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2018年11月2日(金)更新

VRIO分析

VRIO分析とはジェイ・B・バーニー氏が提唱したVRIO理論をフレームワーク化したものです。企業内部に存在する経営資源が保有する強みの質や競争優位性を明確にすることで、競争優位性の維持や強化、市場シェアの拡大、顧客満足度の上昇など様々な効果を得ることができます。VRIO分析の実施によって多くの効果とメリットを享受することができるよう、VRIO分析の実施目的や実施方法、問題点、具体例(企業事例)、VRIO分析と深い関連性を持つフレームワークなどの項目に整理して分かりやすく解説致します。

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VRIO分析とは

VRIO分析とは、アメリカの経営学教授であるジェイ・B・バーニー(Jay B. Barney)氏が1991年に発表した経営資源に基づく戦略論をフレームワーク化したものです。

経営資源(リソース)を『価値(Value)』、『希少性(Rarity)』、『模倣可能性(Imitability)』、『組織(Organization)』の4つの視点から評価することによって、企業内部に存在する強みの質と市場における現在の競争優位性を見極め、競争優位性の維持や更なる向上に向けた効果的な施策を講じることが可能となります。

また、VRIO分析は経営資源を活用することで競争優位性(競合優位性)を生み出し、様々な経営戦略を有利に展開させていく内部資源理論(Resource-Based View、RBV)のフレームワークとしても多くの企業や会社、トップマネジメント層を支えてきました。

VRIO分析を実施する目的

VRIO分析には、企業内部に存在する競争優位性の維持と向上という明確な実施目的があります。

そして、この目的は一覧表やフローチャートなどの分析ツールを用いて4つの評価項目を正しい順序で評価することで、誰でも容易に達成することができます。

また、VRIO分析の実施により競争優位性が高まることで組織のブランド力も高まるため、市場シェアの拡大や顧客満足度の上昇といった副次的効果を期待することもできます。

VRIO分析の実施方法

VRIO分析の実行ステップは『使用ツールの決定』、『経営資源の評価』、『強みの質と競争優位性の見極め』、『戦略や施策の検討』の4つに大別することができます。

また、経営資源の評価は必ず『価値(Value)』、『希少性(Rarity)』、『模倣可能性(Imitability)』、『組織(Organization)』の順番で実施します。

VRIO分析の一連の流れをまとめると以下の通りとなります。

  1. 見極めに使用するツールを選択する
  2. 価値(Value)の評価
  3. 希少性(Rarity)の評価
  4. 模倣可能性(Imitability)の評価
  5. 組織(Organization)の評価
  6. 強みの質と競争優位性の見極め
  7. 戦略や施策を検討する

分析方法を理解し、使用するツールを選択する

VRIO分析の実施には一般的に一覧表かフローチャートのいずれかのツールが用いられています。そして、どちらのツールを使用しても個々の経営資源が持つ強みの質や競争優位性は同様に見極めることができます。

ただし、一覧表分析とフローチャート分析には以下のような違いがあります。

ツール 情報量 評価負担 特徴
一覧表 多い 大きい 戦略や施策の構築に有用な情報が得られる
フローチャート 最低限 最低限 多くの経営資源を分析したい時に有効

一覧表分析は全ての評価項目に対して分析を実施するため1つの経営資源を分析するのに多くの手間を費やしてしまいますが、不足している項目を明確にすることで『どの評価項目に注力することで継続的な競争優位性を得られるのか』を明らかにすることができます。

また、フローチャート分析は『NO』という評価判定が出た時点でそれ以降の評価項目に対する評価を行う必要がなくなるため、情報量は最低限となりますがスピーディーに多くの経営資源を分析することができます。

これらの特徴を踏まえ、分析対象となる経営資源の量や詳細情報の必要性などの諸条件に適した分析ツールを選択することによって効率的にVRIO分析を進めることができるでしょう。

価値(Value)の評価を行う

分析方法を正しく理解し、分析に使用するツールを選択したら経営資源の評価を開始します。どれだけ多くの経営資源を保有していたとしても、それらの経営資源に価値がなければ何の意味もありません。そのため、VRIO分析では他のどの評価項目よりも優先して価値(Value)の評価を実施します。

VRIO分析における価値とは経済的価値(経済価値)や社会的価値のことであり、経営資源の獲得や維持にかかっている費用のことではありません。『組織や顧客、社会全体に対して多くの利益をもたらしているか』という点に注目して評価を行いましょう。

希少性(Rarity)の評価を行う

2番目の評価項目は希少性(Rarity)です。希少性が高ければ高いほど顧客やユーザーの購買意欲を刺激することができるため、価格以外の部分で勝負することが可能となります。

希少性は販売戦略成功の鍵となる重要な要素です。『市場において珍しく、希少価値の高いものであるか』という点に注目して評価を行いましょう。

模倣可能性(Imitability)の評価を行う

3番目の評価項目は模倣可能性(Imitability)です。ビジネスにおける模倣とは他の商品やサービスの特徴や強み、ビジネスモデル等を意図的に真似することであり、組織の持つ経営資源に対する模倣の難易度を評価することから『模倣困難性』と呼ぶこともあります。

模倣可能性が高ければ高いほど持続性が高まり、市場において長期にわたって唯一無二の存在となることができるため、リピーター率の増加や新規顧客の獲得、市場シェアの拡大など多くの恩恵を受けることが可能となります。

また、顧客数が増加することによって、現行モデルの使用感や改善ニーズ、新商品に求める機能やデザインなど、お客様の声が集まりやすくなり、マーケティングの面でも他社よりも有利な立場を得ることができます。

模倣可能性を正しく評価するためには、模倣を困難にさせる要素について知っておかなければなりません。バーニー氏は模倣を困難にさせる要素として『独自の歴史的条件(unique historical conditions)』、『因果関係不明性(causal ambiguity)』、『社会的複雑性(social complexity)』、『特許(patent)』の4つを挙げています。

独自の歴史的条件

独自の歴史的条件とは歴史的要因の上に成立する条件のことを指しており、バーニー氏はその属性として『時間圧縮の不経済』と『経路依存性』の2つがあるとしています。

『老舗』、『元祖』、『発祥』、『歴史的建造物への指定』など、事業年数の長さそのものが価値として成立している場合、競合他社は過去にでも遡らない限りその価値を追い越すことはできません。しかし、実際にそのようなことは実現不可能なため、時間の経過によって生み出された経営資源は事業が続く限り強みを維持し続けることができます。

このように、長い期間をかけて生み出された経営資源と同様の価値を短期間かつ低コストで模倣することが難しいことを時間圧縮の不経済といいます。

また、競争優位性が生まれた背景に『過去の実績や企業努力』や『付加価値だと認識されていない新分野開拓による低コストでの研究開発』など、これまでの発展経路が大きく関係している場合にも競合他社は模倣することが困難となります。 このような歴史的要因のことを経路依存性といいます。

因果関係不明性

因果関係不明性とは『経営資源をどのように獲得(形成)したのか』や『なぜその経営資源が高い競争優位性を持っているのか』など、理論的に分析し、把握することが困難な状況を指しています。 因果関係不明性が高ければ高いほど模倣することが困難となり、企業内部でブラックボックス化してしまっている場合には競合他社による模倣はもちろん、自社による修復や複製も不可能となります。

組織が独自に開発した技術や工夫を凝らした組織構造、研究開発の繰り返しによって得られたノウハウなどの機密情報が外部に漏洩することのないように情報管理を徹底することで、経営資源が持つ因果関係不明性を守ることができるでしょう。

社会的複雑性

社会的複雑性とは、企業内で自由にコントロールできる範囲を超えている経営資源や強みのことを指します。『顧客やユーザーが持つ企業イメージ』や『サプライヤーやチャネルからの厚い信頼』といった強みは、競合他社が模倣したくても容易に同様のものを得ることが困難なことから、経営資源の持つ競争優位性の持続性を大幅に高める要因となります。

特許

模倣可能性における特許とは、特許権の取得により競合他社が模倣しようとした場合にロイヤルティ(特許使用料)を発生させることでコスト面での競争優位性を維持することを指します。ただし、特許権を取得するためには知的創造活動に関する具体的な説明や詳細な図面が必要なため、模倣行為そのもののハードルを大幅に低下させてしまうことになります。

そのため、特許権取得による恩恵を十分に受けるためには『構造や機能がシンプル』であったり、『自社独自の流通経路を活用しなければ本来の経済的価値を発揮することができない』など、特許権取得によるデメリットを最小化または無効化できる経営資源にのみ適用するなどの工夫が必要となります。

組織(Organization)の評価を行う

最後に評価を行うのが組織(Organization)です。

組織という評価項目は経営資源に対する組織構成員の理解や協力体制を示すものであるため、単体だけでは大きな競争優位性を生み出すことができません。しかし、価値や希少性、模倣可能性を兼ね備えた経営資源に組織という評価が加わることで、経営資源の持つ競争優位性を一時的なものから持続的なものへと変化させることが可能となります。

経営資源を自社の中核であるコア・コンピタンスに育て上げるためには組織全体の理解と協力が必要不可欠です。『経営資源が生み出す価値や希少性、模倣可能性を全従業員が正しく理解し、競争優位性の維持向上を意識的に図る組織体制を構築することができているか』という点に注目して評価を行いましょう。

経営資源が持つ強みの質と競争優位性を見極める

全ての評価項目に対する評価を終えたら、それらの評価結果を基に個々の経営資源が持つ強みの質と競争優位性の見極めを行っていきます。

最初のステップで一覧表分析を選択している場合には、各項目に評価結果を当てはめていきます。なお、フローチャート分析を選択している場合には評価段階ですでに分析が終了しているため、このステップは不要となります。

戦略や施策を検討する

VRIO分析を実施することによって、経営資源が持つ強みの質や競争優位性が明確となりました。この分析結果を基に、競争優位性の維持向上を実現させるための戦略や施策を検討していきます。

分析結果を俯瞰的に捉えることによって、以下のように企業の現状把握や今後の予測を行うことができます。

中心となる分析結果 企業の現状や今後
競争劣位 早急に対策しなければ経営が傾く恐れがある
競争均衡 希少性を加えるなど競争優位性を高める工夫や努力を施さなければ、いずれ『競争劣位』となってしまう
一時的な競争優位性 現時点において優位な立場を得ているが、その強みを十分に活かしきれていない
継続的な競争優位性 組織全体が一丸となり、経営資源を最大限に活用することができている

また、一覧表分析の分析結果からは以下のような情報も読み取ることができます。

【『価値』が不足しているケース】

  • 高い潜在価値を持ちながらも顕在化できていない可能性がある
  • 経営資源の強みと顧客ニーズのズレやターゲット設定のミス、宣伝不足などが発生していないか確認する
  • 適切な対策を図ることでコア・コンピタンスへ生まれ変わる場合もある

【『希少性』が不足しているケース】

  • 希少性を高めることでコスト・リーダーシップ戦略から差別化戦略へ転向することができる
  • 希少性を高めた別商品を新たに販売することで2種のターゲット層と価格帯で勝負することが可能
  • 手軽さや低価格を売りにした企業の場合、希少性を高めることでブランドイメージが壊れる危険性がある
  • 企業によっては希少性を高めた商品を専門に扱う別ブランドを立ち上げるなどの工夫が必要となる

【『模倣可能性』が不足しているケース】

  • 魅力的な経営資源ではあるが、競合他社が模倣するまでの一時的な期間しか競争優位性を維持することができない
  • 該当する経営資源が製品である場合、次回の改良時に自社独自の技術やノウハウを加えることができないか検討する
  • 顧客やユーザーが現在の素材や機能、価格が最適であると評価している場合は対策が逆効果となることもある

【『組織』が不足しているケース】

  • 組織に多くの利益をもたらしているにも関わらず、認識や協力体制の不足により最大限に活用することができていない状態
  • 経営資源を組織全体で守り、育むことによってコア・コンピタンスとして長期にわたり多くの利益を得ることができる
  • 企業経営者やトップマネジメント層が中心となって取り組むことで、経営資源の価値を更に高めることができる
  • 全従業員が保護するべき経営資源であると認識することで、希少性や模倣可能性の低下を防ぐことができる

これらの情報を統合し、競争優位性の維持や向上に効果的な戦略や施策を検討していきましょう。

VRIO分析の問題点

経営資源を経済価値や競争優位性の源泉と認識し、その強みを最大限に活用することによって組織に持続的な競争優位性とコア・コンピタンスを享受してくれるVRIO分析ですが、いくつかの問題点も存在します。しかし、それらの問題点はいずれも組織全体の舵取りを行うトップマネジメント層やVRIO分析の実施担当者が正しく理解することによって解決または対策をすることが可能なものばかりです。

VRIO分析の問題点と対策方法についてしっかりと学ぶことで、リスクやデメリットといったマイナス要素を排除し、効果やメリットだけを組織に反映させましょう。

社会的価値の評価が難しい

価値(Value)の評価を行う際、VRIO分析の実施担当者はその経営資源が生み出す経済的価値や社会的価値に着目します。しかし、経済的価値が組織にもたらす価値であるため数値を評価基準にすることができるのに対し、社会的価値は顧客やユーザー、社会全体にもたらす価値であるため数値化や可視化が難しく、その評価基準や判定が曖昧になりやすいという問題点があります。

『自社の経営資源がどの程度の社会的価値を生み出しているのか』を正しく評価判定するためには、事前に明確かつ適切な基準を設けておかなくてはなりません。組織や市場の全体像を十分に把握しているトップマネジメント層を中心にして『何をもって社会的価値を生み出したといえるのか』や『社会的価値の程度はどのように評価するのか』などの基準を設定し、VRIO分析に関わる全ての人物がその基準を共有することによって、社会的価値の評価や判定を正しく行うことができるでしょう。

ターゲットの範囲設定が難しい

『より安いものを手に入れたい』という感情と『より希少で高価なものを手に入れたい』という感情は相反するものですが、このように異なる性質を持つ顧客ニーズが1つの事業分野内に同時に存在するケースは数多く存在します。

しかし、安易にVRIO分析による社会的価値の評価基準を複数設定してしまうと、評価ミスなどのヒューマンエラーを引き起こすだけでなく、差別化戦略を図るための競合分析の対象数が大幅に増加することによって組織負担の増加や効率性の低下といったマイナス要素を発生させてしまうことになります。

ターゲット範囲を極端に絞ったVRIO分析は競争優位性の効力範囲と経営戦略の視野を狭め、複数のターゲットを意識したVRIO分析は分析期間の長期化や経営資源の浪費に繋がるリスクを生み出します。自社の保有する経営資源や取り扱っている事業の特性、主な顧客ニーズや市場状況など様々な条件を照らし合わせ、戦略の計画や分析にVRIO分析が適していることを事前に確認しておくことで、その効果を十分に活用することができるでしょう。

組織のフットワークを大幅に低下させてしまう恐れがある

ここまで述べたようにVRIO分析には社会的価値の評価やターゲットの範囲設定が難しいという問題点があります。そのため、評価基準の設定や共有、VRIO分析の適正チェックといった準備を怠ったまま実施してしまうと組織に大きな損失を与えてしまう恐れがあります。

だからといって、VRIO分析を慎重に進め過ぎると組織のフットワークを大幅に低下させてしまうため、顧客ニーズの変化や技術進歩が激しい事業分野においては「分析を終了した時にはすでにその分析結果を活用できなくなっていた」ということにもなりかねません。

以下のような要素を意識的に高めることで、VRIO分析の活用による競争優位性の維持向上をより安定的に図ることができるでしょう。

  • 市場全体を見渡すことのできる俯瞰的視野
  • 顧客ニーズの変化を敏感に感じ取るマーケティング力
  • 技術革新の成果を積極的に取り込む向上心
  • 経営方針や経営理念に対する深い理解
  • 変化やリスクに臆することのない強固な意思
  • 最適解を最短で導き出す分析力
  • フットワーク性の低下を防止する決断力と行動力
  • 組織内における情報の共有環境

VRIO分析の具体例(企業事例)

VRIO分析の4つの評価項目に対する評価基準は事業分野や製品特性によって大きく異なるため、自社のVRIO分析の効果や成功率の向上を目的に異なる事業分野の具体例を参考にすることはあまり有効ではありません。しかし、実際に存在する企業の事例はVRIO分析の問題点を理解するのにとても適しています。

ここでは、アメリカで自動車産業ビッグスリーの一角を担う大手自動車会社フォード・モーター社の事例を用いて、顧客ニーズの急激な変化によって発生する『持続的な競争優位性』の崩壊リスクについて解説致します。

フォード・モーター社の事例

フォード・モーター社といえば、車種の絞込みとベルトコンベア方式の採用による大量生産によって、贅沢品とされていた自動車の低価格化を実現させたことで有名です。

このフォード式大量生産(フォード・システム)を当時の状況でVRIO分析すると以下のようになります。

評価項目 評価 補足
価値(Value) Yes 一般大衆でも自動車を手に入れることが可能となった
希少性(Rarity) Yes 他社製品とは一線を画す圧倒的な低価格設定を実現
模倣可能性(Imitability) Yes 幹部や技術者による長年にわたる試行錯誤の結果
組織(Organization) Yes 生産車種の限定やベルトコンベア方式の採用

このようにフォード式大量生産は全ての要素を備えたコア・コンピタンスであり、アメリカの自動車産業において持続的な競争優位性を有していました。しかし、自動車保有率が高まるにつれて市場ニーズは『車を所有したい』から『自分の好みの車を選択したい』へと変化していったのです。

多様性を求める市場に対し、たった1種類の車種しか製造していないフォード・モーター社は満足のいく返答をすることができませんでした。そして、価値(Value)を激減させたフォード式大量生産は持続的であったはずの競争優位性を手放すことになってしまったのです。

VRIO分析による競争優位性の評価は、評価基準となる市場環境が変化しないことを前提としています。組織内の経営資源から多くの経済的価値を持続的に生み出すためには、定期的に見直しを行う必要があるでしょう。

【参考】フォード生産方式(第1章. アメリカ経営学の源流) | 坂守公認会計士・税理士事務所 | 千葉市中央区を中心に活躍中の公認会計士

VRIO分析と深い関連性を持つフレームワーク3選

VRIO分析は企業内部に点在する経営資源を競争優位性の源泉として磨き上げるために欠かすことのできない重要なフレームワークです。そのため、数多くのフレームワークと深い関連性を持っています。これから紹介する3つのフレームワークをマスターすることによって、VRIO分析を更に戦略的に活用することが可能となるでしょう。

3C分析

3C分析は経営コンサルタントでビジネスブレイクスルー大学学長を務める大前研一氏が著書『ストラテジックマインド: 変革期の企業戦略論』の中で記した戦略的三角関係をフレームワーク化したものであり、市場の関係性を整理し、事業を成功へと導いてくれるKSF(Key Success Factors、成功要因)と現状との差異を明確にすることによって今後自社が取るべきアクションの見極めを容易にしてくれる分析手法です。『Company(自社)』、『Competitor(競合)』、『Customer(市場・顧客)』の頭文字がいずれもCであることから、一般的に3C分析と呼ばれています。

この3C分析は内部環境分析と外部環境分析を同時に実施することで市場全体を俯瞰的に捉えることを可能としますが、VRIO分析の分析対象を自社に設定することで『Company(自社)』の強みと弱みを、競合企業に設定することで『Competitor(競合)』の強みと弱みを洗い出すことができます。

バリューチェーン分析

バリューチェーン分析はアメリカの経営学者であり、ハーバード大学経営大学院(Harvard Business School, HBS)の教授を務めるマイケル・E・ポーター(Michael Eugene Porter)氏が著書『競争優位の戦略(Competitive Advantage)』の中で用いたバリューチェーン(Value Chain、価値連鎖)という考え方をフレームワーク化ものです。

事業活動の一連の流れを価値の連鎖として捉え、各工程で生まれる付加価値の量と質を明確にすることによって、差別化戦略や集中戦略などの様々な戦略を展開し、継続的に利益を生み出せる事業環境を構築することが可能となります。

このバリューチェーン分析においてVRIO分析は非常に重要な役割を担っています。同一事業でより多くの付加価値を生み出すためには、個々の事業活動に含まれる経営資源の持つ強みや弱みを明確にすることが欠かせません。

競合他社との差別化やコスト・リーダーシップの獲得を実現させるための道筋を示してくれるVRIO分析は、バリューチェーン分析の要と言っても過言ではないでしょう。

【関連】バリュー・チェーンとは?意味やメリット、分析方法、コツをご紹介 / BizHint HR

ファイブフォース分析

ファイブフォース分析(5 Forces Analysis、5F分析)はバリューチェーン分析を生み出したポーター教授が『競争優位の戦略』の正編である『競争の戦略(Competitive Strategy)』で記した、業界の収益性に大きな影響を与える5つの競争要因を基に作成された業界構造分析のフレームワークです。

ファイブフォース分析は『新規参入業者の脅威』、『代替品の脅威』、『買い手の交渉力』、『売り手の交渉力』、『業界内における競合』という5つの力の持つ力の量や関係性を分析し、客観的に評価することで業界構造の特性を明らかにしてくれます。

業界構造そのものを分析することで最適なポジショニングの実現を目指すファイブフォース分析と企業内部の経営資源を分析することで競争優位性の維持や強化を目指すVRIO分析は、自社の成功や成長に向けて全く異なるアプローチを実施しています。

しかし、VRIO分析により自社と競合他社との差異を分析した結果はファイブフォース分析に含まれる競争要因の1つである『業界内における競合』の分析をスムーズに進めるための材料となり、ファイブフォース分析による業界構造の分析結果はVRIO分析の効果や戦略性を最大限に高めるための重要なヒントとなることから、ファイブフォース分析とVRIO分析は補完的関係にあると考えられています。

まとめ

  • VRIO分析とは、ジェイ・B・バーニー教授が提供した営資源に基づく戦略論(VRIO理論)をフレームワーク化したものである
  • VRIO分析を実施することで経営資源の持つ強みの質と競争優位性の見極めを行うことができる
  • VRIO分析では、企業内部の経営資源を『価値(Value)』、『希少性(Rarity)』、『模倣可能性(Imitability)』、『組織(Organization)』の4つの視点で評価する
  • VRIO分析実施の際に一覧表を用いることで詳細に、フローチャートを用いることでスピーディーに分析を行うことができる
  • VRIO分析はいくつかの問題点を指摘されているが、危険性を十分に理解し、対策を練ることでリスクやデメリットを最小化することができる
  • VRIO分析は多くのフレームワークと深い関連性を持つ優秀な内部分析手法である

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