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2018年11月17日(土)更新

STP分析

マーケティング戦略を策定するにあたり、多くの日本企業が活用しているSTP分析。マーケティング・プロセスの中でも基本戦略としても知られています。今回は中小企業の経営者や個人事業主の方にも知っていただきたい、STP分析の意味や重要性、メリットからおすすめの書籍(本)をご紹介いたします。

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STP分析とは

STP分析とは、マーケティング・プロセスの中でも基本戦略として位置付けられる、セグメンテーション(市場細分化)、ターゲティング(顧客の明確化・標的市場の選択)、ポジショニング(自社の製品・サービスの立ち位置の確立)の3つのプロセス(以下、総称をSTP)から、マーケティング戦略の基本戦略~具体的施策まで打ち出すことのできる分析方法です。

STP分析を実施することで、競争優位性の確立や営業活動の省略化、商品(製品)・サービスの価値および企業価値の向上、見込み客の洗い出しなどの効果が期待できます。さらに、ブルーオーシャン戦略やニッチ戦略といった高価格・低コストの商品(製品)・サービスの展開による高い収益性を確保できるマーケティング戦略の策定も期待できます。

マーケティング関連のフレームワークは種類も活用方法も多岐に渡りますが、STP分析はどのフレームワークにも活用できるマーケティングの基本となる分析方法のため、経営規模・業種や商材に関係なく、ほとんどのマーケティング活動に導入されてます。

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STP分析の重要性が高まっている要因

STP分析の重要性が高まっている要因としては、以下の3点が挙げられます。

顧客の価値観の多様化

インターネットやSNSの普及により、さまざまな媒体からの情報取得、コミュニケーションのグローバル化、さらには働き方やライフスタイルの変化などが進み、顧客一人ひとりの持つ価値観が多様化している傾向がみられます。そのため、従来の大衆向けの商品(製品)・サービスでは顧客ニーズに応えることが難しい状況となっており、STP分析による市場細分化、顧客の明確化・標的市場の選定を行なった上で、適切な顧客に自社の商品(製品)・サービスを提供する必要性が高まったと考えられます。

経営を取り巻く不確実性の増加

イノベーションによる技術の進展は、労働力の安い外資系企業やIT企業をはじめとした新興企業による市場への参入を加速させ、従来のような競争優位性を確保することが難しい時代へと突入しています。その結果、経営を取り巻く市場の不確実性が増す中で、自社の強みや商品(製品)・サービスの価値を向上させる目的で、基本戦略となるSTP分析が重視されるようになったともいえます。

中小企業が取り組みやすい

また、STP分析の3つのプロセスは連動しているため、どのプロセスから着手しても分析結果に大きな変化をもたらしません。経営状況に応じて、どのプロセスからも着手できるため、スピード感のあるマーケティング分析が行なえます。中小企業にとっても基本戦略であるSTPに注力することで、マーケティング戦略の立案にかかる時間やコストを削減できるため、STP分析に注目が高まっていると考えられます。

マーケティング・プロセスとの関連性

マーケティング・プロセスとは、マーケティング戦略を打ち出す際に必要となる「市場調査(市場分析)・環境分析」、「セグメンテーション」、「ターゲティング」、「ポジショニング」、「マーケティングミックス(4P)」、「マーケティング戦略の実施」の6つのプロセスから構成される手法を指すマーケティング関連用語です。これらのプロセスを踏むことで、生産・製造・販売・アフターサービスという経済活動の一連の流れを通して、自社の商品(製品)・サービスを顧客にアプローチすることが可能となります。

マーケティング・プロセスの全てを実施することは、多大な時間と費用を必要とし、マーケティング知識に長けた優秀な人材を用意しなければいけません。そのため、経営資源が少ない中小企業や個人事業主にとって、マーケティング・プロセスの全てを実行することは難しいといえます。

マーケティング・プロセスの中でもマーケティング戦略の成功か否かを左右するプロセスは、基本戦略であるSTP(セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング)の3つです。そこで、STPに分析項目を絞り、マーケティング・プロセスを簡略化することで、中小企業や個人事業主でも、効果の高いマーケティング戦略の策定を行なえます。自社の強みや自社製品の価値を提供できる市場や顧客、市場における立ち位置の精査が可能です。

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STP分析のメリット

STP分析の実施は、企業に多大なメリットをもたらしてくれます。今回はSTP分析によって得られる、代表的なメリットをご紹介いたします。

競争優位性の確立

STP分析はマーケティング戦略の基本戦略に位置付けられており、市場細分化(顧客セグメントの洗い出し)と標的市場・顧客の選定を明確にすることで、自社や商品(製品)・サービスの市場における立ち位置を顧客に認識してもらえるメリットを得られます。

自社の顧客を明確にし、適切なアプローチで顧客に訴えることは、自社の商品(製品)・サービスを選定してもらう可能性が高まり、競合他社と比べて高い競争優位性の確立につながります。市場における競争優位性の確立は、中長期かつ安定的に売上・利益の確保につながるため、多くの日本企業がSTP分析を採用しています

営業活動の省略化

マーケティング戦略を策定することは、最短距離で顧客に商品(製品)・サービスを届けられる道筋をつけることを意味します。それは営業の省略化であり、限られた経営資源においても高い収益性を確保できることにつながります。

従来の大衆向け商品(製品)・サービスでは決まった広告戦略や「経済の規模」を活かした大規模な商品展開が基本とされていました。しかし、顧客の価値観が多様化する中で、顧客それぞれのニーズに沿った商品(製品)・サービスの提供が求められるようになり、多大な営業活動経費が必要とする時代に突入したといわれています。そのため、自社の商品(製品)・サービスにふさわしい顧客を明確化できるSTP分析は、営業活動のコスト削減にもつながり、経営資源の少ない中小企業においても少ないコストで最大限の収益を確保できるメリットが得られます。

商品(製品)・サービスの価値向上

STP分析では、商品(製品)・サービスを提供する最適な顧客層を見つけられる反面、顧客のニーズの把握や企業ブランド・既存商品の育成にもつながります。

STP分析の中でもセグメンテーションでは具体的な購入者の人物像を把握でき、新商品開発のヒントとなるケースも少なくありません。また、ポジショニングによる消費者視点の立ち位置の確立は、その分野・事業における商品(製品)・サービスのブランド化を促進させ、商品(製品)・サービス自体の価値向上に留まらず、企業価値の向上にもつながります。

見込み客の洗い出し

STP分析は、競合他社がアプローチしていない見込み客の発掘にも有効です。セグメンテーションではさまざまな切り口による市場細分化が実現できます。セグメンテーションで活用される4つの変数(人口動態変数や地理的変数、心理的変数など)は、具体的な人物像を明確化でき、自社が提供する商品(製品)・サービスの意外な見込み客を見い出すことも珍しくありません。

新たな見込み客の洗い出しは、高い収益性を見込めるブルーオーシャン戦略やニッチ戦略にもつながりやすく、その後の具体的なマーケティング戦略の選択にも大きな影響を与えます。

STP分析における『セグメンテーション』とは

STP分析はマーケティング・プロセスの一連の流れである、セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングの3つを重点的に分析する手法です。

まずは「セグメンテーション」について、詳しく解説していきます。

セグメンテーションの定義

セグメンテーションとは、同じようなニーズや価値観を持つ顧客層を単体、もしくはグループ化する市場細分化を意味するマーケティング関連用語です。自社の商品(製品)・サービスを投入する市場規模や顧客の反応を探る目的で実施され、人口動態変数、地理的変数、心理的変数、行動変数などの指標を利用して、市場細分化を図ります。

自社が提供する商品(製品)・サービスのターゲットとなる見込み客や市場を洗い出すことに長けた、マーケティングの基本戦略でもあります。また、自社の商品(製品)・サービスと届けるべき顧客との整合性の判断を行うプロセスとしても知られており、新商品の開発においても商品コンセプトを決める要素の洗い出しにも活用されています。

セグメンテーションで活用したい変数

STP分析のセグメンテーションでは、一般的に「人口動態変数」、「地理的変数」、「心理的変数」、「行動変数」の4つを活用して、分析が行なわれます。

人口動態変数(デモグラフィック:Demographic Variables)

年齢や性別、家族構成、職業、年収や学歴などを基に顧客となる人物像を具体化していくための要素・指標です。

地理的変数(ジオグラフィック:Geographic Variables)

国や地域(日本では都道府県)などの情報を基に市場細分化を行ない、対象となる地域の規模や人口、発展度合い、さらには気候や文化といった地域特性を明確化にするための要素・指標です。

心理的変数(サイコグラフィック:Psychographic Variables)

商品(製品)・サービスに対して抱く、人間の心理や感性を基に市場を細分化するための要素・指標です。顧客心理は商品(製品)・サービスの購買モチベーションに強く影響するため、対象となる顧客のライフスタイルや価値観、顧客の特徴などを明確化するために活用されます。

行動変数(ビヘイビアル:Behavioral Variables)

商品(製品)・サービスに対する人間の購買行動、購買回数から過程、態度に至るまでの一連の顧客行動を具体化するための要素・・指標です。行動変数を導き出すことで、販売店やWeb上での最適な顧客アプローチが可能となります。

変数を用いたセグメンテーションの分析方法

セグメンテーションでは、4つの変数を組み合わせることで、さまざまな切り口から顧客セグメントを分けられます。また、具体的な顧客像を明確にするためにも2つから3つの変数を組み合わせて、実施することが望ましいとされています。

中でも人口動態変数と地理的変数は具体的な顧客層をイメージしやすく、商品(製品)・サービスの開発や市場投入の検討には最適な変数といえます。さらに心理的変数は顧客層の日常をイメージしやすく、「どのような場面で、自社の商品(製品)・サービスを求めているか」の仮説を構築しやすい変数として知られています。

消費財と生産財の区別

商品(製品)・サービスは消費財(個人や家庭が消費するために購入する全てのものを指す経営学用語)と生産財(企業が経済活動を行なうために必要な財を示す経営学用語)に分けられ、それぞれ参考にすべき変数が異なります。

消費財を対象としたセグメンテーションでは、人口動態変数や地理的変数、心理的変数を重視する傾向にあり、生産財を対象としたセグメンテーションでは人口動態変数と行動変数を重視する傾向がみられます。

このように、取り扱う自社の商品(製品)・サービスが消費財、生産財のどちらかに区別することも、セグメンテーションにおいては重要な作業のひとつです。

「4つのRの原則」の活用

自社の取り扱う商品(製品)・サービスの種類を把握し、活用すべき変数を使って、分析を行なうことは、商品(製品)・サービスに対して、感度の良い顧客層の発見につながります。

感度の良さを測る条件として、「4つのRの原則」という基準が存在します。その4つの原則とは優先順位付け(Rank)、有効規模(Realistic)、到達可能性(Reach)、測定可能性(Response)で構成され、それぞれの原則に従い、市場細分化を図ります。

  • 優先順位付け(Rank)
    顧客の重要度に応じたランク
  • 有効規模(Realistic)
    企業活動が維持できる売上・利益の確保が可能な規模であること
  • 到達可能性(Reach)
    市場の顧客に自社の商品(製品)・サービスを的確に届けられること
  • 測定可能性(Response)
    商品(製品)・サービスを顧客にアプローチした際に測定が可能であること

これらの4つの原則に従い、細分化した顧客層の感度を測り、自社の強みを発揮できる顧客セグメントに見つけ出していきます。その他にも競合(Rival)、成長率(Rate of growth)なども判断基準として採用されることがあります。

STP分析における『ターゲティング』とは

マーケティング・プロセスの中でも、顧客の決定はその後のマーケティング戦略の成功可否に関わる重要なプロセスです。

本章では、ターゲティングの定義や設定方法をご紹介いたします。

ターゲティングの定義

ターゲティングとは、セグメンテーションにおいてグループ化(カテゴリー化)された市場から、自社の商品(製品)・サービス、または強みを活かせる標的市場を選定する作業を意味するマーケティング関連用語です。自社の競争優位性の確立可否を判断するために行われます。

判断材料としては、標的市場における競合起業の存在や参入障壁の有無、市場規模・動向、自社の強みを活かせるかなどが挙げられます。

ブルーオーシャン戦略やニッチ戦略などのマーケティング戦略の実施判断にも、多大な影響を与えるプロセスとしても知られています。

ターゲティングに活用できるフレームワーク(手法)

ターゲティングを設定する際は、一般的に「無差別型マーケティング」、「差別型マーケティング」、「集中型マーケティング」の3つの手法を活用して、設定していきます。

  • 無差別型マーケティング
    市場セグメントを考慮せずに同様の商品を全市場に投入
  • 差別型マーケティング
    複数の市場セグメントにおいて、それぞれのニーズに対応した商品(製品)・サービスを投入
  • 集中型マーケティング
    高価格の商材やコアなファンを対象とした市場セグメント(一つとは限らない)に商品(製品)・サービスを集中的に投入

これらのフレームワーク(手法)は、市場カバレッジ戦略と呼ばれ、自社の商品(製品)・サービスの強みや市場環境・動向を見極めた上で選択できるため、セグメンテーションで洗い出した複数の市場セグメントを決定付けるのに有効とされています。

STP分析における『ポジショニング』とは

マーケティング・プロセスにおけるポジショニングは、顧客にとっての自社の製品・サービスの立ち位置の確立するための重要なプロセスです。

ポジショニングの定義や、差別化との違い、ポジショニングの実施方法を知ることで、理解を深められます。

ポジショニングの定義

ポジショニングとは、顧客の視点に立ち、市場における自社の商品(製品)・サービスの立ち位置を認識・選択してもらうための作業を指すマーケティング関連用語です。

顧客にとって、自社の商品(製品)・サービスが、競合企業のそれとどのような差別化ポイントがあるかを認識してもらうことに重点を置いており、商品価値や企業価値の向上を目的としています。

明確なポジショニングの確立は新たな顧客・ニーズの創出も生み出し、その後の具体的なマーケティング戦略の決定にも強い影響を与えます。STP分析の最終プロセスとして位置付けられることも多く(原則、STP分析はどのプロセスから実施しても導き出される結果への影響は少ない)、セグメンテーションやターゲティングの結果を踏まえた上で決定されることが一般的です。

ポジショニングと差別化戦略の違い

ポジショングと似た意味合いに差別化が挙げられます。しかし、ポジショニングにおける差別化は差別化戦略で認識されている差別化とは明確な違いがあり、STP分析においてはその違いを理解しておかなければいけません。

差別化戦略における差別化とは、企業の視点による商品(製品)・サービスへの機能面での付加価値を打ち出したマーケティング戦略です。一方で、マーケティング・プロセスにおけるポジショニングでは、顧客視点による商品(製品)・サービスを認識、選択してもらうためのイメージによる差別化を重視します。

そのため、ポジショニングでは商品(製品)・サービスの機能面の差別化ではなく、その商品(製品)・サービスを使用・利用することで、顧客がその商品(製品)・サービスに対して、どのような感情を抱き、購入につながるかを重視しなければいけません。ポジショニングでの具体的なアプローチとしては、商品(製品)・サービスのキャッチコピーが該当します。

ポジショニングの実施方法

ポジショニングの実施には、一般的に「ポジショニングマップ」というフレームワークを用いて、自社の商品(製品)・サービスの立ち位置を把握、決定していきます。

ポジショニングマップとは、顧客が持つニーズと自社の商品(製品)・サービスが持つ競争優位性を両方兼ね備えているかを判断するためのフレームワークです。ポジショニングマップでは、独立性が高くかつ重要度の高い2つの軸を決めた上で、自社や商品(製品)・サービスの立ち位置を測っていきます。よく使用される軸としては、商品(製品)・サービスの価格や機能・品質、顧客のメリット、用途、競合製品の存在・関連性などが挙げられます。

このように自社の競争優位性を確立でき、かつ顧客ニーズに沿いやすい2軸を選定し、自社と競合他社の立ち位置を明確にしていきます。

また、立ち位置を見つける上では、顧客の購買決定要因を重視し、競合他社が狙いにくいポジションを見つけ、中長期的に競争優位性を保てるかどうかを判断しながら、決定していきます。

STP分析を活用したマーケティング戦略

STP分析を活用することは、市場での競争優位性の確立につながります。本章は、STP分析を活用した代表的なマーケティング戦略をご紹介いたします。

ブルーオーシャン戦略

ブルーオーシャン戦略とは、競争者のいない市場を「ブルーオーシャン」と定義し、自社の商品(製品)・サービスを高価格・低価格で展開することで収益性を高めるマーケティング戦略です。

ブルーオーシャン戦略では、既存の商品(製品)・サービスの価値の切り替えや、新たな顧客の選定によって成功率を高めます。そのため、既存商品(製品)・サービスをブルーオーシャン市場に投入する際には、新たな市場細分化や顧客の選定、市場における自社の立ち位置の見直す必要があります。

インターネットやSNSの発展により、顧客が商品(製品)・サービスに求める価値や利便性は刻一刻と変化し続けています。そのため、ブルーオーシャン戦略に活用されるアクション・マトリックスや戦略キャンパスといったフレームワークに必要となる競争要因を再度洗い出すためにも、新たにSTP分析を行なうことが最適と考えれられています。

【関連】ブルーオーシャン戦略とは?メリットや実施方法、おすすめの書籍をご紹介/BizHint HR

ニッチ戦略

ニッチ戦略とは、企業が選定した市場や事業において、ナンバーワンになることを目標に定め、市場の隙間を狙うことで、競争優位性の確保・シェアの拡大を狙えるマーケティング戦略です。

事業や市場において、ナンバーワン企業になることは、顧客にブランドとしての認知度を高め、その分野や市場内に競争者を出さないメリットにつながります。そのため、ニッチ戦略は市場における価格決定権を獲得し、高い収益性を実現できるマーケティング戦略として知られています。また、参入時はニッチであった市場がテクノロジーの発展や顧客認知度の向上により、成長市場へと変化した際、市場の成長ととともに企業を成長させることも可能です。

一方で、成長とともに一般市場へと変化する可能性も指摘されており、ニッチ市場の一般市場化は競合企業の参入を促進し、競争優位性の確保が難しくなるデメリットも存在します。そのため、ニッチ市場が一般化する兆しが視え始めた場合、差別化戦略への転換を検討しなければいけません。

STP分析では、ニッチ市場を探し出すために必要なセグメンテーション(市場細分化)や、自社の商品(製品)・サービスの立ち位置を顧客に認識・選択してもらうポジショニングが行なえます。そのため、STP分析はニッチ戦略を実施する上でも欠かせないマーケティング分析方法として知られています。

ランチェスター戦略

ランチェスター戦略とは、ランチェスターの法則で定義されている「強者の法則」・「弱者の法則」やマーケットシェア理論に従い、自社の経営資源の規模に応じた営業・経営活動を行なうマーケティング戦略です。

中小企業は「弱者の法則」に従い、営業力に長けた少数精鋭による局地集中(地域密着など)の営業施策を実施します。代表的な戦略として、差別化集中戦略が挙げられます。一方、大企業では「強者の法則」に従い、数と規模を活かした、市場シェアの奪取や拡大する施策を実施します。代表的な戦略として、既に進出を果たしている競合他社の商品(製品)・サービスに類似した商品(製品)・サービスを提供することで、差別化ポイントを同質化するミート戦略が挙げられます。

中小企業によるランチェスター戦略では、STP分析のうちのセグメンテーションを徹底することが重要といわれています。セグメンテーションによって、市場に存在する顧客ニーズや価値観を細分化し、自社の強み(独自の営業力や生産ライン、流通経路など)や商品(製品)・サービスの競争力との相性を見極め、一極に集中することで、レッドオーシャン市場でも競争優位性を確立することができます。

現在、顧客の価値観は多様化が進んでおり、大企業が得意とした「規模の経済」による競争優位性を確保することが難しい時代へと突入しています。一方で中小企業とって、競合企業が参入できない(経済合理性に従った「参入しない」という経営判断)市場で競争優位性を確保しやすい時代となったといえます。STP分析では、ランチェスター戦略に欠かせない市場の細分化やターゲットとなる顧客の選定を行なえるため、中小企業にとっては必要不可欠なマーケティング分析方法とされています。

【関連】中小企業が選択すべき『ランチェスター戦略』とは?事例やおすすめ本もご紹介/BizHint HR

STP分析のおすすめの書籍(本)をご紹介

STP分析は、経営やマーケティングをはじめ、ビジネスの現場において実践することで知識・経験を積むことができますが、基礎知識の習得は書籍でも十分可能です。本章では、STP分析を学びたい方におすすめの書籍をご紹介いたします。

マーケティングの基本

マーケティング手法、新製品の開発、既存商品の育成、マーケティング業務の進め方といったマーケティングに関わる知識を網羅した書籍です。サービス業や法人向け商材など幅広い業種や企業にも対応しており、マーケティングの基本である4P・4C分析も合わせて学べます。

マーケティングに関わる基本知識を習得したい中小企業の経営者やマーケティング担当の初心者の方にもおすすめです。読みやすく、体系的にまとめられているため、読者から高い評価を受けています。

【参考】amazon マーケティングの基本

コトラー マーケティングの未来と日本 時代に先回りする戦略をどう創るか

マーケティング分野の第一人者で、マーケティング戦略の世界的権威でもあるフィリップ・コトラー氏による著書です。「大の日本ファン」と公言するコトラー氏が日本のビジネスパーソンや日本企業に向けた、マーケティングのあり方を紹介してくれています。マーケティング4.0やイノベーション論、AIDMAに替わる5Aフレームワークなども掲載されています。

一方で、ひとつのマーケティング戦略に深く追求した内容ではなく、専門書というよりはコトラー氏のエッセイ本にも近い書籍のため、マーケティングを専門的に学びたい人にとっては、少し物足りない内容となっています。しかし、マーケティング戦略の基本知識を学びたい方や、マーケティングの権威である著者の思考や未来の見据えたい方にはおすすめです。過去のマーケティング1.0から現在のマーケティングに至るまでの歴史や一連の流れも学べるため、マーケティング戦略の基本であるSTP分析を学びたい方にとっても、マーケティングの基礎知識をつけやすい最適な書籍といえます。

【参考】amazon コトラー マーケティングの未来と日本 時代に先回りする戦略をどう創るか

“いま”をつかむマーケティング

STP分析によるマーケティング戦略の立案方法の他に、マーケティングの代表的なフレームワークであるファイブフォース分析SWOT分析3C分析、PEST分析などの環境分析も学べる書籍です。日本を代表する大企業が実施したマーケティング戦略の事例を使って、筆者の見解がわかりやすくまとめられています。大衆向け商品(製品)・サービスでは消費者の心を掴めなくなっている現代において、売れる仕組みをどう構築すべきかに重点を置き、現代におけるマーケティング戦略の重要性を解説してくれています。

基本となるマーケティングのフレームワークの解説や、事例を使った解説が多いため、マーケティングに関する知識が少ない方でも読みやすい構成となっています。中小企業の経営者やマーケティング担当初心者を含む全てのビジネスパーソンが読んでおきたい書籍でもあります。

【参考】amazon “いま”をつかむマーケティング

まとめ

  • マーケティング戦略は、市場において、自社の競争優位性を確保し、売上・利益の向上に多大な貢献を果たしてくれます。
  • マーケティング・プロセスの中核でもあるSTP分析は、自社の強みを活かし、市場での立ち位置を明確にできる優れたマーケティング分析です。 -経営資源が豊富な大企業だけでなく、中小企業や個人事業主にも実践できる分析方法であるため、ビジネス活動には欠かせない作業といえます。

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