリアドリフトが生まれた背景

今までのキャリアの考え方とは真逆をいくような価値観であるキャリアドリフトですが、実践に向けて理解を深めるためには、まず「キャリアアンカー」という言葉について知る必要があります。

キャリアを歩むための道しるべ、キャリアアンカー

マサチューセッツ工科大学の組織心理学者、エドガー・シャイン教授は、キャリアを進めていく上で重要なことは、「何をしたいか(What)」よりも「どのように(How)」を決めておくかことであることから、「キャリアアンカー」という考え方を示しました。「アンカー(船のイカリ)」を降ろすように、自分にとって大切な価値観や、譲れないこと、生きていく上での動機となるような軸に足を定めておくことで、ビジネスライフを過ごす中で起こりうる予測不可能な環境変化にも、柔軟に対応できるようになると言います。