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2017年7月21日(金)更新

副業

様々な企業が副業解禁に踏み切る中、自社として解禁か禁止かを決めかねていませんか?その理由は、解禁のメリットやデメリットがよくわからないことにあるかもしれません。今回は、副業解禁のメリットとデメリットを、企業事例も合わせてご紹介します。

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副業(兼業)とは

副業とは、正社員や非正社員が、他社に雇われたり自ら事業を営んだりすることをいいます。収入が少なければ副業とはみなさない企業もありますが、一般的には、収入に関わらず、所属企業以外で収入を得ていた場合、副業に当たるとみなされます。

現在でも企業により対応は分かれていますが、副業を認めてしまうと、その分だけ副業に時間と労力が取られるため、副業を禁止している企業の方が多いです。

しかし、IT系などの新興企業では、副業をすることにより、本業との相乗効果が生まれるとして、副業を就業規則ではっきりと認めている会社も増えています。

副業が注目される背景

副業が注目されるのは、以下のような社会的背景があるからだと考えられます。

  1. 終身雇用や年金に対して不安を抱えている
  2. 気軽に始められる副業が増えた
  3. 副業や起業が以前に比べて身近になっている

終身雇用や年金に対して不安を抱えている

経済不況や大手企業の相次ぐ倒産や買収、大量リストラなどにより、終身雇用が危うくなっていることが、大きな原因の一つといえます。いつ仕事がなくなってもおかしくない状況の中で、他の収入源がほしいと思うことは、自然な流れかもしれません。さらに、年金システムの危うさから、「将来年金がもらえなくなってしまうのでは」という不安を抱いている人も多いようです。こうした社会的不安から、本業以外の収入源で、もしものときに備えたいという思いが、副業へと向かわせているようです。

気軽に始められる副業が増えた

クラウドソーシングなど、気軽に始められる副業が増えたことも、注目されるようになった要因の一つといえます。クラウドソーシングとは、クラウドを通して不特定多数に仕事を発注できるサービスのことをいいます。クラウドソーシングの特徴は、受注者が必ずしもプロではないという点にあります。普段は違う仕事をしている、いわゆる「素人」でも仕事を受注することが可能です。クラウドソーシングを利用すれば、誰でも気軽に仕事を探すことができるため、趣味や得意分野を活かして仕事を受注する人が増えているようです。

他にも、気軽に始められる副業として、WEB上で手作り商品を販売できるサービスやオークションを利用する方法が挙げられます。こうしたサイトの多くが、商品が売れたときだけ手数料が発生する仕組みになっていることも、利用者増加に拍車をかけているようです。

副業や起業が以前に比べて身近になっている

クラウドソーシングの普及などから、「副業」「起業」に対するハードルが下がり、人々にとってより身近なものになりつつあるようです。 例えば「週末起業」は、その典型といえます。週末起業とはその名の通り、週末を起業した業務にあてるスタイルのこと。仕事を辞めて起業するのではなく、平日は本業に取り組みながら、週末は起業した仕事にあてることで、給与を得ながら新しいことにチャレンジすることができます。

どんな企業も、こうした世間の流れを無視することはできません。たとえ就業規定で副業を禁止していても、密かに行っている社員がいる可能性は、ゼロとは言い切れないでしょう。

では副業を解禁した場合、企業側にはどのような影響があるのでしょうか。

副業を解禁した場合のメリット

副業を解禁するなら、メリット・デメリットがあることを念頭に置いておく必要があります。まずはメリットをご紹介します。

従業員が生き生きと働けるようになる

本業以外の働き方や副業を通した自己実現を通して、従来よりも生き生きと働けるようになる可能性があります。副業を行う人の多くは、何らかの目的を持っているものです。生活費の困窮や将来のための貯蓄という人もいますが、中には趣味を仕事にしたい人や、自分の力を試したいという人もいます。副業を通して楽しみを広げることや、誰かに認められることで自己実現することは、生き生きと働くための起爆剤となります。結果、生産性の向上や新しいアイデアの誕生につながり、企業にプラスに作用する可能性があります。

従業員のスキルや経営意識が向上する

企業以外で仕事をすることは、個人の力で仕事をしなければならないということです。より報酬の高い仕事を得るためには、個人の力を高める必要があります。結果、おのずと従業員のスキルが上がり、会社自体によい影響を与える可能性があります。

また副業は企業と違い、財務や営業・広報など、何もかも自分で行わなくてはなりません。そのため、自然と経営に対する意識が高まり、経営者として物事を見る力を養えるようになります。

副業を解禁した場合のデメリット

一方、企業が被る可能性のある主なデメリットには、以下が挙げられます。 デメリットについては事前に対策を練っておいたほうが、あとで大きなトラブルにつながりにくくなります。

本業に支障を来す場合がある

従業員が副業をする場合、信用面と体力面という2つの面で、本業に支障が出る可能性があります。

信用面で支障を来す場合

例えば副業として風俗に勤めていて、それが取引先様に見つかった場合などは、従業員個人だけでなく、企業の信用問題に発展する場合があります。また、本業で知り得た秘匿性の高い情報を使って副業を行った場合、取引先様だけでなく、株主様や世間からの信用を失うことにつながります。

体力面で支障を来す場合

副業によって十分に休息が取れなかった場合、本業も疎かになってしまい、業務に支障が出る可能性があります。結果、遅刻が増える、居眠り運転など業務上の事故を起こすおそれが生じるといったことが考えられます。

法定労働時間を超える場合がある

副業により、労働基準法で定める労働時間を超えて仕事してしまう可能性があります。

労働基準法では、労働時間は1日8時間以内、1週間40時間以内と定められています。この労働時間(法定労働時間)は、異なる企業の事業場での副業についても通算されるとされています(労働基準法38条1項)。したがって、たとえば、本業で1日7時間(週35時間)、副業で1日3時間(週15時間)勤務した場合、1日8時間、週40時間を超える部分の勤務時間(1日2時間、週10時間)については、法定労働時間を超えているため、36協定の締結や割増賃金の支払いが必要となります。行政解釈によれば、企業は、従業員が複数就業をしている事実を知らなければ、故意を欠くため労働基準法違反は成立しないとされていますが、注意が必要でしょう。

副業を解禁するためには

準備の際の主なポイントは以下の通りです。

解禁範囲を明確にする(全面解禁・一部解禁)

全面的に副業を解禁するか、一部のみにするかを考えておきましょう。全面解禁となると、競合他社への勤務や同業起業も可能ということになりかねません。風俗など企業の信用に関わる業務に就くことも考えられるため、こうした点を考慮した上で、解禁範囲を考えるべきでしょう。 企業によっては、就業規則で全面的に副業を制限していることもあるようです。

しかし、判例・学説は一貫して就業規則による副業全面禁止の効力を限定的に捉えていることには注意が必要です。就業規則で兼業・二重就職を全面的に禁止することは、特別な場合を除いて、許されないとする裁判例もあります。このように解するのは、従業員が勤務時間外に何をするかは、企業の労働契約上の権限の及ばない従業員の私生活における行為だからです。

手続を決める(許可制・届出制)

これまで述べてきたとおり、勤務時間以外の時間の使い方は労働者の自由であるものの、副業は、その程度や態様によっては、労務提供に支障が生じることや、企業の対外的信用を傷つける場合がありえます。企業の秘密保持についての対策も必要でしょう。判例・学説上も、従業員の副業について企業の承諾を必要とする許可制の規定を就業規則に設けることは不当ではないとしています。 仮に、副業を全面解禁するとしても、先に述べた法定労働時間を遵守する趣旨からは、届出制にすることが望ましいでしょう。

就業規則を見直す

上記2点を踏まえた上で、就業規則の中に副業に関する規定が盛り込まれている場合は、あらためて内容を見直したほうがよいでしょう。副業に関してなにも書かれていない場合は、新たに規定を設けることをおすすめします。

先進企業の副業解禁例

ここでは以下企業の副業解禁例を、解禁の目的とあわせてご紹介します。

ロート製薬

2016年に副業解禁が大きなニュースになったロート製薬。「NEVER SAY NEVER(不可能は絶対にない)」というコーポレートアイデンティティ(CI)を新たに掲げ、届出制にて副業を解禁しています。

解禁に踏み切った目的

ロート製薬では自ら考え、行動する人材を育てることが、企業の成長につながると考えています。こうした人材を育てるためには、社外で様々な経験をしたり、違った考え方に触れたりすることが大切だと考え、「社外チャレンジワーク」という、副業を認める制度の実施に至っています。

2016年6月の開始直後は60名強の立候補があったことが発表されており、副業に対する従業員の関心の高さが伺えます。

【参考】兼業解禁!会社の枠を超えた新しい働き方、ロート製薬の「社外チャレンジワーク」スタートします / ロート製薬株式会社
【参考】新CI「NEVER SAY NEVER」制定 / ロート製薬株式会社

日産自動車

日産自動車では2009年から副業を一部容認しています。解禁当時は景気悪化に伴い、社員の賃金カットなどが行われており、目減りする生活費を補填するためというのが大きな理由でした。

副業が認められるのは休業日のみ。さらに8時間以内に収めることを規則としています。

【参考】日産も副業を容認 休業日8時間以内 : J-CASTニュース

サイボウズ

グループウェアの開発・販売などで知られるサイボウズも、副業を認めている企業の一つ。ここでは本業・副業という概念がないため、「複業」と呼ばれているそうです。

会社の資産を毀損することは行わないなど、基本的な禁止事項は設けているものの、基本的には自己責任でほとんどの副業を認めています。副業を行うことで、自立心や儲け方についてのノウハウを学べることが、理由の一つとなっているようです。

【参考】 副業OK!独立OK! ウルトラ自由な人事制度は企業にどんな変化をもたらすのか? / サイボウズ式

まとめ

今回は副業を取り巻く環境や、解禁した場合のメリットとデメリット、そして導入事例についてご紹介しました。

  1. 副業を解禁することで、従業員が生き生きと働けたり、スキル向上につなげたりできる
  2. 企業の信用や従業員の心身の健康が損なわれる可能性があるなど、デメリットもある
  3. 解禁の際は解禁範囲や運用方法をしっかり確立させておく

副業しやすい環境は今後さらに広がりをみせていくものと考えられます。対策を怠っていては、思わぬデメリットを被ってしまうかもしれません。今こそ副業に目を向け、自社の方向性を示すときではないでしょうか。


<監修>

岡 英男 弁護士(大正法律事務所)

京都大学大学院法学研究科修了・法務博士(専門職)。2007年より弁護士登録。独立行政法人国際協力機構(JICA)長期派遣専門家として、モンゴル国最高裁判所での勤務を経て、2016年、大正法律事務所設立。日本弁護士連合会国際交流委員会幹事、神戸学院大学経済学部・非常勤講師を務める。(2016年現在)


 

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