はじめての方はご登録ください(無料)会員登録
search

2018年10月18日(木)更新

オフィス改革

オフィス改革とは、社員の職場であるオフィスのデザインやレイアウト変更など、働く環境としてのオフィスを見直し、改革することです。昨今ではワークスタイル変革の文脈で語られることが多くなってきています。コミュニケーション促進や生産性の向上などが主目的として実施されますが、導入に失敗すると、かえって社員のストレス増加や生産性の低下にもつながります。この記事では、オフィス改革成功のポイントや、事例もあわせて紹介します。

オフィス改革 に関するビジネス事例や製品の情報を受取る

オフィス改革とは

オフィス改革とは、社員の職場であるオフィスのデザインやレイアウト、場所や持つ機能など、働く環境としてのオフィスを見直し、改革することを意味します。昨今ではフリーアドレス制によるコミュニケーションの活性化や、ワークスタイル変革の文脈で語られることが多くなってきている言葉です。

【関連】ワークスタイル変革とは?その目的や具体的な施策・変革を阻む課題までご紹介 / BizHint HR

オフィス改革の目的や効果

オフィス改革の目的や効果には、どのようなものがあるのでしょうか。

生産性の向上

オフィス改革により、生産性の向上が期待できます。例えば、ペーパーレス化を実現することで書類の管理に必要としていた時間を削減したり、簡単な会議が思い立った時に開催できるようにしたり、個人の業務に集中できるソロワーク環境を整備することなどが挙げられます。

【関連】「生産性向上」は日本経済の課題!知っておきたい法律や改善方法、導入事例をご紹介 / BizHint HR

コミュニケーション促進

東京大学大学総合教育研究センター准教授の中原淳氏は、「オフィス改革とはコミュニケーション改革である」と語っています。オフィスの持つ機能やデザイン、運用の仕組み次第で、コミュニケーションが促進されたり、逆に阻害されたりすることが起こりえます。

業務における情報やコミュニケーションの重要性が高まってきている今、オフィスのあり方が、社員の持つ仕事や能力の発揮、さらには業績に、より大きな影響を与えるようになってきているといえるでしょう。

【参考】DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー:オフィス改革とはコミュニケーション改革である メンバーが支援し合う関係を醸成できるか

創造性の向上

オフィス改革の成功は、創造性の向上にもつながります。コミュニケーションが促進され、「誰がどのようなアイデア、知見を持っているか」がわかりやすくなると、自身が直面している課題やアイデアの種について、同じような問題意識を持っている人や、先見の明があるメンバーを見つけやすくなります。

そのようなメンバーと出会い、自由闊達な対話が生まれることでアイデアが磨かれたり、対話を通じ仲間が集まることで全社横断的なプロジェクトが生まれていく可能性もあります。

【関連】「イノベーション」の意味とは?種類や必要性、イノベーションの興し方から課題・事例をご紹介 / BizHint HR

省スペース化によるコスト削減

ザイマックス不動産総合研究所の調査によると、座席のフリーアドレス化などに取り組んでいる・検討している企業は、取り組んでいない・検討していない企業に比べて、従業員1人あたりのオフィス面積が小さいことがわかっています。フリーアドレス化のようなオフィス改革を推進し、オフィスの面積削減を行うことができれば、オフィスコストの削減にも繋がる可能性があります。

【図表】 働き方とオフィスの取り組み状況別にみるオフィスの1人当たり面積 (単位:坪 )

【出典】ザイマックス不動産総合研究所:働き方とオフィス利用についてのアンケート調査2015

メンタルヘルス対策

メンタルヘルス対策としてのオフィス改革も注目されています。例えば、観葉植物の設置やオフィス内の緑化推進、カフェやバー、ラウンジのようなリフレッシュできる空間の設置により、社員がリラックスして仕事できるような環境づくりを実施している会社もあります。

社風の体現

社風を体現するようなオフィス環境にすることで、企業理念の浸透をねらうケースもあります。

例えばアメリカのFacebook(フェイスブック)社では、むきだしの梁やぶら下がるワイヤーなど、未完成さを表すようなオフィスデザインとなっています。会社や事業はまだまだ未完成である、という、最高経営責任者(CEO)であるマーク・ザッカーバーグ氏の理念が反映されているといえるでしょう。

また、アパレル関連の通販小売業を営むZappos.com(ザッポス・ドットコム)社は、社員一人ひとりの主体性や自主性を尊重しています。そのため、そのワークプレースも独特なものとなっており、個人のスペースとして自由に飾り付けています。ただの趣味の提示ではなく、自分の気持ちを高めることによる、パフォーマンスの向上やクリエイティビティの発揮がねらいとしてあるそうです。

【参考】Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン):フェイスブックやグーグル、今注目すべき世界のオフィス6選

オフィス改革の実施

ここからは、具体的にオフィス改革を実施する上での手段、方法について解説していきます。

フリーアドレス

フリーアドレスとは、固定席ではなく自由な席に着いて仕事をする制度のことです。フリーアドレス導入のメリットとしては、以下が挙げられます。

  • 省スペース化によるオフィスコストの削減
  • 日々多様なメンバーと隣り合うことによるコミュニケーションの活性化
  • 整理整頓文化の浸透
  • 部署ではなくプロジェクトチームのメンバー単位で集まれるなど、仕事内容に応じた編成の実現

フリーアドレスの実現には、固定席の排除、オフィスの無線LAN対応、携帯電話やノートパソコン、タブレットといったモバイルワーク環境の整備、オフィス家具や書類管理用のロッカー、キャビネットの見直しなどが必要となります。

【関連】フリーアドレスとは?メリット・デメリットや成功事例などをご紹介 / BizHint HR

ペーパーレス化

書類での業務が多い企業の場合、オフィス改革の主要なテーマはペーパーレス化になるでしょう。これまで紙ベースで実施していた業務をペーパーレス化することで、業務効率向上や省スペース化が期待できます。一方、従来のペーパーワークと仕事の仕方が大きく変わるため、社員の意識改革やワークスタイル変革が必要とされます。

実現方法としては、前述のモバイルワーク環境の導入に加え、これまで書類ベースで実施してきた業務のIT化を推進することになります。業務フローの再検討や、場合によってはグループウェアやワークフローシステム、コミュニケーションツールの導入検討などが必要となるでしょう。

会議室

会議室のあり方の見直しも、オフィス改革には重要なテーマです。会社によっては会議スペースが殆ど埋まっており、適切なタイミングで適切な会議が開催できない、といった問題も起こっている場合もあります。そのような場合、予約不要ですぐに打ち合わせが開けるようなフリースペースを設置し、思い立ったらすぐに集まれるようにすると効果的でしょう。

リフレッシュできる空間の設置

メンタルヘルス対策としてのオフィス改革を行う場合、リフレッシュできる空間作りが主な実現方法となります。

主に大企業となりますが、リフレッシュスペースとして食堂やカフェテリアを用意している会社もあります。中小企業でも、カフェやラウンジなど、落ち着いて食事がとれたりコーヒーが飲めたりするスペースを設けることはできるでしょう。フリーアドレス化やペーパーレス化により生まれた空間をリフレッシュスペースとして活用する、といった流れも生まれているようです。

また、後述するオフィス移転を検討する際には、ガーデンスペースや公園の有無などをチェックし、休憩中にリフレッシュできる空間を社員に提供できるかについても検討できると良いでしょう。

マグネットスペースの設置

コミュニケーション空間変革の観点で、「マグネットスペース」という考えが注目されています。マグネットスペースとは、自然と人が集まる磁力を持ったスペースのことです。具体的には、コーヒーマシーン、自動販売機、休憩所、喫煙室、コピー機、ゴミ箱など、様々な部署の人が共同で利用するような場所を指します。このようなスペースを意図的に設置することで、偶発的なコミュニケーションの発生が期待できます。

オフィス移転

フリーアドレス制の導入に成功し余剰スペースが発生したり、逆に社員数が増加し既存のオフィスが手狭になった場合、オフィス移転を検討しましょう。

オフィス移転をきっかけとして、改めて総合的なオフィス改革の実施を検討される場合も多いようです。前述のように、コミュニケーションの活性化やメンタルヘルス対策など、コスト面のみならず、多角的な視点で検討できると良いでしょう。

オフィス改革の課題

オフィス改革を推進する際に直面しやすい課題について解説します。

生産性の低下

生産性の向上をねらい、フリーアドレス化を推進した結果、かえって従業員の生産性を低下させてしまうことも起こりえます。原因は、席を決めて業務を開始するまでの雑務の発生、固定席がなくなることによる居場所感の欠如やストレス、雑多な雰囲気となり業務に集中できなくなることや、「上司の席が決まるまで待つ」という日本企業らしい精神性などが挙げられます。

対策として、粘り強く社員の共感が得られるようオフィス改革の意思をトップダウンで伝え徹底する機会を持つこと、個室のように業務に集中できる環境を用意することなどが挙げられます。

オフィス改革を実現すべき職種、部署の見極め

前述のように、特にフリーアドレス制度の導入は、場合によっては生産性の低下を招いてしまう可能性があります。フリーアドレスの導入は、導入する職種や部署を見極めるようにしましょう。

フリーアドレス制度の導入によりメリットが出やすい職種、部署としては、外出が多い営業職や、自由闊達な意見や交流が重要な企画職などが挙げられます。一方、経理や人事、総務や情報システムなど、管理系の職種、部署は、重要書類を取り扱うことが多かったり、落ち着いた環境で集中して作業することが多いため、フリーアドレス制度の導入にはデメリットの方が大きいかもしれません。

部下のマネジメント

オフィス改革では特に、その会社で長く業務を行ってきた管理職の意識やワークスタイル変革が重要となります。

管理職からは、フリーアドレス化やペーパーワークのIT化など、オフィス改革推進の結果、「部下の居場所や管理の仕方が変わり、部下の状況把握やマネジメントに困っている」といった声がよく挙がります。

これまで同じ空間に居合わせ、様子を伺いながら指導や管理を行ってきた従来のやり方から、ICT活用などをベースにマネジメントする新しいやり方への変化に、戸惑いや反発を起こす管理職も多いようです。人事としては、新しい方法が浸透するまで、粘り強い対応が求められるでしょう。

情報管理

オフィス改革により、情報管理の方法も変更する必要があります。一般的には、これまで紙ベースで管理してきた情報の電子化を推進することになるでしょう。書類の管理方法の見直しやモバイルワーク環境の構築にあわせて、情報システムにおけるセキュリティ対策の強化や、社内システムのクラウド化なども検討しましょう。

オフィス改革成功のポイント

ここでは、オフィス改革を成功させる為のポイントについて解説します。

働きたいモードにあった働く場を

オフィス改革成功のポイントは、従業員が自分の働きたいモードにあわせて、働く環境を選べることにあると言えます。フリーアドレスのようなオープンで雑多な空間だけでなく、個人が集中して作業や学習ができるような個室・半個室スペースや、集まって簡単な会議ができるスペース、リラックスした雰囲気で過ごすことができるスペースや、お客様をお迎えした上で集中して打ち合わせを行えるスペースなど、モードにあわせて仕事場を選べるようにできると良いでしょう。

時には不便さも

便利さを追求することだけがオフィス改革ではありません。時にはあえて不便さを生み出すことで、社員のコミュニケーションを活性化できる場合があります。

例えば、インターネットサービス大手のヤフー株式会社では、社員の机をジグザグに並べ、あえて歩きづらくすることで、社員間のコミュニケーションを生みやすいようにしています。

これ以外にも、前述のマグネットスペース創出のため、わざとゴミ箱やコピー機を一箇所に集中させている会社もあります。

【参考】日経カレッジカフェ:机を斜めに、社員を刺激ヤフーの働き方改革

オフィス改革の事例

この項では、オフィス改革の事例について紹介します。

カルビー株式会社

スナック菓子メーカー大手のカルビー株式会社は、フリーアドレス制度やテレワークの推進など、ワークスタイル変革を推進しています。フリーアドレス制度の導入から、7期連続で増収増益をあげています。

フリーアドレス制度の導入に関しては、本社移転前に一部のオフィスで取り入れていたそうですが、その際は結局席が固定化されてしまうという事態が発生していました。そこで、本社移転時にはランダムで席を決める「ダーツ・システム」を導入しました。

当初は社員からの反発もあったそうですが、「フリーアドレスじゃない会社は世にゴマンとあるから、嫌なら辞めたら」というトップの言葉に後押しされ、オフィス改革を推進できたそうです。

【参考】文春オンライン:カルビー「フリーアドレス」オフィスは在宅勤務推進への一歩

コクヨ株式会社

文房具・オフィス家具製造大手のコクヨ株式会社では、今後地方都市や中小企業にもオフィス環境を充実させる動きが広がると予測し、全国の拠点をモデルオフィスに改装しています。

これからのオフィスに必要とされる機能を「快適性」「迅速性」「革新(創造)性」「効率性」の4つに分類し、社員はフリーアドレスを基本としながら、カフェスペースや集中スペースなど、働くモードにあわせて環境を選べるようにしています。

【参考】日本経済新聞:働き方改革はオフィスから コクヨ 自ら体現

総務省行政管理局

国の機関である総務省行政管理局も、国家公務員のワークスタイル変革を目指し、オフィス環境を一新する取り組みを実施しています。

具体的な取り組みとしては、フリーアドレス制の導入、配席の見直しによるコミュニケーション活性化や意思決定の迅速化、無線LAN等のICT活用によるペーパーレス化の推進や、電子ボードによるスムーズな情報共有が図れる打合せの実現などが行われています。

結果として、個人席周辺の文書量8割減、カラープリント・カラーコピー数の半減や、7割の職員が「業務がやりやすくなった」と回答する、といった成果が挙がっています。

【参考】総務省:オフィス改革

まとめ

  • オフィス改革とは、社員の職場であるオフィスのデザインやレイアウト、場所や持つ機能など、働く環境としてのオフィスを見直し、改革すること
  • 業務効率や生産性向上、省スペース化によるコスト削減、リラックスできる環境の提供、コミュニケーションの促進など、様々な目的やねらいがある
  • 働きたいモードにあった働く場を提供したり、時には不便さも利用しコミュニケーションを創出することもオフィス改革成功のポイント

注目のビジネス事例トピックを、逃さずチェック。

大手やベンチャー含め計60,000人以上の会員が利用しています。

BizHint の会員になるとできること

  • 厳選されたビジネス事例が毎日届く
  • BizHint 限定公開の記事を読める
  • 実務に役立つイベントに申し込める
  • アプリで効率的に情報収集できる
いますぐ無料会員登録

ビジネス事例や製品の情報を受取る

フォローしたキーワードの最新トピックをトップページに表示します。 フォローはでいつでも変更することができます。
フォローを管理する

目次