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連載:第46回 総合 2020年1月~3月

働き方改革に対する企業の意識調査(2019年12月)6割の企業が働き方改革に取り組んでいる~「サテライトオフィスやテレワーク」「副業許可」が上位に~

BizHint 編集部 2020年2月3日(月)掲載
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2019年4月1日に「働き方改革関連法」が施行され、一部の分野では2020年4月から中小企業が新たに適用対象となるなど、その範囲は順次拡大される予定となっている。企業では、多様で柔軟な働き方の実現や公正な待遇の確保のほか、人手不足の解消や生産性向上に対する取り組みなどが求められている。そのため、今後の企業活動において働き方改革の重要性は増していくと考えられる。そこで、帝国データバンクは働き方改革に対する企業の取り組み状況や見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2019年12月調査とともに行った。

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調査結果(要旨)

  1. 働き方改革への取り組み状況では、「取り組んでいる」企業は 60.4%となり、前回調査(2018年8月)から 22.9 ポイント増となった。また、「現在は取り組んでいないが、今後取り組む予定」(16.3%)を合わせると 76.7%が取り組みに積極的であることがわかった。他方、「以前取り組んでいたが、現在は取り組んでいない」は 2.0%、「取り組む予定はない」は 8.9%
  2. 取り組みの具体的な内容は、「休日取得の推進」が 77.2%でトップとなり、「長時間労働の是正」が 71.0%で続き、突出して高い。次いで、「人材育成」(49.6%)、「健康管理の充実」(45.9%)、「職場風土づくり・意識の改善、コミュニケーションの活性化」(44.7%)、「業務の合理化や効率化のための IT・機器・システムの導入」(43.6%)が続く
  3. 今後の取り組みでは、「サテライトオフィスやテレワークの導入」(23.6%)が最も高く、「副業の許可」(22.5%)が続いた。いずれも現在における取り組みでは 1 割を下回っていたが、今後の導入を検討している様子がうかがえる
  4. 取り組みで最も重視する目的は、「従業員のモチベーション向上」が 32.4%でトップ。次いで、「人材の定着」(20.2%)、「生産性向上」(13.5%)も上位となった。また、「従業員の心身の健康」(11.4%)も続くなど、従業員への影響を重要視している傾向がみられる
  5. 取り組んでいない理由では、「必要性を感じない」(34.2%)が最も高い。以下、「効果を期待できない」(25.4%)、「人手不足や業務多忙のため、手が回らない」(22.4%)も上位で続いている

1. 働き方改革に取り組んでいる企業は 60.4%、2018 年 8 月調査より 22.9 ポイント増

自社の「働き方改革」への取り組み状況について尋ねたところ、「取り組んでいる」と回答した企業は 60.4%となった。前回調査(2018 年 8 月)の 37.5%から 22.9 ポイント増となり、取り組んでいる企業の割合は大幅に増加した。また、「現在は取り組んでいないが、今後取り組む予定」(16.3%)と合わせると 76.7%にのぼり、4 社に 3 社が働き方改革への取り組みに積極的であることがわかった。一方、「以前取り組んでいたが、現在は取り組んでいない」は 2.0%、「取り組む予定はない」は 8.9%で、合計 10.9%の企業は働き方改革に消極的であった。

働き方改革に取り組んでいる企業の割合を規模別にみると、「大企業」は 75.7%となり、全体(60.4%)を大きく上回っている。他方、「中小企業」は 56.7%、「小規模企業」は 41.6%だった。2019 年 4 月に施行された働き方改革関連法では、大企業が先駆けて制度の対象となったことが、取り組み割合に差を生んでいるとみられる。企業からは、「従業員の自主性を重んじつつ、心身の健康を最大限配慮して、働きやすく自己向上できる職場作りを目指していきたい」(経営コンサルタント、東京都)といった前向きな意見が聞かれた。一方で、「取り組む予定はない」企業からは、「本来は従業員間で業務量に差が生じないようにすべきだが、取引先との関係や個人の能力を考慮すると難しい」(生鮮魚介卸売、愛媛県)や「有給休暇を消化するタイミングが難しい。休むと今度は工事が滞ってしまう」(一般土木建築工事、岩手県)といった課題をあげている企業が目立った。

2. 働き方改革の取り組み内容、「休日取得の推進」「長時間労働の是正」が 7 割超

働き方改革への取り組み状況について『積極的』(「取り組んでいる」「現在は取り組んでいないが、今後取り組む予定」の合計)な企業に具体的内容を尋ねたところ、「休日取得の推進」が 77.2%でトップとなった(複数回答、以下同)。次いで「長時間労働の是正」が 71.0%で続き、この 2 項目が突出して高くなっている。さらに、労務・人事面では「人材育成」(49.6%)や「健康管理の充実」(45.9%)なども高かった。また、業務改善(生産性向上)に関しては、「業務の合理化や効率化のための IT・機器・システムの導入」(43.6%)、経営・事業面では「職場風土づくり・意識の改善、コミュニケーションの活性化」(44.7%)などが 4 割を超えた。一方で、2020 年 4 月から導入される同一労働同一賃金などの「非正規従業員の処遇改善」は 22.9%だった。また、「副業の許可」は 9.2%、「サテライトオフィスやテレワークの導入」は 7.8%と低水準にとどまった。

企業からは、「法の主旨に基づき休暇を最大限に設け、労務時間の調査と適正な報酬、主体的な業務管理に向けて研修などを行っている」(土木建築サービス、奈良県)、「時間外労働、休日出勤などの勤務管理をペーパーレス化し、時間管理の徹底を周知している」(一般貨物自動車運送、山形県)、「社内業務のシステム化で、労働時間短縮を目指している」(ソフトウェア受託開発、東京都)といった具体的な取り組みが多く寄せられている。一方で、「建設業界では、人間が出来る限界が決まっている仕事は労働時間=仕事量になるため、時間短縮が社員の所得ダウンに直結しやすい」(内装工事、山形県)や「同一賃金同一労働で人件費は必ず上昇し、赤字になる可能性があるため、人員を削減するしかない」(金属製スプリング製造、神奈川県)のような、対応に難しさを感じているという意見も多い。

3. 今後の取り組み、「サテライトオフィスやテレワークの導入」「副業の許可」が上位に

働き方改革に「取り組んでいる」「現在は取り組んでいないが、今後取り組む予定」「以前は取り組んでいたが、現在は取り組んでいない」企業に対して、今後、新たに取り組む具体的内容を尋ねたところ、「サテライトオフィスやテレワークの導入」が 23.6%でトップとなり、「副業の許可」が 22.5%で続いた(複数回答、以下同)。いずれも現在において取り組んでいる項目では 1 割を下回っていたが、「フレックスタイム制などに加え、サテライトオフィス等の新しい取り組みも検討課題に上がっている」(ソフトウェア受託開発、東京都)や「社員がより活躍できる環境を整えるために、副業の許可を進めたい」(医薬品製剤製造、大阪府)といった、今後に向けて導入を検討している様子がうかがえる。

4. 働き方改革に取り組む目的、「従業員のモチベーション向上」がトップ

働き方改革への取り組みに『積極的』である企業に対して最も重視する目的を尋ねたところ、「従業員のモチベーション向上」が 32.4%でトップとなった。次いで、「人材の定着」(20.2%)、「生産性向上」(13.5%)が上位となった。また、健康経営など「従業員の心身の健康」が 11.4%で続いており、従業員への影響を重要視している傾向もみられた。企業からは、「従業員のモチベーションが上がり、生産性が上がり、やがて企業のイメージ向上へと繋がっていくと考えている」(医薬品卸売、大阪府)や「人材の採用へ向けて休日の増加に取り組んでいる」(一般土木建築工事、岩手県)といった意見があがった。

5. 取り組んでいない理由、「必要性を感じない」が 3 割超でトップ、「人手不足」も上位に

働き方改革への取り組みに関して、「以前取り組んでいたが、現在は取り組んでいない」または「取り組む予定はない」企業にその理由を尋ねたところ、「必要性を感じない」が 34.2%で最も高かった(複数回答、以下同)。さらに「効果を期待できない」(25.4%)が続き、働き方改革に取り組んでいない企業では、必要性や効果に懐疑的である様子がうかがえた。また、「人手不足や業務多忙のため、手が回らない」(22.4%)も上位となった。企業からは、「一概に残業時間の削減や休暇の取得推進を実施することが労働者にあった改革だとは思えず、必要性を感じない」(石油卸売、東京都)や「働き方改革を進めて魅力ある企業にしなければならないことはわかっているが、人手不足や業務多忙のために手が回らないのが現状」(一般土木建築工事、長野県)といった声が聞かれた。

まとめ

2019 年 4 月、主に大企業を対象として働き方改革関連法が施行されたが、2020 年 4 月からは多くの項目で中小企業も対象となる。そのため、企業は働き方改革への対応が一層重要になってくる。 そのようななか、本調査では企業の 60.4%が働き方改革への取り組みを進めていた。具体的な取り組み内容としては、休日取得の推進や長時間労働の是正などが上位にあげられたほか、今後はサテライトオフィスやテレワークの導入、副業の許可などが進むとみられる。一方で中小企業からは、働き方改革の取り組みに対して難しさを感じているという声が多く聞かれる。「資金力、余剰人員の問題、人材などが異なる大企業と中小企業を同じ法律で縛るのは厳しいのではないか」(アルミニウム製品製造、東京都)や、「中小企業にとっては導入したくても出来ない状況」(プラスチック材料卸売、東京都)など厳しい見方をしている。今後働き方改革への取り組みが加速するなかで、政府や行政機関は中小企業に対する情報提供や支援を拡充させることが肝要となろう。

転載元:帝国データバンク
「特別企画 : 働き方改革に対する企業の意識調査(2019 年 12 月)」

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