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2017年12月17日(日)更新

生産性向上

少子高齢化による労働人口の減少により、日本の生産性向上は直近の課題です。この記事では、日本の現状や課題、業務効率改善との違い、生産性向上の具体的な方法、企業が生産性向上のために考えるべき視点や、取り組み事例についてご紹介いたします。

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生産性向上とは?言葉の意味

まずは、「生産性向上」の言葉の意味を改めて確認していきましょう。

生産性とは、生み出された成果・価値と、その成果物を生み出すために投入された資源量の比率のことです。「投入資源からどれだけの価値が生み出されるか」の効率とも言え、「アウトプット」÷「インプット」として表現することができます。

【図表1】生産性とは

そして、インプット(投入資源)が少なく、アウトプット(得られる成果)が多いほど「生産性が高い」と言われます。この生産性を向上させる取り組みが、日本経済において必要とされています。

【関連】BizHint HR:「労働生産性」は付加価値が大切?日本企業の現状と課題、取り組むべき施策とは?

生産性向上と業務効率化の違い

生産性向上と業務効率化はよく混同されて使われる言葉ですが、言葉の意味には違いがあります。

業務効率化とは、今まで行っていた仕事のスピードを早めたり、ロスを小さくしたりと、効率化することです。生産性向上とは、「アウトプット」÷「インプット」の値を大きくすることです。従って、業務効率化に加え、大規模なリストラクチャリングや新規事業の創出など、幅広い手段が考えられます。

なぜ生産性向上が必要なのか

日本において、なぜ生産性向上が必要なのでしょうか。

世界で戦える競争力の強化

生産性向上が必要な理由として、日本の国際競争力の強化が挙げられます。

世界各国の国際競争力を表す代表的な評価指標としては、スイスに本部を置く国際経営開発研究所(IMD)が発表する「国際競争力ランキング」があります。

IMDによると、1989年から1993年までは日本が総合ランキング第1位でした。しかし、近年は20位~30位の間で推移しています。一方、香港やシンガポール、台湾、カタール、中国等のアジア諸国は日本より上位を推移しており、相対的に見て、アジアや世界における日本の競争力は低下していると言えます。

【図表2】IMD国際競争力ランキングの推移

【出典】文部科学省:「平成25年版科学技術白書」第1章 我が国の科学技術政策を取り巻く動向

今後の日本の経済成長や発展には、国際競争力の強化が必要です。そのために、生産性の向上が求められています。

労働人口の減少

日本社会は少子高齢化、人口減少の時代に突入しています。企業活動において特に問題と言えるのが、労働力人口の減少です。労働力人口が減少すると、企業にとって採用候補者の確保がさらに難しくなり、人手不足に拍車がかかることが予想されます。

日本人労働者の減少に伴い、外国人労働者の受け入れを積極的にすべきだ、という意見も主張されています。しかし、外国人労働者の受け入れは、短期間で抜本的に進むものではないでしょう。企業ができる努力として、少ない労働者でも成果が挙がるように、生産性向上に取り組む必要があります。

【関連】BizHint HR:労働力人口とは?労働力人口の減少に企業はどう立ち向かうべきか?
【関連】BizHint HR:採用難とは?原因と人手不足を乗り越えるための対策をご紹介

優秀な人材の採用と定着

優秀な人材の採用と定着のためにも、企業の生産性向上は重要です。

昨今では頭脳労働が企業活動の中心となっています。一人のハイパフォーマーの活躍が、企業全体の業績に大きな影響を与えることも当たり前になってきています。

ハイパフォーマーを採用し、存分に活躍してもらうためには、成果に見合った待遇の用意や、労働環境の整備が不可欠です。人材に投資をし、成果を挙げ、得られた資金を更に投資することで、企業の生産性が向上していくような、好循環を回していくことが求められています。

また、一般的にハイパフォーマーは、部下や同僚、上司や経営者など、自身の周囲にも生産性の高さを求めるでしょう。優秀な人材が働き続けたいと思える職場であるためにも、企業全体での生産性の向上が重要と言えます。

【関連】BizHint HR:ハイパフォーマーの特徴とは?具体例と採用に活用する方法

日本における生産性向上の現状と課題

ここからは、日本における生産性向上の現状と課題を確認していきましょう。

日本における生産性の概況

公益財団法人日本生産性本部の発表によると、OECD加盟諸国の労働生産性において、日本の労働生産性は35カ国中22位となっています。一人あたりの生産性は高いとは言えない状況です。

【図表3】)OECD加盟諸国の労働生産性(2015年/35カ国比較)

【出典】日本生産性本部:労働生産性の国際比較

日本における産業別の生産性

こちらも公益財団法人日本生産性本部の発表によりますが、アメリカと比較した際の日本の産業別生産性は次の図のようになっています。

【図表4】日米の産業別生産性(1時間あたり付加価値)と付加価値シェア(2010~2012年)

【出典】公益財団法人日本生産性本部:日米産業別労働生産性水準比較

化学や機械、輸送機械(自動車)などは生産性に優れている一方、各種サービス産業や農林水産業の生産性はアメリカと比べて大きく下回っています。

日本の生産性の低い原因としては様々な理由が考えられますが、日本的経営の弊害や、過剰サービス、最新技術の未活用などが挙げられます。

日本における生産性向上の課題

日本における生産性向上の具体的な課題の例を紹介します。

日本的経営からの脱却

日本的経営によって我が国は経済成長を遂げ、世界に冠たる経済大国になりました。しかし、年功序列や終身雇用といった日本的経営の特徴が、昨今では企業における生産性向上の弊害となっている場合も見受けられます。

日本的経営を見直し、時流にあった人事制度の構築や企業風土の変革が必要とされています。

【関連】BizHint HR:日本的経営とは?日本的経営三種の神器、メリットデメリットをご紹介

新しい技術の導入

業務効率の改善や、イノベーションの創出には、新技術やICTを導入し上手に活用することが有効です。ですが、日本らしい保守的な文化が妨げとなり、新しい技術の導入が遅々として進まない場合があります。

公共・福祉サービスの生産性

政府や地方公共団体、教育機関や福祉施設など、公共・福祉サービスの生産性の低さも問題視されています。非効率的な行政運営による財政圧迫や、低賃金・長時間労働による保育士、福祉関係の労働者不足などといった課題が生じています。

その他、財政出動により本来需要や市場優位性の無い公共事業関連企業も救済され、旧態依然とした生産性の低い産業構造が続いてしまう問題も発生しています。

生産性向上の施策 4つのパターン

ここからは、生産性向上の施策について解説します。生産性向上の方法は、大きく次の4つのパターンに分類されます。

  1. 投入資源減…インプットを減らし、アウトプットを維持します。
    具体例としては、業務の見直しによる無駄な工程、ロスの削減などが挙げられます。
  2. 成果増…インプットを維持し、アウトプットを増やします。
    具体例としては、労働者の能力・集中力向上による時間あたりの成果増や、商品価格の値上げなどが挙げられます。
  3. 規模縮小…インプットを大幅に減らし、アウトプットを減らします。
    具体例としては、不採算部門の売却や縮小、人員削減といったリストラクチャリングが挙げられます。
  4. 規模拡大…インプットを増やし、アウトプットを大幅に増やします。
    具体例としては、採算部門への増員や新たな技術投資が挙げられます。

生産性向上の具体的な方法と人事の役割

生産性向上の取り組みは、個人や現場に委ねられることが多く見受けられます。その場合、取り組みが失敗に終わるケースも少なくありません。個人や現場だけでできることには限りがあるからです。そのため、組織全体での取り組みが必要となります。

従って、生産性向上の一番の主体は経営者であると言えます。企業のトップたる事業主がリーダーシップを発揮し、これまでのやり方を改革していく必要があります。そして、その伴走者として人事の役割があるのです。

ここからは、生産性向上の具体的な方法と、人事の役割について解説します。

個人の生産性向上

生産性向上に欠かせない要素が社員・労働者による生産性向上です。個人の生産性を向上させるためには、現在の状況を正確に分析し、関係者間で共通認識化する必要があります。また、現状分析において、明らかになった課題や問題点を「見える化」することで改善策を考え、取り組んでいく必要があります。

また、今後はAIやロボット、ビックデータ解析などにより、労働環境が大幅に変化していきます。政府も「第10次職業能力開発基本計画~生産性向上に向けた人材育成戦略~」で、これからの労働環境に適応した職業訓練や人材育成を積極的に推進していくと宣言しています。具体的な支援施策として、事業主団体への各種サポート、人材開発支援助成金などがあります。人事担当者として、国のこれからの動向についても注目できると良いでしょう。

社員・労働者による生産性向上の具体的な方法は、大きく次の4つに分けられます。

  • 業務改善
  • 技術習得
  • タスク管理
  • 集中力を高める

業務改善

「業務改善」による生産性向上では、取り組んでいる業務の無駄を削減し、効率化する作業が中心となります。

個人としてできる具体的な方法としては、まず「取捨選択を行なう」ことが挙げられます。

特に新入社員がやってしまいがちな行動に、「何でも引き受けてしまう」という行動があります。自分の能力以上に仕事を引き受けてしまうことは、本人の精神的なストレスが大きくなるだけでなく、仕事ができなかったときに周囲に迷惑をかけてしまうことになります。そのため、やるべき仕事とそうでない仕事を自分自身で考え、周囲に相談しながら、取捨選択することを心がけましょう。

また、ルーチンワークになりやすい業務は予め把握し、いつでも他の人に委任できる状態にしておきましょう。そのためにも業務の合間を見て、業務マニュアルを作っておけば、引継ぎもスムーズに進みます。業務マニュアルを作ることで、無駄な作業を可視化でき、業務改善のきっかけにもなります。

そして、100%にこだわりすぎないことも重要です。

仕事に対して、プロ意識を持ち、自分が持てる力を100%出し切ることは大切です。しかし、自分の力を100%発揮することと、仕事の内容を100%にすることは異なります。

100%の仕上がりにしたところで、修正や変更を起きる可能性もあるため、100%に仕上げることはかえって生産性向上の障害となってしまいます。報連相を蜜に行い、落とし所を探りながら、業務に当たるのが望ましいといえます。もちろん、完全な手抜きは論外です。

人事の役割としては、社員・労働者の業務改善の状況や工夫などの情報収集を行った上で、有効な業務改善事例の広報や、研修などの教育プログラムの提供、その他包括的なサポートの実施などが挙げられます。

技術習得

生産性向上には、社員・労働者が限られた労働時間の中で、効果的なパフォーマンスを上げるための技術習得も必要です。

個人として習得すべき能力やスキルは、ショートカットキーの活用や効率的な資料作成方法などの時間短縮仕事術から、短時間で相手に理解をしてもらい無駄な時間を削減するコミュニケーション技術、より難易度や付加価値の高い仕事ができるようになるための専門技術、その他直面する問題に対応するための課題解決能力、自己のモチベーションや体調といった自己管理方法など、多岐に渡ります。

人事の役割としては、スキル習得のための研修プログラムや学習機会の提供が挙げられます。スキルに関しては訓練で向上させることができるので、積極的に実施していくことが望ましいでしょう。

【関連】BizHint HR:『社内研修』のテーマ選定と企画選定の進め方

タスク管理

仕事を行なう上で、タスクの洗い出し、管理は欠かせない作業といえます。タスク管理はちょっとした心がけから始めることができます。

タスク管理のポイントは、タスクを遂行する上で適切な時間配分を考えるようにすることです。やるべきことをすべて洗い出し整理した上で、仕事を分解し、最適な時間配分を考え、仕事に取り組んでいくようにしましょう。また、優先順位をつけることで一見複雑に見える業務も片付けやすくなります。

また、「仕事始めと仕事終わりに考える時間を作る」こともポイントです。

仕事始めには1日の業務を整理し、1日の流れを把握しておきましょう。そうしておけば、差込の仕事が入ったとしても適切に処理することができます。また、仕事の終わりには未完了のタスクを整理し、明日のスケジュールやタスクを洗い出しておきます。それにより、翌日出社後スムーズに仕事を開始することが可能になります。

仕事始めと同じように明日以降の仕事の流れをイメージしておくことも忘れないようにしましょう。

人事の役割としては、タスク管理に関する研修プログラムの提供などが挙げられます。

【関連】BizHint HR: タイムマネジメントの意味とは?方法やコツを分かりやすく紹介

集中力を高める

生産性向上には集中力を高めて、業務に取り組むことが大切です。

集中力を高めるポイントとしては、まずスマートフォンの電源をオフにすることが挙げられます。

友人からの連絡やアプリからのお知らせを伝えてくれるスパートフォンのPUSH通知機能は、集中力を途切れさせる原因になります。そのため、業務中はプライベート用のスマートフォンの電源はオフにしておきましょう。

また、適度な仮眠をとることもおすすめです。ランチ後や午後に急な眠気に襲われ、集中力が途切れてしまうという方も多いかと思います。そんな時は椅子に座ったまま、目を閉じて、5~10分間仮眠するとよいでしょう。小時間の仮眠は集中力の回復に効果があるため、昼寝タイムを推奨する企業も増えています。

ただし、会社によっては勤務時間中やオフィススペースでの仮眠が推奨されない場合もあります。その場合は休憩時間の一部を使ったり、人目につかない所へ移動して実践したりすると良いでしょう。

仕事終わりにプライベートの予定を入れておくこともおすすめです。業務終了後に予定があることは、就業時間までに業務を終わらせようとするため、集中力が高まる傾向にあります。

最近では、ちょっとしたお茶会や勉強会など気軽に集まって、趣味に取り組めるコミュニティも充実しています。きっかけ作りとして小さなイベントに参加してみるのもおすすめです。

個人の集中力向上のために人事担当者ができる施策としては、労働環境の改善となるでしょう。

具体的な方法としては、適切な時間・スケジュール管理による長時間労働の是正が挙げられます。労働者の健康状態を改善しパフォーマンスを高める「健康経営」の推進も有効でしょう。

【関連】BizHint HR:長時間労働の原因とは?削減に向けた対策・厚生労働省の取組をご紹介
【関連】BizHint HR:健康経営とは?企業の取り組み事例を交えご紹介

また、フレックスタイムやテレワークなど新しい働き方の導入や、ITを活用した支援を行なうことも大切です。

【関連】BizHint HR: フレックスタイム制とは?メリット・デメリット~導入方法・残業代まで徹底解説
【関連】BizHint HR:テレワークとは?意味やデメリット、導入企業事例、助成金制度を紹介

チーム内の生産性向上

例え社員一人ひとりがどんなにハイパフォーマーであっても、チーム内で連携がとれていなければ、非生産的な行動をしてしまいがちであると言えます。うまく連携がとれれば、顧客の事例や提案資料を共有しあったり、直面している課題について多様な意見を募れたりなど、様々なメリットを生むことが出来ます。

チーム内の生産性向上には、管理職のマネジメント力の向上や、チーム内のコミュニケーションの改善、信頼関係の構築が重要です。特に、自分が感じたままの想いを素直に伝えることのできる環境や雰囲気、すなわち「心理的安全性」があることは、成功するチームの構築に最も重要なものであるとされています。

【関連】BizHint HR:心理的安全性とは?googleが発見したチーム生産性を高める唯一の方法

人事の役割としては、管理職に対するマネジメント能力向上の機会提供や、その他チームワークを発揮するための各種フォローが挙げられます。

【関連】BizHint HR:マネジメント研修とは?その目的や実施ポイント・研修内容例や研修会社までご紹介
【関連】BizHint HR:チームワークの意味とは?定義や仕事を進める上での重要性

チーム間の生産性向上

例えば「営業が納期の厳しい仕事を頻繁に取ってくるため、生産チームが全体的に疲弊している」といった問題は、チーム内だけでは解決できません。このように、生産性向上には、横断的な改革プロジェクトがしばしば必要となります。

このような問題への対処には、部門横断的なクロスファンクショナルチームの取り組みや、システム思考に関する理解が有効でしょう。

【関連】BizHint HR:クロス・ファンクショナル・チーム(CFT)とは?日産の事例から学ぶ成功ポイント
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会社全体の生産性向上

生産性向上においては、技術投資によって改善することが可能です。製造業であれば、自動化を前提とした生産機器の導入が代表的です。

しかし、技術投資は何も商品の製造を促進するものばかりではありません。社員・労働者の業務をサポートする情報技術の活用も技術投資の一環です。労働時間を適切に管理する勤怠管理システムや製造の品質・スケジュール管理を担うシステムの導入で、生産性向上の効果を得ることができます。

今後、AIやロボット技術が発達していく上で設備投資による生産性向上は重要な経営戦略となります。また、これらの設備投資を実施する際は政府の支援策を利用することが可能です。法律によっては事業年度の期日や適用対象事業年度が決まっているものもあるので、適用が可能か経済産業省のホームページを確認することをおすすめいたします。

一方、人事の役割としては、優秀な人材の採用と配置、創造性を発揮しやすい職場づくり、風土改革、総合的な働き方改革の推進などが挙げられます。会社全体の生産性向上は、人事の真骨頂であると言っても過言ではないでしょう。

【関連】BizHint HR: 人事システムとは?目的や種類、導入ステップやポイントまでご紹介
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生産性の高い企業をつくる上で検討すべきポイント

ここからは、生産性の高い企業をつくる上で検討すべきポイントについて解説します。

現状と課題の「見える化」ができているか

生産性向上には、徹底した現状分析と課題の見える化が必要です。見える化を行なうことで、インパクトがある施策を選択し、実行した施策に関して効果を測定することができるようになります。以下のような視点で業務をチェックしましょう。

  • 現状の運用でどれくらいコストが発生しているのか
  • 生産性の低い原因は何か
  • 改善することでどれくらいコストが軽減できるのか、もしくは成果が挙がるのか
  • 改善にかかるコストは概ねどれくらいか
  • 改善した後、実際どれくらいコストが軽減できたのか、もしくは成果が挙がったのか

過剰サービスになっていないか

前述の通り、日本におけるサービス業の生産性はアメリカと比べ低い水準となっています。原因としては、労働者の負担となるが利益は挙がらない「過剰サービス」が考えられます。

また、これはサービス業のみに限った話ではありません。顧客の無理な注文に答えようとし、負担が企業内の各所に及ぶ、といったケースが散見されます。

顧客にとって本当に必要なサービスとは何かを見直し、過剰サービスに関しては業務を整理するようにしましょう。

「生産性が高い組織の特徴」を満たせているか

生産性が高い組織には、必ずと言っていいほど特徴があります。そのため、管理職やチームリーダーは生産性の高い組織の特徴を理解しておくことが大切です。

世界的講演会を主催する非営利団体「TED」で、作家のマーガレット・ヘファーナン氏が演説したMITの実験結果に興味深い内容が含まれています。生産性が高い組織の特徴は「高い社会的感受性を持っている」、「公平な時間配分」、「女性の存在」の3つにあるということです。

この「社会的感受性」とは、他人の意見や考えに対する寛容性を指します。他人の価値観を受け入れ、活かすことができる人材は今後、推進されるダイバーシティにも必要な人材といえます。

「公平な時間配分」とは組織に所属する全員が発言の機会や持ち時間を平等に持っているということです。発言の場を独占する人や傍観する人がいない組織を指します。

そして、最後が「女性の存在」です。明確なデータや根拠はありませんが、優秀な女性管理職や起業家が次々と登場している背景を考えると納得の行く特徴と言えるでしょう。

このように生産性向上のためには、生産性の高い組織を確立することが大切です。今回、提示した特徴は一例に過ぎませんが、参考にしてみる価値はあるのではないでしょうか。

【参考】TED forget the pecking order at work

【関連】BizHint HR: ダイバーシティとは?意味や経営を推進するためのポイント

コア業務に取り組めているか

雑多な業務を多く抱え、本来取り組むべきコア業務に集中できない、といったケースも見受けられます。

対策としては、前述のように過剰サービスや、やらなくてもいいことの見極めに加え、アウトソーシングサービスの活用が考えられます。外注には費用が発生しますので、投入資源は一時的に増加するかもしれません。しかし、コア業務に集中して取り組むことで成果が挙げられれば、結果として生産性を向上させられる可能性があります。

【関連】BizHint HR:「アウトソーシング」とは?意味やメリット、委託可能業務から導入方法までご紹介

雇用形態は適切か

労働者が適切な雇用形態で勤務できているかも確認しましょう。

若年層の雇用形態が不安定なままであったり、コスト削減のために成長の機会提供が不十分であったりすると、将来的にスキルが蓄積されず、企業や業界、ひいては国全体の損失となります。

また、女性労働者層を中心に、結婚や出産を機に非正規の雇用形態となり、本来有している能力が存分に活かせなくなってしまうようなケースも散見されます。

雇用形態による待遇格差を無くしたり、非正規社員の正社員への登用を推進したり、多様な雇用形態で働くことができるようにしたりなど、本人の要望や適性、ライフステージにあわせ、適切な雇用形態を用意できているかを検討すると良いでしょう。

【関連】BizHint HR: 非正規雇用とは? 推移割合やメリット・デメリット、問題点や対策内容もご紹介
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企業における生産性向上の具体的な取り組み事例

国が掲げる最低賃金の引き上げにおいても、企業の生産性向上は欠かせない要素の一つです。今回は厚生労働省が発表している「~最低賃金の引上げに向けて~ 生産性向上の事例集」を基に、生産性向上の成功事例をご紹介いたします。

ウェブ会議システムの導入

経済のグローバル化や事業の細分化により、出席メンバー全員が一つの空間に集まることは物理的に難しくなってきています。また、会議のために国内や海外を行き来することは財務的にも大きな負担になるとわかりやすいのですが、本社と支社がそこまで離れていない時は見過ごされがちです。週1回の定例会議のための交通時間が往復3時間かかるとすると、年間で144時間無駄な時間が発生していることになります。

鳥取県にある物品賃貸事業を営む会社は、助成金を使いパソコンやタブレットで参加が可能なウェブ会議システムの導入を決めました。その結果、会議参加メンバーの時間給を40円も削減することができ、削減できた時間を営業業務に当てるなど生産性の高い働き方の実現に成功しました。

【参考】厚生労働省 ~最低賃金の引上げに向けて~ 生産性向上の事例集 8P

オーダーエントリーシステムの導入による業務効率化

石川県にある飲食業を営む企業では、紙伝票で行なっていたオーダーエントリーをシステム化したところ、オーダーミスによる食品ロス防止や会計時の端末入力時間の削減につながりました。これにより、従業員一人当たりの労働生産性もあがり、お店全体の生産性向上につなげることに成功しました。

【参考】厚生労働省 ~最低賃金の引上げに向けて~ 生産性向上の事例集 10P

モバイル端末導入による生産性向上

徳島県でゴルフ用品販売業を営む企業では、営業ツールであった大量のカタログをモバイル端末に集約・一元管理しました。これにより、営業担当の移動時間を短縮でき、その場で決済できる機能により、請求書発行や集金訪問などの作業も省け、会社全体の生産性向上に成功しました。

【参考】厚生労働省 ~最低賃金の引上げに向けて~ 生産性向上の事例集 13P

今回、ご紹介した成功事例は一部です。厚生労働省が発表している「~最低賃金の引上げに向けて~ 生産性向上の事例集」には、中小企業の生産性向上に役立つ事例が数多く掲載されていますので、ぜひ参考にしてみてください。

まとめ

  • 企業や個人の生産性向上は、今後の日本経済を支える上でも重要な課題です。
  • 業務効率改善は、「投入資源を減らす」か「成果を増やすか」、基本的にどちらかとなります。生産性向上は、業務効率改善に加え、リストラクチャリングによる規模縮小、新規事業創出や投資、増員による規模拡大も含まれます。
  • 生産性を向上させる方法は、「個人の生産性向上」「チーム内の生産性向上」「チーム間の生産性向上」「企業全体の生産性向上」の4つに分類されます。特に、企業全体に働きかける役割として、人事は重要です。

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