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2018年11月14日(水)更新

ジョブ・リターン制度

ジョブ・リターン制度とは、何らかの理由(結婚・出産・育児・介護・配偶者の転勤など)により退職した社員を、本人の希望により企業が再雇用する制度をいいます。この制度を導入する企業側のメリット・デメリット、導入事例も参考にしながら、ワークライフバランス推進の一手となる、ジョブ・リターン制度について詳しくご紹介します。

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ジョブ・リターン制度とは?

ジョブ・リターン制度とは、一旦何らかの個人的事情(結婚・出産・育児・介護・配偶者の転勤など)で退職した社員が、本人の希望により退職前の企業に再雇用される制度をいいます。

この制度は再雇用する企業側だけでなく、再雇用される側にも多くのメリットがあることから、厚生労働省の雇用機会均等基本調査(平成23年)ではなんと事業所の53.1%で導入されています。また、政府が推奨するワークライフバランス女性活躍推進も後押しとなり、「ジョブ・リターン制度」を導入する事業所は年々増加傾向にあります。

【参考】厚生労働省:平成23年度雇用均等基本調査

日本の人口は2004年をピークに減少が進み、2010年の総務省統計局によると、生産年齢人口(労働者数)は2010年の約8千万人から2030年には6.8千万人まで減少すると予測されています。こうしたことから少子高齢化の進む日本では、年齢や性別に関係なく、生産人口を上昇させることが急務です。そのためジョブ・リターン制度は、まさに国策に沿った雇用制度ともいえるでしょう。

【出典】厚生労働省:女性の再就職・再雇用

【関連】ワーク・ライフ・バランスとは?企業の取り組み事例と実現のポイント / BizHint HR
【関連】【社労士監修】女性活躍推進法にどう取り組む?法令の詳細と事例/ BizHint HR

ジョブ・リターン制度を利用する人たち

それでは、ジョブ・リターン制度を利用する方の属性について見ていきましょう。

結婚・出産・育児

結婚や出産、育児により退職したものの、子供の手がある程度離れたことを機にまた働きたい、という方々です。ただ、この属性の方々の場合は、労働時間や始業時間、残業の上限、仕事内容など、細かなヒアリングが必要になります。

介護

自分の親や配偶者の親、または配偶者など家族の介護の為に退職したものの、介護する方がお亡くなりになるなど、介護の必要が無くなったことを機に働きたいという方々もいます。

配偶者の海外赴任や転勤

配偶者の海外赴任や転勤を機に退職したものの、配偶者が以前勤めていた会社の近くに転勤になった場合に、もう一度働きたいという方々です。

上記のように、現在のところジョブ・リターン制度を利用するのは女性に多く見られます。しかし今後は、独身男性の両親が高齢化することによる介護離職や、離婚率上昇によるシングルファーザーの育児離職など、男性の利用も増加すると予測されています。

ジョブ・リターン制度導入企業のメリットとは?

さて、ジョブ・リターン制度導入企業には、どのようなメリットがあるのでしょう?

即戦力人材の確保

ジョブ・リターン制度で再就職する方々は、元々その会社の社員ですので、退職前に培った業務経験を活かせるため、企業側にとっても即戦力になります。また教育コストを抑え、社風や業界ルールを1から教え込む必要もないので、すぐに社員として馴染むことが可能です。

帰ってきた社員のモチベーションが高い

再雇用された人材は会社への愛着もあり、仕事へのモチベーションが高い傾向にあります。また、離職期間中にスキルアップして復職する社員もいるため、企業にとっても新しい知見や刺激を得ることで、事業の改善や改革に繋がります。

社外へのアピール

ジョブ・リターン制度を導入し、再雇用された方(特に子育てをしながら復職する社員)が多ければ多いほど、社外へ以下のようなアピールが可能です。

  • 一時は離職しても、再び働きたいほど良い会社である。
  • 時間外労働が少ないか、労使協定通り月の時間外労働数の上限規制を実施している会社である。
  • 連合(日本労働組合総連合会)で叫ばれている、休息なき過重労働での過労死がなく、社員の健康確保に努めている会社である。

職場意識改善助成金が支給される

日本では、中小企業を対象とした様々な助成を行う助成金制度がありますが、「職場意識改善助成金」という厚生労働省の助成制度があります。これは、ジョブ・リターン制度そのものではありませんが、

  1. 労働者の年次有給休暇の年間平均取得日数を4日以上増加させる
  2. 労働者の月間平均所定外労働時間数を5時間以上削減させる
  3. 支給対象となる取組を行う(労働者に対する研修、周知・啓発など)

ことを条件に、上限100万円の助成金が支給されるという制度です。

ジョブ・リターン制度の導入をきっかけに、社内制度の改善や、労働者に対する研修を行うことで助成金が貰えることも、メリットの1つと言えます。

【参考】厚生労働省:「職場意識改善助成金」のご案内

ジョブ・リターンのデメリットとは?

メリットがあればデメリットも存在します。デメリットを理解したうえで、導入を検討することが必要です。

柔軟な雇用形態を整備する必要がある

ジョブ・リターン制度で復職するにあたり、以前のようにフルタイムでバリバリ働きたいのか、子育てを中心にしながらパートとして働きたいのかなど、人によって希望する働き方は異なります。そうした復職者のニーズに合った雇用形態を整備する必要があります。

また、再就職後にキャリア形成できる環境を整える必要もありますし、相談できる環境や面談の実施など、再雇用後もきめ細やかな対応が必要となります。そうなると、少数精鋭で運営している中小企業の事業主や事業場では、これらの対応が重い負担になる可能性もあります。

退職者へ周知する必要がある

せっかく企業が退職者にジョブ・リターン制度を用意していても、退職者に制度が周知徹底されていないために、退職者が制度を認識せず、応募が集まらないということもあります。また、その企業のジョブ・リターン制度で求められる仕事とはどのようなものがあるのか、職場を離れている間の職場環境の変化などの情報が不足しているため、ジョブ・リターン制度は認識していても、応募には二の足を踏んでしまうこともあるようです。

優秀な退職者が戻ってこないことは企業にとっても損失です。この損失を防ぐため、退職者向けにインターネットサイトを開設し、労使がジョブ・リターン制度で募集する業務・対象基準・就業規則など最新の情報にアクセスできる仕組みを設けている企業もあるようです。

「また辞めるのでは?」という現役社員の疑惑

ジョブ・リターン制度が企業で導入されて間もない場合、現在働いている社員は復職した社員に対し「また何らかの理由で辞めるのでは?」という疑惑を持つ場合があります。また、パートで再就職したにもかかわらず、以前と同様バリバリ仕事をするように周囲が求めた結果、本当に再度退職せざるを得ない場合もあります。そのため現在働いている社員に対しても、ジョブ・リターン制度に対する知識を深め、理解を促す勉強会などを開催する必要があります。

ジョブ・リターンの導入企業例

それでは、ジョブ・リターン制度を導入している企業として、大成建設を例に見てみましょう。

大成建設では、平成20年からジョブ・リターン制度を導入し、のべ9名復職しています。同社での制度対象者は勤続3年以上の社員で、出産・育児・配偶者の転勤・介護が理由の退職者となっており、復職までの期限は特に定めていません。制度の登録は退職時、その後は年1回希望が継続しているか確認を取っています。

ジョブ・リターン制度での復職先は、退職前の職種が原則ですが、他企業での就職経験がある場合は、キャリアアップしたと見做され、給与水準や処遇に反映されます。EU労働市場での採用は、空いたポストに相応しい経験者や有識者を対象とし、他企業での実績やキャリアも考慮されますが、同社のジョブ・リターン制度はそれによく似た制度と言えます。

他にも、帝人株式会社や大同生命保険株式会社など、厚生労働省は様々な企業での導入事例を紹介していますので、興味のある方は是非ご覧ください。

【参考】厚生労働省:女性の再就職・再雇用

まとめ

  • ジョブ・リターン制度は復職希望者だけでなく、企業側にも大きなメリットのある制度です。ただし制度自体がまだ黎明期であり、導入企業によっても手法は異なります。
  • 少子高齢化が進み、労働人口減少が進む日本において、避けて通れない問題への1つの解決策であることは事実です。
  • 今後は更にジョブ・リターン制度導入企業が増え、より使いやすい制度になることが期待されます。

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