連載:第7回 流通小売の未来
既存店前年比プラスも。コンビニ大手3社、ウィズコロナの売上増施策
コンビニ大手3チェーンは、新型コロナウイルスの感染拡大でどれだけの影響を受けたのか?加盟店の苦境に対して、どういった手を打ったのか?20年度第2四半期(20年3月~8月)の業績とともに振り返る。さらに、上期のマイナスを取り戻すための下期の取り組みについて、その具体的な打ち手を明らかにしたい。
チェーン本部は契約外の加盟店支援を実行。コロナ禍の失職者が店舗スタッフに応募
コンビニの20年度はコロナ対策から始まった。大幅な客数減に見舞われ、途方に暮れる加盟店のサポートに、チェーン本部が奔走する姿が見られた。
例えばセブン-イレブンは、加盟店への特別感謝金として5月8日に1店当たり10万円を支給、従業員特別感謝手当として5月に1店当たり6万円分のクオカードを配布、経営支援金として、売上高が前年比で10%以上減少した店舗を対象に、減収率に応じて10万円以上を支給、休業見舞金として、新型コロナウイルスの罹患者発生により休業が発生した店舗への支援、加盟店特別融資制度として6月より最大500万の融資を実施している。
ファミリーマート、ローソンも、厳しい状況に陥った加盟店に対して同様の支援を実施している。昨年より一部メディアや団体が “加盟店を搾取する強面のチェーン本部”といった図式で煽ってきたが、ここに来て沈静化したのも、 契約書には記載されていない、こうした手厚い支援が現実に実行されていることも要因かもしれない。
チェーン本部の支援だけでなく、 加盟店にとって僥倖だったのが人手不足の緩和である。 コロナ禍により職を失ったり、収入が減ったりした人たちが、すぐに働けると考えてコンビニのシフトに応募した。実際に業務は簡単ではないのだが、毎日買物をして、従業員を見慣れている人たちにとっては、敷居が低い職場に映った。また失業の多かった飲食店従事者にとって、業種は違っても共通項の多い店舗運営という点で応募しやすかった。
ファミリーマートが実施した加盟店アンケートによると人手不足について図表①のような状況が分かった。
コロナ禍以前から、店舗スタッフの採用支援や店長ヘルプ制度を充実させており、2019年の人手不足店舗率は59%から31%まで下がっていたが、コロナ禍後は17%台にまで低下した。ファミリーマートに限らず、多くの店舗で従業員が充足している状況になってきている。しかし働き手が増えても、もちろん売上が上がらなければ、加盟店にとっては苦しい状況が続く。
立地の違いもチェーンに明暗。夜の街関連の店舗は大苦戦
図表➁は20年度第2四半期における大手3チェーンの加盟店全店の売上高と平均日販、国内店舗数と、その前年比較である。
この中ではセブン-イレブンが最もダメージを抑制しているように見える。しかし、他の2チェーンと比較して、セブン-イレブンが商品やサービスで圧倒したと単純比較はできない外的な要因もある。
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