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2018年8月27日(月)更新

休み方改革

休み方改革とは、労働者が休暇を取得しやすい環境を整備する、官民が一体となった取り組みです。働き方改革もあわせて進められる中、どちらも、ワーク・ライフ・バランスの推進を目的としており、その違いはいまひとつわかりにくいものです。経営者、担当者は、働き方改革との違いを理解し、休み方改革として何をすべきかを整理する必要があります。

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休み方改革とは

休み方改革とは、休暇が一時期に集中するのを見直し、企業にも有給休暇の取得を促すなど、労働者が休暇を取得しやすい環境を整備する、官民が一体となった取り組みのことです。

具体的には、休暇の取得を促進するだけでなく、家族との時間を増やすことや、休暇を利用した地域活性化、旅行消費の増加などにまでつながる形で検討が進められています。しかし、休暇の利用の仕方にまで踏み込んだ施策となっていることについては、一部では疑問の声も上がっています。

【参考】「休み方改革」始動 休暇分散・有休取得、月内に官民会議/日本経済新聞
【参考】社説「休み方改革」は何のため 有休=消費の発想は違う/毎日新聞

休み方改革が求められる背景

休み方改革が求められる背景については、後述する休み方改革ワーキンググループの報告書の中でも示されていますが、年次有給休暇(以下、引用などを除き「有給休暇」とします。)の取得率が低迷していること、労働時間が減少していないこと、欧米諸国と比べても長時間労働の傾向にあることなどが挙げられます。

これらの状況に鑑み、政府は、2014年6月に閣議決定した、「経済財政運営と改革の基本方針2014」の中で、「「休み方」の改革について検討を進め、有給休暇を活用した秋の連休の大型化等を促進する。」とし、ここから、休み方改革についての議論が進んでいくことになりました。

【参考】休み方改革ワーキンググループ報告書/内閣府
【参考】経済財政運営と改革の基本方針2014について/内閣府

有給休暇の取得状況

有給休暇の取得率については、政府でもその向上が叫ばれて久しいですが、なかなか向上するに至っていません。

厚生労働省の資料によると、2011年から2015年の5年間、50%を超えないところで推移している状況です。

【労働者1人平均の有給休暇取得状況】

【厚生労働省】就労条件総合調査:結果の概要(平成24年~28年)の情報を元に作成

【関連】有給休暇とは?付与日数や義務化への改正情報、買取りについてなど詳しく解説/BizHint HR

労働時間の推移

労働時間についても、平成初めから大きな動きはありません。休暇が取得できていなければ、労働時間は増加するため、労働時間を分析することは、働き方改革のだけの問題ではありません。

厚生労働省の資料によると、一般労働者の年間総実労働時間について、平成6年(1994年)は2,036時間、平成25年(2013年)は2,018時間と、ここ20年ほどでやや減少してはいるものの、この間の動きを見ても順調に減少しているとは言えません。

パートタイム労働者の年間総実労働時間についても、平成6年(1994年)から平成25年(2013年)までそれほど大きく変わってはいませんが、パートタイム労働者の比率が急上昇していることについては、各企業が非正規労働者に依存することで、人件費を削減している傾向にあることが推察されます。このことが、正社員が休暇を取得しづらい環境にしている可能性もあります。

【就業形態別年間総実労働時間及びパートタイム労働者比率の推移】

【出典】【内閣府】休み方改革ワーキンググループ説明資料(厚生労働省作成)

欧米諸国等の長時間労働状況

こちらも厚生労働省の資料になりますが、欧米諸国などの長労働時間の状況を見ると、週49時間以上の長時間労働者の占める割合は、韓国を除けば、日本が最も多い状況となっており、長時間労働の抑制が求められています。(韓国において、長時間労働者の占める割合が多いのは、政府の規制が弱いことなどが原因です。)

【各国の長時間労働者の構成比(週当たりの労働時間】

【出典】【内閣府】休み方改革ワーキンググループ説明資料(厚生労働省作成)

【参考】日本より深刻?韓国で長時間労働がなくならないからくり/BIGLOBEニュース

働き方改革との関係

働き方改革は、休み方改革とあわせて政府が推進している取り組みですが、2016年8月に閣議決定した経済対策の1つです。

この閣議決定の中では、いわゆる「一億総活躍」社会を実現するため、働き方改革について「多様な働き方を可能とする社会を目指し、長時間労働の是正、同一労働同一賃金の実現など、労働制度の大胆な改革を進める。」としています。この背景には、少子高齢化による労働力の低下や介護離職、過労死問題などが挙げられますが、簡単に言えば、誰もが仕事をしやすい、仕事を継続できる環境を整備していくというものです。

一方、休み方改革の目的は、労働者が休暇を取得しやすい環境を整備することなどにありますが、休暇を取得するためには、働き方改革として、ワークフローの見直しなども求められますので、両者は切り分けて考えられないものであると言えます。

【関連】働き方改革とは?必要となった背景や実現会議と実行計画、事例まで徹底解説/BizHint HR

【参考】基本方針/首相官邸

休み方改革の政府での審議・施策

前述の2014年6月の閣議決定「経済財政運営と改革の基本方針2014」において、休み方改革の検討が必要とされたことを受け、政府では、2014年9月から10月にかけて、「休み方改革ワーキンググループ」を開催しています。そこで出された提言に基づき、既に実行に移された取り組みもあります。

休み方改革ワーキンググループ

休み方改革ワーキンググループは、民間企業などの有識者をメンバーとし(政府はオブザーバー)、2014年9月から10月にかけて、計4回開催されました。

第4回目の最終会合においては、報告案がまとめられ、いくつかの提言が出されています。休み方改革ワーキンググループの議事要旨や配布資料などは、内閣府のホームページにおいて、すべてPDF形式で公開されています。

【参考】休み方改革ワーキンググループ/内閣府

審議経過の概要

休み方改革ワーキンググループにおいては、以下の論点について議論が進められました。

  1. ワーク・ライフ・バランスの推進、生産性向上等の観点から、働き方とともに休み方を見直すことの必要性・重要性
    具体的には、「有給休暇取得状況と長時間労働の国際比較」、「休暇取得と生産性との関係」、「仕事と仕事以外の生活の充実」などについて議論されました。
  2. 秋の連休の大型化等を実現する上での課題
    具体的には、「自治体、教育現場、家庭、企業等から見た課題」、「実態を踏まえた、連休実現のための具体的方策」、「休みを地域活性化や観光に繋げるための方策」などについて議論されました。
  3. 休み方・働き方を向上させるその他の施策
    具体的には、十分なリフレッシュと仕事の質の向上の両立について、企業の事例を踏まえ、成功要因や課題を抽出、整理されました。

以上の論点について、委員からのプレゼンテーションも交えつつ、地方自治体、教育関係者、企業など様々な関係者からもヒアリングも行うなど、議論が重ねられました。

【参考】資料4 主な論点/内閣府

報告書の概要

休み方改革ワーキンググループの第4回目の最終会合においては、報告書がまとめられ、その中では以下の提言が出されています。

  1. 地域の取り組み(地域ごとの「ふるさと休日」の設定)
    伝統行事やイベントのある市町村を中心に、国、地方自治体、教育委員会、関係団体などが連携、調整して、設定する。また、地域の休日を活性化する観点から、地域の外に暮らす人々が有給休暇などを取得し、地域を訪れる機会を作ることも重要である。
  2. 企業の取り組み(「プラスワン休暇キャンペーン」の実施)
    上記1の趣旨を踏まえつつ、有給休暇取得日数の増加を図る取り組みの第一歩として、個々人が有給休暇を活用することによる「4日以上の連休の実現」の奨励、3連休の多い9月~11月を「秋の連休取得重点期間」の普及推進などを行う。
    また、これらの実効性を高めるためにも行政と労使は連携しながら、先進的な取り組みを行う企業の好事例を効果的に発信していく。
  3. 個人の取り組み
    ライフスタイルの変革などの実行主体はあくまで個人であるため、職場、職場以外での自分の在り方、家族や地域とのつながりなども念頭に置きながら、積極的に休みを取るという意識改革を行うことが必要である。
    その第一歩として、上記1.2の機会も活用しつつ、まずは自分のために休んでみることが重要である。
  4. 個人・企業・地域の取り組みの発展的融合を目指して
    「プラスワン休暇」が強力に推進されることで、地域の取り組みと発展的に融合し、意識改革された個々人が家族ぐるみで地域ごとの取り組みに参画することや、地域外に暮らす人々の参加も促すことを通じて、地域の活性化につながっていくことを目指すべきである。

【参考】休み方改革ワーキンググループ報告書/内閣府

これまでの主な施策

これまでの、休み方の改善に関する主な施策について、休み方改革に加え、働き方改革の一環として実施されたものもあわせてご紹介します。

有給休暇取得促進期間

前述の休み方改革ワーキンググループの提言にも上がっていましたが、厚生労働省では、2014年から毎月10月を「年次有給休暇取得促進期間」として、全国の労使団体などへ周知依頼やポスターの掲示、インターネット広告の実施など、様々な広報活動を行っています。

10月とした理由は、次年度の有給休暇の計画的付与について、一般的に労使間で話し合いを始める前の時期にしたためです。

【参考】10月は年次有給休暇取得促進期間です/厚生労働省

プラスワン休暇

こちらも、休み方改革ワーキンググループの提言によるものですが、厚生労働省では、2015年6月より、土、日、祝日に有給休暇を組み合わせて、3日(2日)+1日以上の連休を実現することをプラスワン休暇として推奨し、「ワーク・ライフ・バランスのために、計画的に有給休暇を取ること」、「労使間の話し合いの機会をつくり、有給休暇を取りやすい会社のすること」などとあわせて、「仕事休もっ化計画」として、広報活動を行っています。

【参考】「仕事休もっ化計画」年次有給休暇を計画的に活用しよう。/厚生労働省

プレミアムフライデー

プレミアムフライデーは、経済産業省と日本経済団体連合会などが連携して、2017年2月から導入された取り組みで、毎月、月末の金曜日に日常よりも少し豊か(プレミアム)な時間をつくることで、働き方改革や消費喚起に繋げていくことを目的としたものです。企業における対応は任意ですが、例えば、15時に退社することなどが紹介されています。

しかしながら、そもそもの目的が働き方改革なのか消費喚起なのかはっきりしないことや、月末は業種によっては多忙な時期であることもあり、少なからず批判もあがっています。

【参考】プレミアムフライデー ~月末金曜、豊かに過ごそう~/経済産業省
【参考】「プレムアムフライデー」は、なぜ月末金曜になってしまったのか/財経新聞

今後の施策

上記については、既に実施されている取り組みですが、今後、政府が検討を進めている、休み方の改善に関する施策についてご紹介します。(こちらも働き方改革によるものも含みます。)

有給休暇(5日)の取得義務化

有給休暇5日の取得義務化は、働き方改革としての長時間労働の抑制を目的とした施策になりますが、労働基準法を改正することで検討が進められています。当初は2016年4月から義務化される予定でしたが、国会での審議が進まず、現状は先送りになっています。(2017年9月の段階では、2019年4月1日施行の方向で調整されていました。)

内容としては、有給休暇の日数が10日以上の労働者(パートタイムも含む。)に対して、使用者は時季を指定して年5日の有給休暇を取得させることが義務になるものです。しかし、労働者が自ら時季を指定して取得した日数や計画的付与制度などにより取得した日数があれば、その日数分は5日から差し引くことができます。最低年5日は有給休暇を取得させようという趣旨のものです。

【参考】「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」の答申/厚生労働省

キッズウィークの導入

キッズウィークとは、地域ごとに学校の夏休みなどの長期休業日を分散化することで、大人と子どもが休日を過ごす機会を増やすための取り組みです。

2017年6月にまとめられた「教育再生実行会議(第十次提言)」や、同月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2017」および「未来投資戦略2017」の中でも言及されていたもので、この制度の導入を検討するため、2017年7月に関係閣僚や有識者をメンバーとする「大人と子どもが向き合い休み方改革を進めるための「キッズウィーク」総合推進会議」(第1回)が開催されました。

公開されている会議資料によると、対応策の概要は以下のとおりとされています。

  1. 2018年度から、法令を整備したうえ、夏休みなど長期休業日を平日に分散化させる。
  2. 子どもだけでなく親も休ませるため、経済団体、企業などに、学校休業日に合わせた休暇取得を強く要請する。(有給休暇取得率70%が目標)
  3. 親子が休日に親しむことができるプログラムが提供できるように、文化・スポーツ団体、企業などに活動機会の確保を要請する。

【参考】キッズウィークについて/厚生労働省
【参考】教育再生実行会議(第十次提言)/首相官邸
【参考】経済財政運営と改革の基本方針2017について/内閣府
【参考】未来投資戦略2017/内閣府
【参考】大人と子どもが向き合い休み方改革を進めるための「キッズウィーク」総合推進会議/首相官邸

有給休暇の取得促進

上記のキッズウィークでも有給休暇の取得促進については言及されていますが、政府が2016年3月に決定した「明日の日本を支える観光ビジョン」(観光先進国を目指すために開催されている「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」において議論されたもの)においては、2020年までに有給休暇の取得率を70%に向上させることや、経済界と連携して、子供の休みに合わせて、有給休暇取得の3日増を目指すことなどが掲げられています。

【参考】明日の日本を支える観光ビジョン/国土交通省

休み方改革の成功ポイント

厚生労働省では、約60社に対して、働き方や休み方に関する診断、コンサルティングを実施し、確認された課題や対策について、「働き方・休み方改革改善取組事例集」の資料としてまとめています。そこで示されている必要なポイントについて抜粋してご紹介します。

【参考】働き方・休み方改革改善取組事例集/厚生労働省

社内意識の向上

休み方改革を実施していくためには、休暇を取得することの重要性、必要性などについて、経営トップはもちろん、管理職、一般社員すべてが理解している必要があります。

経営者

まずは、会社のトップである経営者が、有給休暇やその他の休暇の取得促進に関する取り組みを経営課題の1つとして認識し、取り組みの方針などを各場面で主導的に発信していく必要があります。

具体的には、以下のような対応が求められます。

  • 休暇の取得を促進する方針であることについて、社内イントラネットや社内報などを活用してメッセージを発信する。
  • 業務効率化や休暇の取得促進が、経営課題の1つであることを示すため、具体的な目標数値を明記したうえで経営計画に盛り込み、計画策定時、計画期間中など随時メッセージを発信する。
  • 会社の公式の取り組みであることを社内外に示すため、ホームページなどで発信する。

管理職

管理職は、部下の勤務時間に加え、休暇の取得についても管理しなければならない立場であることから、管理職としての意識を高めるとともに、管理職自身も休暇を取得できるような体制を整えていかなければなりません。

具体的には、以下のような対策が考えられます。

  • 部下に休暇を取得させることは管理職の責務であることの意識付けや、マネジメント能力の向上を図るため、必要な研修を実施する。
  • 管理職としての人事評価項目に、ワーク・ライフ・バランス管理に関する項目を設定する。
  • 有給休暇取得率の低い管理職、また、有給休暇取得率の低い部下を持つ管理職に対して、一定期間毎に通知(メールなど)する。
  • 経営会議や取締役会の下部組織として、管理職などから構成される休み方の改善に関する委員会またはワーキンググループなどを設置し、管理職が主体的に取り組む意識付けを行う。

一般社員

一般社員は、休暇の取得が最も求められる立場であることから、業務効率化の必要性や、健康障害のリスク低下のためには休暇が必要であることなど、その重要性を十分に認識しておかなければなりません。

具体的には、以下のような対策が挙げられます。

  • 長時間労働と健康、業務効率との関係、休息時間の重要性などを認識させるため、必要な教育、研修を行う。
  • 管理職と同様に、人事評価項目に、ワーク・ライフ・バランス管理に関する項目を設定する。
  • 休暇を取得することにより、家族と過ごす時間や自己啓発、趣味の時間を確保し、人間性を高めることを会社として推奨する。

推進体制の整備

休み方改革を推進するためには、その推進体制も整備しておかなければなりません。

具体的には、以下のような対策が挙げられます。

  • 有給休暇の取得促進に関する課題について、従業員代表などの一般社員と定期的な意見交換の場(例えば、安全衛生委員会など)を設け、現場の意見を吸い上げる体制を整備する。
  • 休み方改善の相談窓口として、担当者を配置し、必要に応じて、社外の専門家(社会保険労務士など)の活用も検討する。
  • 有給休暇を計画的に取得し、一定の営業成績も残しているような部署(店舗)を好事例として社内報、イントラネットなどで情報共有できる体制を整える。

業務特性の配慮

休み方改革は、各部署、各担当者の業務の進め方や業務量の偏り、また、顧客都合の業務の存在など、その会社の特性や事情に合わせて進めていかなければなりません。

具体的には、以下のような対策が挙げられます。

  • 特定部門が常に業務多忙である場合には、部門間の業務の平準化や、基本スキルの共有化を行い、部門間、職種間で人材を融通しあえる体制を整える。
  • 特定社員に専門業務などが集中している場合には、マニュアルなどを作成して、社員間の業務の平準化を図り、まわりの社員もフォローができる体制を整える。
  • シフト制などの社員がいる場合には、有給休暇を取得しやすくするため、時間単位の有給休暇制度を導入する。
  • 課長のような中間管理職が、部下に残業させないために仕事を引き受けることがないよう、上位職である者が監視やフォローを行う。
  • 顧客都合による業務を調整するため、一定期間毎に自社の有給休暇の取得計画を提出するなどにより配慮と理解を求める。

休み方の実態・課題の把握

休み方改革を会社の特性や事情に合わせて適切に進めていくためには、社員の休み方の実態や課題、また、社員の意識などを常に把握しておかなければなりません。

具体的には、以下のような対策が挙げられます。

  • 前述の社内に設置した休み方改善の相談窓口から、社員の不満、不安などを把握し、今後の改善に活かす。
  • 社員の意識調査に、有給休暇の取得に関する項目を追加し、有給休暇の取得が進んでいない社員の意見を参考に、今後の改善に活かす。
  • 有給休暇の取得が低調な部門、個人に対してヒアリングを行い、問題点を把握する。

休み方改革の取組事例

大手企業では、政府が休み方改革を提唱する前から、休みやすい環境づくりに着手しています。中小企業においては、その取り組みをそのまま導入することは難しい場合もありますが、考え方などは参考にすることができます。

2017年7月10日の日本経済新聞の記事では、次の事例が紹介されています。基本的に、一斉休暇型と個人長期休暇型に分けられます。

【参考】日経の紙面から/NIKKEI MESSE

一斉休暇型

部署毎に有給休暇を一斉に取得したり、会社として定休日を増やすなどの休み方改善です。

セブン&アイ・ホールディングス

セブン&アイ・ホールディングスでは、主要8社(セブン-イレブン・ジャパンやイトーヨーカ堂、そごう・西武など)において、部署毎に有給休暇を一斉に取得する仕組みを導入しています。

休暇日は、部署毎の事情や繁閑を考慮して自由に決められるというもので、対外的な影響が少ない日を選んだり、取引先と休業日を合わせたりして調整し、対外的な影響が大きい場合には、半数ずつ休むなど柔軟に対応するというものです。社員1人あたり2カ月に1日の休暇の取得増を促しています。

住友林業

住友林業では、これまでの週2日の休みに加え、2、4、6、12月の各月に計4日、全国の支店、営業所80拠点が一斉に休む定休日を増やしています。

また、夏季休暇、年末年始休暇とは別に、本人の予定に合わせた連続休暇を「リフレッシュ休暇」として、職場毎に個人別取得計画の策定を義務付け、また、平日が定休日の住宅部門の支店では、家族の行事などに参加するための休暇として、土、日のうち、月1日は休暇を取得できる「ファミリーフレンドリーデー休暇」を整備するなど、休暇が取得しやすい環境を整備しています。

現状、約3割の有給休暇消化率を2020年までに5割に引き上げることを目標にしています。

【参考】CSR情報 ワーク・ライフ・バランス リフレッシュ休暇・ファミリーフレンドリーデー休暇制度/住友林業

アートコーポレーション

引越業の大手であるアートコーポレーションでは、2017年8月から、同業界大手では初めて、全社員が休む定休日(火曜日)を導入しました。この定休日は、全国122の支店を対象(支店勤務以外の法人営業部やコールセンターなどは対象外)としたもので、月に2~3回(年間30日程度)は引越業務を取りやめることとしています。

引越業務の実務に携わる支店の労働環境を改善することで、社員の定着率向上や採用数の増加に繋げたい考えです。

【参考】引越業界初!「定休日」はじめました。アート引越センターの真意に迫る!/マイナビニュース

個人連続休暇型

各個人について、土、日、祝日と絡ませた休暇の取得を積極的に推奨することで、長期連続休暇を実現させる休み方改善です。

日本航空

日本航空では、2017年7月から8月の2か月間、「ワーケーション」(仕事(work)と休暇(vacation)を組み合わせた造語)という、国内外のリゾート地や帰省先、地方などにおけるテレワークを実施しました。

これは、同社が取り組むテレワーク推進策の一環として実施されたものです。海外などの休暇先で最大5日間、遠隔で勤務することができ、これまでは、土、日を含め1週間程度だった夏季休暇に、この5日のテレワークを加えることで、2週間以上の旅行に出かけることも可能になるというものです。テレワーク中は給料も支払い、有給休暇にはカウントしないこととしています。

現状、約80%の有給休暇消化率を100%に引き上げることを目指しています。

【参考】JALは、テレワークを推進し、働き方改革を進めます/JAPAN AIRLINES
【参考】休暇先で仕事する「ワーケーション」JAL植木社長が「猛プッシュ」のワケ/JCASTニュース

ソニー

ソニーでは、平日10日間、土、日を含めて最長16日間の長期連続休暇を取得できる個人別休日(フレックスホリデー)というものを導入しています。この個人別休日(フレックスホリデー)は、会社が定める休日(土、日、祝日など)とは別に、個人で自由に設定することができ、設定された日数分の取得が義務付けられています。

【参考】FAQ 人事制度・人材育成について/SONY
【参考】よくあるご質問/SONY

休み方改革に関する資料・窓口等

休み方改革に関する参考資料の公開や、相談窓口などは、その施策が労働基準に関係することでもあり、基本的に厚生労働省が担当しています。これらの主なものについて、ご紹介します。

休み方改革に関する資料

休み方改革に関する資料の多くは、働き方改革と合わせた形になっていますが、重要なものとして、次の3つが挙げられます。

働き方・休み方改善指標

この「働き方・休み方改善指標」は、働き方改革、休み方改革に取り組む前に、現状の労働時間や休暇の取得状況についての問題の有無や、問題がある場合の必要な対策が確認できるものです。

改善指標は、企業向けと社員向けに分けられており、企業向けのものは、ポジションマップとレーダーチャートの2つで構成され、働き方、休み方の現状についてチェックしていくことで、働き方と休み方のどちらに問題があるのかが確認でき、それぞれについての実態や課題についても分析できるようになっています。「社員向け」のものは、チェックリストに現状についてチェックしていくだけで、課題を把握できるようになっています。

【参考】働き方・休み方改善指標(H28)/厚生労働省

働き方・休み方改善取組事例集

前述の「休み方改革の成功ポイント」でもその概要についてご紹介しましたが、約60社に対して、「働き方・休み方改善指標」により診断を行い、実際に提案した対策方法や、参考となる取り組み事例などがまとめられています。取組事例集というよりも、主に対策方法を検討する際の参考になるものです。

【参考】働き方・休み方改善取組事例集/厚生労働省

働き方・休み方改善ハンドブック

こちらは、働き方、休み方改善の施策ポイントについて、「宿泊業」、「情報通信産業」、「製造業」、「金融業」の別に整理されているものです。

各業界に特化した事情(例えば、「宿泊業」については、休日が少ない、営業時間が長いなど)を加味したうえで、細かなポイントが示されています。

【参考】働き方・休み方改善ハンドブック/厚生労働省

働き方・休み方ポータルサイト

このサイトは、働き方改革、休み方改革の総合サイトとも言えるもので、上記の資料などもすべてここから入手することができます。

「働き方・休み方改善指標」を用いた自己診断も、このサイト上で行うことが可能で、「働き方の改善」、「休み方の改善」別に、各企業の取り組み事例を検索することもできます。その他、セミナー情報や参考資料なども掲載されています。

【参考】働き方・休み方ポータルサイト/厚生労働省

働き方・休み方改善コンサルタント

働き方や休み方の見直しに取り組む際の相談窓口としては、「働き方・休み方改善コンサルタント」が各都道府県労働局に配置されています。「働き方・休み方改善コンサルタント」は、社会保険労務士の資格を持つ者など、労働関係法令、制度に専門的な知識を持つ人物の中から、都道府県労働局長が任命した非常勤の国家公務員です。

個別訪問により、現状の労働時間や休暇制度を診断してもらい、改善に向けたアドバイスを受けることもできますし、社内の労働時間や休暇制度に関する説明会などの講師を依頼することもできます。利用はすべて無料です。

【参考】働き方・休み方改善コンサルタント/厚生労働省

まとめ

  • 休み方改革と働き方改革は密接な関係にあり、休暇を取得しやすい環境をつくるためには、業務効率化、生産性向上などの働き方改革が必要である。
  • 経営者は、休み方改革の取り組みを経営課題の1つとして認識し、率先してメッセージを発信していかなければならない。
  • 管理職は、部下に休暇を取得させなければならない責任があることを認識するとともに、自身も休暇を取得できる体制を整えなければならない。
  • 労働者は、周りの状況を考慮しながらも、積極的に休暇を取得する意識改革が必要である。
  • 休み方改革を適切に進めるためには、自社の業務特性や、現状の休み方の実態と課題の把握が必要である。

<執筆者>
本田 勝志 社会保険労務士

関西大学 経済学部 経済学科 卒業。1996年10月 文部省(現文部科学省)入省。退職後、2010年に社会保険労務士試験に合格。社会保険労務士事務所などでの勤務経験を経て、現在は特定企業における労務管理等を担当。


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