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採用ブランディング

2020年7月30日(木)更新

採用ブランディングとは、戦略的な情報発信によって採用市場における自社ブランドの認知度向上と価値向上を図るマーケティング手法です。当記事では、採用ブランディングを成功させるために必要な情報やノウハウを、言葉の意味や必要性、導入メリット、導入方法、採用ブランディングに成功した企業事例などの項目に整理して分かりやすく解説します。

採用ブランディングとは

採用ブランディングとは、 戦略的な情報発信によって採用市場における自社ブランドの認知度向上と価値向上を図るマーケティング手法 です。

自社の立ち位置や強み、社内の雰囲気、求めている人材特性など、自社に対する理解を十分に深めてもらうことで、同業他社との差別化や採用マッチングの精度向上を実現し、内定辞退や早期離職を防止することができます。

採用ブランディングと消費者向けのブランディングは別物

消費者向けの強いブランドを複数持っているような「 企業ブランド 」が確立した企業は、採用においても強い傾向にあります。しかし、どれだけ多くの応募があったとしても、その中に自社にマッチした人材がいなければ何の意味もありません。

一方、ブランド力や認知度などの面で不利な戦いを強いられることが多い中小企業や創業間もないスタートアップ企業であっても、 適切な採用ブランディングを行えば理想通りの人材を獲得することが可能 です。

採用ブランディングは消費者向けのブランディングとは全くの別物であり、 企業規模を問わず全ての企業が積極的に取り組むべき施策である ことを正しく理解しておきましょう。

採用ブランディングの必要性と目的

採用ブランディングは全ての企業に対して有益ですが、人手不足の解消が急務の課題である中小企業などにとっては、特に重要度の高い施策となっています。

ここでは、採用ブランディングに取り組むべき必要性と目的について解説します。

人手不足と採用難

少子高齢化や売り手市場の影響を受け、中小企業の多くが慢性的な人手不足と深刻な採用難に苦しんでいます。他社との差別化を図り、自社に興味を持ってもらわない限り、「 人材が足りていないのに新たに採用することもできない 」という現状を変えることはできません。

このような状況を脱するためにも、自社が必要としている要素や特性を持つ人材に向けたコンテンツを発信し、「 経営者の考え方に共感できる 」や「 この人達と一緒に働きたい 」といった、ポジティブな感情を抱かせなければならないのです。

高い早期離職率

新規大卒就職者の事業所規模別就職後3年以内の離職率の推移のデータを基に作成

上記のグラフは、厚生労働省が調査した「新規大卒就職者の事業所規模別就職後3年以内の離職率の推移」から平成28年3月卒のデータを抜き出したものです。これを見ると、規模の小さい企業ほど早期離職率が高いことが分かります。

早期離職の原因のほとんどは、 「こんなはずではなかった」というリアリティー・ショックによるもの です。

このような採用のミスマッチをなくし、人材不足の根本的な解決を図るためにも、具体的かつ現実的な入社後のイメージを少しでも早い段階から持ってもらう必要があるのです。

【関連】リアリティー・ショックとは?原因と対策も併せてご紹介/BizHint

採用ブランディングを導入するメリット

採用ブランディングを導入した企業は、以下の5つのメリットを得ることができます。

  • 採用精度の向上
  • 採用コストの削減
  • 競合他社との差別化
  • 応募者数の増加
  • 生産力や組織力の向上

採用精度の向上

企業自らが情報発信を行うことで、求職者が事実とは異なる情報を収集してしまったり、情報不足のまま「きっとこんな感じだろう」と楽観的な予測をしてしまうことがなくなります。

また、 社風求める人材特性 など、パフォーマンスに大きな影響を及ぼしやすい要素をコンテンツに含めることで、内定辞退や早期離職を未然に防ぎ、自社で長期に渡って活躍してくれる人材を獲得しやすくなります。

採用コストの削減

人材の定着率が向上すれば、採用数や採用活動の頻度を減らすことができるため、人件費や交通費、広告費などの採用コストを大幅に削減できます。

また、従業員からの人材紹介や応募者による口コミ効果、オウンドメディアを使った情報発信をうまく活用することで、 認知度向上を目的とした広告費も最小限に抑える ことができます。

競合他社との差別化

競合他社との差別化が不十分な場合、「この業界で働きたい」という思いを持つ求職者に対してアプローチを行い、業界内での激しい奪い合いに参加しなければなりません。

しかし、採用ブランディングによる差別化に成功していれば、自社に対して「 この会社で働きたい 」という思いを持つ求職者を迎え入れ、さらなる情報提供や価値観のすり合わせを行うことができます。

応募者数の増加

企業イメージが明確になることで、「よく分からないから」という理由で応募を控えていた求職者からの応募を期待することができます。

また、「本当はこんな会社だったのか」と悪いイメージを払拭したり、「この会社で働いてみたい」と自社のファンにすることで、 もともと応募する予定がなかった求職者との接点を作る ことができます。

生産力や組織力の向上

明確なビジョンを持って入社した人材は、自分の必要性や役割を正しく理解しているため、 入社後すぐに高いパフォーマンスを発揮してくれます。

また、採用ブランディングを行う過程で自社の立ち位置や現状、目指すべき方向性などを社内で共有し、互いの役割や存在意義についての理解も深めておくことで、 一体感を醸成し、連携力を高める ことができます。

採用ブランディングの導入方法

採用ブランディングの導入は決して難しいものではありません。導入効果を最大化させるためにも、1つずつ丁寧に取り組んでいきましょう。

自社の魅力や強み、ミッションやビジョンを再確認する

採用ブランディングとは、求職者に対して 「当社はこのような会社です」という情報発信を行い、正しく認知してもらう ことで、採用市場における差別化や価値向上を図るマーケティング手法です。そのため、ターゲットの設定に先駆けて自社の魅力や強み、ミッション、ビジョンを再確認しておく必要があります。

これは「多くの人が集まる」ためのブランディングではなく、将来の成長を見据えた際に本当に必要な人材であるということを見分けるためにも、非常に重要です。

経営者、人事担当者、各部門の従業員、従業員の家族、求人への応募者、顧客。ヒアリング相手の立場によって、会社に対する認識や印象は大きく異なります。

多様な意見をヒアリングするように心掛ける ことで、自社の本当の魅力や強み、成し遂げたいことが見えてくるでしょう。

自社が求める人物像を明確にする

採用ブランディングで最も重要なのは、「 自社に必要な人材を明確に絞ること 」です。人材を確保したいと願いながら、ターゲットを絞ってしまうことは逆効果ではないか?と思われるかもしれません。

しかし、もし「誰でもいいから我が社に来てほしい」と大々的に広告したとすれば、自社が必要としない人材の選考に時間とお金を浪費する事態を招きかねません。

また「誰でも歓迎」と受け取られるメッセージを発信してしまうことで、 「自分を本当に必要としてくれる会社で働きたい」と願う優秀な候補者の心には響かず、応募してもらえないかもしれません。 これこそまさに本末転倒 です。

実際に採用ブランディングを始めるにあたっては、経営陣や事業責任者と採用担当者の間で「どのような人々をターゲットとすべきなのか?」を十分に議論し、ターゲット層とその優先順位を明確にしましょう。

そして、 社内外の誰が見ても同じ人物を思い浮かべることが可能なほど明確な形 で「自社が求める人物像」を作り上げていくことが大切です。

採用ブランディングの現状把握と課題の捻出

採用ブランディングを強化・改善する上で、「 現状の何がマズいのか? 」を知ることは非常に重要です。

これまで採用ブランディングに取り組んでこなかった企業や、知名度の低い企業であっても、特定の地域や業界などのコミュニティにおいては「雇用主」「働く場所」として、何らかのイメージを持たれているのが一般的です。

転職市場での自社に対する現在のイメージを知るにはどうすれば良いでしょうか?まず考えられるのが、「転職口コミサイト」で自社についての口コミをチェックすることです。

こうした口コミの多くは、企業が成長する過程で経験した「組織の拡大に制度が追いつかず、手薄だった点」あるいは「組織のカルチャーとの不一致」などについて触れています。今後の採用ブランディングを講ずるにあたって、 これらのフィードバックは、直視すべき重要な指摘 となるでしょう。

採用競合の分析も重要

自社の採用競合となる企業を把握することも重要です。

もし現在までの採用活動で、自社で活躍してもらえそうな人材にオファーをしているのに辞退されている場合、候補者が自社と並行して選考を受けている企業についてヒアリングしてみましょう。そして可能であれば、最終的に就職を決めた企業についても情報を集めます。

ここで名前の挙がってくる企業は、現在の採用市場において、働く場所としての魅力や待遇、そこで得られる経験やスキルといった面で、客観的に自社と並んで比較されている企業、つまりは採用競合となります。

この 採用競合の企業と自社を比較し、「何が足りないのか」「どこを強化すべきか」などを検討 することも、採用ブランディングの強化に有効です。

キーワードやメインメッセージの選定を行う

求める人物像を明確にし、現状についても把握できたら、採用ブランディングの核となる「キーワード」や「メインメッセージ」の選定を行います。

ここで設定するキーワードやメインメッセージは、 自社に興味を持ってもらうきっかけ自社を再評価してもらうきっかけ となる重要なものです。

企業側の思いを一方的に伝えようとするのではなく、情報を受け取ったターゲットのリアクションをイメージしながらキーワードやメインメッセージの選定を行いましょう。

ターゲットに向けて情報を発信する

キーワードやメインメッセージが決まったら、いよいよターゲットに向けて情報発信を行います。

ターゲットの生活リズムや生活スタイル を思い浮かべながら、掲載するメディアや情報の形式、送信するタイミング、送信する頻度を決定しましょう。

項目 一例
メディア 求人媒体、WEBサイト、イベント、SNS(Facebook、Twitter、Instagram)、オウンドメディア
情報形式 文章、画像、動画、音声
タイミング 朝方、日中、夕方、夜間、平日のみ、土日のみ
頻度 単発、シリーズ化、短期、長期

これらの情報チャネルを通じた発信において、必要なのはお金よりもむしろ 一貫した戦略 と、 担当者の粘り強さ社内を巻き込む熱量 です。

従来の採用活動で、コストをかけて制作したにもかかわらず十分に活用されなかったコンテンツはないでしょうか? 

新たにコストをかけるのではなく、情報チャネルを精査し、既存コンテンツの発信を徹底するだけでも十分なメリットが期待できます。

振り返りと見直しを行う

採用活動後に必ず振り返りを行うように、採用ブランディングも振り返りを行うことが大切です。

応募者に多くみられた行動特性や要素、応募時に抱いていた自社の印象、新入社員へのヒアリング結果などの情報をまとめ、今回の取り組みが効果的だったかどうかを評価し、必要に応じて改善していかなければなりません。

取組内容を見直す際には、「 採用コンセプトと実際に与えた印象にどのような差異があったのか 」や「 なぜ十分な効果が得られなかったのか 」についても必ず記録として残すようにします。このように社内に情報とノウハウを蓄積していくことで、年月とともに採用ブランディングの精度を高めていくことができるのです。

よりよい改善につなげるためのヒント

多くの企業にとって、こうした活動の成果は目に見えづらく、また数百人単位の応募が来たり、数万人のフォロワーが集まったりといった華々しいものではありません。

「採用ブランディング」に対し、持続的に社内を巻き込んで取り組むためには、オンラインでの情報発信と対面での面談・面接の中間に、「オフィスでのイベント」や「経営者によるセミナー、企業説明会」といった、 お互いに顔の見える距離で相性を確かめることのできる「接点」を数多く設ける ことも有効です。

こうした接点を設けることで、徐々に「この会社で働いてみたい」と思う ファンが増えている手応え を感じることができ、また直接自社の現状のイメージについてフィードバックを受けることもできるので、 現場のモチベーションも高まり、着実な改善に繋がりやすい のです。

採用ブランディングに成功した企業事例

採用ブランディングに成功している3社の事例を紹介します。

「メルカリらしさ」を発信する月間PV約30万のオウンドメディア/株式会社メルカリ

フリマアプリ「メルカリ」を運営している株式会社メルカリは、創業3年目の2015年に採用ブランディングを開始。2018年7月に採用ブランディングを専門に扱う「People Branding」というチームを立ち上げました。

【出典】「読者は何を知りたいのか」を考え抜く。メルカリ採用ブランディングのメソッド / d’s JOURNAL(dsj)- 採用で組織をデザインする/セミナーレポート

「People Branding」のメンバーは、『 「メルカリグループではたらく人」を発信し、社内外に「メルカリらしさ」を認知してもらう 』というミッションを達成するため、媒体を限定しない多角的な情報発信を実施。

【出典】mercan (メルカン) /メルカリの「人」を伝える

月間PV約30万 という驚異の数字を叩き出すオウンドメディア「mercan」を作り上げることに成功しました。

【参考】メルカリの「人への投資=People Branding」が生み出した想定外な反響/mercan (メルカン)
【参考】「読者は何を知りたいのか」を考え抜く。メルカリ採用ブランディングのメソッド / d’s JOURNAL(dsj)- 採用で組織をデザインする/セミナーレポート

採用ブランディングによるピンポイント採用/三幸製菓株式会社

2006年当時、認知度は競合他社の1/4のしかなく、エントリー数も競合他社の1/100しかなかった三幸製菓株式会社。

この現状に危機感を持った三幸製菓株式会社は、業界の中で唯一自社だけが持っていた「売上成長力」をコンセプトに採用ブランディングを実施。わずか3年で 認知度を25%から60% に、 エントリー数を300人から13,000人 に増やすことに成功しました。

【出典】三幸製菓の採用/人材育成における取組事例

採用ブランディングに成功した三幸製菓株式会社は、「 10~15人程度の採用のために何万人も集めて下ろすなんて非効率だ 」という思いから、2012年にメイン媒体として扱っていたナビサイトを離脱してピンポイント採用へと転向しました。

35の質問で自社が求める多種多様な行動特性を見極め、その適性に応じて採用方法に振り分ける「カフェテリア採用」を導入。 エントリー数を減らしながらも、採用精度を高めることに成功 しています。

【参考】一流大学生に人気、地方中小企業の「17種類採用法」/PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)
【参考】「新卒採用エントリーを300名から13,000名に増やした」地方のお菓子メーカーの採用戦略とは/人事部から企業成長を応援するメディアHR NOTE


求める行動特性や要素を持った人材だけが応募してくれる仕組みを構築し、費用対効果の最大化を目指す「マイクロリクルーティング」については、以下の記事で詳しく解説しています。
【関連】今、中小企業が選択すべき採用方法「マイクロリクルーティング」とは?/BizHint

ブラックな企業を前面に押し出すことで注目を集める/トゥモローゲート株式会社

【出典】トゥモローゲート株式会社/新卒採用サイト’19

企業の採用ブランディングが売上全体の9割を占めるトゥモローゲート株式会社は、自社の採用ブランディングにも全力を注いでいます。

トゥモローゲート株式会社の採用ブランディングにおけるコンセプトは「ブラックな企業」。この「ブラックな企業」には「 多種多様な個性を混ぜ合わせると黒になる 」や「 何色にも染まらない哲学 」などの意味や思いが込められていますが、これらを知ってもらうためにはまず注目を集めなければなりません。

トゥモローゲート株式会社は、WEBサイトもオフィスの内装も企画書もパンフレットも全てが黒色。「 何もかもがブラックな不思議な企業 」というイメージを植え付け、「面白そうだ」や「もっと知りたい」と興味を持たせることで、自社への理解を深めてもらうきっかけを作り出すことに成功した事例だといえます。

【参考】ブラックな企業ブランディングの裏側/トゥモローゲート西崎康平/サンクチュアリ出版 WEBマガジン

採用ブランディングはインナーブランディングやリファラル採用にも活かせる

採用ブランディングは決して「即効性が高く、分かりやすく効果が現れる施策」とはいえませんが、 腰を据えて取り組むことで確実に効果が見込める手法 です。

自社の雇用主としてのスタンスやメッセージの明確化や、継続的な情報発信によって転職市場とのコミュニケーションの質を上げることには、求人媒体や人材紹介といった従来の採用手法だけでなく、 リファラル採用インナーブランディング とも相性の良い施策です。

自社の現状と課題を正しく把握するために収集した多様な意見を社内共有することで、従業員たちはより深いレベルで自社を理解するようになります。

また、求めている行動特性や要素を社内共有することで、身近にいる優秀な人材に対してセンサーが反応しやすくなるため、リファラル採用の活性化や精度向上を実現させることができるのです。

【関連】インナーブランディングとは?メリットや実施手順・ツールや成功事例までご紹介/BizHint
【関連】リファラル採用とは?メリットとデメリット、成功ポイントや事例まで解説/BizHint

まとめ

  • 採用ブランディングとは、戦略的な情報発信によって採用市場における自社ブランドの認知度向上と価値向上を図るマーケティング手法である
  • ブランド力や認知度などの面で不利な戦いを強いられることが多い中小企業や創業したばかりのスタートアップ企業であっても、適切な採用ブランディングを行えば理想通りの人材を獲得することが可能となる
  • 採用ブランディングには「採用精度の向上」、「採用コストの削減」、「競合他社との差別化」、「応募者数の増加」、「生産力や組織力の向上」という5つのメリットがある
  • 採用ブランディングを活用すれば、求める行動特性や要素を持った人材だけが応募してくれる仕組みを構築することもできる
  • 採用ブランディングを行う過程で得られた情報を社内で共有することにより、インナーブランディングを促進し、リファラル採用を活性化させることができる

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