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2018年12月13日(木)更新

マーケティング

マーケティングとは、効率的に企業の商品(製品)・サービスを消費者に広める手法、または活動を指します。近年では、インターネットの発達やAI(人工知能)・ビッグデータ活用の動きが広がる中、マーケティング活動も高度化・複雑化しています。本記事では、マーケティングの定義や役割をはじめ、具体的な手法やフレームワーク、マーケティング戦略の立案プロセスから事例、書籍まで、マーケティングの基本を徹底解説いたします。

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目次[表示]

マーケティングとは

企業活動に欠かせない経営戦略であるマーケティング。その定義や役割と重要性の他、マーケティングの変遷や活動プロセス、ブランディングとの違いを知り、理解を深めましょう。

「マーケティング」の意味を一言で言うと

業界や職種によって、マーケティングの定義や理解は異なります。これはマーケティングが幅広い分野で活用され、経営陣から現場担当者まで広く実践されているからと考えられます。

そのため、マーケティングとは

企業および他の組織がグローバルな視野に立ち、顧客との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動

と理解しておくと、職場での役職や業務内容が変わったとしても柔軟に応用できます。

【参考】公益社団法人 日本マーケティング協会 公益社団法人日本マーケティング協会について

「マーケティング」の定義

マーケティング活動は「 消費者や市場(マーケット)の求めるニーズを分析・調査する 」、「 自社の商品(製品)・サービスに適した広告戦略を打ち出す 」、「 ニーズに合わせた新商品(新製品)・サービスを開発する 」など多岐に渡り、マーケティングの目的や解釈はさまざまです。

また、提唱者によっても、マーケティングの定義も異なります。

オーストリア出身の経営学者であるピーター・ドラッカー氏は、マーケティングを以下のように定義しています。

マーケティングの理想は、販売を不要にすることである。マーケティングが目指すものは、顧客を理解し、製品とサービスを顧客に合わせ、おのずから売れるようにすることである。

一方で、アメリカの経営学者であり、マーケティング理論の第一人者でもあるフィリップ・コトラー氏は、時代の流れに合ったマーケティング理論(現在は4.0まで更新)を唱え続けており、その都度、新たなマーケティングの概念を定義づけています

このように、マーケティングは時代のトレンドや変遷に応じて、その定義や役割、プロセスが変化し続けており、ひとつの定義に定められない理論となっています。

近年では、IT技術の向上やイノベーションによって最新サービスが登場する中、オンライン・マーケティングやインフルエンサー・マーケティングといった新たなマーケティング手法を導入する企業も増えています。

【参考】amazon マネジメント[エッセンシャル版] - 基本と原則
【参考】amazon コトラーのマーケティング4.0 スマートフォン時代の究極法則

マーケティングの役割や重要性

その時代の顧客ニーズや社会環境によって、マーケティングの定義も変化し続けています。しかし、根本的なマーケティングの役割は変わっておらず、今後もマーケティングの重要性も増していきます。

ここでは、マーケティングを理解する上では欠かせない、マーケティングの役割や重要性をご紹介いたします。

マーケティングの役割

マーケティングの役割は、企業と顧客両方の視点から考えることができます。

企業は提供する商品(製品)・サービスを顧客に購入・利用してもらうことで、企業としての存続意義を見い出せます。そのため、企業の視点でのマーケティングの役割は 「顧客に購入してもらえる仕組み」 といえます。

この企業側の視点を前提とした場合、顧客の視点では 「自分のニーズに合致した商品(製品)・サービスへと導いてくれる仕組み」 といえるでしょう。

このように、マーケティングの役割は、両者のニーズが限りなく近づける「仕組み作り」と考えることができます。

現在のマーケティングの重要性

インターネットの発展やSNS・スマートフォンの普及とともに、技術革新による高性能な製品が登場したことで、私たちの暮らしは豊かで快適な社会へと進化しました。さらにモノと情報が世の中にあふれる中、消費者の価値観も多様化しており、消費者の細かいニーズを把握することの重要性が高まってきています。

また、近年ではデジタルマーケティングをはじめとした、高度なマーケティング活動も可能となり、企業が提供する商品(製品)・サービスの差別化を行う上でもマーケティング活動が欠かせなくなっています。

今後は、グローバル化する経済市場を意識したマーケティング活動が重要視され、ますますマーケティングの価値が高まっていくことが予想されます。

マーケティングのトレンドと変遷

マーケティングは、時代の背景や流れによってもその定義が異なり、考え方やプロセスも変化していきます。

中でもマーケティング分野の権威でもあるフィリップ・コトラー氏は、マーケティング理論を「製品中心」、「顧客中心」、「価値中心」、そして「自己実現中心」と今までに3回アップデートしています。

今回はコトラー氏が発表してきたマーケティング理論のトレンドと変遷をご紹介いたします。

マーケティング1.0

マーケティング1.0では、 「製品中心のマーケティング」 の考え方を採用しています。第二次産業革命がもたらした製造力を背景に、大衆向けの商品(製品)を大量生産・大量消費のすることを目的に考えられているのが特徴的です。

そのため、マーケティングの目的もコスト削減や製造管理といった企業側の視点を重視したマーケティング活動が主流となっていました。代表的なフレームワークには4P理論(マーケティングミックス)SWOT分析などが挙げられます。

マーケティング2.0

マーケティング2.0では、 「消費者中心のマーケティング」 の考え方を採用しています。大量生産・大量消費社会は消費者の利便性を高めたと同時に、公害や健康問題など消費者への悪影響が問題視されるようになりました。そのため、マーケティング2.0では、マーケティング1.0の「製品中心」から「消費者中心」を重視したマーケティングへと変化していくこととなります。

商品(製品)の性能・利便性だけでなく、「安心・安全といった消費者ニーズを満たすための商品(製品)・サービスの開発」を重視し、顧客を囲い込む顧客管理を目指すマーケティングが主流となりました。競合企業との差別化や市場シェアの獲得を目指す傾向が強く、STP分析ファイブフォース分析3C分析などのフレームワークが活用され始めたのも、このマーケティング2.0からです。

マーケティング3.0

マーケティング3.0では、インターネットが出現したことにより、今までの「消費者中心」から 「製品に対する価値中心のマーケティング」 が重要視されるようになりました。

インターネットは企業と顧客双方を直接結びつけ、消費者が自由に情報を得ることを可能としました。そのため、消費者は企業が提供する商品(製品)・サービスがどのような付加価値(ビジョンや社会的価値)をもたらすかを重視するようになり、商品(製品)・サービスの選択に大きな影響をもたらすこととなりました。その結果、製品管理・顧客管理に加え、ブランド管理も重視したマーケティングへと変化しています。

このマーケティング3.0からインターネット・マーケティングやペルソナ(マーケティング上で重視される顧客モデル)の活用が重視され、現在でも多くの日本企業が活用しています。

マーケティング4.0

マーケティング4.0は、コトラー氏の最新のマーケティング理論となります。マーケティング4.0では 「自己実現」 中心の考え方を採用しており、「商品(製品)・サービスを通して、自己実現(チャレンジ精神やクリエイティブ思考を自分に反映させる)を果たせるかどうかが、商品選択の重要な鍵となる」と定義しています。

つまり、「企業が提供する商品(製品)・サービスは、顧客が実現したい、または共感できる価値観を満たすことができるか」が重要視されるもので、マーケティング3.0のブランド管理をさらに強化した理論になっています。

マーケティング4.0では、インフルエンサー・マーケティングやコンテンツマーケティングなど、社会や顧客への影響力が高い人物や顧客ニーズを満たすコンテンツを活用したマーケティングが主流となっています。

マーケティング活動のプロセス

業界や業種によってもマーケティング活動のプロセスは異なりますが、広い意味では、以下のプロセスでマーケティング活動が行われています。

市場調査

マーケティング活動は、企業の商品(製品)・サービスの顧客の洗い出しや、商品開発のヒントを得ることから始まります。国が発表している統計調査をはじめ、自社独自のアンケート調査やオンライン上のアクセス分析を通した定量的なデータの取得が効果的です。

一方で、対象となり得る顧客層の座談会や体験会を通して、定性的な情報も重要な参考材料となります。

広告宣伝活動

顧客ニーズに沿った商品(製品)・サービスの開発に成功した後は、それらを消費者に届けなければいけません。その代表的な手法が商品(製品)・サービスを認知させる広告宣伝活動です。

主な広告宣伝活動は、テレビ・新聞などのマスメディアやインターネット広告が挙げられます。

効果検証

現在のマーケティング活動は、煩雑なマーケティング作業を効率化する上でもマーケティング・オートメーション(MA)の活用が不可欠です。しかし、MAの活用により、一連のマーケティング活動が費用対効果に適うものかを判断しやすくなりました。

売上・利益に直結しやすいマーケティング活動は、効果検証を行うことで、さらなる企業の経済活動の可能性を広げてくれます。そのため、効果検証で得た知見を活かし、最適な施策の実施が求められます。

マーケティングとブランディングとの違い

マーケティングと似た企業戦略にブランディングが挙げられます。

ブランディングとは、 企業と顧客の商品(製品)・サービスに対するイメージを共通させる、またはイメージアップを図る作業のひとつ です。デザインやイベントなどを通して、商品(製品)・サービスに「形のない価値」を認識させることができ、企業・顧客双方に多くのメリットをもたらします。

最もわかりやすい違いは、マーケティングは「 市場そのものを創造 」し、ブランディングは「 企業と顧客の商品(製品)・サービスに対するイメージの共通化 」という点です。

その他のマーケティングとブランディングの違いは以下の点が挙げられます。

仕事で使う様々なマーケティングの手法

インターネットの発展や価値観の多様化に伴い、新たなマーケティング手法も登場しています。今回は、主流となりつつある新たなマーケティング手法をご紹介いたします。

コンテンツマーケティング

コンテンツマーケティングとは、 顧客に価値があるコンテンツを用意することで、購買につなげるマーケティング手法 です。主にwebメディアを中心に展開されており、インターネット上の検索順位を高めるSEO対策の一環として活用されています。

コンテンツマーケティングでは、マーケティング活動における集客やリードの獲得・育成、成約に至るプロセスが踏襲されています。

デジタルマーケティング

デジタルマーケティングとは、 Eメールやインターネット広告を含めたオンラインサービスや、通販サイトのデータベースに蓄積された顧客情報を活用したマーケティング活動 を指します。オンライン上で行われるマーケティング活動全般を指すことが多いといえます。

デジタルマーケティングは、従来のオムニチャネル戦略やマーケティング・オートメーションに代わる定義としても認識されていることがあります。

オムニチャネル戦略とは、リアルな店舗やイベント、カタログ通販、SNS、屋外広告、インターネット、スマートフォンへの対応といった、全てのチャネルを活用したマーケティング戦略です。

一方でマーケティング・オートメーションは、従来のマーケティング活動に必要な煩雑かつ大量の作業を自動化する仕組み、またはシステムを指します。

どちらも、多様化する価値観を持つ消費者に対応するためのマーケティング活動(戦略)として知られています。

デジタルマーケティングとwebマーケティングの違い

デジタルマーケティングと混同しやすいマーケティング手法にwebマーケティングが挙げられます。しかし、デジタルマーケティングとwebマーケティングでは、カバーする領域が異なります。

デジタルマーケティングは、オンラインにおける全てのマーケティング活動を指します。一方で、webマーケティングは企業のwebサイトにおけるマーケティング活動を指します。

そのため、広い意味では、 webマーケティングはデジタルマーケティングの一部と考えられている のが一般的です。

ダイレクトマーケティング

ダイレクトマーケティングとは、 企業と顧客が双方向のコミュニケーションを通すことで、顧客ニーズを読み取り、顧客の立場に立ったプロモーションを行うマーケティング活動 を指します。

継続的に双方向のコミュニケーションを行うことで、顧客データの抽出・分析が可能となり、顧客中心のマーケティング活動が実現できます。

マーケティングで押さえておきたい用語4選

近年ではオンライン・マーケティングが活発化していますが、マーケティングの基本的な考え方は変わりません。

中でも、「4P」「4C」「顧客セグメント」「ターゲティング」の4つのマーケティング関連用語は、マーケティングに関わる方であれば必ず押さえておきたい基本用語として知られています。

4P

  • 製品(Product)
  • 価格(Price)
  • 販売促進(Promotion)
  • 販売経路・流通(Place)

の4つの要素の頭文字を取ったマーケティング基本用語です。

4Pでは、企業が生み出す商品(製品)・サービスを流通させるために、それぞれの整合性を分析し、企業の目標業績を達成するための戦略を立案していきます。

また、4Pはマーケティング・プロセスであるセグメンテーションやターゲティング、ポジショニングと一貫性を持たせなければ効果が表れにくいため、マーケティングの実施に必要不可欠な基本要素といえます。

【関連】マーケティングミックスの4Pとは?企業事例や4Cとの違いをご紹介/BizHint

4C

4Cとは、アメリカの経済学者であるロバート・ラウターボーンが提唱した、新たなマーケティングのフレームワークのひとつです。企業側の視点である4P(製品、価格、販売促進、販売経路・流通)に代わるマーケティングミックスとして注目されています。

4Cは、顧客側の視点である

  • 顧客価値(Customer value)
  • 顧客の負担(Customer cost)
  • 入手容易性・利便性(Convenience)
  • コミュニケーション(Communication)

の4つの要素を組み合わせて、マーケティング戦略を打ち出します。

自社が提供する商品(製品)・サービスが顧客にとって、どのような価値があり、コストに見合った利便性を得られるかは、購入につながる重要な要素です。近年ではSNSやメッセージアプリなどのコミュニケーションツールが急速に発展しており、ソーシャルメディアを活用した、顧客との相互コミュニケーションはマーケティング戦略の重要な手法として注目されています。

顧客側の視点である4Cの各要素は、企業側の視点である4Pの各要素に対して、以下のように紐付いていると考えられます。

4P 4C
企業の視点 顧客の視点
製品(Product) 顧客価値(Customer value)
価格(Price) 顧客の負担(Customer cost)
販売促進(Promotion) 入手容易性・利便性(Convenience)
販売経路・流通(Place) コミュニケーション(Communication)

セグメンテーション(顧客セグメント)

セグメンテーションとは、市場に存在する不特定多数の顧客(消費者)を同じニーズや属性を持つ顧客、またはグループで分けるマーケティング・プロセスです。商品(製品)・サービスを提供する顧客や消費者を細分化する、重要な作業として認識されています。

また、セグメンテーションはさまざまな切り口から顧客(消費者)を分類できるため、自社商品(製品)の差別化や競争優位性の確立がしやすいメリットがあります。近年では顧客のニーズ・価値観の多様化が進み、さらにビッグデータやAI(人工知能)の活用、インターネットやSNSの発展により、顧客の細分化が進み、セグメンテーションの作業が高度化・複雑化している傾向がみられます。

また、経営資源が少ない中小企業や小規模事業者(スタートアップ企業・ベンチャー企業)が選択しやすいSTP戦略のひとつでもあり、自社の強みを活かすための重要なマーケティング・プロセスでもあります。

【関連】マーケティングの基本『STP分析』のポイントや戦略、書籍をご紹介/BizHint

ターゲティング

ターゲティングとは、自社の商品(製品)・サービスを提供する顧客を選定するマーケティング・プロセスです。

ターゲティングでは主に、

  • 市場規模(Realistic Scale)
  • 成長性・収益性(Rate of Growth)
  • 顧客の優先順位・波及効果(Rank・Ripple Effect)
  • 到達可能性(Reach)
  • 競合の存在(Rival)
  • 反応測定の可能性(Response)

の6つの要素を押さえ、自社が持つ経営資源や経営を取り巻く環境、さまざまな制約条件を考慮した上で実施されます。

しかし、ターゲティングで重要視される要素も業界や自社の商品(製品)・サービスの特性によって異なり、企業によっては自社の強みやプロダクトライフサイクルの段階、参入障壁などをターゲティング決定の要素として採用する場合もあります。

また、セグメンテーションによって抽出された市場に、ターゲティングにおける6つの要素を加味することで、さらに有望な顧客を絞り込むことができます。そのため、ターゲティングはセグメンテーションの精度向上、複数の顧客セグメントからの選択を結論付ける重要なプロセスとして位置付けられています。

中小企業や小規模事業者(スタートアップ企業・ベンチャー企業)にとってのターゲティングは、大手企業が見向きもしないニッチ市場を発見し、シェアの拡大を図れるマーケティング・プロセスとしても知られており、基本的なフレームワークのひとつです。

マーケティング戦略の立案プロセスをわかりやすく解説

マーケティング戦略の立案は、上記の図のように、STP戦略を中核としたプロセスを辿ります。それぞれの詳細について解説していきまうs。

【関連】マーケティング戦略とは?基礎知識やフレームワーク、代表的な戦略をご紹介 / BizHint

内部環境と外部環境の調査・分析

マーケティング戦略は、企業の内部環境(企業の強みと弱み)と外部環境(機会と脅威)の調査・分析から始まります。

このプロセスでは、自社の商品(製品)・サービスの強みや弱みを知り、市場での自社の立ち位置を優位する機会、または脅威の存在を明らかにします。これらの要素を分析・抽出するにはSWOT分析3C分析などのフレームワークが有効です。

近年では技術革新により新たな市場の開拓・進出が比較的簡単となっています。新たな市場を獲得方法として、マクロ環境の分析に優れたPEST分析が効果的です。

一方で、現場を訪れて消費者や市場環境の状況を肌で感じることも大切です。

マーケティングでは、数値に基づいた定量的な分析に加え、顧客や市場の生の声などの定性的なデータも貴重なデータと考えられています。

マーケティングリサーチの実施

マーケティングリサーチとは、商品(製品)・サービスを提供するために、市場を調査する活動を指します。

マーケティングリサーチでは、以下のような調査方法が挙げられます。

  • お客様アンケートや対面インタビューの実施
  • Webサービスを活用した顧客ニーズや動向などの生活者データの獲得
  • 訪問・郵送・電話調査
  • MROC調査(参加者同士のディスカッション調査)
  • モニター調査
  • 覆面調査

目的や調査対象によって調査、方法を複数選択することも可能です。

一方な広告宣伝だけでは業績を上げることができないため、お客様から直接、生の情報を得ることが大切です。また消費者は、感情やイメージによって、購入を決定することが少なくありません。そのため、定期的にマーケティングリサーチを行い、変化し続けるお客様の意見や行動傾向を知る定性調査や、データに基いた定量調査両方を可能にします。

【関連】マーケティングリサーチとは?調査手法や手順、書籍までご紹介 / BizHint

セグメンテーション(市場細分化)の実施

STP戦略のひとつであるセグメンテーションでは、自社に最適な市場の細分化が行なわれます。市場環境にはさまざまな特徴を持った顧客(消費者)が存在します。その中でも、自社の商品(製品)・サービスへのニーズが高い顧客、市場を細く分類することで、後のターゲティングの作業を円滑に進められます。

セグメンテーション(顧客セグメント)では、業態や業種、顧客(消費者)の年齢・性別、趣味志向、ライフスタイルなどに細かく分類します。そのため、セグメンテーションではマーケターの高度な知識や経験、スキルが最も求められる、要となるプロセスといえます。熟練したマーケターが確保できない場合は、外部の第三者機関を使って分析しましょう。

【関連】マーケティングの基本『STP分析』のポイントや戦略、書籍をご紹介/BizHint

ターゲティング(絞り込み)の実施

セグメンテーションを行なった後は、ターゲティング(絞り込み)の作業に移ります。ターゲティングでは、細かく分類された市場の中から自社の商品(製品)・サービスを投入すべき市場を選択します。同時に、購入につながる可能性が高い顧客の行動や属性の分析を行ないます。

顧客分析では、以下の要素(6R)に焦点をあてた上で、ターゲティングを行います。

  • 市場の規模
  • 成長性と収益性
  • 顧客の優先順位と波及効果
  • 到達可能性
  • 競合の存在
  • 反応測定の可能性

また、自社の経営資源と商品(製品)・サービスの制約条件も考慮しなければいけません。

中小企業や小規模事業者(スタートアップ企業・ベンチャー企業)向けの市場開拓(ニッチ市場の発見など)にもつながるため、マーケティング・プロセスの基本フレームワークとしても知られています。

ポジショニングの決定

STP戦略の最後のひとつであるポジショニングでは、ターゲティングした消費者に、会社独自のポジションを認識してもらう作業を指します。顧客(消費者)のニーズに対して、ユニークな差別化を図ると同時に、企業価値も向上できます。

ポジショニングでは、消費者の視点に立って、購買決定に関わる要因(Key Buying Factor)を差別化ポイントとして見極めます。この差別化ポイントはポジショニングマップを用いて分析していきます。

ポジショニングマップでは、以下の4点を考慮するようにしましょう。

  • ターゲットサイズが適性かどうか
  • 顧客に正確に伝わるか
  • 顧客が共感するか
  • 製品のポジショニング

これらの4点のバランスを重視することが大切です。

マーケティングミックスの実施

マーケティング・プロセスの最終段階では、どのように顧客へ商品(製品)・サービスの価値を提供するかを考える、マーケティングミックスを実施します。そこで活用されるフレームワークが、先述している4P(製品、価格、販売促進、販売経路・流通)や4C(顧客価値顧客の負担、入手容易性・利便性、コミュニケーション)です。

従来のマーケティングでは、企業の視点である4Pによるマーケティングミックスが主流でしたが、顧客のニーズや価値観が多様化する現代においては、顧客の視点に立った4Cを重視する日本企業が増えています。これらのフレームワークを使い、顧客に「どのような」情報を「どのような」手段を使って伝えるべきかを見出し、マーケティング戦略を立案していきます。

打ち出したマーケティング戦略を実践した後は、効果を測定しPDCAを前提とした運用を行ないます。また、ビッグデータやAI(人工知能)を活用して、精度の高い効果測定や分析も可能です。

マーケティング戦略を実施する際は、レポート作成や定型作業をソフトウェアやWebツールを活用して、膨大な作業量を削減することも検討しなければいけません。

【関連】マーケティングミックスの4Pとは?企業事例や4Cとの違いをご紹介 / BizHint

マーケティングの企業事例

優れたマーケティング戦略の実施は、企業の業績に直結するため、多くの企業は優秀なマーケティング担当者を抱え、日々分析作業を行なっています。

本章では、優れたマーケティング戦略を実施している企業やソリューション事業を展開している企業の事例をご紹介いたします。

P&G JAPANによるブランドづくりとブランド経営

世界最大の一般消費財メーカーの日本法人であるP&G JAPAN(以下、P&G)は、優れたマーケティングを展開する企業として有名です。P&Gのジェネラルマネージャーの多くがマーケティング職出身であり、P&Gのマーケティング担当者は世界で活躍する一流のグローバルリーダー候補として位置付けられています。

P&Gのマーケティング担当者は複数の部署、異なる国籍を持つ人々で構成されたチームの牽引役として任され、P&Gのブランド作りや経営を行なわなければいけません。ブランド・マーケティングとブランド・マネジメントのプロフェッショナルの育成は、中長期的で成長し続ける製品を生み出すことに成功しています。

P&Gのブランドづくりでは、戦略測定や消費者理解、購入動向調査・売行予測などの戦略段階を徹底し、広告開発・プロモーションプランの計画と実行を行ないます。また、生み出されたブランドは適切な経営管理の下、6つの部署(消費者リサーチを担うコンシューマー・アンド・マーケットナレッジや販売企画開発を担う営業統括など)と連携するマーケティング戦略を実践しています。

【参考】P&G Japan About Marketing

株式会社博報堂

日本の大手広告代理店である株式会社博報堂(以下、博報堂)では、長年培ってきた膨大な顧客データ(生活者データ)を活用した、マーケティング・マネジメント事業を展開しています。

顧客データ(生活者データ)を活用したマーケティングのナレッジやソリューションの提供を行ない、生活者発想を軸とするクリエイティブ力を活かした新規ビジネスの開発を手掛けています。生活者研究では、企業と顧客(消費者)・社会との密接な関係性の構築に長けており、生活者インサイト(消費者の購買意欲の核心)を掘り下げ、新たなマーケティングサービスやソリューションを生み出しています。

現在、拡大しているSNSや多様なメディアに対するアプローチにも力を入れており、新たなマーケティング戦略の策定に課題を持つ企業にとって、頼もしいパートナーとして認識されています。

【参考】株式会社博報堂 マーケティング

日本コカ・コーラ株式会社

世界的に愛されている清涼飲料コカ・コーラを製造・販売を行なう日本コカ・コーラ株式会社(以下、コカ・コーラ)。ローカライズ戦略ではなく、徹底したワンブランド戦略と世界共通のグローバルマーケティング戦略を打ち出す企業として有名です。

2016年には顧客ニーズに合わせて、個別に展開されてきた複数のコカ・コーラ(コカ・コーラ ゼロやダイエット コカ・コーラなど)のブランド戦略、マーケティング戦略を見直し、「ひとつのコカ・コーラ」として実施した、全世界共通のクリエイティブキャンペーンもマーケティング業界を驚かせました。

未来永劫変わることのない、清涼飲料世界No.1を維持し続ける取り組みを実践するグローバル企業として注目されています。

【参考】日本コカ・コーラ株式会社 グローバルマーケティング戦略 世界一斉にスタート!

マーケティングを簡単に学べる本をご紹介

マーケティング活動は、現場での分析・実践が必要不可欠です。一方で、マーケティングに必要な基礎知識や基本用語、優れた事例は、書籍でも学ぶことができます。

本章では、マーケティングを学ぶ上でおすすめの書籍をご紹介いたします。

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら

マーケティングの定義を提唱している、ピーター・ドラッカー氏の著書『マネジメント[エッセンシャル版] - 基本と原則』の教えを、甲子園出場を目指す高校生の青春小説に落としこんだ書籍です。内容はマネジメント理論に関わる内容が多いため、マーケティングに関する直接的な知識は得られませんが、マーケティングを解説している『マネジメント[エッセンシャル版] - 基本と原則』を読む前の準備としては最適です。

ビジネス書が苦手な方はもちろん、社会人になったばかりの方にも読みやすい内容となっています。

【参考】amazon もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら

USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門

人気テーマパーク、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンが「なぜ2015年10月に過去最高の月間175万人集客を実現し、復活できたか」という疑問に応えた書籍です。マーケティングの基本戦略や関連用語も詳細に解説されており、マーケティングの概念やマーケティング活動で重視しなければいけない理由も紹介してくれています。

今後、マーケターの高度なスキルが求められる機会が増え、マーケティングを重視する企業が増える中で、ビジネスパーソンであれば一度は読んでおきたい書籍といえます。

【参考】amazon USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門

ベーシック・マーケティング―理論から実践まで

マーケティングの専門知識を効率的かつ体系的に学ぶことができるマーケティングの専門書です。入門書としての内容が多く、企業例を用いながら、マーケティングの全分野を学ぶことができます。

社会人1年目からマーケティングに関わる人全ての教科書のような書籍のため、マーケティングの学び直しにも最適です。巻末には50音順にまとめた、各章のキーワード解説も掲載されているので、マーケティング関連用語の辞書としても活用できます。

【参考】amazon ベーシック・マーケティング―理論から実践まで

この1冊ですべてわかる 新版 マーケティングの基本

発行部数が5万部を突破しているマーケティング関連本のロングセラーです。現場で実践されるマーケティング手法を、図式を使って、わかりやすく解説してくれています。新版では事例を最新版に変更されており、さらに新たなマーケティング手法も紹介してくれているので、昔に本書を読んだことがある方でも再読の価値がある書籍です。

スマートフォンの爆発的な普及を背景に、webマーケティングの解説を増やしており、サブスクリプションやカスタマージャーニーといった新たなマーケティング手法の考え方も知ることができます。

【参考】amazon この1冊ですべてわかる 新版 マーケティングの基本

まとめ

  • マーケティング戦略は、企業の業績に関わる重要な経営戦略のひとつ。
  • マーケティングの定義は、業界や業種だけでなく、時代の流れに沿って、変化しており、その手法や対応も複雑化・高度化している。一方で、マーケティング分析を補助する優れた最新サービスや手法も次々と開発されており、迅速なマーケティング活動が可能となっている。
  • コンテンツマーケティングやデジタルマーケティングといった新たなマーケティング手法が出現しており、顧客との双方向のコミュニケーションが重視されている。
  • マーケティングに関連する基礎知識をきちんと理解しなければ、優れたマーケティング戦略の立案や実践は意味のないものとなってしまうので注意が必要。

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