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ブルーオーシャン戦略

2020年8月13日(木)更新

ブルーオーシャン戦略とは、競争のない未開拓の市場空間を創造するための経営戦略です。自社製品などの価値を高めると同時に低コストを実現する戦略でもあり、競合との差別化をはかる事が可能となります。今回は、このブルーオーシャン戦略について、その意味や必要性、メリット・デメリット、戦略の策定方法(フレームワーク)、企業事例から参考書籍まで、幅広くご紹介します。

ブルーオーシャン戦略とは

そもそもブルーオーシャンとは、競争のない未開拓の市場を指します。

つまり、ブルーオーシャン戦略とは、「バリューイノベーション(価値革新)」に着目し、顧客が潜在的に求める価値を洗い出し、製品(商品)やサービスを通じて新たな価値を提供することで、ブルーオーシャンを創造していく経営戦略です。

また、顧客にとっての価値を高めると同時に低コストを実現する戦略でもあり、競合との差別化をはかる事が可能となります。

ブルーオーシャン戦略は、フランス欧州経営大学院教授であるW・チャン・キム氏とレネ・モボルニュ氏によって提唱されました。

「バリューイノベーション」とは

「バリューイノベーション」とは、コスト削減を進行させながら、顧客にとっての製品などに対する価値を高め、企業・買い手双方の価値が同時に高まる状態を指します。

【出典】バリュー・イノべーションを実現する戦略-イケアのケース-(南光日)/公立大学法人兵庫県立大学

一般的に、買い手にとっての価値を高めると、企業側のコスト負担が大きくなってしまいます。しかし、今ある経営資源の効率的な活用や、コストを必要としない、新たな価値を生み出す要素(差別化ポイント)を加えることで、コストを削減しながらも、顧客の価値を高めることが可能なのです。

ブルーオーシャン戦略では、さまざまな分析やフレームワークを通して、このバリューイノベーションの実施可否を検証します。そのため、ブルーオーシャン戦略の策定は、このバリューイノベーションを確立できるかに掛かっているといっても過言ではありません。

対となるマーケティング戦略「レッドオーシャン戦略」

ブルーオーシャン戦略の対となるマーケティング戦略に、レッドオーシャン戦略が存在します。これは、競合がいないブルーオーシャンではなく、既に競争が激化している市場空間(開拓市場)において、シェアを拡大していくための戦略として定義されています。

この戦略では、競合企業同士の過当競争や薄利多売、低付加価値の製品などといった、消耗戦に近い競争が激化している業界や既存市場において、どのように生き残っていくべきかに着目します。「規模の経済」が働きやすいため、資本が大きく、体力のある企業が有利となる戦略です。

競合企業がブルーオーシャンにおいて成功を収めた場合、ビジネスモデルの摸倣や競合他社が打ち出した差別化ポイントを同質化させることで、レッドオーシャンへと変化させる手法も、代表的な戦略のひとつです。

ブルーオーシャン戦略への注目度が高まる背景

ブルーオーシャン戦略の注目度が高まっている要因としては、「テクノロジーの発展」と「不確実性の高い時代への突入」が挙げられます。

テクノロジーの発展

インターネットやSNS、アプリなどをはじめとしたテクノロジーの発展により、買い手や消費者の価値観が多様化。新規参入が難しかった業界への参入障壁も下がり、これまで対象ではなかった顧客へのアプローチが可能となってきました。

その結果、多くの企業がブルーオーシャンを見つけやすい環境となっています。

VUCA時代に生き残るための戦略

VUCA時代と言われている不確実性の高い現状においては、ビジネス課題が高度化・複雑化しています。

その結果、従来のひとつの業界・既存市場、製品などでは長期的な売上・利益の確保が難しくなり、今後は新たな価値市場を模索することが必須であるといえます。

このような時代に対応していく上でも、競合他社のいないブルーオーシャンを積極的に見つけ出し、自社製品のブランド育成や価値の高い製品などによる長期的な売上・利益確保を目指さなければいけない状況に迫られていると考えられます。

【出典】VUCAの意味とは?VUCAな時代に求められるリーダーシップとは?/BizHint

ブルーオーシャン戦略のメリット・デメリット

ブルーオーシャン戦略は、業界や企業規模によっては、必ずしも最適なマーケティング戦略となるとはいえません。

メリット、デメリットについて確認していきましょう。

ブルーオーシャン戦略のメリット

ブルーオーシャン戦略のメリットには、以下の点が挙げられます。

高単価・低コストでの販売が可能

ブルーオーシャン戦略の最大のメリットは、自社製品を高単価、低コストで市場に投入できるという点です。

対象となる市場空間には競争相手がいないため、市場での価格決定権を確保し、自社に有利な商品提供が可能となります。また、レッドオーシャンのように、競合他社同士の価格競争に巻き込まれるリスクも少なく、安定した売上・利益が見込めます。

ブルーオーシャンでの価格決定権の確保は、新規参入企業の脅威を排除する効果ももたらします。さらに低コストの実現は、独自の流通チャネル、販売チャネルに大きく依存します。既存の自社の強みを最大限に活かすことで、競合他社には真似できない利益の向上モデルを構築することができます。

「規模の経済」を活かしやすい

ブルーオーシャンで競争優位性を保ち続けるためには、長期的な戦略や施策が必要となります。そのため、「規模の経済」を活かしやすい市場といえます。

「規模の経済」とは、「生産量の増加に伴って、平均費用が低下し、収益性が向上すること」であり、スケールメリットとも呼ばれます。

これを活かすことで、比較的短い期間で、低コストと顧客の価値向上の両方を実現できるため、競合企業の追随施策にもいち早く対応することが可能です。

ブルーオーシャン戦略は、レッドオーシャン戦略で活用される差別化戦略に加え、コスト削減も実現します。そのため、仮に競合他社が差別化同質化戦略などを打ち出したとしても、「規模の経済」を活かした独自のコスト削減戦略を同時に展開できるため、競争優位性を確保し続けることができます。

ブルーオーシャン戦略を実施する際は、あらかじめ「規模の経済」を活かせるだけの財務基盤を持っているかを検証することが大切です。

【関連】スケールメリットの意味とは?業種別の具体例や最大化させるポイントもご紹介/BizHint

ブランド育成による長期成長

ブルーオーシャン戦略は、新たな価値を創造し新たな顧客の獲得につながる戦略です。そのため、ブルーオーシャン戦略は新製品などを市場に根付かせ、認知度を高める上では有効な戦略といえます。

誰も注目していなかった潜在的な買い手のニーズや利便性をいち早く抽出し、世の中に出すことにより、長い期間に渡り優れたブランドとして認知され、無形資産(ブランド・エクイティ)として育成することができます。ブランドの構築は類似品による差別化同質化戦略の効果を薄め、継続的に購入してくれる顧客層の創出にもつながります。

ブルーオーシャン戦略のデメリット

ブルーオーシャン戦略のデメリットには、以下の点が挙げられます。

高度なマーケティングの知識が必須

ブルーオーシャン戦略では、製品などに対して、高付加価値をつけることが前提です。しかし、営業力や技術力だけでは、ブルーオーシャン戦略を成功に導くことは難しいといえます。

ブルーオーシャン戦略はマーケティングのひとつであり、効果的な戦略を実施するには、自社を取り巻く競争要因を分析する高度なマーケティングの知識が求められます。

経営者や担当者をはじめ、ブルーオーシャン戦略に携わる人材は、必要最低限のマーケティング知識に加え、ブルーオーシャン戦略の立案に欠かせない戦略キャンパスやアクション・マトリックスなどのフレームワークにも精通していなければいけません。

【関連】マーケティングとは?基本をわかりやすく徹底解説!事例やおすすめ本も/BizHint

摸倣されやすい

ブルーオーシャン戦略は、必ずしもイノベーションによる技術革新を必要としません。ブルーオーシャン戦略は経営資源の豊富な大企業に有利に働きやすい反面、摸倣されるまでの期間が短いケースもあり、すぐに競争優位性を失ってしまうことも

そのため、既存の製品などでブルーオーシャン戦略を策定する際は、摸倣されにくい差別化ポイントの創出と新たな価値創造に注力し続けなければ、長期的な恩恵を受けることは難しいです。

イノベーションに弱い

近年、イノベーションによる参入障壁の低下や代替品(代替サービス)の登場が珍しくなくなっています。その結果、いとも簡単に他業種からの参入を許し、シェアを拡大される事態が増えており、ブルーオーシャンの確立が難しい時代であると指摘されています。

また、ブルーオーシャン戦略は長期的な投資や施策、莫大な経営資源の投入が不可欠な戦略であるため、イノベーションの登場により、想定以上の損失を被るリスクも高まります。日本においてもIT企業をはじめとした新興企業が提供する製品などによって、ブルーオーシャンが瞬く間に制覇され、窮地に立たされている老舗企業も少なくありません。

そのため、ブルーオーシャン戦略を実施する際は、来たるイノベーションを予測しながら誰も見つけられなかった市場需要を見出し、業界内外問わず、新規参入の脅威に対して、あらゆる対応策を検討しておかなければいけません。

【関連】イノベーションとは?シュンペーターによる定義や事例まで徹底解説/BizHint

ブルーオーシャン戦略の策定方法

ブルーオーシャン戦略は、「アクション・マトリックス」「戦略キャンパスのフレームワーク」を活用することで、迅速に策定することができます。

アクション・マトリックスによる価値の創出

ブルーオーシャン戦略の策定には、自社が提供する製品などが、顧客に対して、どのような価値を創出するかを模索しなければいけません。そこで活用したいフレームワークが「アクション・マトリックス」です。

アクション・マトリックスとは、所属する業界や市場空間において、新たな価値を見出すための可能性を探る、4つの質問で構成されたフレームワークです。

アクション・マトリックスは「減らす」「取り除く」「増やす」「付け加える」という4つの質問に対し、業界や既存市場の常識や標準を照らし合わせることで、ブルーオーシャン戦略に求められる買い手にとっての価値と、低コスト戦略を同時に追求できる点を抽出できます。

しかし、アクション・マトリックスで新たな価値を見出せたとしても、それが本当に正しいかどうかの判断はとても難しく、それを正と判断する明確な指針が必要です。

戦略キャンパスによる差別化の洗い出し

アクション・マトリックスと同様に、ブルーオーシャン戦略の策定に有効なフレームワークが「戦略キャンパス」です。

戦略キャンパスとは、アクション・マトリックスで見出した価値を横軸に、顧客が享受できるメリットの度合いを縦軸に記した価値曲線を表したグラフを指します。これを活用することで、ブルーオーシャン戦略に必要な差別化ポイントを洗い出すことが可能です。

アクション・マトリックスで見出した新たな価値に対し、自社と競合他社の製品などそれぞれの特徴を比較することで、差別化できるポイントを抽出し、かつ顧客にとってのメリットの度合いを測ることができます。

それぞれのグラフが対称的になっていれば差別化ができており、かつ顧客に高い付加価値を提供できると予想できます。

ブルーオーシャンを見つける際のポイント

また、ブルーオーシャンの見つけ方には、押さえておくべきポイントがいくつか存在します。

代替産業・補完サービスに注目する

ブルーオーシャン戦略では、業界内で似たような製品などで勝負するだけでなく、経験のない異業種に向けて、代替が可能かどうかを検証することで成功率が高まる場合があります。

提供する製品などが異なっていたとしても、顧客(買い手)にとって代替可能であり、かつメリットがある製品などは、たとえそれが今までに前例のないものだったとしても、競争優位性を確立させることが可能です。

また、既にある製品などに対して、機能や価値を補完できるサービスなどもブルーオーシャン戦略では有効となります。この戦略を成功させる上では、自社の技術や強みが異業界での代替可能な産業になり得るか、補完サービスとしてビジネスモデルが確立できるかを模索することも大切です。

価値の切り替え

製品などを提供する企業も、それを購入する顧客もひとつの価値によって支配されることが多い傾向がみられます。しかしブルーオーシャン戦略では、製品などに付与された価値を転換することで、新たな顧客の獲得につながる可能性があります。

一般的に製品などに付与された価値には、「機能的価値」と「感性的価値」のいずれか、または両方が備わっています。このいずれかに注力することで、差別化ポイントが生まれ、顧客はその製品などのファンとなり、継続性の高いビジネスとして確立されます。

一方で、差別化ポイントとしていたどちらか一方の価値を、もうひとつの価値へと大胆に切り変えることも有効です。このようにブルーオーシャン戦略は、既存の製品などの価値を変更・追加するだけで、新たな市場創出や顧客の獲得につながる可能性を秘めています。

時代に沿った買い手グループの選択

ブルーオーシャン戦略に限らず、マーケティング戦略にとって、買い手グループ(顧客や市場)の選定は重要なプロセスです。

同じ製品でも、買い手グループが異なれば、求められる価値も異なる傾向が強いと考えられます。また、時代の流れやテクノロジーの発達により、今まで法人でしか利用されなかった製品などが消費者の手に渡りやすくなっています。そのため、世の中のトレンドを読み、業界全体がどのように変化していくかを予想しながら、企業が提供する製品なども変化していかなければいけません。

このようにブルーオーシャン戦略では、時代の流れやテクノロジーの発展に沿って、買い手グループの選択肢を増やし、その買い手に応じた新たな価値を創出し、市場に投入することが大切です。

ブルーオーシャン戦略の企業事例

ブルーオーシャン戦略を実践している組織や企業についてご紹介します。

シルク・ドゥ・ソレイユ

シルク・ドゥ・ソレイユは、カナダに本社を置き、日本をはじめ世界各地で公演を開催したエンターテインメント集団です。

同集団は、それまでのサーカスのように動物によるパフォーマンスなどをメインとせず、バレエや演劇などの要素を取り入れ、ストーリー性を持たせる事により「芸術」としてのポジションを確立しました。それにより、サーカスよりもはるかに高額な料金でも観客に受け入れられ、ブルーオーシャン戦略の成功事例としても語られるまでになったのです。

【参考】ブルー・オーシャン戦略の知られざる本質/東洋経済オンライン

任天堂Wii

任天堂Wiiは、任天堂が「ブルーオーシャン戦略」を適用して開発した製品だと言われています。それまでのゲーム機は、主な顧客を「10代後半」に設定しており、この層を奪い合うレッドオーシャン市場となっていました。

そんな中、同社は「他の層にもゲームで遊んでもらいたい」と、操作が覚えやすく簡単に扱えるゲームを開発。それが、ゴルフやテニスなどのスポーツの動きを取り入れた「任天堂Wii」でした。その後、同製品は1億163万台を売上、国民的ゲームとして台頭したのです。

【参考】「Wii」を生んだブルー・オーシャン戦略とは? /日経クロステック(xTECH)
【参考】株主・投資家向け情報:業績・財務情報 - ゲーム専用機販売実績/任天堂株式会社

QBハウス

最後に、理髪店の市場においてブルーオーシャン戦略を実現した事例として「QBハウス」をご紹介します。

それまでの理髪店で一般的だった「洗髪」「マッサージ」などを削ぎ落とし、10分間の散髪を1,000円で提供するというシンプルなサービスを提供。同社は1997年に創業し、2019年には国内来客数1,800万人を突破。店舗数も常に右肩上がりで、2019年には567店舗を数えます。現在では、アメリカ・台湾・香港・シンガポールなど海外でも展開しています。

【参考】「他社とは違う土俵で勝つ」ためのブルー・オーシャン戦略/日経クロステック(xTECH)
【参考】実績・沿革/キュービーネットホールディングス

ブルーオーシャン戦略が学べる、おすすめの書籍(本)をご紹介

ブルーオーシャン戦略の成功率を高めるには、ビジネス現場での実践が不可欠ですが、ブルーオーシャン戦略に関する書籍は数多く出版されており、基本知識を学ぶことができます。

新版/ブルー・オーシャン戦略―――競争のない世界を創造する

ブルーオーシャン戦略の提唱者である、W・チャン・キム氏とレネ・モボルニュ氏が著者を務める書籍です。ブルーオーシャン戦略の基本知識だけでなく、差別化戦略やニッチ戦略との違い、レッドオーシャン化への対策、イノベーションとの違いなどを丁寧に解説しています。ブルーオーシャン戦略を実施したい経営者やマーケティング担当者は必ず読んでおきたい書籍といえます。

また、近年の改定で、読者から寄せられた質問に対する回答や、現代のブルーオーシャン戦略策定の際に注目しておきたい「新たな視点」の解説も掲載されており、現代に合ったブルーオーシャン戦略のあり方を知ることもできます。また、成功事例なども数多く掲載されているため、実例を通して学びたい方におすすめです。

【参考】 [新版]ブルー・オーシャン戦略―――競争のない世界を創造する/Amazon

ブルー・オーシャン戦略を読む

ブルーオーシャン戦略を生み出すために必要な理論と実践方法に焦点を当てているため、これの実現ミッションを抱えるマーケティング担当者におすすめの書籍です。フレームワークである戦略キャンパスやERRCグリッド、PMSマップの使い方から、さまざまな業界の成功事例を挙げて、戦略の策定方法を解説してくれています。

さらにブルーオーシャン戦略を実施するにあたり、必要となる手続きやもたらされる組織へのリスクへの対応についても解説されています。

【参考】ブルー・オーシャン戦略を読む/Amazon

日本のブルー・オーシャン戦略 10年続く優位性を築く

ブルーオーシャン戦略や従来の競争戦略(レッドオーシャン戦略)を学べ、基本知識を深めるのに最適な書籍です。経営者やマーケティング担当者だけでなく、全てのビジネスパーソンに読みやすい内容構成となっています。わかりやすい言葉で解説しており、日本企業の成功事例を豊富に紹介してくれているため、ブルーオーシャン戦略を特別な存在ではなく、身近な存在として意識付けることも可能です。

また戦略の立案からプロセスまでも解説しているため、マーケティングにおける基本知識を深めたい方や、仕事の幅を広げたい方にもおすすめの書籍といえます。

【参考】日本のブルー・オーシャン戦略 10年続く優位性を築く/Amazon

まとめ

  • ブルーオーシャン戦略は、自社製品の価値を高め、高単価かつ低コストで市場に投入できることから、市場での価格決定権を得ることができ、競合他社を排除する事も可能
  • 競合他社によるビジネスモデルの模倣などにより、すぐさま競争優位性を失うこともあるため、それを避けられるだけの「差別化ポイント」の抽出が重要課題である
  • ブルーオーシャン市場を見つけるためには、代替産業や補完サービス、あるいは既存の価値の切り替え、顧客の転換など新たな視点を持つことが重要

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