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2017年11月20日(月)更新

採用ブランディング

 優秀な人材の採用手法として「採用ブランディング」に関心が高まっています。スタートアップや中小企業でも十分効果的な「採用ブランディング」が可能です。このページでは「採用ブランディング」のポイントと具体的なステップについてご説明します。

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1.採用ブランディングとは

優秀な人材確保に向けた企業間の競争がますます白熱する中、「採用ブランディング」に対する関心が高まっています。採用ブランディングとはどのような手法なのでしょうか?

「ブランディング」とは、Wikipediaにおいて以下のように定義されています。

ブランディング(英: branding)とは、ブランドに対する共感や信頼など顧客にとっての価値を高めていく企業と組織のマーケティング戦略の1つ。ブランドとして認知されていないものをブランドに育て上げる、あるいはブランド構成要素を強化し、活性・維持管理していくこと。また、その手法。ここでいうブランドとは高級消費財に限らず、その対象としては、商品やサービス、それらを供給する企業や団体のほか、人物・建築物・史跡・地域 ・祭事など、あらゆるものが該当する。 [Wikipedia 「ブランディング」]

「ブランド」 という言葉は皆さんも日常生活で良く耳にするかと思います。

通常、「ブランド」と聞いてイメージするのは、鞄や時計などのファッション製品、食品などの日用品、自動車などのカテゴリにおいて、特定の会社から販売されている商品群やサービス群ではないでしょうか?

そして、「ブランディング」とは、ブランドから発信する情報を戦略的に取捨選別し、メッセージを明確にすることによって、これらの商品に対する認知度や、消費者の感じる価値を高めるマーケティング戦略を意味します。「採用ブランディング」もこのような手法の1つです。

「採用ブランディング」とは、 転職市場・労働市場における情報発信により、雇用主としての自社ブランドの認知度と価値を高めていく手法 です。優秀な人材に「入社したい」と思ってもらえるように、自社のブランドと結びつけて想起されるイメージを向上させることが目的となります。


採用ブランディングは、一定期間に大量の学生からの応募を受け付ける新卒採用だけでなく、中途採用においても重要になっています。

人材不足が叫ばれる中、これまで新卒採用を中心としてきた企業にも、即戦力人材の中途採用の動きが拡がっています。

その結果として企業間の採用競争は激化しており、従来通りの採用活動では優秀な人材の確保が難しくなっているのです。

これからは能動的に仕事を探しているいわゆる「転職顕在層」はもちろん、現在の仕事に満足しており、積極的には転職活動をしていない「潜在層」もターゲットとした採用活動が必要です。

このため、消費者マーケティングの世界の知見やノウハウを採用活動に採り入れ、効果的に採用ブランドを改善しようという動きが活発になっているのです。

消費者向けのブランドと採用ブランドは別

採用ブランディングにおいて、既に消費者に認知度の高い会社は有利であり、B2B領域の企業や中小企業、創業間もないスタートアップ企業は不利だと思われるかもしれません。

確かに消費者に対する認知度の高い会社ほど、「あの商品を販売している会社か」と思い出してもらえるのは確かでしょう。

またそうした消費者向けの強いブランドを複数持ち、「企業ブランド」が確立した企業が採用においても強いのは確かです。

しかし、その様に認知度の高い企業でも「どの様な経営方針で、どの様な人材を欲しがっているか?」、明確にイメージすることは難しいのではないでしょうか? これは消費者向けのブランドと、学生や転職者に対する「採用ブランド」が別物であることを示しています。

仮に「消費者として自社のファンである人たち」と「企業側が考える採用ターゲット」が合致しなければ、認知度の高さがむしろ災いし、大量の応募者の中から本当に採用したい人材を選考するのに多大な工数やコストを必要とする、というケースもありえます。これは食品メーカーや旅行代理店などに見られる傾向です。

一方で、商品やサービスそのものの認知度の低い、B2B領域の企業や中小企業、創業間もないスタートアップ企業であっても、ワークスタイルや社内制度、そこで働く従業員の個性やエピソードに関する情報発信を積極的に行うことで、採用におけるブランド価値を高めることは十分に可能なのです。

2. まずは採用ターゲットを明確に

採用ブランディングにおける重要な第一歩は「自社に必要な人材を明確に絞ること」です。人材を確保したいと願いながら、ターゲットを絞ってしまうことは逆効果ではないか? と思われるかもしれません。

しかし、もし「誰でもいいから我が社に来てほしい」と大々的に広告したとすれば、自社が必要としない人材の選考に時間とお金を浪費する事態を招きかねません。

また「誰でも歓迎」と受け取られるメッセージを発信してしまうことで、「自分を本当に必要としてくれる会社で働きたい」と願う優秀な人の心に響かず、応募してもらえないかもしれません。これこそまさに本末転倒です。

日米で合計5500万ダウンロード(2016年12月時点)を超えるフリマアプリを提供する、株式会社メルカリの取締役で、人事・採用を統括する小泉氏は、このように述べています。

小泉氏:採用の基本的な考え方は、10人応募してくれて10人採用できればいい、ということです。一番欲しい母集団にきちんとメッセージが届けられて、ミスマッチなく全員採れたら最高じゃないですか。  人事の人たちがよく言う、大規模な母集団形成をして確率論で採るみたいな考え方は、好きじゃないですね。ですので、ブランディングをどうするかだと常々思っています。

[HR 2048 フロムスクラッチ、メルカリ、LITALICO  「最強の採用戦略論」【前編】]

メルカリほどの認知度があれば、「人気のアプリの会社だから応募してみた」という漠然とした志望理由を掲げる人がいても不思議ではありません。

このような漠然とした理由で応募してくる人を減らすために、メルカリは 「Go Bold(大胆であれ)」「All for One(全員でひとつのサービスに打ち込もう)」「Be Professional(プロ意識を持て)」 といった明確なキーワードを採用ブランディングにおいて強く打ち出しています。

メルカリで活躍する人材に求められる資質やスタンスを外部に対して発信し、成功している例といえるでしょう。

実際に採用ブランディングを始めるにあたっては、経営陣や事業責任者と採用担当者の間で「どのような人々をターゲットとすべきなのか?」を十分に議論し、ターゲット層とその優先順位を明確にすることが重要です。

その際、自社において中長期的に高いパフォーマンスを発揮している人材の属性や、将来の事業戦略と照らし合わせて特に採用の重要性・緊急度が高いにもかかわらず、十分に確保できていないポジションについて考慮することが極めて重要です。

3.自社の「採用競合企業」を知る

採用すべきターゲット層が明確になったなら、次に割り出すべきなのが 「自社の採用競合となる企業はどこなのか?」 という点です。

マーケティングの世界でよく知られているフレームワークの1つに、「3C」という概念があります。3Cとは、市場を「Company(自社)」、「Customer(顧客)」、「Competitor(競合)」という3つの視点から理解しようとするフレームワークです。

これを採用ブランディングに応用すると、3Cは「自社」「採用ターゲットとなる求職者」「採用競合企業」を指します。

「採用ターゲットとなる求職者」についてはご説明しました。では次に「自社」について見てみましょう。転職市場において、自社の知名度や待遇がどのくらいのレベルなのかを確認してください。

そうすれば、採用ブランディングを改善すれば現実的に採用できそうな人材、かつ自社で活躍できそうな人材がどういった人なのかが見えてくるでしょう。

もし現在までの採用活動で、すでに上記のような人材にオファーをしているのに辞退されている場合、それらの候補者が自社と並行して選考を受けている企業について、ヒアリングしてみましょう。

このような優秀な人材は複数の企業からオファーを受けているでしょうから、そのすべてについて調査し、可能であれば、最終的に就職を決めた企業についても情報を集めます。これが「採用競合企業」の分析へとつながります。

ここで名前の挙がってくる企業は、現在の採用市場において、働く場所としての魅力や待遇、そこで得られる経験やスキルといった面で、客観的に自社と並んで比較されている企業だということになるでしょう。

4.現在の「採用ブランド」の問題点を知る

転職市場における自社のポジショニングと、採用競合企業が明確になれば、次に取り組むべきなのは、現在の「採用ブランド」の問題点を知ることです。

これまで採用ブランディングに取り組んでこなかった企業であっても、また知名度の低い企業であっても、特定の地域や業界などのコミュニティにおいては「雇用主」「働く場所」として、何らかのイメージを持たれているのが一般的です。

企業もまた人間と同じように社会の中で存在していますから、企業の中には社員がいて、社員の中にはすでに退職した人もいて、社外には取引先もいます。多くの人々と関係を持ちながら、成り立っているのです。

テレビや地元紙などのメディア報道、ホームページなどに掲載されている企業理念や沿革、経営者の発言、社員やお客様の口コミなど幅広いものを通じて、人々の頭の中には、その会社に対するイメージが形成されているでしょう。

良いイメージばかりであればいいですが、残念ながらどのような企業でも多かれ少なかれ悪いイメージはあります。

それでは、転職市場での自社に対する現在のイメージを知るにはどうすれば良いでしょうか? まず考えられるのが、 「転職会議」「Vokers」 といった「転職口コミサイト」で自社についての口コミをチェックことです。

ただし、こうした口コミサイトに投稿するのは会社とのミスマッチによって退職した社員が多いためか、どちらかといえばネガティブな評判が集まりやすい傾向にあります。

自社に対するネガティブな口コミを隅々までチェックしたり、社内で共有して議論の材料にしたりすることに抵抗を感じる方も多いかもしれません。しかし採用ブランディングを強化・改善する上で、「現状の何がマズいのか?」を知ることは非常に重要です。

こうした口コミの多くは、企業が成長する過程で経験した「組織の拡大に制度が追いつかず、手薄だった点」あるいは「良かれと思って実施した施策だったが、一部の社員には不評だった点」などについて触れています。今後より良い策を講ずるにあたって、これらのフィードバックは、直視すべき重要な指摘なのです。

4.1. 選考活動の振り返りによる問題点の発見

選考過程の情報を全て記録し一元管理しておくことで、辞退者について、選考中に関わった人がどういったコミュニケーションを取った上で、どのような点に疑問・不満点を持ち辞退していったのかがわかるため、自社の課題点を抽出・分析をした上で対策を講じることが可能になります。

こうした採用プロセスを一元管理するためのツールとして、昨今「採用管理システム」に注目が集まっています。

人事向けニュースメディア「BizHint HR」編集部が独自で調査をし採用管理システム比較一覧を作成しましたので、ご参考ください。

5.自社の改善すべき点を特定し、改善し、発信する

つらい作業を終え、人々が「改善してほしいと願う点」に関する情報が集まりました。ここで注意していただきたいのが 「改善してほしいと言われた点」と「本当に改善すべき点」は必ずしも一致しない ということです。

 

ここでもう一度、自社の事業戦略やビジネスモデルについて、将来の戦略や実現の為の打ち手も含めて考えてみてください。

その先には、一部から反発を受けたとしても 守り抜くべきルールや評価基準、企業文化 といったものが含まれるのではないでしょうか?

もちろん「ぜひ採用したい!」「ぜひ引き続き我が社で働いてほしい!」と思った人材に断られることは悲しいことです。

しかし、その都度相手の言うことを鵜呑みにし、自社にとって欠かすことのできない重要な要素を疎かにしてしまったのでは、「事業成長」という採用の本来の目的を達成したといえません。

 

例えば、以下のようなケースを想定してみてください。

地方都市に本社を置き、地域の強みに根差して成長してきた企業があったとします。このようなバックグラウンドを持つ企業がが、優秀な候補者から「自分は東京支社で働きたい。地方では働きたくない」と言われたとして、その要望を受け入れるべきでしょうか?

 

大切なのは、その人材の採用が自社の全体的なパフォーマンスを向上させることにつながるかどうかです。

こうした判断は経営者・事業責任者にとっても重要な経営判断でもあり、人事、採用担当だけの問題ではありません。

 

社内からは「いくら優秀でも本社で働きたくないという人を許容すれば、徐々に顔を合わすことのない社員が増えてしまう。それは結果的に組織の力を弱めてしまうのでは」という反発もあるかもしれません。

また一方では「テクノロジーも発達しているのだから、東京と本社でビデオ会議などを活用して連携すれば問題ないのでは無いか?」という意見もあるでしょう。

 

こうした、組織の方向性を左右する選択肢は、メリットもリスクも考慮しながら十分な話し合い、決定すべきことです。

 

その他にも、特に組織内の会議体やイベント、勤務体系、就業規則などの変更も、これまでの成長を下支えしてきた企業文化に深く根ざしたものであることが多く、注意が必要です。

 

現場からは「このやり方だから事業が伸びてきた」「やり方を変えたら成長スピードが落ちる」という反発もあるでしょう。

一方で、過去に企業が守ってきたビジネスの進め方の中には、会社が成長を遂げるにつれ、最適解が変わっていく部分もあるのです。

 

わかりやすい例は女性社員に育児と仕事を両立しながら活躍してもらうために、早朝や夜間に行われていた朝礼や、会議、部下のトレーニングなどのルールを変更する場合などです。

これまで組織の団結を強め、成果を出すために当たり前のこととして受け入れられてきたプロセスを変更することは、不安を伴うものです。

しかし仮に、「今後の成長のためには、女性も活躍できる職場であることが欠かせない」という経営者や周囲の強い意志があるのであれば、結論は自明ではないでしょうか。

 

将来の成長を見据えた際、変えるべき点、そして変えずに守るべき点は何なのか を見つめ直しましょう。特に歴史ある企業の場合、こうした議論が経営陣を交えて成されることが、より本質的な採用ブランディングの変革には必要です。

仮に採用企業としてのメッセージを研ぎ澄まし、戦略的に発信したとしても、 そもそもの組織のあり方や仕事の進め方が、優秀な人材がいる採用市場とズレていたのではブランディングの効果も限られる のです。

(歴史ある企業において採用ブランディングの大幅な変革に成功するケースは、特にオーナー企業において、新しい世代の経営者がビジネスモデルそのものの転換を起点として取り組んだ場合に多いようです)

6.継続的な発信と、接点の創出こそが決め手

既に述べてきたように、「採用ブランディング」とは世の中の万人をターゲットとした取り組みではありません。自社の将来の成長にとって必要な一握りの人材にターゲットを絞り、自社にとって譲れない点、柔軟に変えるべき点を明確にした上で、メッセージを発信し続けることだといえます。

従来の採用活動では、「就職・転職顕在層」をターゲットにし、「応募」という分かりやすいアクションを喚起するために、自社にとって都合の良い情報、場合によっては実態に即さない、イメージ重視の情報を発信することが多くの企業によって行われてきました。

しかし情報のチャネルが多様化し、求職者がその企業で実際に働いた人の口コミを容易に目にすることができる時代となり、こうしたアプローチは通用しづらくなっています。

なにより実態とズレた情報によって応募し、採用された候補者であればあるほど、入社前のイメージとのミスマッチによって離職の確率が高くなりますから、結果的にはトータルの採用コストを引き上げることになるのです。また離職率の高さはそれ自体、採用ブランドに対して非常にネガティブな影響を与えます。

「採用ブランディング」を行おうとするなら、自社のターゲット層がどのような情報を必要としているのかを把握し、彼らが普段接しているメディア、その他の情報のチャネルを通じて、継続的な情報発信を行いましょう。

具体的には、自社のWEBサイトや担当者のブログ、Facebook、Twitter、InstagramnなどのSNS、あるいはPRを通じた外部メディア経由の発信などです。

これらの情報チャネルを通じた発信において、必要なのはお金よりもむしろ一貫した戦略と、担当者の粘り強さ、社内を巻き込む熱量です。

従来の採用活動で、コストをかけて制作したにもかかわらず十分に活用されなかったコンテンツはないでしょうか? 

新たにコストをかけるのではなく、情報チャネルを精査し、既存コンテンツの発信を徹底するだけでも十分なメリットが期待できます。


このような情報発信によって、ターゲットとなる人々に「あの企業で働くのはどんな感じか?」とイメージしてもらいやすくなり、「いつかあの会社で働きたい」と思ってくれる“ファン”を増やすことができます。

多くの企業にとって、こうした活動の成果は目に見えづらく、また数百人単位の応募が来たり、数万人のフォロワーが集まったりといった華々しいものではありません。

「採用ブランディング」に対し、持続的に社内を巻き込んで取り組むためには、オンラインでの情報発信と対面での面談・面接の中間に、「オフィスでのイベント」や「経営者によるセミナー、企業説明会」といった、お互いに顔の見える距離で相性を確かめることのできる「接点」を数多く設けることも有効です。

こうした接点を設けることで、徐々に「この会社で働いてみたい」と思うファンが増えている手応えを感じることができ、また直接自社の現状のイメージについてフィードバックを受けることもできるので、現場のモチベーションも高まり、着実な改善に繋がりやすいのです。

7.まとめ

この記事では「採用ブランディング」の意義と取り組み方についてご説明しました。

採用ブランディングは決して「即効性が高く、分かりやすく効果が現れる施策」とはいえませんが、腰を据えて取り組むことで確実に効果が見込める手法です。

自社の雇用主としてのスタンスやメッセージの明確化や、継続的な情報発信によって転職市場とのコミュニケーションの質を上げることには、求人媒体や人材紹介といった従来の採用手法や、注目されつつあるリファラル採用への間接的な効果も期待できます。

エージェントや社員など、採用に関わる全てのステークホルダーに自社の採用ブランドが浸透することは、候補者に対するメッセージのブレや、ミスマッチに繋がる応募など 採用活動全体の「ムダ」を省き、より効率的な採用活動を実現するための屋台骨 となり得るのです。

そういう点で「採用ブランディング」は決して「余裕が有る会社が取り組む、目新しい手法」ではなく、 本気で優秀な人材を獲得しようとする採用担当者が、経営者を巻き込んで最初に取り組むべきこと といっても過言ではないのではないでしょうか?

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