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2019年4月9日(火)更新

ユースエール

ユースエール認定企業とは、若者の採用や育成を通じて雇用状況が優良と認められた会社のことです。企業のイメージアップや助成金上乗せなどの恩恵を受ける効果があります。今回はユースエール認定制度の内容や認定時のメリット、認定要件を詳細にわたり解説していきます。また、国が実施するさまざまな認定制度の内容もあわせて紹介します。

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ユースエールとは?

ユースエールとは、厚生労働省が主催する「ユースエール認定制度」で使用されている認定マークのことです。

【出典】【厚生労働省ホームページ】ユースエール認定(若者雇用促進法に基づく認定)制度とは

ユースエール認定制度は、「若者雇用促進法に基づく認定制度」とも呼ばれており、若者の採用活動や育成活動を積極的に実施し、雇用の状況が優良であると認められる中小企業に対して厚生労働省が認定を行うものです。若者を(ユース)応援する(エール)企業という由来から、ユースエールという名前がつけられました。

ユースエール認定企業とは

ユースエール認定制度において、優良であるという認定を受けた企業のことを、ユースエール認定企業といいます。平成27年10月に創設されたユースエール認定制度は徐々に周知の状況が拡大しており、平成29年6月現在、209社のさまざまな業種の会社がユースエール認定企業として認められています。

若者労働者の重要性

次世代を担う立場である若者労働者は、今後の日本経済の発展において欠かせない存在です。

加速する少子高齢化の流れを受け、若い労働者数が減少し続けています。長期にわたり貴重な労働力を提供し続けてくれる若者労働者の重要性を理解し、積極的な採用やその後の社員教育によるキャリア形成を実施することで、会社の将来が決まるといっても過言ではないでしょう。

若者雇用促進法とは

厚生労働省は、平成27年10月に若者雇用促進法の施行を開始しました。若者雇用促進法は、正式には「勤労青少年福祉法等の一部を改正する法律(青少年の雇用の促進等に関する法律)」といい、その名の通り若者労働者の雇用を促進するために作られたものです。

この法律では、各企業に対して、若者労働者が働きやすい環境に整備するためのさまざまな取り組みを実施するよう、定めがなされています。

【参考】厚生労働省ホームページ:青少年の雇用の促進等に関する法律(若者雇用促進法)について

職場情報の積極的な提供

企業の採用活動で発生する問題の一つに、応募者と会社の間で生じる採用のミスマッチです。雇用形態の多様化の流れを受け、現在の職場に不安や不満を感じた若者労働者が早期離職を決断するケースが増加しています。

このようなリスクを防ぐため、若者雇用促進法では新卒者の求人募集を行う際には労働条件や平均勤続年数、研修の実施などの実態を提供する旨が定められました。

ハローワークによる求人不受理

若者雇用促進法により、労働関係の法律の違反が認められた会社は、ハローワークへの新卒者向けの求人申し込みが一定期間できないことになりました。これは、新卒者が法律を遵守していない会社へ就職することを防ぐための制度となります。

具体的には、次のケースに合致した会社の求人申し込みが不受理扱いとされています。

1.労働基準法・最低賃金法

  • 1年に2度以上、同じ法違反を犯し、是正勧告を受けている
  • 法を逸脱した長時間労働を繰り返した会社として公表されている
  • 法律違反で送検がなされ、公表されている

2.男女雇用機会均等法・育児介護休業法

  • 法律違反による是正勧告に従わないとして公表されている

【参考】厚生労働省リーフレット:若者雇用促進法(「青少年の雇用の促進等に関する法律」)(若者雇用促進法)について(②ハローワークにおける求人不受理(平成28年3月1日施行))

ユースエール認定制度の創設

若者労働者を積極的に採用する方法や、研修や育成プログラムによるキャリアアップに貢献することで、若者労働者の雇用状況改善に努めた会社に対し、ユースエール認定制度の実施を開始することとしました。

つまり、ユースエール認定制度は、若者雇用促進法の施行により創設された制度であるといえます。

認定によるメリットとは

ユースエール認定企業となるためには、ある程度の難易度となるさまざまな要件をクリアしなければなりません。その見返りとして、ユースエール認定を受けた際には次のようなメリットがあるとされています。

求人アピールができる

ユースエール認定企業になった場合、ハローワークなどの求人機関でより重点的な企業PR活動を行うことができます。

たとえば「わかものハローワーク」「新卒応援ハローワーク」などを利用して、若者労働者や新卒学卒者の採用を試みる際には、若者のことを考えた経営をしている会社として積極的なアピールをすることが可能になります。

ユースエール認定企業PRシート

「ユースエール認定企業PRシート」は、ユースエール認定企業のみに利用が許された、35歳未満の人を対象とした求人募集を行う際に会社情報を記載するシートです。企業名や所在地、従業員数、福利厚生制度などの基本情報をはじめ、勤務する正社員の定着状況や平均勤続年数、有給休暇の平均取得日数や女性管理職の割合など、若者労働者が就職活動を行う際に気になるポイントが網羅されています。

その他、インターンシップの受け入れ状況や職場見学の有無、非正規労働者の労働状況を記載する欄も設けられています。このPRシートを利用することで、応募者に対してさまざまな情報を公開するクリーンな企業イメージを抱かせることができます。

【参考】厚生労働省リーフレット:若者の採用・育成に積極的で雇用管理の優良な中小企業を応援します!(<企業情報(PRシート)例>)

若者雇用促進総合サイト

「若者雇用促進総合サイト」は、厚生労働省が前述の若者雇用促進法に沿った内容で職場情報を公開する企業の情報をデータベース化したサイトです。ユースエール認定企業として認められた場合、このサイト上に企業情報が掲載されることになります。

応募者が若者の雇用を応援する優良企業を調べる際に広く活用されていることから、若者雇用促進総合サイトに掲載されることで企業の認知度が増し、就職戦線において有利な状況を作り出すことができます。

【参考】厚生労働省ホームページ:若者雇用促進総合サイト

限定の就職面接会へ参加できる

全国各地の都道府県労働局やハローワークが実施する就職面接会の際には、ユースエール認定企業は通常の企業に比べ積極的に案内を受けることができます。これにより、就職希望の若者とコンタクトを取る機会が増加し、より多くのマッチングを期待することができます。

認定マークの利用

ユースエール認定企業になった場合、前述の認定マークを利用することが可能になります。認定マークは、会社のホームページや商品、各種広告に掲載することができます。これにより、法律に基づき「優良」であると認められた企業であることがひと目で分かり、対外的なイメージアップへとつながります。

助成金の上乗せ

ユースエール認定企業が雇用関係の助成制度を利用する場合、通常の会社と比べ助成金額に一定の金額が上乗せで支給されます。

具体的には、次の助成制度が対象となります。

キャリアアップ助成金

有期労働者やパート・アルバイト、派遣労働者などの非正規労働者に対して研修などの教育体制の整備や雇用待遇の改善を実施し、安定した職場環境を作り出した事業主に対して行われる助成制度です。正社員化コースや人材育成コース、賃金規定等改定コースなど、取組の内容に応じてさまざまなコースが設定されています。

【参考】厚生労働省ホームページ:キャリアアップ助成金

人材開発支援助成金

人材開発支援助成金は、人材育成のための体制を整えた会社が受けることのできる助成制度で、キャリア形成促進助成金が平成29年にリニューアルしたものです。制度の内容としては、「訓練関連」と「制度導入関連」の2種類が設けられています。訓練関連には特定訓練コースと一般訓練コースがあり、社員の職業能力開発に関する計画を立て、内容に応じた職業訓練を行った場合に助成が受けられます。

制度導入関連の場合は、キャリア形成支援制度導入コースと職業能力検定制度導入コースがあり、専門コンサルタントによるセルフ・キャリアドックや技能検定報奨金制度などを導入した場合に助成が受けられます。

【参考】厚生労働省ホームページ:人材開発支援助成金(旧キャリア形成促進助成金)

トライアル雇用助成金

トライアル雇用助成金とは、経験やスキルなどから勘案すると就職するのが難しいとされる者を、ハローワークなどによる紹介で一定期間働かせた場合に受けることができる助成制度です。トライアル期間は最大3ヶ月で、就労日や対象となる労働者の状況に応じて支給金額が異なります。

【参考】厚生労働省ホームページ:トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)

特定求職者雇用開発助成金

トライアル雇用助成金と同様に、就職するのが難しいとされる者を、ハローワークや職業紹介事業者による紹介で雇用する会社に対して行われる助成制度です。トライアル雇用助成金と異なる点は、対象となる求職者が高年齢者や障害者、母子家庭における母などである点と、最大3ヶ月のトライアル期間が設けられていないことです。対象となる労働者の状況や雇用形態に応じて支給される金額が異なる点に特徴があります。

【参考】厚生労働省ホームページ:特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)

低利による融資が可能

ユースエール認定企業になっていれば、株式会社日本政策金融公庫が行う「地域活性化・雇用促進資金」を利用する際に、基準となる利率よりマイナス0.65%の低利による融資が受けられます。

資金を受けることができる用途としては、企業が新たに事業を行う際に必要となる設備投資費や運転資金などが挙げられ、限度額は中小企業事業の場合は7億2000万円です。

【参考】厚生労働省リーフレット:ユースエール認定企業は日本政策金融公庫が実施する融資において、金利の引き下げ対象となります!

公共調達での加点評価

国や公共機関が発注する調達のうち、総合評価落札方式や規格競争方式による内容の場合は、契約の内容に基づいた上でユースエール認定企業に加点評価がつけられます。

これは、「女性の活躍推進に向けた公共調達及び補助金の活用に関する取組指針」により定められた制度です。その他の認定、たとえば女性活躍推進法や次世代育成支援対策推進法による認定を同時に受けている場合は、さらに加点の数が高くなります。

【参考】厚生労働省リーフレット:ユースエール認定企業を公共調達において加点評価するよう、国が定める指針に示されました!

認定企業になるための要件とは

ここまでは、ユースエール認定企業として認められた際に生じるメリットについて説明してきました。対外的なイメージアップや金銭上における恩恵など、その内容は多岐にわたることがお分かりいただけましたでしょうか。

では、ここからは、実際に認定を受けるために必要な要件について述べていきます。これから記載する要件をすべて満たした企業が、認定を受けることができるのです。自分の会社が認定を受けることができるかどうかの見極めや、不足している点の洗い出し作業などに役立てて下さい。

若者の雇用・育成に積極的である

まず覚えておかなければならないのが、ユースエール認定制度を受けることができるのは中小企業である、という点です。なお、この場合における中小企業とは、常時雇用の労働者が300人以下の企業のことをいいます。

その上で挙げられる要件として、若者労働者の雇用や育成に積極的に取り組んでいる事実が必要になります。たとえば、新卒者や卒業後3年以内の既卒者の求人募集を行っていることや、若者労働者の採用や育成に取り組んでいることなどです。

職場環境の整備

ユースエール認定企業となるためには、社内の人事労務体制が模範的な環境であることが求められます。具体的には、次の項目のすべてを満たす必要があります。

  • 人材育成方針・教育訓練計画の2種類を策定している
  • 直近の3事業年度において、新卒正社員の離職率が20%以下である(採用者数が3~4人の場合は1人以下)
  • 直近の事業年度の正社員の月平均所定外労働時間が20時間以下、かつ月平均法定時間外労働が60時間以上の労働者がいない
  • 直近の事業年度の正社員の有給休暇取得率が平均70%以上、もしくは年間取得日数が平均10日以上(労働者1人につき上限日数は5日)
  • 直近の3事業年度で男性労働者の育児休業等取得者が1人以上、もしくは女性労働者の育児休業等取得率が75%以上である

【参考】厚生労働省リーフレット:若者の採用・育成に積極的で雇用管理の優良な中小企業を応援します!(【認定基準】)

青少年雇用情報の公表

ユースエール認定企業としての必要要件に、社内の雇用状況を適切に公表しているかどうかの項目があります。具体的には、次の内容を公表しなければならないとされています。

  • 直近の3事業年度における新卒者の採用者数・離職者数、男女別採用者数、平均継続勤務年数
  • 研修内容やメンター制度の有無、自己啓発支援・キャリアコンサルティング制度・社内検定等の制度の有無と内容
  • 直近の事業年度における月平均の所定外労働時間数、有給休暇の平均取得日数、育児休業の取得対象者数・男女別の取得者数、女性役員・管理職の割合

【参考】厚生労働省リーフレット:若者の採用・育成に積極的で雇用管理の優良な中小企業を応援します!(【認定基準】)

ルールを守っているか

その他、認定を受けるために必要最低限の要件として、会社として当然守るべきルールを守っているかどうかの判定がなされます。具体的にいうと、次の項目をすべて満たしている必要があります。

  • 過去3年の間に認定企業の取消措置を受けていない
  • 過去3年の間に認定基準から外れたことを理由に認定の辞退をしていない
  • 過去3年の間に新卒者の内定取消しを実施していない
  • 過去1年の間に事業主都合の解雇や退職勧奨を実施していない
  • 暴力団関係事業主ではない
  • 風俗営業等関係事業主ではない
  • 助成金の不支給措置を受けていない
  • 労働関係の重大な法令違反を行っていない

【参考】厚生労働省リーフレット:若者の採用・育成に積極的で雇用管理の優良な中小企業を応援します!(【認定基準】)

さまざまな認定制度

国では、ユースエール認定制度の他にも、さまざまな認定制度が設けられています。ここからは、具体的にどのような認定制度があるのかを紹介していきましょう。

すべて、前述の「若者雇用促進総合サイト」に掲載されている認定制度であるため、ユースエール認定制度とあわせて利用することで、職場内の環境向上や対外アピールなど更なるメリットが期待されています。

えるぼし認定企業

えるぼし認定制度は、平成28年4月に創設された「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」における制度で、ユースエール認定制度と同じく厚生労働省が実施しています。 行動計画を作成し、女性労働者が自身の望む形で働くことができる環境を整えた企業に対し、内容が「優良」であると認められた場合に、えるぼし認定企業となることができます。

【関連】 えるぼしの意味とは?認定企業例やくるみんマークとの違い / BizHint HR

くるみん認定企業

くるみん認定制度は、「次世代育成支援対策推進法」における制度です。一定の基準を満たした企業が申請することで「くるみん認定企業」となることができます。認定を受けた企業は「子育てサポート企業」として、くるみんマークを利用することができます。

プラチナくるみん認定企業

プラチナくるみん認定企業とは、すでにくるみん認定を受けた企業がより高い水準における取組を実施し、一定の基準を満たした企業が申請することで受けることができる制度です。

特例認定となる「プラチナくるみん認定企業」となった際には、12色から成るプラチナくるみんマークを利用することができます。

【参考】厚生労働省ホームページ:次世代育成支援対策推進法関係パンフレット(次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し、くるみん認定・プラチナくるみん認定を目指しましょう!!!(平成29年7月))

若者応援宣言事業

若者応援宣伝事業は、前述の認定制度とは異なるものの、ユースエール認定制度と同じく若者労働者を応援するための事業です。

人事労務管理がきちんと行われており、若者労働者の採用や教育体制の整備を実施している企業で、詳細にわたる企業や採用の情報を公表する中小企業を「若者応援宣伝企業」に任命し、人材マッチングサービスや応募者に対するPR活動を実施しています。

メリットとは

若者応援宣伝企業となった場合、ユースエール認定制度と同様にさまざまなメリットが期待されています。たとえば、若者雇用促進総合サイトに企業情報が掲載されることによる企業イメージのアップや就職面接会の参加機会が増加する効果、そして詳細にわたる企業情報を掲載することで見込める若者労働者の職場定着率アップなどが挙げられます。

宣言企業になるためには

実際に若者応援宣伝企業となるためには、次の項目すべてを満たす必要があります。

  • 新卒者や卒業後3年以内の既卒者の求人募集を行っている
  • 若者労働者の採用や育成に取り組んでいる
  • 定められた雇用情報項目の公表
  • 過去3年の間に新卒者の内定取消しを実施していない
  • 過去1年の間に事業主都合の解雇や退職勧奨を実施していない
  • 暴力団関係事業主ではない
  • 風俗営業等関係事業主ではない
  • 助成金の不支給措置を受けていない
  • 労働関係の重大な法令違反を行っていない
  • ユースエール認定制度の取り消しから3年以上経過している

【参考】厚生労働省ホームページ:「若者応援宣言」事業

厳しくなる認定基準

国が定める各種の認定制度で設けられている基準は、年々厳しくなる傾向にあります。原因としては、認定を受けていた企業による長時間労働問題や過労自殺の問題が表面化し、認定制度に対する不信感が増したことが挙げられます。

特に、勤務する労働者の勤務時間や離職率、有給休暇の取得率に関しては、社員に与えられるべき最低限の権利が遵守されているかを判断する重要な項目となるため、特に厳しい規制がなされる可能性があります。

まとめ

  • ユースエール認定企業は、若者雇用促進法の流れを受け、若者の採用活動や育成活動を積極的に実施することで国から若者労働者の雇用管理状況が優良だと判断された企業。
  • ユースエール認定を受けることで、求人アピールや就職面接会への参加、認定マークの利用や助成制度の加算、低利融資や公共調達の加点評価などのメリットがある。
  • ユースエール認定企業となるためには、若者労働者の育成に積極的な取組を実施している他、職場環境の整備や雇用情報の外部公表などの要件を満たす必要がある。

<執筆者> 加藤知美 社会保険労務士(エスプリーメ社労士事務所)

愛知県社会保険労務士会所属。愛知教育大学教育学部卒業。総合商社で11年、会計事務所1年、社労士事務所3年弱の勤務経験を経て、2014年に「エスプリーメ社労士事務所」を設立。


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