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2018年11月12日(月)更新

キャリアラダー

看護の分野などで導入が進んでいるキャリアラダー。人材管理や人材育成の制度の1つとして効果が期待できる仕組みです。ここでは、その意味やメリットなどを解説し、新たに制度を構築するためのポイントをご紹介します。

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キャリアラダーの意味とは

キャリアラダーとは、キャリアアップのための「はしご(ラダー) 」を意味します。つまり、 会社や組織で働く従業員が、はしごを一つひとつ登るようにキャリアアップできるようにした、人事制度や能力開発のシステム のことです。

キャリアラダーでは、「はしご」のステップ1つひとつに、従事する仕事の内容やスキル、到達すべき目標を定義します。そして、下から上の階層へ、一歩一歩着実にキャリアアップしていくことを目指し、必要な自己分析や教育研修の機会を提供していきます。

キャリアラダーが機能するか否かは、 職種や業種によって分かれやすい といわれています。日本においては、 看護師や保健師などの職種や、外食、小売、流通業などの業種を中心に 導入が進んでいます。

キャリアラダーはアメリカで生まれた

1,980年代のアメリカでは、新自由主義の台頭によって労働市場に変化が起こり、雇用条件や賃金について二極化が進みました。労働者は低賃金の階層と所得の高い層とに分断されて、中間層が大きく減少したのです。中間層が極端に少ないことによって、低賃金の非正規労働者がキャリアアップや賃金アップをしにくい環境が出来てしまいました。

この状況を打破しようとキャリアラダーの制度が提唱されました。非正規であったり低賃金であったりする労働者が梯子の段を1つずつ昇っていくように、社内におけるキャリアを段階的に昇っていけるようにと考えられています。 社員が意欲をもって能力向上に励むことや、従業員の定着率アップなどが期待できます

日本におけるキャリアラダー制度

日本においては看護師や保健師といった職種において導入が進んでおり、医療機関などでその事例が多く見られます。医療や看護の分野では公的な資格があったり、職業階層に公的な設定が設けられたりしています。それを元にすれば制度構築も運用も行いやすいというのが、導入が進んでいる理由の1つです。看護師や保健師などを対象とした制度においては一定の効果が認められているので、他の業種においても必要性に応じて導入が進むことが期待されます。

また、 非正規労働者が正規雇用を目指すための制度としても活用できる ため、就業支援政策の1つとしても考えられます。階層が作りにくい職種であってもこの部分については可能であることも多く、 小さなラダーとして導入することは様々な業種で可能 です。

キャリアラダーとキャリアパスとの違い

キャリアラダーと似た言葉に「 キャリアパス 」があります。キャリアラダーとキャリアパスには、どのような違いがあるのでしょうか。

キャリアパスの意味

キャリアパスとは、企業内の階層や特定の職種においてどのようなポジションを経験しながらステップアップしていくのかという道順のことです。ここには、階層的な段階とともに、職種や技能についての選択肢も含まれます。

キャリアラダーとキャリアパスの違い

一方、キャリアラダーとは、ある特定の職種における業務レベルを細かく分けたものです。難易度や重要性、そして報酬金額などによって上下に細分化し、より上位の段階に進めるよう人材開発を行っていきます。

「企業内でのキャリアアップを目指す」という意味は共通ですが、キャリアラダーとキャリアパスの以下のような違いがあります。

  • キャリアパス :企画職から営業職への異動などといった職種も変更となる。総合職としてどのような経験を積みながら昇進、昇格していくのか、その道標を示すもの
  • キャリアラダー :職種は変更されない。専門職としてより難易度が高い業務に就けるよう、次のステップへの習熟の目安となる

【関連】キャリアパスとは?キャリアパスの必要性を理解し優秀な人材の確保・育成を目指す / BizHint

キャリアラダー制度導入のメリット

キャリアラダー制度を導入することの目的やメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。

公正で明確なキャリアステップの提示

キャリアラダー制度を導入して示される内容は、その組織ではどのようなキャリアステップが考えられるのかを職種ごとに示すことになります。それは会社の中にある階層を明示することになり、働く人にとってはキャリア開発の目安になります。

同じ職種の人に共通して使われるキャリアの階層と、各段階で求められる能力や技術が一緒に示されますから、公正で公平感のあるものとなります。同じ職種であれば誰にでも平等に機会が与えられ、納得感のある人事制度が作りやすいです。

能力向上への主体的な意欲

自分が進むべきキャリアの階層が分かれば、その中でステップアップする道筋も分かりやすくなります。どのような研修に参加してどのような能力開発をすれば自分のキャリアを上げていけるのかが分かるようになり、キャリアデザインが容易になるというわけです。

何をすれば自分を高められるのかが分かるので、従業員が主体的に能力開発を行う環境が作れます。人材育成をうまく行うための重要な要素の1つに本人の意欲が挙げられます。その意欲を主体的に高めさせられるということも、キャリアラダー制度導入のメリットです。

キャリアラダー制度の構築

従業員の能力開発に大きなメリットのあるのがキャリアラダー制度ですが、システムとして構築するときのポイントを考えてみましょう。

キャリアの階層化

最初に、制度の対象となる職種について、キャリア形成していく際のステップとなる階層を作ります。これは非正規雇用の人も含め、そこから、その 職種の最上位となる段階まで途切れることなく続くもの でなくてはいけません。

また、ある階層と次の階層の間にある差が大きすぎると短期および中期の目標が定めにくくなりモチベーションを下げてしまう要因にもなります。まさに1段ずつ梯子を上っていくかのように、次の段階に進むために必要な成長の度合いが大きくなりすぎないように気をつけましょう。

従業員の評価システム

キャリアラダーの次の段階にふさわしいかどうかを評価する行為は、このシステムにおいて非常に重要なポイントの1つです。対象者やタイミング、あるいは上司となる管理者の違いによってブレがあっては公正なものになりませんし、必要な能力や役割と本人の能力レベルが合っているのかどうかも適切に判断されなくてはいけません。

制度が良い状態で運用されていくためには、従業員を評価する仕組みも良いものであることが必要ですし、 評価項目や評価基準などについては社内にしっかりと情報共有 しておく必要があります。

キャリア研修の導入

下位層から上位層への各段階を細分化して設定するとともに、 能力開発のためのキャリア研修を実施することも重要 です。なぜなら、キャリアラダーで業務レベルを細分化するだけでは、人材育成としては不十分だからです。従業員が自身のキャリアを見つめ直し、より上位のレベルを目指そうとする意欲を高めるしかけが必要となります。この意欲の高める役割を果たすのが、 キャリア研修 なのです。

キャリア研修では、まず、自身の理想とするキャリアデザインを描くことから始まります。そして、現状とのギャップや課題を明確化していきます。このようなキャリア研修により、能動的で自発的な能力開発の促進が期待できます。

また、多くの場合、キャリア研修はグループワークを取り入れ、他者とキャリアデザインを共有しながら進める形式をとります。他者のキャリア観に触れる機会となり、従業員に刺激を与えることにもつながります。

自立的にキャリア形成を考える従業員に対し、企業がその支援策として研修を行えば、組織に対する信頼感や モチベーションの向上が期待できます。能力段階や与えられる職務などに応じて、それぞれにふさわしい研修計画を立てて実行しましょう。

教育指導者の確保

キャリア研修を行うにあたって、教育指導者のレベルは重要なポイントになります。セミナー形式での講師やOJTにおける実地指導者など、指導力のある人が担当しなければいけません。人事担当者だからなんとなく講師を務めることにしたり、入社年次が先だからとりあえず教育担当になったりするということが無いようにしましょう。

しっかりした教育指導者を確保するためには、指導者のスキルアップを図ることも必要です。場合によっては外部から講師を招聘することも検討します。

目標管理制度との連携

目標管理制度とは、個人が働く中での目標を決めて、達成度などについて自立的に管理していく人事制度です。この制度はキャリアラダーの仕組みと相性が良く、うまく連携すれば社員の成長と人材管理に大きな貢献を果たします。

キャリアラダーに示される階層とあわせて、各階層に求められる技術や能力などを目標として活用しましょう。

キャリアラダーの導入事例

キャリアラダーの導入事例を紹介します。

看護師へのキャリアラダー導入例

キャリアラダーの導入が盛んな看護職における、キャリアラダー導入例を見てみましょう。

看護職の場合、日本看護協会の定義する「クリニカルラダー」をベースとしつつ、各病院に必要な能力を定義し、アレンジして利用するケースが一般的です。

日本看護協会では、ラダーのレベルを5段階まで設定しています。そして、必要な看護実践能力を「ニーズをとらえる力」「ケアする力」「協働する力」「意思決定を支える力」の4つに分類し、レベルごとの目標と行動目標を定めています。

【参考】看護師のクリニカルラダーの開発について/日本看護協会

また、東京都立病院のキャリアラダーも見てみましょう。東京都立病院では、日本看護協会と同様に、レベルⅠからレベルⅤまでの5段階が設定されており、レベルごとに到達すべき目標や必要とする能力を定義しています。

しかし、能力に関しては、必要な能力を再定義しています。看護に関する知識・技術、コミュニケーション能力などの「看護実践能力」、リスクマネジメントやコスト管理意識などの「役割遂行能力」、キャリア形成やスキル向上のための学習を行う「教育・研究能力」の3つに大きくカテゴライズし、レベルごとの到達目標を明文化しています。

【都立病院看護ラダーの概要】

【出典】キャリアラダーの概要/東京看護アカデミー

このように、キャリアラダーを策定する場合は、ベーシックな指標を参考としつつ、自社の運用にあった内容を再定義できると良いでしょう。

まとめ

  • キャリアラダーとは、キャリアアップの道筋を梯子のように段階的に示す人事制度の1つです。従業員にとっては、自分がどのようにすればステップアップしていけるのかが分かりやすくなります。
  • キャリアラダー制度を導入するためのポイントを押さえ、他の制度ともうまく連携していけば、従業員の能力開発を促進することができます。

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