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2019年3月28日(木)更新

マーチャンダイジング

マーチャンダイジングは、流通業における中心的で重要な活動テーマです。小売業や卸売業を展開するうえで非常に重要な概念ですが、あまり馴染みがないというのが実情ではないでしょうか。この記事では、その意味や、アメリカマーケティング協会が定義している5つの定義と実践方法を解説と、理解を深めるための事例や書籍をご紹介します。

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マーチャンダイジングとは

マーチャンダイジング(Merchandising/MD)とは、流通業に特化したマーケティング用語で、自社の商品やサービスを消費者に販売するにあたり、その販売方法や価格設定を戦略的に設定するための活動や計画、管理のことです。単に、商品計画・商品化計画といわれることもあります。

流通業といえば、小売業の他に卸売業も含まれます。しかしマーチャンダイジングにおいては、特に小売店を中心に店舗運営のマーケティング戦略方法を提示するものであると一般的には考えられています。

マーチャンダイジングの本質

マーチャンダイジングは、その概念や表現方法が抽象化されており、その意味するところを捉えづらい用語です。しかし、あまり難しく考えすぎず、マーチャンダイジングの本質は、「 店づくりの根本的な考え方や方法論を提示すること 」と捉えてよいでしょう。マーチャンダイジングを取り入れることにより、小売店の売り場において商品の訴求力を高めて、商品力の向上と価格競争力の強化を実現できるのです。

マーチャンダイジングの5つの適正

マーチャンダイジングを語るうえでは、アメリカマーケティング協会が定義している「5つの適正」を避けて通ることは出来ません。5つの適正というと難しく感じるかもしれませんが、「よりよい店づくりを実現するためにマネジメントすべき、5つの具体的な側面」と考えてください。その「5つの適正」とは以下の通りです。

  • 適正な商品
    消費者のニーズを満たすためにどのような商品やサービスを提供するのか。商品政策。
  • 適正な場所
    商品やサービスをどこから入手し、どこで販売するのか。陳列方法も含む。
  • 適正な時期
    いつ仕入れて、いつ販売するのか。商品計画、商品化計画にあたる。
  • 適正な数量
    どれだけの量仕入れて、どれだけの量を販売するのか。在庫管理。
  • 適正な価格
    いくらで仕入れていくらで販売するのか。販売戦略や利益戦略を検討する。

マーチャンダイジングが重要な理由

マーチャンダイジングが重要な理由は明らかです。マーチャンダイジングは、繁盛店を作るための具体的な考え方や方法論を提示してくれるからです。マーチャンダイジングといえば、難しく感じるかもしれません。しかし、たった5つの要素を適正化することで、販売を最大化するための売り場づくりを実現することができる、そんな破壊力を秘めているのです。

マーチャンダイジングの5つの適正は、突き詰めると商品やサービスの「品揃え」「陳列」「演出」「販売促進(プロモーション)」「値付け」に集約されるといってもよいでしょう。こうした要素はすでに最適化されていると考える方もいるかもしれません。それでは自分の店舗に当てはめてみてください。必ず新たなコントロールすべき問題点や課題をあぶりだしてくれることでしょう。

マーケティング戦略との関連性

マーケティング戦略は、企業活動において業種や業態に関わらず最も重要で基本的な概念です。それを小売業向けに特化したもの、それがマーチャンダイジングと捉えてよいでしょう。逆に言うと、小売店を経営するのではあれば、マーチャンダイジングは避けては通れない概念なのです。

マーケティング戦略との関係性をより具体的に見ていきましょう。マーケティング戦略では、その具体的なマーケティング要素を4つのPに分解し、それぞれの要素ごとに戦略を立てていきます。実は、マーチャンダイジングにおける5つの適正、あるいは「品揃え」「陳列」「演出」「販売促進(プロモーション)」「値付け」といった要素は、マーケティング戦略における4つのPを小売店に特化したものにすぎないのです。

【出典】【株式会社アイフラッグ】4つのPで利益額を上げる

【関連】マーケティング戦略とは?基礎知識やフレームワーク、代表的な戦略をご紹介 / BizHint

マーチャンダイジングの種類

小売店経営に役立つマーチャンダイジングを戦略的に展開するにあたり、より細かな戦術面でのソリューションや考え方が確立されてきました。ここでは、そうした中で生まれたマーチャンダイジングの種類についてご紹介します。

ビジュアルマーチャンダイジング

ビジュアルマーチャンダイジングとは、視覚にアピールして商品をディスプレイする考え方や活動のことです。マーチャンダイジングの中でも、特に店舗内における陳列方法や演出、店舗デザインに着目しており、小売店ならではの考え方であるといえるでしょう。

ビジュアルマーチャンダイジングでは、店内のインテリアコーディネートからカラーリング、POP広告にいたる様々な視覚的な表現を行っていくことになります。

ライフスタイルマーチャンダイジング

ライフスタイルマーチャンダイジングとは、商品ではなく顧客のライフスタイルに着目し、展開していくマーチャンダイジング活動のことです。

通常のパン屋さんや花屋さんであれば、当然そこにはパンや花だけが売ってます。しかし、「女性の美」というライフスタイルに着目してマーチャンダイジング活動を行う場合、単体の商品だけを扱うのではなく、化粧品、エステティック、美容、健康食品を扱うビューティーショップが誕生することになるのです。

クロスマーチャンダイジング

クロスマーチャンダイジングとは、多品種を販売するスーパーマーケットなどにおいて、カテゴリーに関係なく関連する商品を合わせて陳列し、ついで買いを誘発する手法や考え方のことです。

スーパーマーケットで、精肉コーナーに焼き肉のタレが陳列してあるのは、クロスマーチャンダイジングの代表的な事例であるといってよいでしょう。

マーチャンダイジングの実践方法

マーチャンダイジングの5つの適正は、「品揃え」「陳列」「演出」「販売促進(プロモーション)」「値付け」に集約されます。こうした要素ごとにマーチャンダイジングを戦略的にマネジメントしていけばよいでしょう。ここではそれぞれの要素ごとに具体的な実践方法を解説していきます。

品揃え

品揃えは、最も基本的で重要な活動です。なぜなら、商圏内市場の消費者ニーズに合致していない商品をいくらきれいに陳列しても、販売は難しいからです。品揃えを充実させるためには、商圏や市場を把握し、顧客のニーズやターゲットを明確化する必要があります。

商圏内の顧客ニーズやターゲットを把握するためには、経済産業省が提供している誰でも使えるWebサイトの地理情報システム「jSTAT MAP」がお勧めです。

顧客のニーズやターゲットが分かれば、自社の商品計画あるいは商品化計画に落とし込んでいきます。最終的に、商品が持つ専門性の度合いなどから商品アイテムを決定していくことになります。

【参考】経済産業省:地図で見る統計(jSTAT MAP)

陳列

決定した商品を、店舗内のどこにどのように配置するのかを決定します。このときに重要となるのが、客道線です。一般的に、店舗内の回遊性を高めて客道線はできる限り長くとれるよう設計します。

陳列棚のどこに商品を陳列するかについても、主力商品をゴールデンゾーンに陳列するといった工夫が必要となります。クロスマーチャンダイジングの手法を取り入れて、関連商品を近くに陳列することも効果的です。

【参考】てんとうむしWeb:通業界・ドラッグストア用語辞典

演出

ビジュアルマーチャンダイジングにおける主要なテーマが演出です。ただ単に陳列するのではなく、商品の魅力を最大化する必要があるのです。

演出で重要になるのは、商品を陳列する什器や照明。特にアパレルショップであれば、商品の魅力を最大限アピールするとともに、コーディネートのしやすさのアピールなども重要な要素なるでしょう。

販売促進(プロモーション)

販売促進策は、店舗外に対するプロモーションと、店舗内におけるプロモーションの2つに大別されます。

店舗外に対するプロモーションは、看板やファサード、およびチラシ、ホームページなど店舗外の顧客に自社の魅力を伝えて来店を促す目的で行います。

一方で、店舗内におけるプロモーションは、POPや実演販売など、来店した顧客に対して商品の魅力をつたえ、購入を促す目的で行います。2つのプロモーションをうまく使い分けて、販売機会の最大化を目指します。

値付け

原価に対する値入額から、値付けを行っていきます。売れ筋商品や定番商品、主力商品など、商品特性を加味した値付けを戦略的に行っていくことが重要となります。

季節要因などから、販売機会を逃した商品であっても、ただ単なる値引きをするのではなく、ほかの商品との抱き合わせ販売などにより、売上を最大化することも重要となるでしょう。予め設定した販売計画を達成するためにも、値付けの工夫は欠かせません。

マーチャンダイジング戦略の事例

ここまでマーチャンダイジングの意味や実践方法を解説してきました。それでは企業は、マーチャンダイジングの考え方をどのように取り入れて、実践に移しているのでしょうか?ここでは、特に店舗内の陳列方法や売り場づくりに特徴がある事例を2件紹介します。

ドン・キホーテ

独自のマーチャンダイジングを戦略的に実行し、成長を続けている企業としてドン・キホーテが挙げられるでしょう。

「圧縮陳列」「POP洪水」「迷路」、同社ならではの陳列は、顧客に対し、掘り出し物を探しだす喜びや楽しさといった従来にないニーズに応えてきました。一見すると雑多な陳列、店舗配置も、マーチャンダイジング的な思考で戦略的に実行すれば効果を上げることもできるのです。

ただし、一般的な店舗がこうした手法をそのまま、まねることは難しいといえます。ドン・キホーテが他社に先駆けてこうした手法を開発したことが大きな成功要因であり、同じ手法をまねても、ただ単なる雑多な店舗に陥る可能性が高いのです。

【参考】ITmedia:ドンキの圧縮陳列とPOP洪水を生み出した「泥棒市場」

IKEA

独自のマーチャンダイジング戦略で異色を放つ企業として、IKEAも挙げられます。テーマパーク化した店内は、顧客の動線が異常に長く、一旦店舗に入ると1時間以上、店内に留まることもあるでしょう。

こうした長い店舗回遊性を可能にしているのが、極端なカテゴリー別の陳列です。従来型の店舗では、テーブルや椅子といった商品ごとの陳列となっていました。しかしIKEAでは「ワンルームひとり生活」や「子供部屋」「家族との団らんのリビングルーム」といったライフスタイルに応じた陳列を徹底しています。これが結果的に、来店した顧客を飽きさせず動線を長く持たせることに繋がっているのです。

ライフスタイルマーチャンダイジングとクロスマーチャンダイジングのそれぞれの考え方を取り入れ、独自の陳列・演出手法に落とし込んだ事例といえるでしょう。

【参考】MAG2NEWS:低価格でおしゃれな家具のテーマパーク「IKEA」は何が違うのか?

マーチャンダイジングを学べる、おすすめの本

マーチャンダイジングは、マーケティング手法を小売業に特化させた概念であり、その本質は決して難しいものではありません。しかし、繁盛する売り場づくりを戦略的に実現するためには、奥が深いのも事実です。実際にマーチャンダイザーと呼ばれる専門家も活躍しています。

ここでは、マーチャンダイジングの理解を深めて実践に移せる書籍を紹介します。 企業内で仕事としてマーチャンダイジングに関わっている方にもお勧めです。

一段も二段も上を目指す人のマーチャンダイジングがわかる事典

マーチャンダイジングの理解を深めることができる書籍で、上下巻に分かれている大作です。特に、ITシステムが進化し、マーケティングにIoTやAIが活用されるようになった今、未来のマーチャンダイジングにもフォーカスをおいています。

人口減少、少子高齢化、地域経済の衰弱、市場の変化、このように社会環境が劇的に変化する中を、どのように流通業者が乗り越えていくべきなのか。マーチャンダイジングから読み解いていくことができるでしょう。

【参考】一段も二段も上を目指す人のマーチャンダイジングがわかる事典 上巻

インストア・マーチャンダイジング

店舗内に特化したマーチャンダイジングがインストア・マーチャンダイジングです。インストア・マーチャンダイジングに特化したこの書籍を読むことで、店舗内の陳列、棚割り、およびプロモーションなどの理解を深めるのに役立つでしょう。

近年増加傾向にある、ネットスーパー業態におけるショッパーの購買行動にも焦点をおいています。

【参考】インストア・マーチャンダイジング〈第2版〉

まとめ

  • マーチャンダイジングとは、流通業に特化したマーケティング用語で、自社の商品やサービスを消費者に販売するにあたり、その販売方法や価格設定を戦略的に設定するための活動や計画、管理のことです。
  • マーチャンダイジングの本質は「店づくりの根本的な考え方や方法論を提示すること」です。5つの適正を意識した活動をすることで、店舗における売上の最大化を図ることができます。
  • マーチャンダイジングは、5つの適正を集約化した「品揃え」「陳列」「演出」「販売促進(プロモーション)」「値付け」のそれぞれについて戦略的にマネジメントすることで実践できます。

<執筆者>
香川 大輔 中小企業診断士

千葉大学工学部卒業。ベンチャー企業における営業、企画、マーケティング業務を経て、富士ゼロックス関連会社でシステム提案営業に従事。

2015年、中小企業診断士登録。現在では独立し、地域に密着した経営支援や新規事業コンサルティングに加え、セミナー活動や執筆活動など幅広く活動している。


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