はじめての方はご登録ください(無料)会員登録
search

2019年1月25日(金)更新

ポジショニング

ポジショニングとは、顧客に対して自社の商品(製品)・サービスを差別化させるために、自社の立ち位置を明確にするマーケティング・プロセスのひとつです。マーケティング・プロセスやSTP戦略の項目としても知られており、競合他社の同一商品の中から自社の商品(製品)・サービスを選択してもらうことを目的にしています。本記事では、ポジショニングの意味や歴史、実施方法、成功させるポイントから成功事例まで解説いたします。

ポジショニング に関するビジネス事例や製品の情報を受取る

ポジショニングとは

マーケティング戦略のひとつであるポジショニングは、ターゲットとなる顧客に、自社の商品(製品)・サービスを選択してもらうための重要な経営戦略にもなります。ポジショングの意味や歴史、STP戦略との関連性を知ることで、理解を深められます。

ポジショニングの意味

ポジショニングとは、自社の商品(製品)・サービス、ブランドを差別化させるために、顧客の中での自社製品の立ち位置を確立し、競争優位性を確立させるマーケティング・プロセスのひとつです。セグメントされた顧客層が感じる利便性や商品ベネフィットを掘り下げ、顧客の中で自社の商品(製品)・サービスに価値を認識してもらえる立ち位置を探ります。商品の品質や機能性、サービス(購入方法から顧客の手元に届くまでのプロセス)、人材(販売スタッフ)、顧客の商品(製品)・サービス対するイメージといった切り口から対象となる商品(製品)・サービスを分析し、差別化を狙います。

ポジショニングの歴史

マーケティングの権威でもある経営学者フィリップ・コトラー氏は、マーケティングの歴史を「マーケティング1.0~4.0」と定義しています。ポジショニングは、1970年代~1980年代に主流となった消費者志向のマーケティング2.0で登場したマーケティング用語です。

1970年代のオイルショックの影響で、物価高となった日本市場は、企業の売り手市場から消費者主体の買い手市場へと変化していきました。そのため、企業は自社の商品(製品)・サービスを差別化する上で、顧客ターゲットを明確にしつつ、自社の競争優位性を確立するために適切な戦略ポジションを獲得する重要性が高まりました。

STP戦略との関連性

ポジショニングは、マーケティング2.0で登場したマーケティング・プロセス(6つの流れ)の基本プロセスのひとつであり、STP戦略の3つ目の項目でもあります。STP戦略とはマーケティング・プロセスの中核部分である基本プロセスに集約したマーケティング戦略です。

財政力が乏しい中小企業でも取り組みやすく、迅速にマーケティング活動を行えます。ポジショニングは顧客に自社の商品(製品)・サービスに価値を見い出してもらうための重要な要素です。商品(製品)・サービスの強みや特徴を明確にし、顧客に選択してもらえるための販売戦略の根幹要素として機能します。そのため、ポジショニングを実施する際は、最低でも根幹要素となるセグメンテーションとターゲティングも考慮しなければいけません。

【関連】BizHint/マーケティング・プロセスとは?意味やSTP戦略、成功ポイントをご紹介

ポジショニングの実施方法

顧客の心の中に自社の商品(製品)・サービスの独自の立ち位置を獲得するポジショニングは、適切な実施方法を経ることが大切です。

ポジショニングマップの活用

ポジショニングマップとは、自社の商品(製品)・サービスのポジションを決定するための作業手法のひとつです。顧客が重視するKBF(購買決定要因)も考慮された軸を視点に、競合企業の立ち位置や業界構造、市場の状況を可視化し、自社に有望な市場を見い出すことができます。

ポジショニングマップの軸と組み合わせを決定

ポジショニングでは、自社の商品(製品)・サービスが持つ強みや競争優位点を複数洗い出し、自社と競合他社を比較できる「軸」を見つけ出します。複数の「軸」はそれぞれの組み合わせによって、自社のポジションが変わります。

自社の強みや競争優位点を最大限に発揮できる組み合わせもあれば、逆に不利になる組み合わせもあるため、以下のポイントに注意しながら、組み合わせを決定していきます。

  • 2つの軸(縦と横の軸)が比例関係にある
  • 2つの軸(縦と横の軸)に独立性がある
  • 2つの軸(縦と横の軸)に相関関係がある

独立性と相関関係は正反対の概念ですが、相関関係を重視し過ぎると有効なポジショニングを見つけにくい傾向があります。一方で、独立性を重視し過ぎると強力な差別化を抽出しにくくなります。

そのため、顧客の視点でもあるKBF(購買決定要因)も考慮しながら、決定していくことが重要です。軸には「商品(製品)・サービスの特性・仕様」、「消費者のベネフィット」、「価格と品質」、「商品(製品)・サービスの用途」、「競合製品との関連性」などが挙げられます。

自社のポジション(立ち位置)を決定

ポジショニングマップを使用して、自社に有望なポジション(立ち位置)を決定していきます。自社にとって、有利なポジションは「競合他社と重複しない」「将来的に競争優位性を確立できるか(時代の流れや顧客関心の薄れに影響されない)」が重要です。

しかし、必ずしも従来のポジションや将来性にこだわる必要はありません。時代の流れや消費者ニーズに応じて、適切に自社のポジショニングを変更していくことも重要です。

マーケティングミックスの実施

ポジショニングは、自社の商品(製品)・サービスのブランディングにも大きく関わる作業です。業界や競合製品と比較して、自社のポジション(立ち位置)を明確にできたら、顧客に自社の商品(製品)・サービスの独自性や利便性、メリットを理解してもらうためのマーケティングミックスを実施しなければいけません。企業が考えるポジショニングを、顧客に根付かせるためにも導き出したポジショニングと整合性が取れた製品戦略や価格戦略、チャネル戦略など、適切なマーケティングミックスの実施を行いましょう。

ポジショニングを成功させるポイント

競争優位性の高いポジショニングを確立するためには、成功ポイントを認識することが大切です。ここでは、ポジショニングを成功させるためのポイントをご紹介します。

顧客の視点に立つ

ポジショニングの決定には、顧客の視点を持つことが大切です。企業が考えるポジショニングが顧客(消費者)に正確に伝わり、かつ顧客が「自分の利益となる」と判断できるかを客観的に考えなければいけません。また、近年では環境問題への意識の高まりや価値観の多様化に伴い、経営理念CSR(企業の社会的責任)への共感や理解が重視されています。そのため、企業自体のポジショニングと、提供する商品(製品)・サービスのポジショニングがきちんと整合性が取れているか確認しましょう。

企業が「環境に配慮する」と発信しているにも関わらず、使い捨てプラスチック容器の商品(製品)を提供していれば、どれだけ商品(製品)の機能性が優れていても顧客獲得にはつながりません。

ポジショニングの切り口やKBF(購買決定要因)の把握

ポジショニングを決定する切り口には、主に「商品」、「サービス」、「人」、「イメージ」の4つがあり、それぞれの視点から重視する軸を導き出します。

  • 「商品」の切り口…商品(製品)・サービスの品質(機能性や耐久性など)やデザイン
  • 「サービス」の切り口…顧客が商品(製品)を注文してから入手できるまでの過程や、その後のアフターフォローなど
  • 「人」の切り口…販売スタッフの対応(販売商品に関する知識や接客マナー、対応スピードなど)
  • 「イメージ」の切り口…商品(製品)・サービスの利用で得られる特別な体験や使用感など

また、自社の競争優位性を最大化するためには、2つの軸の組み合わせが鍵となります。KBF(製品の実用性やデザイン性、ブランド、価格など)も2つの軸を決定する重要な要素となるため、自社の商品(製品)・サービスの特性を掘り下げることが大切です。

差別化戦略と混同しない

ポジショニングは、顧客の心の中での自社製品の立ち位置を差別化するプロセスであり、商品(製品)・サービスに付随する機能や価格に差をつける差別化戦略ではありません。差別化戦略は、商品(製品)・サービス中心とした改善となるため、いずれ価格競争に巻き込まれてしまいます。

ポジショニングの確立は、たとえ競合他社の同一製品よりも高価格だったとしても顧客に選定してもらえることを目指します。自社の商品(製品)・サービスの優位点を明確に伝え、根付かせていくことがポジショニングの目的といえます。

ポジショニング戦略の成功事例とは

自社商品のポジショニングの変更は、業界における力関係の変化だけでなく、企業の売上・利益にも直結する優れたマーケティング戦略です。今回はポジショニングの実施により、めざましい成果を上げた成功事例をご紹介いたします。

顧客視点での開発・普及に成功したアサヒ スーパードライ

【参考】アサヒビール株式会社 アサヒスーパードライの開発ストーリー

ポジショニングの成功事例として有名なアサヒビール株式会社のアサヒスーパードライは、1980年代に顧客視点で開発されたビールです。

当時の「消費者にはビールの味がわからない」、「ビールは苦くて重い」という業界常識に疑問を投げかけ、消費者5000人にビールの嗜好に関するアンケートを実施。その結果、「食事に合う、すっきりした爽快なビールが飲みたい」という顧客ニーズが時代とともに変化していることに気付き、競合他社では味わえない新たなビールの開発に着手しました。また、当時は珍しかった缶を主体としたパッケージデザインを取り入れ、「料理に合う辛口で、すっきりとした爽快感があるビール」というポジショニングを確立。

その結果、アサヒスーパードライは爆発的な大ヒットを得て、現在も顧客から圧倒的な支持を集めるビールとして存在感を保っています。

【参考】アサヒビール株式会社 アサヒスーパードライの開発ストーリー

ポジショニングによって、新たなカテゴリーを作ったレッドブル

【参考】レッドブル・オフィシャル・ウェブサイト

オーストリアの清涼飲料水メーカーRed Bull GmbHが発売するレッドブルは、アスリートや学生、ビジネスマンなどをターゲットに、飲むシチュエーションを具体的に提案することで独自のポジショニングを構築しました。

「仕事や勉強で忙しいとき」「スポーツや遊びに熱中しているとき」など具体的な使用タイミングを消費者にイメージさせることで、爆発的な普及と「エナジードリンク」という新たな清涼飲料水のジャンルを生み出しました。栄養ドリンクとは異なる嗜好性や用途を打ち出すことで、独自のポジションを確立した成功事例といえます。

【参考】レッドブルジャパン 製品情報

まとめ

  • ポジショニングとは、顧客に自社の商品(製品)・サービスを差別化させるため、顧客の心の中に自社の立ち位置を認識させるマーケティング・プロセスのひとつです。
  • 競争優位点となる軸の組み合わせとポジショニングマップを活用することで、有利なポジショニングを確立できます。また、企業側が意図するポジショニングを顧客に浸透させるためには、整合性の取れたマーケティングミックスの実施が大切です。
  • ポジショニングを成功させるには、顧客視点を持つこと、ポジショニングの切り口・KBF(購買決定要素)の把握、そして差別化戦略と混同しないことが重要です。

注目のビジネス事例トピックを、逃さずチェック。

大手やベンチャー含め計90,000人以上の会員が利用しています。

BizHint の会員になるとできること

  • 事業運営のキーワードが把握できる
  • 課題解決の事例や資料が読める
  • 厳選されたニュースが毎日届く
  • アプリで効率的に情報収集できる
いますぐ無料会員登録

この記事の関連キーワード

フォローボタンをクリックすると、キーワードをフォローすることができます。

キーワードについて

ビジネス事例や製品の情報を受取る

フォローしたキーワードの最新トピックをトップページに表示します。 フォローはでいつでも変更することができます。
フォローを管理する

目次