連載:第18回 コロナ危機と闘う
コロナ禍で露わになった、経営者がオフィスに求めていたもの
オフィスとは何なのか?コロナ禍を通じ、多くの企業がリモートワークに取り組む中で「働く場所」の意味づけが変化しています。一方で、それまで当たり前のようにそこにあったオフィスは、その存在意義の検討を通じて「本質的な役割」が見えてきました。今回は、デザイナーズオフィスを数多く手掛けてきた、株式会社ヴィスの常務取締役COO金谷智浩さんに、コロナ禍で形を変えるオフィスの事例や、様々な経営者が考える「オフィスの役割」について伺いました。
株式会社ヴィス
常務取締役COO 金谷智浩さん
1976年大阪府生まれ。1999年関西学院大学社会学部卒業。株式会社学情で広告企画およびHR企画営業を経験ののち、2004年デザイナーズオフィス事業立ち上げに際して株式会社ヴィスに参加。プロジェクトマネージャーとして数多くのスタートアップ企業のオフィスを手掛けつつ、新卒採用構築や広報・WEBマーケティング責任者として幅広い業務に対応。
コロナ禍のオフィス市場に2つの変化。オフィス離れとオフィス回帰
――コロナ禍でオフィスの考え方にどのような変化が見られましたか。
金谷智浩さん(以下、金谷): 2020年4月の1回目の緊急事態宣言の際は、新型コロナがどのようなものかもわからない中「オフィス不要論」に象徴される形で、全体的に「オフィスは固定費、削減」「何としても会社を存続させる」という雰囲気が漂っていました。
しかし最近、2021年初頭になると、自社の将来を見越してオフィスを移転するのか、今のオフィスを改装するのか、 その動きは百社百様になっています。 ビジネスや採用の形態、会社の成長ステージ、社員の IT リテラシーなどによって考え方は本当に様々ですね。
――百社百様な中でも、傾向や特徴的な動きはありますか。
金谷: 2020年8月に当社が実施したアンケートでは、現状のオフィス面積を維持したまま、その中身を改装するという回答が過半数を占めていました。「オフィスはいらない」というニュース・論説も一部で耳にしますが、 「今のオフィスで、その中身を変えることでさらに活用していきたい」というのがマーケットの正直な声 だと感じています。
実際、当社への相談でも「働く場所としてのオフィスはベースにあるけれども、テレワークも活用できるような、次のオフィスのあり方を模索したいので提案してほしい」というものが2020年の秋口から特に増えている状況です。
――中にはオフィスを全面解約する動きもあったのでしょうか。
金谷: 1回目の緊急事態宣言が出たときに、オフィスを全面解約した会社もありましたね。我々としても「時期尚早かもしれません」とお話ししたものの、目の前の利益を確保するために仕方なくという会社もありました。
バーチャルオフィスなどでも、社員のエンゲージメントを低下させない仕組みができていればよいのですが、事前の準備なしに オフィスを廃止したある経営者は「やっぱり集まる場所としてオフィスは必要だった」と漏らしていました。
在宅ワークへの適応で、オフィスには「選択肢」と「心地よさ」を
――コロナ禍によってオフィスが変化した具体的な事例を教えてください。
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