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2018年11月14日(水)更新

PEST分析

PEST分析とは、自社を取り巻くマクロ環境に潜んでいるビジネスチャンスとピンチを明確にすることができるマーケティングフレームワークです。PEST分析を活用することにより、組織や企業はより効果的な戦略や施策を構築することが可能となります。当記事ではPEST分析に関する理解を深め、その効果を最大化するために必要となる情報やノウハウを PEST分析の実施目的、4つの環境要因の具体的要素と重要性、やり方とテンプレートなどの項目に整理して分かりやすく解説いたします。

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PEST分析とは

PEST分析とは、自社を取り巻いているマクロ環境が今後どのような形で自社に対して影響を及ぼすのかを予め把握、分析しておくために用いられるマーケティングフレームワークです。
『Politics(政治的要因)』、『Economy(経済的要因)』、『Society(社会的要因)』、『Technology(技術的要因)』という4つの環境要因を洗い出して分析することから、それぞれの英単語の頭文字を取ってPEST(ペスト)分析と呼ばれています。

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PEST分析の提唱者

PEST分析の提唱者は、経営学者でノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院の教授でもあるフィリップ・コトラー(Philip Kotler)氏です。
5A理論をはじめとする数多くのマーケティング理論を発表し、STP分析やマーケティング4.0などの優れた分析方法や新たなマーケティング概念を次々に生み出すフィリップ・コトラー氏は、『近代マーケティングの父』や『マーケティングの神様』という異名と共に多くの人々から愛されています。

PEST分析の実施目的

一般的にマーケティング戦略の立案はマーケティング・プロセスを使用して行われますが、このマーケティング・プロセスにおいて最初の手順となるのが、『市場調査(市場分析)・環境分析』です。
『市場調査(市場分析)・環境分析』では内部環境と外部環境(ミクロ環境・マクロ環境)という2つの視点で情報を収集、分析する必要がありますが、外部環境の中でも政治的要因や社会的要因など、自社努力によって改善することが難しいマクロ環境の分析を手軽に行うことができるマーケティングフレームワークが、PEST分析なのです。

フィリップ・コトラー氏は著書『コトラーの戦略的マーケティング』において「調査せずに市場参入を試みるのは、目が見えないのに市場に参入しようとするようなものだ 」と綴っています。
マクロ環境に潜むビジネスチャンスやピンチをいち早く見つけ出すことのできるPEST分析を活用することにより、市場環境の環境変化に適した対応を取ることでより望ましい結果を手に入れる『市場適応型マーケティング』を実施することができるでしょう。

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PEST分析の4つの環境要因

PEST分析は自社業界を取り巻くマクロ環境を『Politics(政治的要因)』、『Economy(経済的要因)』、『Society(社会的要因)』、『Technology(技術的要因)』という4つの環境要因に分類して分析するマーケティングフレームワークです。
それぞれの要因に含まれる具体的要素とその重要性を把握することで、PEST分析をより高い精度で実施し、効果的なマーケティング戦略を構築することが可能となります。

Politics(政治的要因)

Politics(政治的要因)では法律や税制、公的支援制度など政治的側面から市場環境の分析を行います。

Politics(政治的要因)の具体的要素

具体的には以下のような要素が含まれます。

  • 法律、法改正(規制・緩和)、裁判制度、判例
  • 税制変化(増税・減税)
  • 政治、政権交代、政治団体、デモ活動
  • 公的支援制度(補助金・助成金)、特区制度
  • 国際政治動向(条約、貿易問題、関税問題)

Politics(政治的要因)の重要性

Politics(政治的要因)というと、規制などネガティブな要素が目に付きやすいものですが、要件の緩和や公的支援制度の新設などポジティブな要素も数多く存在します。
また、一見ネガティブに思える要素であっても、競合企業のみが対象となっているなど、自社に対して優位に働くものも少なくありません。

Politics(政治的要因)は、市場競争の前提である市場競争のルールそのものに大きな変化をもたらします。
Politics(政治的要因)に含まれる各要素が現在の事業活動や今後の事業展開に対してどのような影響を及ぼすのかを冷静に見極め、予め適切な対策を講じておくことによって、競合他社に対する競争優位性や戦略が生み出す成果を最大化し、リスクや損失を最小化することが可能となるでしょう。

Economy(経済的要因)

Economy(経済的要因)では景気や株価、物価など経済的側面から市場環境の分析を行います。

Economy(経済的要因)の具体的要素

具体的には以下のような要素が含まれます。

  • 景気動向、消費動向
  • 物価変動(インフレーション・デフレーション)
  • 経済成長率
  • 雇用情勢、賃金動向
  • 為替、株価、金利、原油価格

Economy(経済的要因)の重要性

Economy(経済的要因)は消費者の購買意欲や購買傾向だけでなく、仕入れコストや製造コスト、輸送コスト、人件費など、自社製品の販売価格やサービス提供価格、価値連鎖(バリューチェーン)に対しても大きな影響を及ぼします。
Economy(経済的要因)に関する情報収集と分析に力を入れることで、拡大戦略や多角化戦略といった成長戦略の実行タイミングや実行レベルを適切に設定することが容易となるでしょう。

Society(社会的要因)

Society(社会的要因)では人口動態やライフスタイル、生活者意識など社会的側面から市場環境の分析を行います。

Society(社会的要因)の具体的要素

具体的には以下のような要素が含まれます。

  • 人口数(増加・減少)、人口密度(過疎化・ドーナツ化現象)、人口構造(高齢化・少子化)、世帯構成(核家族化・単身世帯の増加)
  • 流行、文化、サブカルチャー、ライフスタイル
  • 社会問題(事件・犯罪・環境問題)
  • 世論、風潮
  • 教育制度、宗教、言語

Society(社会的要因)の重要性

Society(社会的要因)は生活者の需要構造に大きな影響を与えます。
そのため、ほぼ全ての企業が通常のマーケティング活動の中でこのSociety(社会的要因)に注目し、分析を行っています。

近年では、年代を問わず多くの人々がブログやSNSなどの情報発信ツールを利用しています。
従来のアナログ手法だけではなくソーシャルメディアマーケティングなどのデジタル手法も活用することで、世の中のトレンドや個々の想いに耳を傾け、自社ブランドが進むべき方向性の確認や詳細なターゲット設定、ペルソナの作成が容易となるでしょう。

Technology(技術的要因)

Technology(技術的要因)ではITの進化やビジネスの自動化、特許技術など技術的側面から市場環境の分析を行います。

Technology(技術的要因)の具体的要素

具体的には以下のような要素が含まれます。

  • ITインフラ整備、IT利活用、IoT
  • ファクトリーオートメーション(FA)、RPA、人工知能(AI)
  • 技術開発、技術革新、イノベーション
  • 特許権(取得・消滅)
  • 代替技術

Technology(技術的要因)の重要性

Technology(技術的要因)は、あらゆる種類のビジネスに対して多くの付加価値と可能性を与えます。
また、時に信じられないような速度で新たなステージへとビジネスを移行させます。

Technology(技術的要因)に関する情報は日々常に更新され続けています。
現時点における技術トレンドをしっかりと押さえつつ、次世代トレンドや切り替わりのタイミングを踏まえた経営戦略や事業戦略を構築することによって、競合企業に追い抜くチャンスを与えることなく業界トップを走り続けることが可能となるでしょう。

PEST分析のやり方とテンプレート

PEST分析は次の5つのステップで構成されています。

  1. 情報収集を行う
  2. 要素を洗い出し、4つの環境要因に分類する
  3. 各要素を機会と脅威(課題)に分類する
  4. 各要素の緊急性や重要度を評価し、優先順位を設定する
  5. PEST分析の結果を他のフレームワークと連携させる

各ステップにおける詳しいやり方とそれを手助けするテンプレートを紹介致します。

1.情報収集を行う

PEST分析における最初のステップは情報収集です。
ここではまだ情報に含まれる要素の見極めや評価などは行わず、広い視野を持って情報収集を行うことを心掛けます。

ただし、誤った情報が少しでも紛れ込んでしまうと分析結果やマーケティング戦略の質を大幅に低下させる原因となってしまうため、情報の発信源を十分に精査し、正確な情報だけを取り扱うように気をつけましょう。

2.要素を洗い出し、4つの環境要因に分類する

十分な量の情報を集めることができたら各情報に含まれている要素を抜き出し、それらの要素が『Politics(政治的要因)』、『Economy(経済的要因)』、『Society(社会的要因)』、『Technology(技術的要因)』のどれに当てはまるかを見極めて分類していきます。

正確に分類する力を養うということはどのような種類の情報が自社のPEST分析に必要となるのかを正しく理解するということでもあります。
初期のPEST分析においては一つ一つの要素がどのような形で自社に影響を与えるのか具体的にイメージをしながら丁寧に分類作業を行うとよいでしょう。

3.各要素を機会と脅威(課題)に分類する

このステップでは4つの環境要因に分類した各要素を更に機会と脅威(課題)に分類していきます。
この作業によって機会へと分類された要素は自社にビジネスチャンスを、脅威(課題)へと分類された要素は自社にピンチをもたらすことになります。

中には機会と脅威(課題)の両方に当てはまる要素も存在します。
そのような場合には、どのような条件下で機会または脅威(課題)となるのかを補足してそれぞれの枠に追加します。
また、現時点で機会でも脅威(課題)でもない要素はその他の枠に分類します。

4.各要素の緊急性や重要度を評価し、優先順位を設定する

PEST分析は マクロ環境の変化が自社にもたらす様々な影響を予測するのに適したフレームワークですが、全ての要素を戦略や施策に反映させようとすると膨大な時間がかかり、フットワークを鈍らせてしまう恐れがあります。
そのような状況に陥ってしまうことを回避し、より効果的な戦略や施策を構築するため、前ステップにおいて機会と脅威(課題)に分類した各要素の緊急性や重要度を評価し、優先順位を設定していきます。

5.PEST分析の結果を他のフレームワークと連携させる

これまでのステップを一つずつ踏むことにより、自社を取り巻くマクロ環境の現状を明確にすることができました。
しかし、これだけではマーケティング・プロセスにおける環境分析の材料としてはまだ不十分です。

5フォース分析(5F分析)や3C分析など業界環境や競争環境といったマクロ環境を明確にするフレームワークと連携することで、SWOT分析を用いた環境分析を実施することが可能となります。
そして、その環境分析の結果をSTP分析による戦略立案や4P分析(マーケティング・ミックス)による施策立案へと繋げることで効果的な戦略や施策を構築することができます。

このようにPEST分析は単体ではなく関連するフレームワークと連携させることで大きな成果を生み出すことができます。
その他のフレームワークの役割や効果に対する理解を深めることで、PEST分析の実施精度を更に高めることができるでしょう。

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まとめ

  • PEST分析とは、自社を取り巻くマクロ環境に潜んでいるビジネスチャンスとピンチを明確にすることができるマーケティングフレームワークである
  • PEST分析では、様々な環境要因を『Politics(政治的要因)』、『Economy(経済的要因)』、『Society(社会的要因)』、『Technology(技術的要因)』の4つに分類して分析する
  • PEST分析は単体ではなくマーケティング・プロセスの一部として扱うことでその効果を最大化することができる

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