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2019年1月25日(金)更新

セグメンテーション

セグメンテーションとは、市場を地理・人口動態・心理・行動変数によって分類し、共通の要素を持つ消費者の集団に細分化することです。セグメンテーションはターゲティングやポジショニングとともにマーケティングのプロセスで重要な役割を持ちます。本記事では意味や分類方法、マーケティング戦略で成功するためのポイントや事例を紹介します。

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セグメンテーションとは

セグメンテーションの意味を紹介します。そのほか、一連のマーケティングプロセスで行われるターゲティングやポジショニングとの関係、セグメンテーションが競争戦略の中で重要な役割を持つ理由についても解説します。

セグメンテーションの意味

セグメンテーションとは市場細分化のことで、さまざまなニーズ・特性が混在する市場を、変数によって分類し、共通の要素を持つ消費者の集団に細分化することです。セグメンテーションを行うことで、経営資源の効率的な活用と、マーケティング戦略の策定に役立ちます。

市場の消費者は年齢・性別・地域などの属性や、アウトドア・インドアという行動パターン、節約・高級志向という心理要素など、多くの変数で分けることができます。また、消費者のニーズ、商品の使い方、購買方法などもさまざまです。そこで画一的ではなく市場ごとに最適なアプローチを行うのがセグメンテーションの目的です。

STP分析との関係

セグメンテーションは、マーケティングプロセスの中で重要な役割を持っています。マーケティングプロセスとは、

  • 市場分析
  • セグメンテーション
  • ターゲティング
  • ポジショニング
  • マーケティングミックス(4P)

というマーケティングの一連の流れです。STP分析とは、このうちセグメンテーション(Segmentation)、ターゲティング(Targeting)、ポジショニング(Positioning)の三つの頭文字を指したフレームワークを指し、マーケティング活動の中核を占める重要な考え方です。

STP分析の役割は、セグメンテーションで広い市場を自社の事業モデルに沿った観点で細分化して「顧客ニーズを満たせるか」「市場規模は十分か」という魅力度を市場セグメントごとに判別しやすくすることです。

次にターゲティングで参入する市場セグメントを特定し、ポジショニングでは消費者やライバル社の状況、メーカーや流通業者などを分析し、自社の競争優位性が発揮できる戦略策定の道筋をつけます。

つまり、経営資源を投入してアプローチするべき消費者や、市場で戦うための戦略の方向性を決める前のステップがセグメンテーションであり、マーケティング戦略の中でも非常に重要な役割を持つと言えます。

セグメンテーションの重要性

顧客の趣味嗜好は時代に応じて多様化しており、従来のように大量生産・大量販売方式で全ての顧客に同一のアプローチを行っても顧客ニーズとのミスマッチが生まれ、非効率になる可能性があります。

一方セグメンテーションでは、一見バラバラに見える多様な消費者を共通項で分類し、市場セグメントごとに最も効果的と思われるアプローチを実施します。そのため経営資源を効率的に活用でき、同時に成果が期待しやすい考え方です。

セグメンテーションの重要性の1つ目は、特定の消費者のニーズ・悩みを解決しやすくなるという点です。

例えば、掃除機の開発でも漠然と万人受けするものを作ろうとすると機能・価格・デザインなどがあたりさわりのないものになり、誰の心にも響かない製品になる危険があります。一方、市場を「倉庫など広い範囲をまかなえる強力な吸引力を必要としている清掃業者」「周囲への音を抑えて掃除をしたいアパート世帯」などセグメントで例えるとします。

すると、前者のニーズは「静音性や価格より吸引力」、後者は「吸引力よりも静音性」というように、ニーズの特定がしやすくなって製品とニーズのマッチングが容易になります。これは経営リソースの効率的な活用につながります。

重要性の2つ目は、消費者への訴求がしやすくなるという点です。消費者に商品を購入してもらうためには、商品がニーズを満たすことができるだけでなく、広告やプロモーション活動でその価値を消費者に正しく認知してもらう必要があります。

例えば、「アップルウオッチ」は通信、映像の視聴、健康促進などさまざまな機能がありますが「機能の多さ」だけでは消費者は自分ごととして理解できない可能性が高いです。

そこで「かさばらない通信デバイスが欲しいPC・スマートフォンユーザー」「どこでも手軽に動画を視聴したいエンタメ好きな20代」「心拍や運動量が気になる健康志向の40代」など市場セグメントを分けます。すると、それぞれに装備性・利便性・健康性の観点から、最適な訴求を行うことができます。

このようにセグメンテーションとは、自社が価値を提供するべき顧客とそのニーズを把握し、その価値を正しく理解してもらう際に重要な考え方です。

セグメンテーションの分類方法

セグメンテーションの分類方法は非常に多様で、複数の変数を活用するケースもあります。さまざまな変数がある中で、ここでは地理・属性・心理・行動の観点から分類方法を紹介します。

地理的変数(ジオグラフィック)

地理的変数(ジオグラフィック変数)とは、国や市区町村などの物理的なエリア、あるいは都会・郊外・地方、人口密度、交通環境、そして気候や平地・山間部・臨海部などの地域条件です。

これらは実店舗を構える小売店や飲食店にとって出店の際になくてはならない変数です。また、工場でも物流網や周辺への影響を検討する際に重要で、住宅地の建設でも人口規模や気候的な住みやすさなど生活者の条件を考慮する上で、欠かせない変数と言えます。

人口動態変数(デモグラフィック)

人口動態変数(デモグラフィック)とは、年齢・性別・家族構成・所得・職業・人種・宗教・国籍など消費者の属性を指します。

酒類や自動車などは購入・利用に年齢条件があり、アパレルは性別でコンセプト・機能が明確に違います。また、人種・宗教によって食習慣や商習慣が大きく異なるケースもありますし、未婚または既婚で子どもは何人なのかという家族構成でも消費パターンが大きく変わります。セグメンテーションの観点に加えて、消費者理解のためにも、特に重要な変数と言えます。

心理的変数(サイコグラフィック)

心理的変数(サイコグラフィック)とは、ライフスタイル・パーソナリティ・価値観・関心・知識などの消費者の心理的な傾向・特性を指します。

例えば同じ機能を持った製品でも量販型のディスカウント品より、高価なブランド品を好む消費者もいます。また資産運用でも手堅い預金主義よりもハイリスク・ハイリターンを狙う消費者もいます。マーケティング戦略を決める上で、地域や年齢の分類だけでなく、消費者の心理面も無視できない要素です。

行動変数

行動変数とは、購買状況・購買動機・使用頻度・購買パターン・関与度・態度など、商品・サービスに対する行動や関心を指します。

例えば消費者の購買経験の有無について、新規顧客はキャンペーンでの集客や商品・サービスへの理解を、既存顧客には追加情報やメンテナンス情報を提供するなど、取るべきプローチは異なります。あるいは、加入者の多い生命保険でも、あまり調べない消費者と自ら積極的に興味関心を持つ消費者に分かれ、それぞれにふさわしい営業の方法も違います。

以上、代表的な4種類の変数を紹介しましたが、業態や扱う商品の性質によって、選ぶべき変数の種類はケースバイーケースです。ブランド製品であれば心理的変数、行動変数での分類が優先ですが、ショッピングセンターの出店では地理的変数、人口動態変数でのセグメンテーションを優先します。顧客ニーズや競合他社の状況も考慮しながら臨機応変な分類を行うことがポイントです。

セグメンテーション成功のポイント

市場の細分化はそれ自体が目的ではなく、共通点を持つ消費者ごとに最適なアプローチを行い、経営資源を効率的に活用して事業成果を得るためです。そこで、「市場セグメントで事業が成り立つか」「そもそも目的にマッチした分類を行なっているか」という2つのポイントについてご紹介します。

フレームワーク4Rで有用性を判断

市場セグメントに参入した時、事業が成立するかどうかを確認するにはマーケティングの「4R」というフレームワークが役に立ちます。4RとはRank(優先順位づけ)、Realistic(規模の有効性)、Reach(到達可能性)、Response(測定可能性)を指し、セグメンテーションの有用性を判断する基準になります。

Rank(優先順位づけ)

「Rank」とは、セグメンテーションした市場のうち、経営資源を投下すべき市場セグメントの優先順位をつけることです。

例えば、複数の市場セグメントに参入する際、セグメントの条件はさまざまで、競合の状況や顧客と自社サービスとの相性などによって、事業の期待値に差が出ることがあります。その場合、全セグメントに平等に経営資源を投入するのではなく、戦略に照らして市場セグメントの重要度をランクづけすることが有効です。

Realistic(規模の有効性)

「Realistic」とは、事業が成立するほどの有効な市場規模があるかどうかを指します。

セグメンテーションによって、顧客ニーズと自社商品・サービスの親和性が高いと判明しても、市場セグメントが小さ過ぎれば十分な売上・利益を得ることができず事業の持続は難しいと言えます。市場に参入する際には採算性があるかどうかも重要です。

Reach(到達可能性)

「Reach」とは、市場セグメントの顧客に商品を届けることが可能かどうかを指します。

自社商品・サービスで顧客ニーズを満たせるとしても、地理的な理由から配送、来店が困難なケースもあります。また世界中からアクセス可能なWEBサービスであっても、多言語対応が不十分であればサービス提供の障壁になるため、参入の見送りまたは対応策を考えることが必要です。

Response(測定可能性)

「Response」とは、市場セグメントの顧客の反応を測定することが可能かどうかを指します。

例えば、小売店で「外国人観光客」というセグメントを設定した場合、売上高や来店客数は測定可能ですが、国内顧客とは違って一度きりの顧客の割合が多く、また同一人物の特定ができなければリピートなど購入状況の測定が難しいため貴重なデータが残らないという課題があります。

目的に合致したセグメンテーションを実施

セグメンテーションでは、マーケティング戦略の目的と整合性が取れている分類方法がポイントです。

具体的には、「参入する市場に合致した変数を選択しているかどうか」が重要です。例えば「大学新卒の就職活動市場」の場合、ターゲットの職業は学生がほとんどで年齢も近いため、重視すべき変数はパーソナリティや価値観、居住地域や希望勤務エリアなどを使用することが妥当です。

また、「変数の広さ」を意識することもポイントです。

例えば、地域密着の居酒屋というコンセプトで商圏を定義するためにセグメンテーションを行う場合、変数には「エリア」を選びますが、市・区より現実的な広さの徒歩やタクシー圏内でセグメントを分けるのが妥当です。

セグメンテーションの事例

ここでは、独自の市場セグメントで高付加価値をつけることで他社との差別化に成功している企業事例をご紹介します。

総合美容メーカー資生堂の差別化マーケティング

資生堂は国内シェアトップの総合美容メーカーです。資生堂は主力の化粧品ブランド「SHISEIDO」をはじめ低・中価格帯のコスメ「マキアージュ」など20種類以上の商品ブランドを保有し、アジア・欧米など80カ国以上に進出しており売上高は2017年に1兆円を超えています。

このように大規模な多角化展開をしている資生堂ですが、セグメンテーションのやり方はオーソドックスと言えます。まず「美容」という広い市場を、化粧(メイクアップ)、スキンケア、香水など商品カテゴリによって分類した上で地理、人口動態、心理、行動など基本的な変数を効果的に活用しています。

例えば、地理的変数では国や地域などのエリア変数に加え、デパート・専門店・ドラッグストア、さらには旅行者向けのトラベルリテールなどと販売チャネルを細かく分けています。

また、年齢や美容への関心度、志向を変数にセグメントを分け、化粧品ブランドの中でもハイクラス「プレステージ」とミドルクラス「コスメティクス」で価格帯を変え、さらに「プレステージ」の中でもモダン志向の「ナーズ」、優雅志向の「ローラ メルシエ」などとブランドを区別しています。

資生堂の特徴は、高価格帯セグメントに経営資源を投入する「プレステージファースト」戦略をとりながら、それだけに集中せずに比較的低価格帯の10~20代向けブランド「マジョリカ マジョルカ」など持っている点です。全市場・画一商品の戦略をマスマーケティングと言いますが、資生堂は豊富な経営資源を生かしてセグメントごとに別ブランドを投入する差別化マーケティングを行なっています。

【参考】資生堂:「CEOが語る経営戦略 | ANNUAL REPORT 2017」
【参考】資生堂:「ブランド」

湖池屋のプレミアム市場セグメント戦略

湖池屋は国内の老舗スナック菓子メーカーです。連結売上高が1,000億円を超える競合の江崎グリコやカルビーと比較すると規模は小さいながらも、「ポテトチップス」や「カラムーチョ」など定番のロングセラーブランドを抱え、2015年ポテトチップス市場ではカルビーに次ぎ22%のシェアを獲得しています。

マーケター用語で「千三つ」とは、コンビニやスーパーなどの新商品千種類のうち生き残るのは2~3品という意味です。ヒット商品の移り変わりが激しいことで有名な菓子業界で湖池屋が存在感を発揮できている背景には、徹底した市場分析と顧客ニーズの発掘があります。

湖池屋は少子高齢化、所得の二極化、ローカル価値向上などの社会動向から、「消費者は安さ・手軽さよりも、気に入った付加価値商品に対価を払う」傾向に着目しています。つまり、人口動態的な分類に加えて、さらに興味関心や付加価値重視といった行動変数でのセグメンテーションを重視しています。

その戦略の代表例が、2017年2月に湖池屋が発売したプレミアムポテトチップス「KOIKEYA PRIDE POTATO」です。100円以下の商品が多い中で150円程度と高価格ですが、国産の希少じゃがいもを使用し製法も工夫するなど本格志向にこだわり、発売初月にポテトチップス市場の平均単価を10%近く押し上げるほどヒットしました。

【参考】湖池屋:「2017年6月期 決算説明会資料」

LCCの路線・価格帯すみ分け戦略

LCC(ロー・コスト・キャリア)とは格安航空会社を指し、ANA、JALなどの大手キャリアと比較して料金の安さを売りにしている業態です。日本で国際就航している代表例には、成田空港が拠点のジェットスター、関西国際空港が拠点でANA傘下のピーチ・アビエーションなどがあります。

レガシーキャリアと呼ばれるANAやJALは、最新機種の導入、機内飲食の無料、ラウンジや搭乗口の近さなどの利便性、荷物預かり、正確な運航などサービスを充実させることで高付加価値を提供し、寡占状態を維持してきました。そこでLCCは合理化による低価格を武器に対抗し新たなセグメントを開拓しました。

LCCが普及する以前の航空市場は、高品質サービス・高価格が一般的でしたが、LCCは低~中所得帯の旅行願望や、デフレ志向などの人口動態、行動変数に注目し、「大手ANA・JAL社のような手厚いサービスは不要なので、手軽に安く旅・移動をしたい個人層」の市場セグメントにターゲティングしました。

また、LCCの先駆けでありながら大手の対抗値下げによって経営破綻した「スカイマーク」や「エア・ドゥ」のケースも参考に、近年のLCCは大手が参入しておらず競争の厳しくない路線に参入するなど地理的変数も意識しています。あるいは、ANAのようにあえて傘下にLCCを持ち、高価格帯と低価格帯で路線を棲み分けながら両セグメントに参入するケースもあります。

【参考】ピーチ・アビエーション:「Peachについて」
【参考】日本経済新聞:「スカイマーク、初フライトから20年 破綻越え独自色 」

まとめ

  • セグメンテーションとは、市場を消費者ニーズなどの変数によって分類し、共通の要素を持つ集団に細分化するこです。
  • セグメンテーションは、ターゲティングやポジショニングを含むSTP分析の一つとしてマーケティングの中で重要な役割を持ちます。
  • セグメンテーションには、市場を地理的・人口動態的・心理的・行動変数で分類する方法があります。
  • セグメンテーションの成功ポイントは、分類の有効性を判断するフレームワーク「4R」の活用や、目的に適した変数を選択することです。

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