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2018年10月10日(水)更新

データドリブン

データドリブンとは、経営における様々な局面での意思決定をデータに基づいて行う思考法です。 ただしその解釈は企業によって異なり、例えばGoogle では「主観にとらわれない、データに基づく意思決定」だと定義しています。 今回は言葉の意味・導入事例とデータドリブンな組織になるまでのプロセスを解説していきます。

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データドリブンの意味とは?

データドリブンの根本的な意味はGoogleの定義と同じで、「主観にとらわれないデータに基づく意識決定」という言葉になります。

現在世の中には、売上データ・マーケティングデータ・web解析データなど、様々なデータが流通しています。これらデータを基に意思決定を行うことをデータドリブンといいます。 しかしこのままで抽象的で具体性に欠けるため、本記事で徹底的に解説していきます。

【参考】Google アナリティクスとAdWordsの連携によるデータドリブンマーケティング

映画「マネーボール」に見るデータドリブン

データドリブンな意思決定を分かりやすく表現した例として、映画の「マネーボール」を紹介します。

1997年、メジャーリーグのオークランド・アスレチックスのGMに就任したビリー・ビーンは、球団予算が少ないことから有力選手を他球団に引き抜かれてしまいます。

そこで彼がとった戦略は監督やスカウトの経験によってリクルートをするのではなく、客観的なデータに基づき選手を採用するという、その時代では革新的なものでした。
この戦略が功を奏し、それまで他球団では注目されず、年俸の低かった有力選手を発掘することに成功。アスレチックスは低予算のまま黄金時代を築きました。

彼のとった手法はのちにセイバーメトリクス(Sabermetrics)とよばれ、データドリブンな戦略意思決定の代表例となりました。

マネーボールの例をもとにアスレチックスのとった戦略と他球団の戦略をまとめると、下記の図のようになります。

アスレチックスのとった戦略はまさにデータドリブンの代表例であり、監督など意識決定者の経験・勘・直感に依存していた意思決定を統計学の手法を用いることで客観的で論理的で合理的な意思決定を実現、チームを勝利に導くことが可能になりました。

【参考】映画「マネーボール」

ビジネスシーンにおけるデータドリブン

意思決定のための思考法であるデータドリブン。そのため本来はビジネスのほぼすべてのシーンにおいて活躍する思考法ですが、最近特に注目を集めている2つのシーンについて解説します。

経営戦略

意思決定が最も重要となる場面は経営戦略を策定する場面です。多くの企業がこのシーンにデータドリブンな思考を用いようとしています。経営者であれば誰しも必要とする、より合理的で、スピーディーな意思決定。それを実現するためにデータドリブンは有効であるため、経営戦略の場面で活躍する思考法であるといえます。

マーケティング

「データドリブン」という言葉単体よりも「データドリブンマーケティング」という言葉のほうが馴染みのある場合も多いように、データドリブンはマーケティングと非常に相性の良い思考です。 近年、技術革新の影響により市場の変化は劇的に加速しています。加えて顧客行動は複雑さを増しました。
そんな中、企業はよりスピーディーで正確な顧客理解を必要としています。これらの課題解決のためにデータドリブンな思考は役立つためマーケティングの場面でその力を発揮しています。

データドリブンの意味まとめ

  • データドリブンとは「経験や勘などの思い込みにより意思決定ではなく、客観的データに基づいて行われる意思決定」である。
  • 意思決定であるため、ビジネスのほぼ全てのシーンで用いられるが、特にマーケティングと経営戦略の場面で注目を集めている。

経営課題として注目されるデータドリブン

ではなぜ、このデータドリブンという言葉が注目を集めるようになったのでしょうか。

経営課題としての重要度が高いから

PwCコンサルティングが企業の意思決定者2100名余りを対象にした調査では、

  • 意思決定者はデータとアナリティクスがもつ課題解決における有益性を認識しており、データドリブンな企業を目指している。
  • 自社が意思決定をする際、ややデータドリブンである、もしくはほぼデータドリブンではないと回答した割合はおよそ三分の二程度に上った。

これらのことから、企業の多くがデータの持つ力を認識しデータを活用したいと考えているものの、その半数以上が実現できていないことが判明しました。

デジタル化の環境変化により意識決定の合理化実現を目標にしている企業が増えたことで、注目を集めるようになりました。

【参考】データ駆動(データドリブン)型:インテリジェンス時代の重要な意思決定/Pwc

データドリブンとデジタルトランスフォーメーション

また同時に、近年経営課題としてあげられるデジタルトランスフォーメーションにおいても、データドリブンは必要な思考であるため注目されています。

デジタルトランスフォーメーションとは、企業の様々なものをデジタル化し経営の合理化を図ると同時に、データを収集することでビジネスにイノベーション起こすことです。

イノベーションを起こすためには収集したデータを適切に扱い、その後の意思決定を行うことが必要になります。
そのためデジタルトランスフォーメーションに注目が集まるようになった影響でそれに付随するデータドリブンが注目を集めるようになりました。

【関連】デジタルトランスフォーメーションとは?言葉の意味や導入事例をご紹介

マーケティング4.0とデータドリブン

マーケティング4.0とは、フィリップ・コトラーが2016年に著書『Marketing 4.0: Moving from Traditional to Digital』で提唱した概念です。

この著書の発表以降、その概念は一気に世界中で注目されるようになりました。マーケティング4.0とは、顧客の自己実現を中心に置き、顧客と企業が一体となって社会問題の解決や新たな価値の創造を目指すマーケティングのことを指します。

マーケティングには図のような4つのステップが存在しますが、マーケティング3.0以降では、それ以前より深い顧客理解が必要です。そのため顧客がどのような人間でありどのような価値観を把握するために企業はデータを活用する必要があります。

コトラーがマーケティング4.0という概念を発表して以降、多くの企業がその概念の導入を目指し、実現のためにデータドリブンが必要であったことからデータドリブンが注目されるようになりました。

【参考】日本企業に問われるより高い次元の目的意識とCSV/ウェブ電通報

データドリブンの事例

すでに紹介した通り、データドリブン的な思考は経営戦略とマーケティングの場面で多く用いられており、成功している企業も多くあります。今回はその事例を紹介していきます。

経営戦略としてのデータドリブン

一部の企業はすでにビジネスの多くの場面でデータドリブンを導入しています。今回は中でも先進的な事例を紹介します。

YAHOO! JAPANの事例

YAHOO! JAPANはDOMO株式会社の提供するBIツールを導入することで、よりデータドリブンな経営を実現しました。

部門ごとに異なっていたツールを統一することで、全員が同じデータを見ながら議論をすることが可能になりました。

また常にどこからでもデータにアクセスできる環境を整備したことで、直接的に責任を負わない現場社員もデータを意識して行動するようになり、組織全体がデータドリブンなものに生まれ変わっています。

【参考】DOMO+YAHOO Japan/DOMO

株式会社フォーラムエンジニアリングの事例

フォーラムエンジニアリングは人材紹介を行う企業です。

従来は営業担当者がクライアント企業と候補人材に対する評価を行っていました。

しかしながら従来の方法ではマッチング実現までの時間・労力のコストが大きい反面適切な人材紹介が実現できない問題が発生。
この状況を打破するために、日本IBMと協力し社内外データを収集、分析することで最適なマッチングを提案するシステムを構築し、利用しています。

これによりデータ分析による客観的な根拠の提示を可能にし、マッチングの効率化と迅速化を実現しました。

【参考】株式会社フォーラムエンジニアリング/IBM

このようにデータを中心に置いた企業に変革することで、様々な場面で合理的な意思決定が可能になります。さらに従来では実現できなかったスピード感や信頼の担保などのソリューションなども生み出すことに成功している起用もなります。

データドリブンマーケティング

データドリブンマーケティングは本来、データドリブン経営の一部ですが、一度にすべてをデータドリブンにすることは困難であるためまずはマーケティングに取り組んでいる企業が多くあります。

JR九州の事例

JR九州は従来、ポイントサービスを3つのサービスごとのポイントシステムと運営していました。
そのためそれぞれのデータが統合されておらず、十分な顧客理解が実現できずにいました。

そのためこれらのポイントサービス統合とともにデータも統合をすることでより実用的なマーケティングを実践し、加えて顧客分析やパーソナライズを自動化することで効率化も実現しています。

【参考】ブレインパッド、JR九州のポイントサービス統合後のマーケティング基盤としてプライベートDMP+MAを導入/BrainPad

JTBの事例

JTBは地域観光プロモーションの実施のために、NTT ドコモ・電通と協力し、「旅人ファースト」を徹底したデータドリブンマーケティングを実践しています。

ドコモの持っている位置情報ビッグデータと電通の持っているアンケートパネルデータを組み合わせることで、地域の魅力発掘からイノベーションの実現、そこから具体的なプロモーションの実施まで行っています。

【参考】地域観光イノベーションプログラム/JTB地域交流事業

データの力が最も顕著に表れるマーケティングの場面で、様々な企業がデータを用いたマーケティング施策を展開しています。

記事中で紹介はしていませんが、普段の生活で目にするSNS広告やウェブ広告などのデジタルマーケティングも個人に向けてパーソナライズされたものであり、もはやデータドリブンマーケティングは常識的なものになりつつあるといえます。

企業がデータドリブンな組織になるには

ここまで紹介してきたデータドリブンですが、データドリブンではない組織が変革を実現するにはどのような取り組みが必要なのでしょうか。

データドリブンに至るまでのステップ

ステップ1:データ収集

データを用いた経営を実現するためにはまずもとになるデータが必要です。
すでにデータを収集している場合でも、統合などによって整理する必要があります。また、データがない場合はデータを収集する仕組み作りから始めなければなりません。

ステップ2:可視化・現状把握

集めたデータを集計し、可視化します。
グラフや基礎統計量を用いることで現状を客観的に把握し、そこからKPIとの乖離を見ることで分析につながります。

ステップ3:意思決定のための活用

ここではクロス集計などを用い、カテゴリ別にデータを集計しなおすことで差異を把握します。
また、検定を用いどの程度の優位差があるのかを確かめることも意思決定に役立ちます。
具体的にはABテストによるページの出し分けの差異の把握などがあげられます。

ステップ4:予測

集計し、可視化したデータからモデル化などを用い、未来を予測します。
このステップでは機械学習を用いることが多く求められるスキルも複雑なものになっていきます。
そのためアナリストやデータサイエンティストなどのデータ人材が必要になるステップです。

ステップ5:リアルタイム・パーソナライズ化

ステップ4までは人力で行っていたものを、自動化するステップになります。
ここまでのステップで集めた膨大なデータを基に、「顧客」を「個客」としてパーソナライズしたマーケティングなどがこの段階で、マーケティングオートメーション呼ばれるMAツールをはじめとしたマーケティングツールはこのステップに当たります。

このように、データドリブンを実現するためにはデータ収集から現状把握などのステップを踏む必要があります。 いきなりAIや機械学習などのツールに頼るのではなく、地道なデータ収集や検討が必要であるともいえます。

【参考】データドリブンマーケティングのためのデータ活用4ステップ/パーソル プロセス&テクノロジー

まとめ

  • データドリブンとは、「経験や勘などの思い込みにより意思決定ではなく、客観的データに基づいて行われる意思決定」である。
  • 主に経営戦略とマーケティングで用いられる。
  • データドリブンな組織になるには段階を経る必要があり、いきなりツールを導入するだけではうまくいかないこともある。

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