キャリアコンサルタント
平成27年9月11日、キャリアコンサルタント国家資格化に関する法案が可決・成立し、平成28年4月1日にキャリアコンサルタントの国家資格が誕生することになりました。キャリアコンサルタントはどういった理由から国家資格となったのでしょうか。キャリアコンサルタントの役割や資格の取得方法などについて解説していきます。
1.キャリアコンサルタントとは
平成28年4月以降、国家試験に合格した人だけが「キャリアコンサルタント」と名乗ることができるようになりました。逆に国家試験に合格しなければ「キャリアコンサルタント」という名称はもちろん、類似する名称を名乗ることもできません(名称独占資格)。
キャリアコンサルタントには守秘義務が課され、信用や名誉を傷つける行為は禁止されます。また、5年ごとの更新が求められるので、キャリアコンサルタントという職種に対しこれまで以上に信頼が寄せられることになるでしょう。
キャリアコンサルタントの役割とは
キャリアコンサルタントは、仕事の選び方やキャリアプラン、キャリア形成などに関して、アドバイスや指導を行うキャリアコンサルティングの専門家です。
企業の人事部や人材紹介会社、人材派遣会社、ハローワークなどの公的就業期間、大学のキャリアセンターなどでの活躍が期待されています。また、フリーランスのキャリアコンサルタントとして、企業や団体などから委託を受けて活動するケースもあります。
2.キャリアコンサルタントが注目される背景
キャリアコンサルタントが国家資格化された背景
近年グローバル化が進む一方、少子高齢化・人口減少社会が問題視されています。このような状況の中で、世界各国に後れをとることなく経済成長を持続させるためには、1人1人が自己能力を最大限活かせる場所で働ける社会を作らなければなりません。
そこで、個人が自らのキャリアを主体的に考える環境を整備していくことの重要性が高まり、キャリアコンサルタントは国家資格となったのです。
政府によるキャリアコンサルティングの助成制度
平成27年4月、企業内人材育成推進助成金にキャリアコンサルティング制度が設けられました。これは、企業が従業員に対するキャリアコンサルティングの実施、あるいは、従業員のキャリアコンサルタントへの育成を行うと、助成金が得られるという制度です。
つまり、企業が従業員に対するキャリアコンサルティングを行うことを促進する制度ですから、キャリアコンサルタントの需要がアップすると想定されています。政府は、2024年末までにキャリアコンサルタントを10万人に増やすことを計画しているのです。
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人材が流動化する時代に
いまや終身雇用制度は過去のものとなりつつあります。人々は自己の能力を活かせる場所を求めていくでしょう。そうなれば、適材適所に人々を配置する専門家、すなわち、キャリアコンサルタントの重要性が高まっていくと考えられます。
3.企業におけるキャリアコンサルタントの役割
これまで企業における人材育成は、画一的に行われてきましたが、従業員が主体性を持ってキャリアプランを考える時代に変わってきました。キャリアコンサルタントの企業における役割は、キャリアステージや適性を踏まえて、資格の取得や仕事の選択など、従業員のキャリア形成を支援していくことです。
従業員がキャリアコンサルティングを通じて労働意欲を高めることは、生産性の向上、ひいては、企業の競争力の向上に寄与します。
4.キャリアコンサルタントになるためには
キャリアコンサルタントになるためには、国家試験に合格した後に、資格登録を行うことが必要です。
キャリアコンサルタント試験の受験資格
キャリアコンサルタント試験を受験するためには、以下の4つのうち、いずれかに該当する必要があります。
- 厚生労働大臣の認定を受けた講習の修了
厚生労働大臣の認定を受けた民間団体によって実施されるものです。受講方法は実施団体によって異なり、全講座が通学講座となっているものと自宅学習と通学講座を組み合わせたものの2種類があります。費用や日数は講座によって異なります。 - 労働者へのキャリアコンサルティングの実務経験3年以上
- 国家検定のキャリアコンサルティング技能検定で、学科試験と実技試験のいずれかに合格
- (2016年4月から5年間に限り)キャリアコンサルタント能力評価試験の養成講座の修了
キャリアコンサルタント試験とは
キャリアコンサルタント試験には、学科試験及び実技試験の論述と面接があります。筆記試験は4択のマークシート方式で50問出題されます。実技試験の論述は記述式で、面接ではロールプレイと口頭試問が行われます。資格登録するには、学科試験と実技試験の両方の試験に合格する必要があります。
キャリアコンサルタントの資格は5年ごとに更新が必要であり、8時間以上の知識講習、30時間以上の技能講習受講が義務付けられています。
5.キャリアコンサルタント国家資格とキャリアコンサルティング技能士の違い
キャリアコンサルタントが国家資格となるまでは、上級資格は国家検定、標準レベルは厚生労働大臣の認可を受けた民間資格となっていました。
キャリアコンサルティング技能士とは、国家検定であるキャリアコンサルティング技能検定に合格することで得られる資格です。キャリアコンサルティング技能士1級は最上位とされる指導者レベル、キャリアコンサルティング技能士2級は熟練レベルです。キャリアコンサルタントは、従来は民間資格であった、標準レベルの位置づけです。
6.まとめ
キャリアコンサルタントはこれまで、人材紹介や人材派遣など職業紹介の領域が主な活躍の場とされてきました。
しかし、今後は一般企業においても従業員へのキャリア支援を行っていくと想定され、キャリアコンサルタントが幅広い分野において活動していくと見込まれています。
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