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2018年7月25日(水)更新

フリーアドレス

フリーアドレスとは、社員が固定席を持たず、空いている席を自由に使って仕事をするワークスタイルのことです。IT技術の進化もあって導入へのハードルは下がってきています。コスト削減や省スペース化のメリットのほか、働き方改革の一環として導入を検討する企業も増えています。業務効率化やワークスタイル変革に繋がるなど注目されています。

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フリーアドレスとは

フリーアドレスとはどのようなワークスタイルなのでしょうか?ここではその意味と、再び注目される背景についてご紹介します。

フリーアドレスの意味

フリーアドレスとは、従来のオフィス環境のように社員が固定席を持たず、業務の内容や状況に応じて空いている席を使い、仕事を行うことです。

営業やコンサルタントなど社内で作業する時間が短い部門や企画など他部門との連携が必要な部署などがフリーアドレスに向いています。一方、デスクで集中して業務を行うコールセンターやデザイン業務のほか、機密情報を扱う人事部門などはフリーアドレス化が難しく、固定席を維持して情報管理や業務に集中しやすい改善のみ行う場合もあります。

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フリーアドレスが再び注目される背景

日本のオフィスにフリーアドレスが導入されはじめたのは、1980年代後半と言われています。賃料などのコスト削減やオフィススペースの有効活用を目的に、外出などで在席率の低い部署をもつ大手企業などで主に試みられました。しかし、IT技術が追いつかず、作業効率の低下や、セキュリティ面の不安などで運用が定着しない企業も多くありました。

近年では、IT技術の進化が進み、スマートデバイスの普及やコミュニケーションアプリが発達してきました。そのため、コスト面やセキュリティ対策への不安が減り、導入へのハードルが下がっています。また、働き方改革推進や多様なワークスタイルへの対応策として注目される他、ペーパーレス化による情報マネジメントの見直し、コミュニケーションの活性化によるイノベーションなども期待されています。こうした背景から、フリーアドレスが再び注目されるようになっています。

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フリーアドレスオフィスのメリット

フリーアドレスオフィスは、導入後のコスト削減やオフィスの省スペース化の他に、以下に挙げるメリットがあります。

コミュニケーションの活性化

フリーアドレスによって、これまで関わる機会のなかった他部署の社員や上司と隣り合わせになることで新たなコミュニケーションが生まれます。会話での知識や情報の共有によって新しいアイデアが生まれる、あるいは人脈が広がりコラボレーションする機会が生まれることが期待できます。

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ペーパーレス化による迅速な意思決定やセキュリティ向上

フリーアドレスの導入を機に紙媒体のペーパーレス化を行えば、印刷コスト削減やオフィスの省スペース化に繋がります。情報を電子化してネットワークで共有できることにより情報が一元化されれば、必要な情報にアクセスしやすくなり、判断や意思決定を迅速化することができます。

また、紙媒体の情報漏洩リスクをなくすことができます。情報のレベルに応じてアクセス権を設定するなど、必要に応じた情報セキュリティ対策を行うことで、セキュリティを向上することができます。

オフィス環境の改善による社員の意識改革

固定席がなくなることで、出勤して個人用キャビネットからパソコンなど仕事に必要なものだけデスクに持っていき、業務後はそれらを収めて帰ります。このように持ち物が管理されることでオフィス内がいつも整理整頓され、空席のデスクには何も置かれていない状態になるため、すっきりと美化されてオフィス環境が改善します。

そのほか、毎日座席が変わることで新鮮な気持ちで業務に取り組めます。また、業務内容に応じて席を変えることでリフレッシュできる効果も期待できます。こうした仕事に応じた自由なワークスタイルが習慣化することで自分の働き方を見直す機会にもなり、モバイルワークや短時間勤務など多様な働き方に対する理解や促進を進めるチャンスにもなります。

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フリーアドレスオフィスのデメリット

フリーアドレスオフィスのデメリットとして、主に以下の理由が考えられます。

導入コストがかかる

フリーアドレスの導入には、費用だけでなく、時間や労力などのコストが掛かります。例えば、ネットワークLANの無線化やオフィスレイアウト変更に伴う工事、個人用キャビネットなどの新たな設備の導入が挙げられます。

また、自社の目的に合わせて導入規模の決定や導入計画を策定し、導入に向けて設備の準備などを行う必要があります。こうしたコストを活かすために、導入前に現場の業務状況について調査を行うことが重要です。

従来のマネジメントが通用しない

フリーアドレスの運用によっては、部下とのコミュニケーションが減ることでマネジメントに支障が生じる場合があります。回避策として、コミュニケーションツールの活用や、決められた曜日は同部署のチームメンバーで集まって座り、業務効率低下を防ぐなどがあります。

そのほか、新入社員の育成には業務に慣れるまで先輩社員の隣に座るなどの対策もあるでしょう。このように実態に合わせてマネジメントの工夫を行うことが必要です。

集中しにくい

周りの会話が気になる、あるいは隣で電話する声が気になるなど、業務に集中できずに労働生産性の低下やストレスを招く恐れがあります。これらを回避する例として、仕事に集中するためのブースを設ける、あるいは電話しながら仕事ができるブース以外での電話は禁止するなどがあります。

このように、業務に合わせたオフィスレイアウトの工夫やルールを設けることで、労働生産性を維持することが大切です。

フリーアドレス導入に失敗する主な要因

フリーアドレスを導入したものの、逆に生産効率が低下するなど失敗するケースも少なくありません。ここでは導入に失敗する主な要因についてご説明します。

導入目的が不明確

フリーアドレスの導入にあたっては、導入する目的を明確にしておくことが必要です。オフィスレイアウトをフリーアドレスに改編することは目的ではなく、目的を果たすひとつの手段です。導入にはネットワーク環境の整備や社内レイアウト変更に伴う設備の導入、運用ルールの策定などが必要になります。

費用対効果の試算や構想計画の策定を行うなかで、自社にフリーアドレスを導入する必要性と適性について十分検討することで、失敗を回避することができます。

社員の理解が得られてない

固定席がなくなることは、社員の働き方に大きな影響を与えます。自席がないことが新たなストレスやモチベーション低下を引き起こす、あるいは現場が混乱して業務効率や生産性の低下を招く恐れがあります。

こうした事態を避けるには、適切な運用ルールを設けるほか、社員に対してフリーアドレス導入の説明を行い、質疑応答で疑問や不明な点をなくしておくなど理解を促す機会を設けることが大切です。導入後も必要に応じてサポートを行う体制を整えておけば、問題が起きてもすぐに対応することができるため大きな混乱を避けることができます。

ITインフラなど導入のための整備が不十分

業務に合わせて席を自由に選択するフリーアドレスでは、LANの無線化やPCをノートパソコンにするなどのITインフラやデバイスの準備などの整備が必要になります。また、席が固定ではないため、コミュニケーションツールの導入やペーパーレス化による情報管理システムの変更などを行う場合もあるでしょう。

こうした現場での円滑な業務遂行に必要なシステムやツールの導入が不十分だと、業務に支障が生じるなど形骸化を引き起こす場合があります。そのため、フリーアドレス導入に伴う設備の準備には、現場の状況を調査した上で検討を行うことが大切です。

席が固定化しやすい

フリーアドレスを導入したものの、固定席がないことの不安から気に入った席に毎日座り固定化する懸念があります。これを避けるためには、在席管理システムを導入するなど座席選択の機会の公平を保ちつつ、席が固定化しないような仕組みを取り入れることが必要です。

また、帰属意識の低下を防ぐために個人用ロッカーに名前や写真をつけるなど、存在意識を保つ工夫も効果的です。

フリーアドレスを成功に導くためのポイント

フリーアドレス導入を成功させるためには、社員の理解と導入によるメリットを実感できることが重要です。そのために欠かせない4つのポイントについてご説明します。

導入目的と効果測定指標を持つ

導入に成功している企業では、導入の目的を持ち、その目的を果しているかを把握するための効果測定の指標を設けて運用の改善を行うことで定着化させています。自社のワークスタイルがフリーアドレスに向いているのかも含め十分検討したうえで、フリーアドレス導入の目的を明確にしておくことが重要です。

また、定期的な効果測定を行って状況を把握することで、目的に沿った運用と改善を行うことができます。

経営層の積極的な関与

フリーアドレスの導入を定着化させるためには、トップをはじめ経営層が導入を宣言し、現場への声掛けを行うなど積極的に関与することが大きな推進力になります。経営層の中でフリーアドレスに対して懐疑的な意見がある場合、導入目的や継続して行うことで得られる費用対効果の試算を示すほか、可能な範囲でトライアルを行い、結果を示すことも効果的です。

こうした情報を提示して、同意と理解を得えることが必要です。フリーアドレス導入は、部門や全社を挙げての取組みとなるため、経営層が旗振り役となれば、社員の意識も変わり、導入の促進が円滑に進むなど大きな効果があります。

プロジェクチームを設置する

組織横断的な活動となるフリーアドレス導入にあたっては、プロジェクトチームを設置することが必要です。活動を推進する主体を作ることで、形骸化など導入の失敗の抑止力にもなります。

プロジェクトチームのメンバーは、総務や経営企画、情報システムなど導入に関わる部門のほか、導入する部署で影響力のある社員が参加することで、現場社員の理解や得やすくなり、現場での導入促進にも効果的です。

自社に合うオフィスレイアウトと整備を行う

フリーアドレスの導入範囲は企業によって異なり、ある部門のみ、あるいは全社で導入などその規模が異なります。そのため、自社の導入に必要な整備やレイアウト変更はどの程度なのか、事前に調査してリストアップする必要があります。

フリーアドレス導入に伴い、見直しや導入が必要な検討項目の一例としては以下が挙げられます。

  • 固定席がなくなるため、個人用キャビネットを整備する
  • 自由席になるため、インターネット回線の無線化、あるいは有線と無線をブースによって分けるなど見直しと整備を行う
  • 集中席、グループ席、会議ブース、共用スペースなど、オフィスレイアウトや配分について検討する
  • デスクトップパソコンからノートパソコンあるいはタブレット端末の貸与への変更が必要になる
  • 固定電話を取りやめる場合、携帯電話など移動端末の導入やコミュニケーションツールの導入を検討する
  • ペーパーレス化も同時に進める場合、情報管理システムの導入や見直しを行う
  • ペーパーレス化に伴い、不要な資料やキャビネットの撤去、部門共有キャビネットの整備を検討する
  • 席が固定化しないために座席選択の仕組みやルール策定、在席管理システムの導入を検討する
  • 外部者のセキュリティ対策がない場合、入退室管理システムの導入を検討する
  • 会議室を社内用、外部者対応用を分けるか、また会議室のOA機器の整備や運用方法について検討する

フリーアドレスの導入プロセス

フリーアドレスの導入プロセスには大きく分けて3つあります。ここでは各プロセスの内容についてご説明します。

自社の目指すワークスタイルを定義する

導入目的の解決手段としてフリーアドレス導入を決めた後にやっておくべきことがあります。それは、フリーアドレス導入後の理想とするワークスタイルを定義することです。それにより目標を見失うことなく運用していくことができます。

定義するためには、上層部のほか、導入に関わる社員からミーティングなど意見聴取の機会を設ける、あるいはアンケートを実施するなど、企業規模に応じた一定数以上の社員を巻込むことが効果的です。拾い上げた意見をプロジェクトチームで上手に融合させたうえでワークスタイルを定義することで、現場社員のフリーアドレス導入の関心が高まり、前向きに取り組むきっかけになります。

【関連】ワークスタイル変革とは?その目的や具体的な施策・変革を阻む課題までご紹介 / BizHint HR

フリーアドレス導入に向けた環境整備を行う

フリーアドレス導入の目的や導入後のビジョン策定、導入効果を測定する指標を決めるなど基本的な構想が策定されたら、導入後の運用で浮上しそうな問題や課題をできるだけ想定しておくとよいでしょう。特に導入前のトライアル検証が難しい場合には、他社の成功事例を参考にして十分に検討しておくと失敗を防ぐことができます。

想定も考慮した上で、オフィスの改修やITインフラまたはOA機器の整備、社内システムの改修、業務改革などの観点から必要な整備や運用ルールなど検討すべき項目を割り出していきます。このように、運用後も視野に入れた整備計画を行うことで、運用後の大きなトラブルを避けることができます。

職場でのフリーアドレス定着化を図る

導入後は、定期的な効果測定と現場の状況調査を行い、必要に応じて社員に実施状況や意識調査などアンケートを行って部門ごとの状況把握を行いましょう。導入の効果がみられる部門での取り組みを効果が低い他の部門で取り入れる、あるいは効果が上がらない部門の原因を調査し、必要なサポートや指導を行いながらフリーアドレスの定着を図ります。

導入後も、運用チームなど主体となるメンバーでPDCAサイクルを繰り返しながら、運用を継続、発展させていくことが導入の成功と定着化の決め手となります。

フリーアドレスの導入企業の成功事例

ここでは、フリーアドレス制度を導入し、運用に成功している企業5社をご紹介します。

カルビー株式会社

カルビー株式会社は、2010年の本社移転を機にフリーアドレスを導入しました。その目的はワークライフバランスの向上のためのワークスタイル改革です。導入によって、他部署とのコラボレーションや業務効率アップなどの効果が実感できたそうです。

フリーアドレスの効果を阻害する席の固定化を回避するためにダーツシステムを採用し、強制的に席を指定する仕組みを取り入れたこともフリーアドレスの効果を上げる大きなポイントになっています。

【参考】文春オンライン/カルビー「フリーアドレス」オフィスは在宅勤務推進への一歩

ヤフー株式会社

ヤフー株式会社では、2016年10月の本社移転にあわせてフリーアドレス制を導入しました。それによって社内外の交流を促してオフィスからイノベーションを生み出すことを目指しています。対象となった社員は、エンジニアやクリエーターなど、一見不向きと思われる職種でした。

導入によってインターネットアクセスが集中して無線LANが繋がりにくい問題や、誰がどこに居るか分からないなど一つひとつの問題を解決しながら改善を進めています。導入後、社内勉強会の開催、食堂を利用してのミーティングなど、オフィス環境やコミュニケーションの活性化、イノベーションに向けたワークスタイル改革が進みつつあります。

【参考】Yahoo! JAPAN Tech Blog/全社員フリーアドレスオフィスにおけるクリエイターの働き方

日本マイクロソフト株式会社

日本マイクロソフト株式会社は、2011年2月に都内の5つの拠点を集約して本社オフィスを構えたのを機に、営業部門でフリーアドレスを導入しました。移転に先立って2009年に行われた社内調査の結果、在席率がピーク時でも40%程度であることが分かったため導入に踏み切りました。

この調査分析からオフィスの設計を行い、デスクを減らし、共有スペースを増やしたことで、コミュニケーションが取りやすくなり、生産性向上に繋がっています。また、資料など持ち物が減ったためノートパソコンがあれば業務が行えるようになり、身軽になったことで時間と場所の使い方が効率化しました。

【参考】ITmedia/フリーアドレス制が変えたワークスタイル
【参考】日経BPネット/[日本マイクロソフト] 新本社オフィスは人と人のつながりを徹底的に重視

総務省

総務省では、2013年の6月に閣議決定した世界最先端 IT 国家創造宣言により率先してICT化を推進しています。ペーパーレス化やコミュニケーションの活性化、意思決定の迅速化を目標にフリーアドレスを導入しました。

内線電話を移動式に変更し、脇机を撤去してペーパーレス化を徹底したほか、1つのシステム導入で音声通話やメッセンジャー機能、さらにWeb会議が可能になり、コミュニケーションの活性化や業務効率化を実現しています。

【参考】マイクロソフト/幅広く官庁、企業の手本となる働き方の実践へ。

三井デザインテック株式会社

ヤフーの社員食堂をはじめとしてオフィス設計も手掛ける三井デザインテック株式会社は、事業成長のためにワークスタイル改革を実施。全社員のフリーアドレス化を実施し、社内にWifi導入とペーパーレス化を行いました。

失敗事例に多い固定席の問題は、集中したい、打ち合わせが必要など働き方に応じたゾーンを作ることで、社員自身が仕事に合わせて使い分けています。また、仕切りをなくし全フロア見渡せる空間にしたことで、社員同士見つけやすくする工夫を行いました。

【参考】ITmedia/オフィスデザインの専門集団が取り組んだ“働き方が変わる”オフィスとは?

まとめ

  • フリーアドレスとは、固定席を持たず、状況に応じて空いている席で業務を行うことです。コミュニケーションの活性化やワークスタイル改革への手段としても注目されています。
  • フリーアドレスの導入を成功させるには、試算に基づく導入前の十分な検討と目的の明確化、計画に基づく必要な整備を行うことが重要です。
  • フリーアドレス導入後も定着させるには、運用チームによる現場の導入促進支援や効果測定とPDCAによる改善を行うことがポイントです。

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