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2019年1月21日(月)更新

ブランディング

ブランディングとは、商品やサービスに対するイメージを高めるための戦略です。この記事では、ブランディングに関する一通りの知識が身につくことを目的に、ブランド自体の意味や必要性、メリットのほかに手順や評価方法、さらに企業事例まで詳しく解説します。

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ブランディングとは

ブランディングとは、商品やサービスに対する消費者のイメージを高める戦略のことを言います。現代は、ブランディングの成否が、商品のみならず、企業自体の存続に大きな影響を及ぼす時代とも言われています。

ブランドの意味

そもそもブランドとは、自社の商品やサービスを他社のそれと区別させる機能のことです。元々は北欧の牧場において、自分の家畜であることを証明するために、牛に焼印をつけたことが始まりだそうです。他社と区別するための方法には、マーク(ロゴ、商標)、デザイン、色彩、ブランドネームなどの要素があります。

ブランディングの必要性

ブランドを形成することをブランディングと言いますが、ブランディングに成功すると消費者からは商品に対するイメージが生まれます。良いイメージが生まれると、消費者は能動的にその商品を購入するようになります。いわゆる「ブランド指名買い」という状態です。

そうなると、広告宣伝や販売促進を行わなくても、商品が半自動的に売れていくようになり、価格が少し高めでも購入するようになります。それどころか、敢えて高い価格帯を設定することも出来るようになり、その結果として粗利益の向上や販売管理費削減により営業利益が向上して企業にとって理想的な収益体質になるわけです。

マーケティングとの違い

マーケティングとは、ブランドを認知させるための諸活動のことであり、広告宣伝や販売促進などの手法を通じて消費者にアプローチすることを指します。ブランディングとは企業のマーケティング活動を受けて、消費者がその商品やサービスに対して、何らかのイメージを湧かせる戦略のことです。

つまり、マーケティングは企業から消費者に対する情報発信であるのに対し、ブランディングとは情報を受けた後、いかに消費者に良いイメージを持ってもらうかということです。 どんなに良いマーケティング活動を行っても、結果として消費者が商品やサービスから連想されるイメージが湧かなかったり、悪いイメージがついてしまったりすると、ブランディングには失敗したということになります。

【マーケティングとブランディングの違い】

マーケティング ブランディング
企業が広告宣伝や販売促進で消費者にアプローチする行為 消費者が商品やサービスに持つ結果としてのイメージを湧かせること

ブランディングの一例

化粧品と言えば「資生堂」や高級車と言えば「ベンツ」など、「○○と言えば」で浮かんでくる社名や商品名がブランディングに成功したブランドであると言えます。

それは、高級と言うイメージだけではありません。トヨタの大衆車「カローラ」や、プラモデルの「タミヤ」など、特定分野の代表格という意味も、典型的なブランディング例と言えます。

ブランディングの役割

企業がブランディングを行うことにより、商品やサービスに様々な役割や機能が生まれます。

企業の視点から見た役割

企業から見た場合、ブランディングには広告宣伝と資産価値の役割があります。

広告宣伝機能

広告宣伝とは、消費者に商品を認知してもらう活動ですが、既存ブランドに消費者の認知度が高い場合、強力な広告宣伝の機能を発揮します。例えば、新商品を市場にリリースする場合、既存のブランドを付加して発売すると消費者に受け入れられやすいほか、その新商品を持つことにステータスシンボルとして感じる顧客もあり、競争優位に繋がります。

資産価値(ブランド・エクイティ)

消費者から支持を受けるブランドは、商品だけでなく、企業そのものに資産価値をもたらします。ブランド・エクイティとも言われます。この役割は、一見目には見えませんが、様々な形で企業活動に貢献してくれます。

顧客の視点から見た役割

顧客から見た場合、ブランディングには出所表示と品質保証の役割があります。

出所表示機能

顧客から見ると、先ずその商品・サービスがどのメーカーのもので、他社とどう違うかということが明らかに判別できることが必要です。これを「出所表示機能」と言います。商品の出所が明らかになっていることで、顧客は安心して商品を購入できます。

品質の保証

ブランドは顧客にとって商品選択の重要な基準です。消費者は過去の購入体験から、「このブランドならこのくらいのグレードはある」というイメージを持っています。

そのため、同一ブランドで未だ購入したことのない商品に関しても、一定の品質を予測し、安心して購入していきます。逆に、悪いイメージがついたブランドの場合、購入したことが無い商品に対しても同じ悪いイメージを固定化させてしまいます。

ブランディングを行うメリット

企業が持つ商品やサービスに高いブランド力が備わったとき、様々なメリットが生まれます。

顧客ロイヤルティの向上

顧客ロイヤルティとは、顧客から企業に対する忠誠度(贔屓にする心)であると言えます。 ブランディングに成功すると、消費者が顧客になり、さらに高い忠誠度を持つロイヤルカスタマーとなり、安定的な売上に貢献します。他社に乗り換えるブランドスイッチも起こりにくくなります。

さらに好意的な顧客は、商品に対する好意的なメッセージを、SNS等を通じて積極的に発信し始め、アンバサダー(消費者を代表する大使役)として新たな消費者を開拓する手助けをしてくれるようになります。こうなると、企業側から一方的な広告宣伝費の必要性が下がります。

【関連】ロイヤルティとは?意味や向上による影響、方法、ポイントをご紹介 / BizHint

交渉優位性の向上

ブランド力のある商品やサービスを取り扱っている場合、商品の販売面において、強気の交渉が可能になります。流通経路の中で、卸価格を高めに設定できたり、売場においても目立つ場所を獲得できたりします。

また、事業を展開する際に必要になる融資についても、大きな力を発揮します。例えば、独自のブランドで1から事業を始める場合と高いブランドイメージを持ったチェーンに加盟して事業を始める場合とでは、事業の成功度が格段に違うため融資も受けやすくなります。コンビニチェーンなどが新たに生まれにくいのも、このことを良く表していると言えるでしょう。

商品・企業の認知度向上

ブランディングに成功すると、まず、商品の認知度が向上します。消費者の間に「○○といえば△△」など「商品のブランド=一定の品質」というイメージが広がって、商品の認知度を通じて企業そのものの認知度も向上します。

その認知度の高さに応じて信頼度が生まれ、新卒採用の学生応募数の増加や優秀な社員を確保など副次的な効果をもたらします。例えば、ブランディングに成功した企業は、「目に見えない信用力」も高まるため資金調達しやすくなるほか、社会貢献活動によってすます社会からの信用度が上がるとなど様々なメリットが生まれます。

ブランディング実施の手順

ブランディングの実施方法は、経営戦略やマーケティング戦略の立案方法に似ています。基本的には環境分析→目標設定→実施→評価の流れになっています。

環境分析の実施

自社を取り巻く環境を分析する手法は、数々あります。従来から経営戦略などで多く使われる「SWOT分析」や、自社と顧客、競合の3者の視点から分析する「3C分析」、自社商品と他社商品の位置関係を分析する「ポジショニング分析」などがあります。

SWOT分析

自社を取り巻く環境を、内部環境の「強み」・「弱み」、外部環境の「機会」「脅威」に分け、強みを機会に活かしたり、弱みを補完して機会にぶつけたりするなど、自社のあるべきブランディングの方向性を見出す手法です。基本的には自社の強みを全面的に活かす方向性が、ブランディングでは活用されます。

【関連】SWOT分析とは?やり方や事例、役立つフレームワークもご紹介/BizHint

3C分析

SWOT分析に類似した手法で、近年盛んに使われています。やはり自社を取り巻く環境を、Company(自社)、Customer(顧客)、Competitor(競合)の3つの要素に分けて分析し、自社の成功要因KSF (Key Success Factors)を探るものです。

【関連】3C分析とは?目的ややり方、テンプレートから事例までご紹介/BizHint

ポジショニング分析

自社と競合他社商品やサービスの違いを、二次元のグラフ上で体感的に把握する手法です。商品を特徴づける二つの要素を選び、二次元の座標を作成し、自社商品及び他社商品の位置をプロットしていきます。自社商品と他社商品との違いや、最近のトレンドなどが一目で把握出来ます。

ブランドアイデンティティの決定

自社を取り巻く環境分析が出来た後は、自社商品が消費者にどんなブランドイメージを持ってもらいたいか、を決定していきます。ブランディングのステップでは、最も大切な部分です。

「ブランド・ビジョン」とも言われ、自社または自社商品に込められた想いを具体的な言葉にして表現して全社員に周知徹底することが重要になります。このステップから初めて自社のブランドイメージが生成されるため、時間をかけてじっくりと納得のいくイメージを作り上げることが必要です。

コード・スタイルの作成

ブランド・アイデンティティが確立できたら、次はその想いを具体的にしていきます。消費者が理解できる表現に作っていくわけです。「抽象的ブランドメディア」ともいわれる段階です。

まずは、ブランド・アイデンティティを言語化(コード)していきます。具体的にはその会社から世の中に発信する経営理念やスローガン、キャッチフレーズのようなものです。さらに、ブランド・アイデンティティを、目に見える形(スタイル)で表現していきます。商品のパッケージ、ロゴマークなどのデザインやカラーを具体的に決めていきます。

媒体選択とクリエイティブ制作

次に、各種のメディア(テレビ、ラジオ、雑誌、HP、SNS、カタログ)を通じて、消費者にアプローチしていく実行手段を作っていきます。

自社のブランドイメージを伝えたいターゲットとする消費者は、どんな場面やタイミングで自社からのメッセージを受け取るのかを徹底的に分析します。いわゆるチャネル分析です。ここでは、まず特定のメディアありきではなく、ターゲット消費者の行動分析からメディアを決定していくわけです。

ここで重要なことは、ブランド・アイデンティティの考え方に一致しているかどうかということです。媒体の良否や宣伝効果の前に、自社のブランドに込められた想いとのズレが無いか、厳重にチェックする必要があります。その一貫性が崩れると、ブランドイメージ全体が瓦解してしまうため、決して妥協してはいけないポイントです。

ブランド・エクイティを使った評価

ブランド・エクイティとは、「ブランドによる資産価値」という意味です。ブランド・エクイティの中身には、「ブランド認知度」「品質」「ブランド・ロイヤルティ」「ブランド連想」の4つの要素があり、程度を計測することでブランディングの評価ができます。

ブランド戦略も、経営戦略やマーケティング戦略と同様に、実施しただけでは意味がありません。自社のブランド戦略が、どれだけ浸透したかを計測することが必要です。商品に対するイメージ情報であるため把握しづらいように思われますが、以下の切り口(視点)で捉えていくと良いでしょう。

ブランドの認知度

まず、そのブランド自体にどのくらいの知名度があるかが重要です。ブランド名だけでなく品質や価格、利用シーンなど、どの程度の深さがあるかも評価します。

品質

その商品の物理的な機能や性能に加えて、サービスや保証、修理対応など、付加的な品質を含めたイメージの評価が重要です。

ブランド・ロイヤルティ

その商品に対してどの程度の購入欲求を持っているか、他のブランドにスイッチする可能性はどの程度かを評価することによってブランドに対する忠誠度が測れます。

ブランド連想

そのブランドから容易に連想される商品分野や品質レベルなど、「〇〇といえば」という場合に消費者に浮かぶイメージがどの程度あるか、イメージ内容はどんなものかによって、ブランドの評価が可能になります。

ブランディングの成功事例

ここでは、実際にブランディングに成功した企業事例をご紹介します。

スターバックスコーヒー

「スタバ」の愛称で知られるカフェチェーンの「スターバックスコーヒー」。国内でも1,392店舗(2018年12月時点)となっているナショナルチェーンです。

しかし、意外にもコーヒーそのもので勝負している企業ではありません。スターバックスにおける最大のブランディングは、店舗での顧客体験なのです。スターバックスは、「サードプレイス」といわれる、学校や会社と家との間に、「コーヒーを楽しむ空間を提供すること」で、他社と完全な差別化を図っています。

そして、従業員教育にも力を入れています。店舗での付加価値を提供するのは従業員(パートナー)であるため、時間をかけて人材育成に取り組んでいます。もうひとつの特徴として「接客マニュアル」がありません。ひとりひとりのパートナーが自分で考え行動するということがサービスの向上につながり、ブランディングに成功したのです。

【参考】会社概要/スターバックス コーヒー ジャパン
【参考】ダイヤモンド・オンライン/スタバはなぜ「接客マニュアルなし」でも人が育つのか

ルイ・ヴィトン

バッグやファッションに興味が無い人でも、ほとんどの人が知っているブランドがルイ・ヴィトンです。ルイ・ヴィトンがブランディングに成功し続けている理由は、品質と高価格政策です。

一つ一つ手作りで作られる高い商品の品質はもちろん、世界各地の正規店のみでの販売、リペア(修理)サービスの充実、値引きを一切しないといった、徹底的なこだわりが顧客の信頼につながり、ブランドイメージを向上させています。

【参考】日経ビジネスオンライン/ルイ・ヴィトン伝説」の凄いパワー
【参考】プレジデントオンライン LVMHが早稲田大学とパートナーを組む狙い

富士フィルム

富士フィルムは、写真フィルムをメイン事業として成長を遂げてきましたが、デジタルカメラの急速な普及に伴い、2000年をピークにして売上が激減し、企業としての存続が危ぶまれていました。本業の需要が無くなると言うのは、実に恐ろしいことです。しかし、富士フィルムでは、写真フィルム製造で培った抗酸化技術やフィルム粒子を扱うナノテクノロジー技術を駆使して、化粧品業界参入に成功しています。

化粧品業界は、資生堂を始めとする業界の巨人が存在し、それぞれの企業がブランドイメージを確立しており、多くの化粧品メーカーが有名タレントを使い、高級ブランドイメージを競っています。それらの企業群に対して、富士フィルムは、技術力を駆使して実質的に人を美しくする企業であるというイメージを浸透させました。

富士フィルムという社名を敢えて変えないことも、差別的なブランディングが成功した証と言えるでしょう。

【参考】 富士フイルムだからできた、オンリーワンの化粧品 

まとめ

  • ブランドとは、自社商品と他社商品を区別することであり、ブランディングに成功すると、価格競争を回避し高収益体質の構築も可能です。
  • ブランディングには、企業として有用な広告宣伝、資産価値の役割と、顧客側から見て購入をしやすくする出所表示機能や品質表示機能があります。
  • ブランディングに成功すると、顧客のロイヤルティが向上し、企業間の交渉が有意にできるほか、商品のみならず企業そのものの認知度が向上します。
  • ブランディングの手順には、まず環境の分析をした上でブランド・アイデンティティを確立し、具体的なメディア戦略を行って最後にブランド・エクイティの評価を行います。

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