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2018年9月21日(金)更新

ABC分析

ABC分析はコスト削減や業務効率化を主な目的として行われる分析手法です。数値化できるものであれば何でもAランク、Bランク、Cランクの3つに分類することができるため、在庫管理をはじめ、顧客管理や販売管理、品質管理など幅広いビジネスシーンで活用されています。当記事ではABC分析に対する理解を深め、すぐに現場で実施することができるよう、パレートの法則との関連性やエクセルを使用したABC分析のやり方、エクセルグラフ(パレート図)の作成方法などを画像を交えて分かりやすく解説しています。

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ABC分析とは

ABC分析とは、コストの削減や業務の効率化を主な目的として行われる分析手法です。
数多く存在する要素の中から重点を置くべき要素を明確にする特性を持つことから重点分析とも呼ばれています。

数値化できるものであれば何でも分析可能なABC分析は、非常に使い勝手の良い分析手法です。
そのため、在庫の適正化や飲食店におけるメニューの見直し、既存顧客に対する優先順位づけなど、在庫管理、顧客管理、販売管理、品質管理、マーケティングと幅広いビジネスシーンで活用されています。

なお、物流や倉庫関係で使用されている「IQ分析」や、モノづくりの現場で使用されている「PQ分析」は、いずれも名前が異なりますが、ABC分析と同様の分析手法となっています。

ABC分析とパレートの法則の関連性

パレートの法則とはいわゆる冪乗則の一つであり、「全体の数値の大部分は一部の要素によって生み出されている」という物事の不均衡を表したものです。
イタリアの経済学者であるヴィルフレド・パレート(Vilfredo Frederico Damaso Pareto)氏が発表した「上位2割の高額所得者が社会全体の8割の富を所有している」という研究結果を元に生み出されたことから、パレートの法則と呼ばれています。

「2割の売れ筋商品が売上全体の8割を生み出している」や「ごく一部の企業が市場シェアの大半を占めている」など、物事の不均衡はビジネス分野においても数多く発生しています。
このような不均衡な状況下において、全体に対する影響力の弱い下位集団に対して貴重な経営資源を注ぎ込むことは得策とはいえません。

ABC分析では、注力するべき影響力の高い要素を明確にするため、売上高などの数値データを降順に並べ、その累積構成比を元にAランク、Bランク、Cランクという3つのランクに分類していきます。

物事の不均衡が身の回りのあらゆる場所で発生していることを正しく認識し、ABC分析という分析手法を用いて自社内に存在する不均衡を明らかにすることによって、無駄を極限まで省き、僅かな努力や投資により最も多くの成果を得ることが可能となるでしょう。

エクセルを使用したABC分析のやり方

ABC分析は手作業でも行うことができますが、エクセルの関数やグラフを活用することでより早く、より正確に分析することが出来ます。
エクセルを使用したABC分析は次の5つのステップで行われます。

  1. 数値データの入力
  2. 数値が大きい順(降順)に並び替える
  3. 全体に対する各要素の構成比と累積構成比を求める
  4. 累積構成比を元にランク付けを行う
  5. 必要に応じてグラフを作成する

なお、今回は架空の商品A~Kとその販売記録を使用し、以下の条件でランク付けを行います。

ランク 管理レベル 評価基準
Aランク 最優先 累計構成比が70%以下
Bランク 現状維持 累計構成比が70%超90%以下
Cランク 排除対象 累計構成比が90%超

1.数値データの入力

ABC分析の準備として最初に行うのが数値データの入力です。
上記のような表を作成し、「商品名」、「単価」、「販売個数」を入力していきます。

なお、この時点で「セルの書式設定」の「表示形式」から「数値」や「パーセント」など各セルに適した設定を行っておくと分析作業をよりスムーズに行うことができます。

販売個数まで入力することができたら、数式を使用して売上高の計算を行います。

「売上高」の最上部のセルに【=単価が入力されたセル*販売個数が入力されたセル】と入力します。

その後、オートフィル機能(書式なしコピー)を使用して最下部のセルまで数式のコピーを行います。

2.数値が大きい順(降順)に並び替える

数値データの入力を終えたら、数値が大きい順に並び替えを行います。
「商品名」から「売上高」までの項目名と数値データを全て選択してフィルターを適用します。

そして、「売上高」を降順で並び替えます。
並び替えを終えたらフィルターを解除しておきましょう。

3.全体に対する各要素の構成比と累積構成比を求める

まずは全体に対する各要素の構成比を求めていきます。
「構成比」の最上部のセルに【=各要素の数値が入力されているセル/要素の合計値を導き出す関数】を入力します。
この際、合計値を導き出す関数内のセルがコピーによってずれてしまうことがないように【$】を入れて固定しておきます。

最上部に表示されている売上高の全体に対する構成比を求める数式が入力できたら、オートフィル機能(書式なしコピー)を使用して最下部のセルまでコピーを行います。

次に累積構成比を求めていきます。
累積構成比は最上部のセルと二行目以降のセルで数式が異なるため注意が必要です。
「累積構成比」の最上部のセルには【=その行の構成比が表示されているセル】と入力します。

そして、「累積構成比」の二行目のセルには【=直前までの累積構成比+その行の構成比が表示されているセル】と入力します。

その後、オートフィル機能(書式なしコピー)を使用して二行目のセルの数式を最下部のセルまでコピーします。

4.累積構成比を元にランク付けを行う

全ての累積構成比を求めることができたら、いよいよランク付けとなります。
「評価」の最上部のセルに【=その行の累積構成比が70%以下であればA、70%超90%以下であればB、そのいずれでもなければCと表示する関数】を入力します。

ABCよりも更に細かなランク付けを行いたい場合や各ランクの評価基準を変更したい場合にはこの関数に変更を加えるようになります。

評価基準を反映させる数式を最上部のセルに入力することができたら、オートフィル機能(書式なしコピー)を使用して最下部のセルまでコピーします。
これで全商品に対するランク付けを行うことができました。

今回の例では、注力するべき影響力の高い商品(Aランク)が商品E・C・Fの3つ、現状維持で様子をみる商品(Bランク)が商品A・H・D・Gの4つ、排除対象として検討すべき商品(Cランク)が商品B・J・K・Iということがわかりました。

今回作成したABC分析用の表は一度限りのものではありません。
商品名や単価、販売個数など変更となった部分を修正し、ステップ2(二回目以降も「商品名」から「売上高」までの項目名と数値データのみを並び替える)を実施するだけで、すぐに新たな分析結果を得ることができるため、積極的に活用していきましょう。

5.必要に応じてグラフ(パレート図)を作成する

エクセルを使用したABC分析の最大のメリットは可視化が容易であることです。
そのメリットを活かし、必要に応じてパレート図と呼ばれる棒グラフと折れ線グラフを組み合わせた複合グラフを作成していきます。

左のグラフは「商品名」、「売上高」、「累積構成比」の項目名と数値データから作成された棒グラフと折れ線グラフの複合グラフに70%と90%のラインを追加したもの、そして右のグラフは「商品名」と「売上高(もしくは構成比)」の項目名と数値データから作成された円グラフをランク毎に色分けしたものです。
このように可視化されたデータを資料に加えることによって、ABC分析の結果をより分かりやすく伝えることができるでしょう。

ABC分析の注意点

ABC分析は組織内における集中と選択を実現し、多くの場面で一定の成果を上げることができる素晴らしい手法です。
しかし、中にはABC分析による取捨選択が最善の選択肢とならないケースも存在します。

CランクがAランク以上の成果を生み出すロングテールの法則

ロングテールの法則とは「個々の売上や販売機会が少ない商品であっても、その全てを合算することで上位の商品よりも大きな売上を生み出すことができる」という法則です。
このロングテールの法則は、ECサイトの運営においてよく活用されています。

陳列スペースという概念のないECサイトでは希望する全ての商品を自由に販売することができます。
また、検索システムにより希望商品の購入画面まですぐにたどり着くことができるため、人力では到底探し切ることができないような膨大な量の商品を扱っても顧客の利便性に影響を与えることがありません。

多くの場合、商品数の増加に比例する形でCランクに分類される商品も増加し、パレート図において長い尻尾(ロングテール)を形成するようになります。
そして、Cランク商品が増え続けた結果、Cランク商品の総売上がAランク商品の総売上を超えるという逆転現象も発生するのです。

期間限定で大きな売上を生み出す季節商品

季節商品とはその名の通り、特定の季節にのみ多くの需要が発生する商品です。
そのため、特定の季節が含まれる月単位や四半期単位でのABC分析ではAランクに、年間を通したABC分析ではBランクやCランクに分類される傾向があります。

季節商品の特性を理解していないまま年単位でのABC分析による取捨選択を行ってしまうと、多くの販売機会を自ら手放すことになりかねません。
このような失敗を未然に防ぐためにも、季節商品の重要度を見極める場合には複数の対象期間におけるABC分析の分析結果を照らし合わせ、総合的に判断する必要があるのでしょう。

客寄せ効果を期待して扱う見せ筋商品

安定して多くの売上を生み出してくれる人気商品を「売れ筋商品」、流行が過ぎ去った商品や需要の少ない商品を「死に筋商品」というのに対し、客寄せ効果による全体の売上アップを期待して扱う商品を「見せ筋商品」といいます。
この見せ筋商品は単体での売上が少なくても十分に存在価値があるため、ABC分析の分析結果がたとえCランクであったとしてもBランクと同様に扱う必要があります。

また、見せ筋商品の中には商品バリエーションと客寄せ効果が比例するものもあります。
そのような特性を持つ見せ筋商品を扱う場合には、ABC分析による単純な取捨選択ではなく全体のコストバランスを見極めながら調整を行う必要があるでしょう。

まとめ

  • ABC分析はコスト削減や業務効率化を主な目的として行われる分析手法である
  • ABC分析は数値データを降順に並べ、その累積構成比を元にAランク、Bランク、Cランクの3つに分類することで各要素の重要度や優先順位を明確にする
  • 数値化できるものであれば何でも分析可能なABC分析は幅広いビジネスシーンで活用されている
  • ABC分析にエクセルを使用することで、早く、正確に、二次利用可能な分析結果を得ることができる

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