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2018年10月2日(火)更新

労働力人口

労働力人口とは、ある国における労働する能力と意思を持つ人口のことです。労働力人口の数値や増減率は、国の経済力や潜在的成長力を示す指標の一つとされています。今後、日本の労働力人口は減少することが予測されています。それに伴い、企業の人事には相応の対策が必要とされます。この記事では、労働力人口の調査方法や、誤解しやすい「完全失業者」「非労働力人口」といった用語の意味、女性や高齢者の活躍支援といった対策について解説します。

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労働力人口とは

労働力人口とは、ある国における労働する能力と意思を持つ人口のことです。労働力人口の数値や増減率は、国の経済力や潜在的成長力を示す指標の一つとされています。

企業にとっては、人的資源の利用可能量を意味します。経営資源の大きな4つの要素は「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」ですが、労働力人口の減少は、その「ヒト」という資源が枯渇し、「人手がなくて事業ができない」といった事態につながる可能性があります。

労働力人口の調査・計算方法

労働力人口の調査方法や計算方法、各種用語について解説します。

労働力人口の計算方法

日本において、15歳以上の人口は「非労働力人口」と「労働力人口」に分類されます。

非労働力人口とは、就業できない者、及び働く意思がない者を合計した人口です。専業主夫・主婦や、アルバイトなどの労働をしていない学生、もしくはケガや病気などの理由で働けない人や、その他の働く意思がない人も非労働力人口に分類されます。

労働力人口とは、就業者数と完全失業者数の合計を意味します。簡単に言い換えると、「働いている人」と「働いておらず、働ける、かつ働きたい人」の合算値です。

就業者数とは、労働力人口の調査期間中に、少しでも働いた人の数を意味します。パートやアルバイトをする主夫・主婦の方や、働きながら学校へ通う学生、一時的な休業者もこちらに分類されます。

完全失業者数とは、労働力人口の調査期間中に全く仕事をしなかった人で、求職活動を行っており、仕事が決まればすぐに従事できる人の数を意味します。簡単に言うと「就業希望者」のことです。

分類を図に示すと次のようになります。

【図表1】就業状態の区分

【出典】総務省統計局:統計表で用いられる用語,分類の解説4

ちなみによく混同されますが、生産年齢人口と労働力人口は異なるものです。生産年齢人口は「15歳以上65歳未満の人口層」とされ、年齢上限があります。また、就労の意思は計算には関係ありません。一方労働力人口は、一般的には15歳以上の人口であれば年齢上限はありません。実際に働いているか、求職中で就労の意思がある人の数のことを意味します。

【関連】BizHint HR:生産年齢人口とは?定義や減少の推移(日本VS海外)、労働に及ぼす影響を解説

労働力人口の調査方法

労働力人口は、総務省統計局が毎月実施・公表している「労働力調査」により調査、算出されます。

労働力調査とは、基幹統計(総務大臣が指定する特に重要な統計)に指定されている統計調査です。労働力人口の他にも、産業別就業者数、雇用者総数、完全失業者数、完全失業率なども調査、算出されます。

現在この調査は、全国で無作為に抽出された約40,000世帯の世帯員のうち15歳以上の者約10万人を対象とし、調査員により調査票を配布・回収する方法により実施しています。

調査票は、基礎調査票において調査する項目と、特定調査票において調査する項目があります。

【図表2】基礎調査票および特定調査票において調査される項目

【出典】総務省統計局:労働力調査に関するQ&A(回答)

日本における労働力人口の推移と見通し

日本において、労働力人口はこれまでどのように推移してきたのでしょうか。また、今後の見通しはどのようになっているのでしょうか。

厚生労働省発表の「平成23年版 厚生労働白書」によると、労働力人口は次のグラフのように推移しています。

【図表3】労働力人口の推移

【出典】厚生労働省:平成23年版 厚生労働白書

このグラフによると、以下のような推移及び見通しがあります。

  • 1990年の労働力人口は6384万人であったが、2030年には6180万人。204万人の減少が予想されている
  • 15歳以上59歳以下の労働力人口を1990年と2030年で比べると、746万人の減少となる。割合は1990年では全体の88.6%であったが、2030年には全体の79.4%と減少する。
  • 60歳以上の労働力人口を1990年と2030年とで比べると、540万人の増加となる。割合は1990年では全体の11.4%であったが、2030年には全体の20.6%を占めるようになる

すなわち、今後の労働力人口は減少していく見通しです。総数自体の減少も問題ですが、年齢構成比の急激な変化はより大きな問題だと言えます。特に若年層の働き手が、総数、割合共に急激に減少します。若手の活躍が主力となっているような産業は、今後より重大な採用難や人材不足に直面するかもしれません。

一方、高齢者層の労働力人口は、総数、割合共に増加します。若年層の働き手の減少を高齢者層の増加で補えるかどうかが、人手不足を補うポイントになる可能性があります。

【関連】BizHint HR:採用難とは?原因と人手不足を乗り越えるための対策をご紹介

労働力人口の減少による問題とは

労働力人口が減少することにより、どのような問題が起きうるのでしょうか。

働き手の不足

やはり企業にとって大きな問題は、働き手の不足でしょう。

パーソル総合研究所によると、2025年には経済が低成長の場合で583万人、高成長の場合で1,255万人不足する見込みがあります。

【図表4】2025年時点の需給ギャップ(全体)

【出典】パーソル総合研究所:労働市場の未来推計2016

人材不足の傾向は、産業別に顕著に現れます。

政府サービスや製造業では人材に余剰が発生することが予測されていますが、それ以外の産業では人材の不足が発生すると考えられています。特に卸売・小売業では188万人、情報通信・サービス業では482万人の不足が発生すると予測されています。

【図表5】2025年時点の需給ギャップ(産業別)

【出典】パーソル総合研究所:労働市場の未来推計2016

特に人材不足が著しい産業では、企業間の人材獲得競争の激化や、採用にかかるコストの上昇などが予想されます。生産性を意識しながら戦略的に人員を獲得する人事の役割はより重要になり、業務の難易度も上昇していくことが考えられます。

介護離職の増加

少子高齢化や労働力人口の減少により、今後は特に介護離職が大きな問題となってくると考えられます。

少子高齢化に伴い、人口における高齢者率が高くなっていきます。すなわち、現在働いている人が、高齢者を介護しなければいけない必要性に直面する確率が高くなっていきます。

2010年では65歳以上の高齢者1人に対し生産年齢人口は2.77人いるような状況となっています。しかし、この割合は2030年には1.84人、2060年には1.28人となります。年金などで支える負担も増えますが、介護問題に直面する確率もその分増えることが考えられます。

【図表6】65歳以上人口1人を支える生産年齢人口(推計)

【出典】総務省:平成26年版 情報通信白書「我が国の労働力人口における課題」

また、親の介護が必要となるタイミングも問題です。

自分の親が要介護者となってくる年代は、一般的に70代以降と考えられます。その頃の本人の年齢は、一般的に40~50歳代であると考えられます。この年代の社員は、次世代リーダーや管理職クラスの社員であることも多いでしょう。企業の重要な役割を担うべきタイミングで、介護を理由に退職しなければならず、企業経営に打撃を与えるケースが増えることも想定されます。

【図表7】我が国の一般的なライフステージ(イメージ)

【出典】総務省:平成26年版 情報通信白書「我が国の労働力人口における課題」

期待される対策としては、介護サービスの拡充と強化が挙げられます。しかし、労働力人口の減少が起きる社会では、介護職の人材確保が更に困難になり、サービスの拡充に支障をきたすことも予想されます。

次のグラフは、介護分野における有効求人倍率と失業率の推移を示したものです。左のグラフは10年間に渡る層年別の推移で、右側のグラフは値を季節調整値で割った(季節変動の影響を除去した)月別の推移となっております。

【図表8】介護分野の有効求人倍率と失業率の推移

【出典】厚生労働省:介護人材の確保について

このグラフからは全産業の有効求人倍率の推移と比較し、介護分野においては有効求人倍率が高く推移していることが読み取れます。また近年は特に、人手不足感が年々高まる傾向にあります。このような状況は今後も続く可能性があります。

なぜ介護分野では人手不足となるのでしょうか。原因としては、介護人材の給与や労働条件が悪く、他の仕事に人材が流れがちなことが挙げられます。また、腰痛に代表されるように、介護の仕事の中で健康を害し、介護職としての就業継続が困難になるケースもあります。また他の仕事と同様、出産・育児といったライフイベントによって仕事が続けられなくなるケースも挙げられます。

このように、介護離職対策は人事戦略において、より重大な課題となってくることが考えられます。

経済の停滞

労働力人口の減少は、経済にも大きな影響を与えます。

経済活動の指標としては、GDP(国内総生産)が挙げられます。GDPとは、1年間に日本国内で生産された付加価値の総和を意味します。大まかな概念としては次のような計算式で表現できます。

  • GDP(国内総生産)=労働力人口×労働時間×労働生産性

労働時間や生産性が一定だと仮定して、労働力人口が減少すると、GDP自体も減少します。結果、経済の停滞が発生することが予想されます。

また、消費の観点からも検討してみます。

次のグラフは、単身世帯における、性別、年齢別の消費支出の額を示したものです。男性、女性とも、50歳代をピークとし、60歳代以上になるにつれて消費額が下がる傾向があることがわかります。

【図表9】男女,年齢階級別消費支出(単身世帯)

【出典】総務省統計局:平成26年全国消費実態調査

今後60歳以上の人口が増えると消費も滞り、物が売れにくい不景気につながる可能性があります。

労働力人口の減少に企業はどう立ち向かうべきか

今後より加速する労働力人口の減少に、企業や人事はどう立ち向かうべきなのでしょうか。

大きな方針としては、以下の4点が挙げられます。

  1. 非労働力人口の労働力人口化を促進する
    様々な事情により働くことができない層に対し働きかけ、非労働力人口を労働力人口に変換する
  2. 労働力人口の非労働力人口化を止める
    結婚や出産、育児などのライフイベントがあっても就業継続を可能にするなど、労働力人口が非労働力人口にならないようにする
  3. 生産性を維持したまま労働時間を増加させる
    生産性を下げないようにしながら、短時間のパート、アルバイトの正社員登用などをすすめ、労働投入量としての労働時間を増加させる
  4. 生産性を向上する
    短い時間で、少ない人数でも成果が挙がるように生産性を向上させる

具体的な方法について解説します。

女性の働きやすい職場づくり

女性の活躍推進や男性の家事・子育てへの参画促進の必要性が言われて久しいですが、まだまだ出産や子育てを機に仕事を諦めざるを得ない方も多いのではないでしょうか。また、子育てが一段落ついた後に働こうと思っても、目まぐるしく変わる市場やビジネス環境に困惑し、再就職を諦めてしまうケースも散見されます。

女性の働きやすい職場づくりを推進したり、子育て中にも仕事に関するキャッチアップを可能にしたりするなどして、優秀な人材が非労働力人口とならないようにフォローできると良いでしょう。

【関連】BizHint HR:女性の活躍を推進するには?「女性活躍推進法」の概要や企業事例もご紹介

高齢者の就業拡大と活用

図表3で示した通り、労働力人口における高齢者率は今後高まる傾向にあります。不足する労働力を補うためにも、高齢者の就業拡大が今後はより重要な施策となってくるでしょう。

高齢者にとって働きやすい職場づくりや、高齢者の持つ能力やポテンシャルが発揮しやすい人事制度構築などを進め、シニア世代の就業拡大と人材活用を推進していけると良いでしょう。

【関連】BizHint HR:シニア活用を成功させるコツとは?課題と今後の展望を徹底分析

企業によるヘルスケア

心身の健康上の理由で働けなくなり、非労働人口となってしまう人も一定数います。健康を崩さないように、従業者の健康に関してもフォローできると良いでしょう。

【関連】BizHint HR:健康経営とは?企業の取り組み事例を交えご紹介
【関連】BizHint HR: ストレスマネジメントの意味とは?個人・組織別の対策方法~研修までご紹介

非正規雇用者の正規雇用

パートやアルバイト、派遣社員などの就業形態で働く非正規雇用者を正規雇用することで、労働投入量の増加を図ることができます。

例えば株式会社ユニクロやスターバックスコーヒージャパン株式会社、イケア・ジャパン株式会社などは、非正規雇用者の正社員登用を推進しています。安定して働ける環境を用意することによって、人材の確保と労働投入量の増加に成功しているようです。

雇用のミスマッチの解消

非労働力人口が就業しない理由については、雇用のミスマッチが大きな原因となっています。

非労働力人口における就業希望者は2013年平均で428万人であり、うち約32%の137万人が「適当な仕事がありそうにない」ことを理由としています。

【図表10】非労働力人口における就業希望者の内訳

【出典】総務省:平成26年版 情報通信白書「我が国の労働力人口における課題」

「適当な仕事がありそうにない」と回答した人の内訳を見ると、「自分の知識・能力にあう仕事がありそうにない」「勤務時間・賃金などが希望に合う仕事がありそうにない」といった項目が全体の約7割となっています。「働く意思はあるけれど、仕事ならなんでもいいわけではない」という状況のようです。

このような状況で何とか人材を獲得しようとした結果、雇用後にミスマッチの問題が顕在化し、早期離職を招いてしまうケースも散見されます。対策は慎重に検討しましょう。

【関連】BizHint HR:雇用のミスマッチの意味とは?現状を踏まえた原因と対策・解消法

イノベーションの創出

労働力人口や労働時間については無理に変えようとせず、労働生産性を向上させることで対応する方針も有効でしょう。

日本は欧米各国と比べ業務における生産性が低いと言われています。通常業務を見直し改善したり、イノベーション創出に投資をしたりなど、生産性の向上を目指すのも良いかもしれません。

【関連】BizHint HR: 「イノベーション」の意味とは?種類や必要性、イノベーションの興し方から課題・事例をご紹介
【関連】BizHint HR:「生産性向上」は日本経済の課題!知っておきたい法律や改善方法、導入事例をご紹介

まとめ

  • 労働力人口とは、15歳以上の労働する能力と意思を持つ人口のこと
  • 今後の労働力人口は総数自体が減少し、年齢構成比も変化する。若年層の働き手が急激に減り、高齢者層の働き手は増加する
  • 企業としての対策は大きく「労働力人口化を促進する」「非労働力人口化を止める」「労働時間を増加させる」「生産性を向上する」の4つが考えられる

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