はじめての方はご登録ください(無料)会員登録

2016年11月8日(火)更新

内定

「内定」とは、学生や転職者などが、その企業に採用されることを約束されることです。学生などを大量人数採用する会社は、内定式や内定者懇親会を開くことで、「その会社に採用された」ということを意識付けしています。一方で、複数の企業に内々定していた人物は、正式な内定式までにその企業を辞退しなければなりません。企業にとっては、将来の戦力として計算していた人物から内定辞退されることは想定外のことであり、断りの時期が遅くなればなるほど、揉めてしまうようなケースもあります。

内定 に関するニュースや勉強会の情報を受取る

フォローする

目次

    「内定」とは何か

    人材の売り手市場が続き、優秀な人材の確保が重大な企業課題となっている昨今。有効求人倍率1.37倍(2016年8月時点 厚生労働省発表)と高い水準が続き、欲しいと思った人材を確実に獲得するために、企業側はさまざまな工夫を強いられています。

    選考を終え「内定を出したら一安心」とはいかない現在の採用活動では、候補者側に複数の企業から内定が出るケースも多く、企業側の接し方、フォローの有無が採用成功に大きく影響を与えます。採用したい人材に来てもらうにはどうすればいいのか、内定出しにおけるポイントを紹介していきます。

    「内定」の定義

    まず「内定」とは何か。言葉の定義からおさらいします。

    内定とは労働契約の申込みのこと

    採用における内定とは、採用日前の合意のこと。新卒採用、中途採用ともに「雇用を正式に約束する」という意味であり、合意がなされた日から入社日までが内定期間となります。

    候補者が企業の求人に応募した時点で、企業には「労働契約の申し込み」がされたことになります。企業が選考を経て内定を出せば、労働契約の申し込みを承諾したことになり、企業と候補者間には労働契約が成立します。候補者が、この「内定」を受け入れることで、採用が決定するのです。

    内定取り消しは労働契約の破棄を意味する

    尚、企業が一度出した内定を取り消すことは、労働契約を破棄することになり、解雇と同じ重みがあります。「入社までに社会的な問題行動を起こしたとき(候補者側)」「企業の経営状態が悪くなったとき(企業側)」といった合理的な理由がなければ、内定取り消しは無効となります。

    「内定」と「内々定」の違い

    新卒採用では、「内々定」という言葉もよく使われます。言葉の定義としては労働契約が締結される前段階を指していますが、実際は内定と大きな違いはありません。経団連の倫理憲章の規定上、内定を出せない期間に企業が学生を囲い込みたいとき、「内定を出せる時期になったら内定を通知します」という約束事を「内々定」と呼ぶことが多いようです。

    新卒採用と中途採用での「内定」「内定出し」の違い

    固定スケジュールの新卒、都度調整の中途

    新卒採用は、内定出しのタイミング、入社のタイミングがある程度決まっており、内定期間も数カ月から半年にわたります。中途採用は、候補者それぞれの現職の状況、入社可能時期によって内定期間も数週間から数カ月とさまざまです。

    中途採用フローは可変的

    また、新卒採用では全員未経験採用なので、選考フローが一定であることが大半ですが、中途採用では、候補者によって選考フローを柔軟に変えるケースが少なくありません。「この方は高いスキルを持っているので、1次面接で人柄を確認したらすぐに内定を出そう」というケースもあれば、「この方はポテンシャル採用に近いので、現場の社員、現場の部門長にも会ってもらおう」と面接を複数回設定して慎重に選考を進めることもあります。転職意向度や給与など条件面のマッチ度など、候補者によって内定出しのタイミングを考慮して進める必要があり、より高度な対応力が求められるでしょう。

    「内定出し」の前に把握すべきこと

    時間をかけて選考し、内定を出したら概ね入社が確定……というのは買い手市場での話。人材獲得競争が激化している今、スピーディに選考を進め、内定連絡もできるだけ迅速に行うことが求められています。優秀な人材ほど、複数の企業の選考が進んでおり、内定が重なった末に内定辞退されてしまうケースも増えています。

    内定辞退は、それまで選考にかけた時間、人件費、求人媒体への出稿費などさまざまな投資が無駄になってしまうので、極力避けたいもの。そのためには、内定の結論を早く出して伝える「スピード」と、内定辞退になりうる要素を前もって把握し、対策をとる「リスクテイク」が必要です。

    では、内定出し前の選考のプロセスのなかで、企業側は候補者のどんな情報を把握しておくべきなのでしょう。

    内定出しの前に知っておきたい候補者の情報

    1、 転職活動の状況

    転職活動を始めた時期、応募した業界、面接に進んでいる企業数などを知り、競合企業の動きを把握します。

    2、 候補者の市場価値

    前職、現職のポジションや年収、転職市場での人材価値がどれくらいなのか、提示する予定年収との差を把握します。

    3、 転職意向度

    現職で任されている仕事の状況、転職活動量などから、転職意向がどれくらい高いのか、内定を出したらすぐ入社を検討するフェーズにあるのかを把握します。

    4、 家族の同意

    家族と転職意向について話ができているか、転職条件(年収や勤務地、転勤の有無など)によって家族から反対される可能性はないか、どの要素が懸念材料かを把握します。

    これらの情報は非常にデリケートであるため、選考のなかで、本音で情報共有しやすい環境、信頼関係を作ることが必要です。そのためには、面接ではなく、「ざっくばらんに会話できる面談の場を設ける」「現場社員と話す時間をつくる」「食事会に行く」など、候補者との距離を縮めるための場づくりを工夫してみるのもいいでしょう。ほかにも、各選考がどのような意図で設定されているのか、選考情報を企業側からオープンに伝えることで、よりコミュニケーションが深めやすくなります。さらに、各選考の評価を正直に伝えると、候補者に後々提示する年収や条件への納得感が増すといったケースもあります。

    内定を出す際に気を付けたいポイント

    企業が内定出しをする際には、どんな点に気を付けるべきなのでしょうか。このフェーズでも「スピード」と「リスクテイク」を意識し、内定者フォローにつながる情報を把握することが大切です。

    内定の連絡は迅速に

    採用、不採用にかかわらず、連絡は早いに越したことはありません。候補者の多くは複数の企業を受けているため、内定の連絡をしないまま放置していると、他の企業に決めてしまうこともあります。なかなか内定が出ないとことが企業への不信感につながることもありますので、遅くなるなら「いつまでに必ずご連絡します」と予定を伝えておきましょう。

    内定出しは対面で丁寧に

    内定出しは、取り急ぎ電話やメールで伝えて問題はありませんが、その後すぐに内定通知書を郵送すること。「口頭で言われたけれど、正式決定なのだろうか」と思われないよう、文面できちんと残すことが大切です。

    物理的に可能であれば、候補者に再度会社に来てもらって対面で内定を通知するのがよりよいでしょう。候補者は、内定が決まって安堵しながらも「自分の何が評価され、入社後に何を期待されているのか」が気になるものです。対面で話すことで、面接などでの評価内容をフィードバックでき、入社後の業務で何を求めているかを改めて伝えることができます。候補者と話せば、内定に対する気持ち、入社への温度感、迷いがあるかなどをある程度把握できるので、内定後フォローに何をすべきかが明確になります。こうして、内定受諾する上での懸念材料を一つひとつつぶしていくことができ、内定辞退の予防につながるのです。

    新卒採用や既卒若年層の未経験採用においては、気持ちをつかむことも非常に重要です。人事担当者が、候補者一人ひとりと時間をとるという行為自体が、人材を大事にする企業姿勢を見せることであり、企業への信頼醸成につながるでしょう。

    内定辞退を防ぐ内定者フォロー

    時間とパワーをかけて出会い、採用を決めた優秀な人材に、確実に入社してもらいたい。そのために必要なのが「内定者フォロー」です。

    新卒採用では、内定後から入社まで数カ月~半年間あるので、その長い期間、いかに学生のモチベーションを保つかが大切です。

    中途採用では、内定後も魅力的な企業の求人情報が出たりヘッドハンターからオファーが届いたり、あるいは現職からいいポジションを提示されたりと、さまざまな外的要因が考えられます。では、どんな内定者フォローが効果的なのでしょうか。中途採用を想定した、具体的な方法をいくつか紹介していきます。

    内定者フォローの具体的な方法

    1、 内定者のスケジュールに合わせた入社までの日程を提示

    中途採用では、候補者一人ひとり入社できるタイミングが異なります。内定後に退職手続きを進めるケースが多いので、「現在進んでいるプロジェクトがひと段落しないと動けない」「後任への引継ぎに時間がかかっている」など事情はさまざまです。候補者のスケジュールを優先し、入社までの日程は候補者としっかり話し合った上で決めましょう。事業都合上、「この日までに入社してくれないと困る」など日程が決まっているのなら、選考の段階から、「○月入社が内定の条件である」ことを伝えましょう。

    2、 配属予定の社員と話す場を設定する

    実際に入社したら、どんな人と働くことになるのかは、事前に知っておきたい重要な情報です。中途採用では配属予定先が決まっていることが多いので、入社後に同僚や上司になる社員との懇談会を設けるといいでしょう。人事や役員との面接を通じて内定出しをした場合(選考中に現場社員との接点がない場合)はとくに、積極的に設けることをオススメします。

    3、 社内イベントに招待する

    クリスマスパーティーなどの社内行事があれば、招待して会社の雰囲気を味わってもらいましょう。ほかに、社内見学ツアーなどを行っている企業も増えています。

    4、 社内報などを送り事業理解を深めてもらう

    社内報やメールマガジンなどがあれば、送り、会社の事業をより深く理解してもらいます。

    入社までの間は、メールなどでこまめに連絡を取ることが大切です。電話は、候補者の時間を奪うことになりますので、「現職の業務時間外に」「休日に」など、負担にならないよう配慮する姿勢が必要です。候補者が不安に思うことがあれば、解消するための面談を設定するなど、入社してほしい思いを熱意を持って伝え続けましょう。

    知っておきたい内定後のトラブル

    「内定取り消し」は「解雇」と同等の意味を持つ

    内定を出し候補者がそれを受諾した後に、企業側から「内定取り消し」を行うことは、「解雇」にあたります。候補者は、内定をもらったことで就職・転職活動を止めて他企業に入社する道を絶ち、中途採用では現職の退職手続きを進めるなど動いているためです。この認識が足りないと、内定取り消し後に候補者との間で大きなトラブルに発展します(労働基準法第18条の2「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、 その権利を濫用したものとして無効とする」)。採用を担うものはしっかりと法的な知識をつけておくことが大切です。

    「内定取り消し」が認められるケース

    ただ、内定取り消しが認められる条件もいくつかあります。

    1、内定後に判明した事情・非違行為

    経歴に偽りがあった(提出書類の虚偽)など、内定後に会社の採用条件に合わない事情が発生した場合。社会的に見て違法行為が明らかになった場合。ただし、内定を出す前に知って場合、あるいは知ることができたと判断できる場合は、内定取り消しの事由としては成立しません。思想や信条を理由にした内定取り消しも認められません。

    2、留年、落第

    「大学卒業見込みとして内定出ししたら、留年した」といった場合。入社が想定日程に間に合わない、規程の就業日数をこなすことができないといった場合は内定取り消しの事由になります。

    3、健康状態によるもの

    健康上の理由による内定取り消しも認められますが、ケースバイケースなので、産業医や社労士などの専門家による判断が必要となります。

    4、経営状態の著しい悪化

    「経営難により突然のリストラが必要になった」などの場合。すでに働いている社員の人員削減状態と合わせて、内定取り消しを進めていく必要があります。

    内定辞退は法的に問題ないか

    企業側からの内定取り消しには法的な制約がある一方、候補者からの「内定辞退」は基本的に自由です。これは、日本国憲法の基本的人権のなかで、職業選択の自由が保障されているからです。労働契約の解消である「退職」に対して企業に拒否権がないように、「内定辞退」も拒むことはできません。

    企業によっては、内定受諾の際、「入社承諾書」に署名、捺印をしてもらい、合意を明確にするケースもあります。ただ、その後内定辞退となったとしても、「捺印までしたのだから契約違反」とは言えません。採用する側には法的拘束力はありませんので、あくまでも企業努力によって、候補者をフォローし、自社の魅力を伝え続けることが必要なのです。

    「オワハラ」にならないよう注意

    「オワハラ」(就職活動終われハラスメント)は、2016年卒業予定者の新卒採用において、一気に広がった言葉です。企業が学生に対し、「選考中の他社を断れば、その引き換えに内定や内々定を出す」といった取り引きをもちかけたり、「ここで就活を終えると約束しなさい」と対面で迫ったり、就職活動を終えるよう圧力をかけるハラスメント行為を指します。

    その背景には、2015年以前は4月1日から始まっていた選考時期が、2016年から8月1日と大幅に後ろ倒しになったことがあります。経団連に加盟し、倫理憲章に従う大手企業の多くは8月1日から選考をスタートさせますが、非加盟の中小企業は従来の前倒しスケジュールで選考を進めるため、内定が出るタイミングにズレが生じます。そこから、「大手企業の選考が始まる前に、優秀な人材を確保したい」と考える企業側が、「大手企業が不採用だったら内定がゼロになってしまう」と不安に思う学生をオワハラで囲い込むことにつながるのです。

    人材獲得競争が激化するなか、内定辞退を避けたい企業側の気持ちもわかります。ただ、採用の目的はあくまでも、候補者が能動的な思いで入社を決め、その後、「会社で活躍することで事業成長に貢献してもらうこと」にあります。キャリアの選択を狭めるような手法で、仮に入社まで導けたとしても、「納得してこの道を選んだ」という確固たる思いが候補者になければ、仕事での踏ん張りが効かなかったり、モチベーションが下がったりと不幸な結果につながるでしょう。

    採用側は、目先の採用数や人材確保だけにとらわれず、中長期的な視点で、候補者にとっても企業にとってもWin-Winな採用であるかを考えることが大事です。

    まとめ

    少子高齢化による労働力の減少で、採用の売り手市場はまだまだ続くと考えられます。内定を出す際も、出してからも、継続的な企業努力こそが優秀な人材の確保を左右するのです。

    内定の関連記事

    1件中 1 - 1件

    内定の関連記事をもっと読む

    内定に関連するおすすめコンテンツ

    新卒採用の記事を読む

    ニュースや勉強会の情報を受取る

    フォローしたキーワードの最新トピックをトップページに表示します。 フォローはでいつでも変更することができます。
    フォローを管理する

    目次

    フォローする

    このページの目次