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2019年1月21日(月)更新

O2O

O2OとはECサイトやSNSなどのオンライン空間からリアル店舗などオフラインの場へ顧客を誘導することを指します。インターネット消費の普及を背景に、主に小売・サービス企業がリアル店舗や物流機能を基盤にオンラインからの集客を目指す狙いがあります。本記事ではO2Oの意味や戦略のポイント、課題や事例を紹介します。

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O2Oとは

ここでは、O2Oの意味や、マルチチャネルやオムニチャネルとの違いを紹介します。さらに、O2Oが小売業を中心に普及してきた経緯や、近年幅広い業界でO2Oの考え方が重要視されている理由も合わせて紹介します。

O2Oの意味

O2Oとは「Online to Offline」の略で、オンライン空間からオフラインの場へ顧客を誘導することを指します。オンラインとは、WEBサイト・オンラインショップ・スマートフォンアプリやSNSなどのインターネット空間を指し、オフラインとは、リアル店舗やイベントなどの物理的な空間を意味します。

企業が顧客にオンラインでも情報を届けるには、チャネルを活用して日常的に顧客と接点を持つ必要があります。そのためにはリアル店舗などオフラインの場から自社関連のオンラインの場に誘導する施策も必要であるため、O2Oとはオンラインとオフラインの相互移動の意味を持つこともあります。

O2Oの発祥は諸説ありますが、一般にインターネット普及時期の2000年頃と言われています。倉庫も実店舗も抱える伝統的な小売業者は「ブリックアンドモルタル」と呼ばれることがありますが、そのうち当時の流れに合わせてネット販売も行うようになった企業を、ネット用語の「クリック」を当てはめて「クリックアンドモルタル」と呼ぶようになり、のちのO2Oに発展していったと考えられます。

このような背景があり、リアル店舗を基盤にしつつオンラインを活用するのがO2Oの基本的な考え方となっています。

【参考】ITmedia「クリック&モルタル(くりっくあんどもるたる)」

マルチチャネルやオムニチャネルとの関係

マルチチャネルとは、リアル店舗やECサイトなど複数のチャネルを保有することです。マルチチャネルはチャネルごとの役割まで考慮に入れず、複数チャネルを持つという意味だけで使われるケースもありますが、O2Oはより踏み込んでオンラインからオフライン、あるいはオフラインからオンラインへのチャネルをまたいだ集客を考えるアプローチです。

オムニチャネルとは、リアル販売、ECサイト、物流などあらゆるチャネルを連携して顧客にアプローチする戦略です。オムニ(omni)とは「全ての」「総合的な」という意味を持っており、オムニチャネルは、O2Oのようなオンライン・オフライン間での顧客の移動だけでなく、より広く複雑にチャネル間の連携を図るアプローチとなります。

O2Oマーケティングの重要性

小売店業者は商品力やリアル店舗での顧客サービスは重要ですが、現在はインターネット上での情報収集の方法が多様化しているため、リアル店舗でのマーケティング施策に加えてオンラインでの取り組みも重要です。

例えば、現状の小売業界の課題としてはネット上で商品選び、注文、決済や自宅への配送依頼まで全てが完結するECサイトの普及があります。また、リアル店舗へ集客しても価格比較や口コミ調査、そして購入までスマートフォンで行えるため店舗が実物商品を確認するだけの場となってしまう「ショールーミング」という課題もあります。

そこで、こうした小売業者は顧客がオンライン上でも自社商品・サービスの情報収集をしやすくしたり、オフラインとオンラインを行き来しやすくするなど顧客を自社内で囲い込むための施策が必要です。そのための考え方として、O2Oが注目されています。

O2Oマーケティングのポイント

ここでは、O2Oマーケティングの戦略を策定し、実行する際のポイントに加え、実行時の具体的な施策の手段についてもご紹介します。

マーケティング組織の見直し

O2Oマーケティングの戦略を策定する際には、従来のマーケティング組織の見直しが必要なケースがあります。その理由は、O2Oではチャネル間の柔軟なコミュニケーションにより収益をあげることがポイントになるためです。

従来であれば、オフラインであるリアル店舗の運営は店長に、オンラインであるECサイトはEC責任者にそれぞれ任す方法で成立することもありましたが、O2Oの場合は相互の連携が必須です。そこで、オンライン・オフライン間の連携を担う担当者を新しく配置したり、別チャネルの担当者が相互にコミュニケーションを取りやすくする組織作りが重要になります。

また、収益化でもオンライン・オフラインの垣根を取り払った考え方と組織作りが必要です。例えば、ECサイトでの売上高の伸び率が低くても、オンライン上の告知によりリアル店舗へ顧客が流入して全体の収益がアップすれば、O2Oとしては成功と言えます。このようなO2Oの特徴を生かして全体の収益化を設計するためにも、マーケティング組織の見直しは効果的です。

ITシステムの最適化

O2OではITシステムの刷新・導入が必要になるケースがあります。

例えば、リアル店舗しか持たない小売業者が新たにオンラインでのチャネルを構築するには、スマートフォンアプリやECサイトなどのシステムの導入が必要です。あるいはオンライン上でクーポンをQRコード形式で配布し、リアル店舗に集客するといった施策を行う場合にもITシステムの活用は必須となります。

また、ニトリのようにリアル店舗で商品のバーコードを読み込むと商品の口コミや在庫状況を確認できるアプリもありますが、この機能を導入するには販売情報、在庫情報、ECサイトなどシステムの連携が必要です。O2Oの程度にもよりますが、施策の中身によっては大幅にITシステムを刷新・構築する必要があります。

さらに、O2Oを実行する際は、ITシステムの構築や、その後のメンテナンスのために専門人材を確保する必要があります。また、チャネル間での顧客情報の統合や、オンラインとオフラインの相互移動率など、新しく測定できるデータの種類も増えるため、対応する専門人材の教育も重要です。

【参考】ニトリ「ニトリ公式スマートフォンアプリ」

多様な方法を活用

ここでは、O2Oを実行するための具体的な方法を紹介します。SNSやダイレクトメールなどの比較的すぐに実践が可能な手段や、導入に金銭的・時間的コストがかかるものまでさまざまな方法があり、自社の業態に応じて適切な方法を選ぶことが重要です。

スマートフォンアプリ

O2Oにおいてスマートフォンアプリは他社と差別化を図りながら顧客に直接情報を届けられる有効な手段です。またアプリでは、通知やポイントカード機能だけでなく、アプリそのものをECサイト化させることもできるため、商品検索、口コミ、店舗在庫情報など購入に必要な機能を取り揃えて顧客を囲い込むことができます。

アプリが有利な点は、SNSの流行り廃りで顧客がそのSNSを使用しなくなれば顧客との接点が切れるリスクがありますが、自社アプリをアンインストールされない限り顧客との接点が確保できます。またSNSではできない、自社オリジナルの商品紹介・通知・決済など様々な機能を実装することも可能です。

実際に、後述する日本マクドナルドはLINEアカウントを2017年末に廃止し、通知は自社アプリと統合するなど集約化の動きもあります。

ECサイトと連動

O2Oではリアル店舗を基盤に、ECサイトと連動する方法が効果的です。

例えば「ECサイトで検索歴がある商品を記録し、取り扱いがあるリアル店舗付近に来た際に通知をする」といった施策はオフラインへの誘導効果が期待できます。あるいは逆に「リアル店舗で購入しことがある商品がセールの際はECサイトで通知しネット注文につなげる」という施策はオフラインを生かしたオンラインへの誘導です。

SNS・DMでの通知

SNSでは「多数の消費者に商品やイベントなどの情報を発信し、リアル店舗に集客する」というO2Oの基本的な施策の手段として活用することが可能です。また、発信する内容次第ではコンテンツが自発的に不特定多数のユーザーに拡散していく力もあり、認知や関心を引き付ければ新規顧客を集客することもできます。

ダイレクトメール(DM)は特定の顧客へ限定情報をオンライン上でアピールしてリアル店舗へ集客する手段として活用することができます。DMは主に既存顧客や潜在顧客に商品カタログやキャンペーン情報を郵便物として送るものですが、近年ではDMにURLを記載して詳細情報はECサイトやホームページなどのオンライン上で確認するよう誘導する手法も一般的です。

ゲーミフィケーション

ゲーミフィケーションとは、ゲームで使われている要素や仕組みを別のものに活用して、ゲームに取り組んでいるかのような楽しさやクリアする達成感などの体験を提供することです。

例えば消費金額に応じてランクが上がっていき、それぞれの割引クーポンや特典が受けられる設定や、来店時のアプリでのチェックイン回数、ログイン頻度など、様々な切り口でゲーム化することができます。

ペッパーフードサービスの「いきなり!ステーキ」では会員用スマホアプリがあり、消費した肉の量を会員同士で競うことができます。また、消費した肉の累計量に応じてメンバーズカードがゴールド・プラチナ・ダイヤモンドとランク分けされており、それぞれ特典を受けることができます。

【参考】いきなり!ステーキ:「肉マイレージカード」

位置情報利用

O2Oで位置情報(GPS)を利用する主な目的として、1つ目はスマホアプリのGPS機能で顧客の位置情報を把握し、近隣店舗の情報や地域への配送日数・料金などの情報提供をするといった消費体験の提供への活用があります。2つ目には企業が顧客情報の収集に活用するためです。

位置情報を活用すれば、例えば、近隣店舗のセール情報が自動通知される機能や「アプリではキャンペーンの通知だけを行い、詳しい内容は店舗でチェックインして初めて確認できる」という機能の実現などが可能です。これにより、闇雲に訴求するよりも、購買確率を上げながら通知そのものがゲーミフィケーションとして楽しい消費体験に結びつく可能性もあります。

位置情報の利用は大手飲食チェーンが導入し始めている段階で、まだデータ収集に伴うプライバシーの問題や、時・場所・訴求内容を適切に行うための試行段階にあります。しかし実用化すれば、オンラインからリアル店舗に誘導する有効な手段としての活用も可能です。

O2Oの課題

O2Oは多様な消費体験を提供でき、顧客の囲い込みもできるというメリットが期待できますが、一方で複数のチャネルをまたぐため複雑化による様々な問題が懸念されます。また、変化し続ける消費者の行動に対応しつづけなければならないという課題もあります。

施策の効果測定が複雑化

O2Oでは、施策の効果測定などデータの扱いが複雑化するという課題があります。O2Oではリアル店舗・オンラインでデータを分けるのではなく、むしろ「オンラインでの施策が店舗への集客にどれほど効果があったのか」など、チャネルをまたいだデータ分析とそのための施策を行う必要があります。

例えば、ECサイトやSNSで配布したQRコード形式のクーポンでリアル店舗に集客する施策の場合、チャネルごとに集客効果を測定するには、ECサイト・SNSごとにコードの種類を分けるといった手間をかける必要があります。

オンラインというチャネルを活用することで、施策の幅は広がり収集できるデータも増えますが、データを今後の改善に生かすには複雑な分析をしていく必要があり、そのための人材の確保・教育も課題です。

顧客の消費行動の変化に対応

O2Oでは顧客の消費行動の変化に対応することも課題です。O2Oが始まった時期は、インターネットの普及で消費者のオンラインショッピングの利用が拡大し、ECサイトなどの業者が台頭し始めました。

そこで、リアル店舗や物流機能を抱える伝統的な小売業者の多くは、オンラインでの可能性を模索し始めました。大手小売り業者による自社ECサイトの充実やオムニチャネル化も、消費のネット化の流れに乗ったものと言えます。

スマートフォンの普及で消費者の購買行動はさらに変化し、消費者の中には「リアル店舗に行って実物を試しながら、在庫検索、商品詳細や口コミの確認などはオンライン機能を使いたい」というニーズが発生しました。先述の「ショールーミング」もリアル店舗というオフラインの場からオンラインで情報収集する行為で、従来のO2Oとは逆の購買パターンです。

O2Oでオンラインからリアル店舗へ集客するだけでなく、消費者の購買行動の変化に対応することで自社ECサイトから他社への流出を避ける施策など、チャネル間の柔軟な連携も重要な課題となっています。

O2Oのマーケティング成功事例

ここでは、O2Oの考え方を生かしたマーケティング施策を行う企業事例をご紹介します。

日本マクドナルドのオンラインによる日常的な広告戦略

日本マクドナルドは、外食業としてO2Oを積極的に取り入れている企業です。外食業界はサービスの特性上、小売店業者では当たり前のECサイトでの販売が出前を除いて不可能なため、販売のためにはリアル店舗への集客が必須です。

日本マクドナルドは成長戦略の柱のひとつに「デジタル、デリバリー、未来型店舗体験のご提供」を掲げています。例えばSNSのうちツイッターでは主に商品情報やキャンペーン情報を、インスタグラムでは商品をキャラクター化したイラストのシリーズ投稿をするなど、チャネルごとに顧客が楽めるような情報発信を行なっています。

また、自社のスマホアプリでも会員カードとの連携を行っているため、購入ポイントの利用やクーポン情報の通知が可能です。また、位置情報を利用した近隣店舗の検索、商品の食材・アレルギー・栄養成分などの詳細情報の確認もできます。

日本マクドナルドは多くの消費者が日常的に使うオンラインのチャネルで顧客と接点を持つことで、リアル店舗への来客を気軽なものとして訴求する狙いがあると考えられます。

【参考】日本マクドナルドホールディングス「2018年12月期 第2四半期決算説明会資料」
【参考】日本マクドナルドホールディングス「日本マクドナルド公式アプリ」

ニトリのO2Oによる便利な購入体験

家具最大手のニトリでは、O2Oの考え方のもと便利な購入体験を提供しています。小売業は外食サービス業とは違い、リアル店舗でもECサイトでも商品を販売することができます。ただし、ニトリが扱う家具・日用品を購入する際には、サイズ・インテリアとのバランス・機能など詳細な商品の情報を確認したいという顧客のニーズがあります。

そこでニトリはSNSの活用や通販サイトの運営に加え、家具店ならではのオンラインサービスを提供しています。例えば、リビングスタイルという企業が提供しているアプリでは、AR(拡張現実)を使い自宅にいながら商品が自宅にある様子を映像でシミュレーションできる機能があり、ニトリの商品も掲載しています。

また、自社スマホアプリでは日本マクドナルドのように会員ポイントの連携や通知だけでなく、自宅の様子を撮影してサイズを記載できる機能も追加し、店頭で家具を選ぶ際に便利な仕様になっています。また、リアル店舗で利用できる「手ぶらdeショッピング」機能では、アプリで商品バーコードを読み込んで決済・自宅配送まで依頼できるサービスを提供しています。

このように、ニトリは業態の特性に合わせてオンラインからオフライン、またその逆など、O2Oの発想を柔軟に生かした独自の購入体験を実現しています。

【参考】リビングスタイル「インテリア 3D シミュレーター」
【参考】ニトリ「ニトリ公式スマートフォンアプリ」

三井ショッピングパークアプリの多ジャンル店舗への集客

大手デベロッパーの三井不動産は、子会社の三井不動産商業マネジメントを通して「三井ショッピングパークアプリ」を提供しています。ポイントの利用や指定した店舗情報の通知が届く機能や、「&mall」というオンラインショップの機能などは先述の2社と共通しています。しかし、リアル店舗のジャンルの幅広さと、ゲーム性を取り入れている点が三井ショッピングパークアプリの特徴です。

このアプリは別のショッピング施設であっても三井不動産系であれば共通で利用することができます。例えば、「コレド日本橋」や「東京ミッドタウン日比谷」など都心型施設から、地方展開する「ららぽーと」や「三井アウトレットパーク」など大型モールまで多様なジャンルで顧客に訴求できる点が魅力です。

また、アプリにはゲームにチャレンジしてクーポンを受け取る特典やリアル店舗と連動したスタンプラリー機能もあり、上述したゲーミフィケーションを活用しています。

このように、三井不動産のO2O戦略は、大手デベロッパーの強みを生かし、施設のジャンルの多様性と立地によって、アプリを補助的に活用してオンラインから施設への集客につなげる手法を行っています。

【参考】三井不動産商業マネジメント「三井ショッピングパークアプリ」

まとめ

  • O2Oとは「Online to Offline」の略で、主に小売・サービス企業やWEBサイトやSNSなどのオンライン空間からリアル店舗などオフラインの場へ集客する考え方です。
  • O2Oマーケティングのポイントは、組織の見直し、ITシステムの導入・刷新、多様なチャネルの活用にあります。
  • O2Oの課題は、施策の効果測定が複雑化することや消費者の購入習慣の変化に対応することが挙げられます。

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