close

はじめての方はご登録ください(無料)

メニュー

BizHint について

カテゴリ

  • Icon mailmaga
  • Icon facebook
  • Icon twitter

最新情報はメールマガジン・SNSで配信中

労働力人口

2020年3月26日(木)更新

労働力人口とは、15歳以上の人口のうち「就業者」および「完全失業者」を合わせたもので、「労働する能力と意思を持つ人口」であると言えます。今後、日本の労働力人口は減少することが予測され、それに伴い企業には相応の対策が必要とされます。この記事では、労働力人口の調査方法や、誤解しやすい「完全失業者」「非労働力人口」といった用語の意味、日本における労働力の推計、その推計から考えられる問題、そして女性や高齢者の活躍支援といった対策について解説します。

  • Icon facebook
  • Icon twitter
  • Icon hatebu
  • Icon pocket

労働力人口とは

労働力人口とは、15歳以上の人口のうち「就業者」および「完全失業者」を合わせたもので、「労働する能力と意思を持つ人口」と言えます。

  1. 就業者=働いている人
    労働力人口の調査期間中に、収入を伴う仕事に1時間以上従事した者。パートやアルバイトをする主夫・主婦の方や、働きながら学校へ通う学生、一時的な休業者もこちらに分類される
  2. 完全失業者数=働いておらず、働ける、かつ働きたい人
    調査期間中に全く仕事をしなかった人。求職活動を行っており、仕事が決まればすぐに従事できる者。簡単に言うと「就業希望者」を指す

労働力人口の数値や増減率は、国の経済力や潜在的成長力を示す指標の一つです。

労働力人口は、総務省統計局が毎月実施・公表している「労働力調査」により調査、算出されます。

※労働力調査とは…基幹統計(総務大臣が指定する特に重要な統計)に指定されている、「労働力統計」を作成するために実施している統計調査。労働力人口の他にも、産業別就業者数、雇用者総数、完全失業者数、完全失業率なども調査、算出される。

日本において、15歳以上の人口は「非労働力人口」と「労働力人口」に分類されます。

非労働力人口とは

非労働力人口とは、就業できない者、及び働く意思がない者を合計した人口です。専業主婦・主夫や、アルバイトなどの労働をしていない学生、もしくはケガや病気などの理由で働けない人や、その他の働く意思がない人も非労働力人口に分類されます。

分類を図に示すと次のようになります。

【出典】統計表で用いられる用語,分類の解説4/総務省統計局

生産年齢人口との違い

よく混同されますが、生産年齢人口と労働力人口は異なるものです。生産年齢人口は「15歳以上65歳未満の人口層」とされ、年齢上限があります。また、就労の意思は計算には関係ありません。

一方、労働力人口は一般的には15歳以上の人口であれば年齢上限はありません。実際に働いているか、求職中で就労の意思がある人の数のことを意味します。

【関連】生産年齢人口とは?定義や減少の推移(日本VS海外)、労働に及ぼす影響を解説/BizHint

日本における労働力人口の推移と見通し

日本において、労働力人口はこれまでどのように推移してきたのでしょうか。また、今後の見通しはどのようになっているのでしょうか。

労働力人口の推移

まず、これまでの労働力人口の推移を見てみましょう。

総務省統計局が発表した「労働力調査(基本集計)2019年(令和元年)平均(速報)」では、以下のような点が報告されています。

  • 労働力人口は、2019年には6886万人に達しており、7年連続の増加となった
  • 2019年は前年から56万人増加しており、男女別に見ると、特に女性が44万人増と大きな伸びを見せている
  • 15〜64歳の労働力人口は25万人増加しており、こちらは男性が8万人の減少を見る一方で、女性は33万人増加している

【出典】労働力調査(基本集計)2019年(令和元年)平均(速報)P1/総務省統計局

労働力人口の推計

次に、今後の見通しを見てみましょう。

厚生労働省が発表した「平成28年版 厚生労働白書」において、以下のような見込みがなされています。

  • 「経済成長と労働参加が適切に進まないケース」と「経済成長と労働参加が適切に進むケース」どちらのケースにおいても、現状よりも労働力人口は減少する見通し
  • 「経済成長と労働参加が適切に進まないケース」においては、2030年には5,000万人台に突入するなど、深刻な労働力人口の減少が見込まれる
  • 「経済成長と労働参加が適切に進むケース」では、減少の値が最小限にとどまるだけでなく、65歳以上の労働力人口については増加が見込まれる

【出典】平成28年版 厚生労働白書(P39)/厚生労働省

労働力人口の減少による問題とは

労働力人口が減少することにより、どのような問題が起きうるのでしょうか。

働き手の不足

やはり企業にとって大きな問題は、働き手の不足でしょう。

パーソル総合研究所では、2030年には労働需要が7,073万人であるのに対し、供給は6,429万人にとどまり、結果644万人の人手不足となる見込みを発表しています。

【出典】パーソル総合研究所:労働市場の未来推計2030/パーソル総合研究所

人材不足の傾向は、産業別に顕著に現れます。

建設・金融・不動産や農林水産業などでは人材に余剰が発生することが予測されていますが、それ以外の産業では人材の不足が発生すると考えられています。特にサービス業では400万人、医療・福祉では187万人の不足が発生すると予測されています。

【出典】パーソル総合研究所:労働市場の未来推計2030/パーソル総合研究所

特に人材不足が著しい産業では、企業間の人材獲得競争の激化や、採用にかかるコストの上昇などが予想されます。生産性を意識しながら戦略的に人員を獲得する人事の役割はより重要になり、業務の難易度も上昇していくことが考えられます。

介護離職の増加

少子高齢化や労働力人口の減少により、今後は特に介護離職が大きな問題となってくると考えられます。

少子高齢化に伴い、人口における高齢者率が高くなっていきます。すなわち、現在働いている人が、高齢者を介護しなければいけない必要性に直面する確率が高くなっていきます。

2018年では65歳以上の高齢者1人に対し生産年齢人口は2.1人いるような状況となっています。しかし、この割合は2030年には1.9人、2065年には1.3人となる推計です。年金などで支える負担も増えますが、介護問題に直面する確率もその分増えることが考えられます。

【出典】令和元年版高齢社会白書/内閣府

また、親の介護が必要となるタイミングも問題です。

一般的に要介護者となってくる年代は70代以降、その頃の要介護者の子どもの年齢は40~50歳代であると考えられます。この年代は、次世代リーダーや管理職クラスの社員であることも多いでしょう。企業の重要な役割を担うべきタイミングで、介護を理由に退職しなければならず、企業経営に打撃を与えるケースが増えることも想定されます。

我が国の一般的なライフステージ(イメージ)

【出典】平成26年版 情報通信白書「我が国の労働力人口における課題」/総務省

期待される対策として、介護サービスの拡充と強化が挙げられますが、労働力人口の減少が起きる社会では、介護職の人材確保が更に困難になり、サービスの拡充に支障をきたすことも予想されます。

このように、介護離職対策は人事戦略において、より重大な課題となってくることが考えられます。

経済の停滞

労働力人口の減少は、経済にも大きな影響を与えます。

経済活動の指標としては、GDP(国内総生産)が挙げられます。GDPとは、1年間に日本国内で生産された付加価値の総和を意味します。大まかな概念としては次のような計算式で表現できます。

  • GDP(国内総生産)=労働力人口×労働時間×労働生産性

労働時間や生産性が一定だと仮定して、労働力人口が減少すると、GDP自体も減少します。結果、経済の停滞が発生することが予想されます。

また、消費の観点からも検討してみます。

次のグラフは、二人以上の世帯における、消費支出の額を示したものです。50歳代をピークとし、60歳代以上になるにつれて消費額が下がる傾向があることがわかります。今後60歳以上の人口が増えると消費も滞り、物が売れにくい不景気につながる可能性があります。

世帯主の年齢階級別消費支出額(二人以上の世帯)

【出典】家計調査報告 家計収支編(P7)2018年(平成30年)平均結果の概要/総務省統計局

労働力人口の減少に企業はどう立ち向かうべきか

今後より加速する労働力人口の減少に、企業や人事はどう立ち向かうべきなのでしょうか。

大きな方針としては、以下の4点が挙げられます。

  1. 非労働力人口の労働力人口化を促進する
    様々な事情により働くことができない層に対し働きかけ、非労働力人口を労働力人口に変換する
  2. 労働力人口の非労働力人口化を止める
    結婚や出産、育児などのライフイベントがあっても就業継続を可能にするなど、労働力人口が非労働力人口にならないようにする
  3. 生産性を維持したまま労働時間を増加させる
    生産性を下げないようにしながら、短時間のパート、アルバイトの正社員登用などをすすめ、労働投入量としての労働時間を増加させる
  4. 生産性を向上する
    短い時間で、少ない人数でも成果が挙がるように生産性を向上させる

具体的な方法について解説します。

女性の働きやすい職場づくり

女性の活躍推進や男性の家事・子育てへの参画の必要性が叫ばれる中、まだまだ出産や子育てを機に仕事を諦めざるを得ない方も多いのではないでしょうか。また、子育てが一段落ついた後に働こうと思っても、目まぐるしく変わる市場やビジネス環境に困惑し、再就職を諦めてしまうケースも散見されます。

女性の働きやすい職場づくりを推進したり、子育て中にも仕事に関するキャッチアップを可能にしたりするなどして、優秀な人材が非労働力人口とならないようにフォローできると良いでしょう。

【関連】女性の活躍を推進するには?課題や企業が行うべきことなど解説/BizHint

高齢者の就業拡大と活用

先述の通り、労働力人口における高齢者率は今後高まる傾向にあります。不足する労働力を補うためにも、高齢者の就業拡大が今後はより重要な施策となってくるでしょう。

高齢者にとって働きやすい職場づくりや、高齢者の持つ能力やポテンシャルが発揮しやすい人事制度構築などを進め、シニア世代の就業拡大と人材活用を推進していけると良いでしょう。

【関連】シニア活用を成功させるコツとは?課題と今後の展望を徹底分析/BizHint

企業によるヘルスケア

心身の健康上の理由で働けなくなり、非労働力人口となってしまう人も一定数います。健康を崩さないように、従業者の健康に関してもフォローできると良いでしょう。

【関連】【わかりやすく解説】健康経営とは?背景やメリット、取組事例まで!/BizHint
【関連】ストレスマネジメントとは?コーピングとの違い、実施法、お薦め本までご紹介/BizHint

非正規雇用者の正規雇用

パートやアルバイト、派遣社員などの就業形態で働く非正規雇用者を正規雇用することで、労働投入量の増加を図ることができます。

例えば株式会社ユニクロやスターバックスコーヒージャパン株式会社、イケア・ジャパン株式会社などは、非正規雇用者の正社員登用を推進しています。安定して働ける環境を用意することによって、人材の確保と労働投入量の増加に成功しているようです。

【関連】非正規雇用とは?割合や増加理由、メリット・デメリット、雇用ルールまで徹底解説/BizHint

雇用のミスマッチの解消

非労働力人口が就業しない理由については、雇用のミスマッチが大きな原因となっています。

非労働力人口における就業希望者は2019年平均で330万人であり、うち96万人が「適当な仕事がありそうにない」ことを理由としています。

「適当な仕事がありそうにない」と回答した人の内訳を見ると、「自分の知識・能力にあう仕事がありそうにない」「勤務時間・賃金などが希望に合う仕事がありそうにない」といった項目が全体の54%を占めています。「働く意思はあるけれど、仕事ならなんでも良いわけではない」という状況のようです。

このような状況で何とか人材を獲得しようとした結果、雇用後にミスマッチの問題が顕在化し、早期離職を招いてしまうケースも散見されます。対策は慎重に検討しましょう。

【参考】労働力調査(詳細集計)2019年(令和元年)平均(速報)P8/総務省統計局

【関連】雇用のミスマッチの意味とは?現状を踏まえた原因と対策・解消法/BizHint

イノベーションの創出

労働力人口や労働時間については無理に変えようとせず、労働生産性を向上させることで対応する方針も有効です。

日本は欧米各国と比べ業務における生産性が低いと言われています。通常業務を見直し改善したり、イノベーション創出に投資をしたりなど、生産性の向上を目指すのも得策かもしれません。生産性向上についての詳細は、以下の記事をご覧ください。

【関連】生産性向上のために行うべき5つの取組みと企業事例を紹介。個人でできる施策も/BizHint
【関連】イノベーションとは?シュンペーターによる定義や事例まで徹底解説/BizHint

まとめ

  • 労働力人口とは、15歳以上の労働する能力と意思を持つ人口のこと
  • 労働力人口は、2012年を境に7年連続で増加しており、特に女性の増加が顕著である
  • 今後の労働力人口は大幅な減少が見込まれるが、経済成長と労働参加が適切に進んだ場合には、65歳以上の労働力人口は増加の可能性がある
  • 企業としての対策は大きく「労働力人口化を促進する」「非労働力人口化を止める」「労働時間を増加させる」「生産性を向上する」の4つが考えられる
  • Icon facebook
  • Icon twitter
  • Icon hatebu
  • Icon pocket

仮登録メール確認