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2018年11月20日(火)更新

採用計画

採用をしていこうと検討する際、求める人材はどのような人物でしょうか。たとえば、人柄であれば具体的にどのような人柄なのか、また、その人材は本当に自社が求める人物像でしょうか。自社にマッチした人材を確保するため、必要な人物像や採用基準を明確化し、スムーズな採用を行えるよう、しっかりと採用計画を立てていくことが大切です。

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採用計画が重要視される背景

企業が「良い人材」を求めていても、採用市場を取り巻く環境は厳しく、自社の採用課題によって、人材確保に苦戦している企業が多く存在しています。採用環境が厳しくなる中でも優秀な人材を確保するためには、採用計画を綿密に立てることが重要です。

今後も減少が続く人材供給

採用により労働力の確保をしたいと考えた場合、社会的な背景によって影響を否応なく受けます。少子高齢化が急速に進んでいますが、出生数の減少は、採用の対象となる生産年齢人口(満15歳以上65歳未満の労働に適した年齢人口)にも影響を及ぼし、1996年のピークを境に減少傾向に転じています。

【参考】BizHint:生産年齢人口とは?定義や減少の推移、労働に及ぼす影響を解説

企業規模による求人の偏り

2017年卒の「大卒求人倍率調査」では、求人倍率は昨年とほぼ同水準でありながら、就職環境の改善により、大企業への就職希望者数が増加しています。

従業員規模別の学生の民間企業就職希望者数では、大企業(従業員5,000人以上)を希望する学生は、対前年増減率は+19.5%。一方、中小企業(従業員300人未満)を希望する学生は、対前年増減率は-12.1%となっており、せっかく募集をかけても企業の規模や業界によっては人が集まらないこともありえます。

【参考】リクルートワークス研究所:大卒求人倍率調査

新卒者採用の激戦化

社団法人日本経済団体連合会が毎年公表している「採用選考に関する指針」において、2016年・2017年と2年連続で新卒採用のスケジュールが変更になり、広報活動や採用選考活動の開始時期が繰り下げられ、採用にかけられる時間が短くなりました。2018年は2017年の「指針」内容を維持していますが、「指針」の内容によって採用活動に多大な影響があるので、その動向に注意が必要です。

【図表1】

【出典】優クリ-Lab:【2017】新卒の採用スケジュールは?~デザイナー・クリエイター職編~

以上のように採用市場を取り巻く環境は変化していくため、市場調査をすることで、経営者は社会の変化に対応した採用を意識することが必要となります。

採用計画立案の前に

採用成果をだすには企業の「採用力」がポイントとなります。採用力とは、組織の魅力と採用活動の有効性から成り立ち、採用計画の準備として自社の採用力を把握し、それを基に改善を行ったものを採用計画に反映します。

採用力の現状を把握するため、組織の魅力として自社の立ち位置を、また採用活動の有効性として、今年度または昨年度の活動実績の振り返りを行います。

自社の立ち位置を認識する

自社の立ち位置を認識するためのツールとして、環境を分析するための戦略フレームワーク「3C」があります。

3Cとは(顧客:Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の3つの分類ごとに分析する考え方であり、相手である顧客(採用市場・求職者)や競合といった外部の環境分析と、内部である自社の環境分析によって自社の立ち位置を知ることで採用計画を検討していきます。

【図表2】3C分析

【出典】株式会社シナプス:3C分析のやり方-マーケティング環境分析

(1)Customer:社会的環境と学生の動向と分析

「生産年齢人口の減少」「景気による採用者数の変化」などが雇用の動向や採用の難易度に影響してきます。景気が緩やかに回復傾向にあり、有効求人倍率があがっているとはいえ、業界によってその傾向はさまざまです。情報収集・分析を行い、自社が属している業界の状況を把握します。

また、毎年学生の反応が変わることから、積極的に学生と接触したり、若手社員から話を聞くなど、学生の価値観や志向について情報を収集し、ターゲットの動向を把握することも重要です。

(2)Competitor:競合他社の採用動向と分析

新卒採用は“パイ”が決まっているため、採用活動を自社に有利な状況に持っていくために、競合他社との差別化が必要です。競合他社はどのようなターゲットを狙っているのか、賃金や採用人数はなどを調査し、他社と比較しながら検討・分析を行います。

(3)Company:自社の採用力の把握と分析

「社会的環境の動向」「学生の動向と分析」「競合他社の採用動向とその分析」によって把握した外部環境の中、内部環境である自社の採用力次第で採用の難易度が変わってきます。自社の強みや弱み、競合他社との比較によって、自社の採用力がどの程度なのか把握することが重要です。

自社の採用結果を振り返る

採用力を構成する採用活動の有効性を向上させるためには、自社の活動実績やアクションを振り返り、ブラッシュアップすることが必須です。

(1)採用実績の評価

振り返りでもっとも重要なのが、前回の採用実績です。採用決定数や採用目標に対する達成率がどの程度であったか把握するのが重要です。また、書類審査、一次面接、最終面接、内定など各段階ごとに有効ポイント、改善ポイントを整理することで、来年度に実現可能な採用数を設定します。

また、人数だけではなく、人材の「質」に対しての評価も必要であり、前回の募集人材像である「採用基準」に照らし合わせて結果はどうだったのか、部門別・職種別の採用を行った場合、その観点から結果はどうであったかチェックします。その際、出身校や部活・サークルごとに応募者の情報を掛け合わせて分析することで、今後の求める人物像が明確になり、採用基準のブラッシュアップに役立ちます。

さらに、母集団形成のために利用した採用手法や媒体ごとに分析を行い、次年度に使用する手法を検討します。

(2)採用スケジュールと内容の把握

「新卒者採用の激戦化」でも述べたように、近年、一律的な採用スケジュールは存在しないため、採用目標が達成できるよう、自社の採用スケジュールとフローの検討と管理が必要です。そのためにも、以下のような段階別の視点で振り返ります。

母集団形成段階>

  • HPへのアクセス状況、就職サイトからの反応状況
  • 学生へのメール配信時期と返信率
  • 就職サイトをはじめとした各メディアへの出稿・利用時期とコンテンツ内容と反応状況
  • 合同説明会、大学などでのセミナーなどのイベント開催時期、回数、動員数、反応状況

<採用活動段階>

  • 会社説明会、インターンシップなどの開催時期、動員数、反応状況
  • 書類審査、筆記試験、面接などの採用試験の開始時期、競合他社との試験日のバッティング状況

<内定段階>

  • 内定時期、内定者へのフォロー、内定辞退者状況である「内定歩留まり率」

段階だけではなく、学生の出身学部が理系、文系なのか、学部卒か院卒か、海外大学出身者かなど、ターゲットの属性によって学生が活発的に就職活動を行う時期に違いがあるため、学生の行動スケジュールを意識した採用スケジュール採用スケジュールやフローになるよう、工夫が必要です。

(3)採用体制

なるべく採用コストを抑えることも重要であり、採用スタッフの人数や労力についても振り返りが必要です。採用体制は「採用スタッフ構成」と「仕組み・システム」の2つがあり、これらをチェックすることで、採用体制を見直します。

<採用スタッフ構成>

採用活動に従事するスタッフの人員数、採用責任者や実務担当者の担当役割や負荷などの人員構成、リクルーター選出と効果などの採用担当者の活動。

<仕組み・システム>
採用管理システムによってコストは抑えられたか、効率化が図れたかなどの「導入システム」、学生との接触タイミングやフォローなどの「学生対応」、数あるイベントを、目的に沿って上手くこなせたか、運営上の課題はないかなど「イベントの消化度」。

(4)採用コスト

新卒採用には図表3のように費用がかかります。採用目標の達成を目指すとはいえ、コストを無尽蔵にかけることができるわけではありません。かといって採用コストを抑えると、母集団形成が難しくなります。一方で、多額のコストをかけても成果が必ず上がるわけでもありません。自社の経営戦略に基づき、必要な採用者数を計算し、採用コストをシミュレーションすることが必要です。

新卒採用には、採用スタッフの人件費以外にも以下のような費用がかかります。

  • 広報媒体への出稿、募集広告費、ホームページ作成・更新費用
  • 合同企業説明会や就職セミナー
  • 会社説明会のイベント開催費
  • 採用案内や企業案内のDMや、DVDや ビデオなどのツール制作費
  • 採用活動にかかる旅費・交通費
  • 内定者フォロー(内定後の懇談会や教育など)

【図表3】新規学卒者の一人当たり採用コスト(参考データ)

【出典】全国社会福祉協議会:介護施設・事業所のための戦略的な採用と 初期の定着促進の手引き

(5)人員構成表の作成

自社の現在の人員構成を把握し、人材構成表を作成します。各部署において年齢ごとに何人の社員がいるのか「部署別・年齢別人員構成表」を作成します。採用計画を立てる際に、この人材構成表を元にシミュレーションすることで、3年後、5年後、10年後など、将来的な人員の構成をイメージすることができます。

採用計画の立案

上記までの準備によって材料が出揃ったので、採用計画を策定します。採用を成功させるためには、新卒採用であれば中長期的な計画の中でどの部署にどのような人材を配置し、企業課題をどう解決するのか、採用に求めるビジョンを明確にし、採用計画として、定量的な目的や数字を決定します。

採用目的の明確化

自社の経営戦略や事業計画から、どのようなことを実現するために人材を採用するのか、採用目的を明確にします。目的をはっきりさせることで、自社にとって必要な人材について詳細なビジョンを描くことができ、採用計画を具体的に絞り込み、無駄のない採用につなげることができます。

採用ニーズの把握

採用目的は経営戦略や事業計画を元にしているため、会社が求める中長期的な採用ニーズと言えます。しかし、企業では社員の退職などによる欠員補充や業務の繁忙による増員、新規事業の開始などで必要な専門知識のある人材や経験者の増員など、各部署などが求める短期的な採用ニーズがあります。それぞれのニーズを把握するなど、要員調査を行います。

ニーズの内容から、経験や即戦力が求められるのであれば、転職希望者による中途採用で補填し、人材が必要な期間が短いようであれば、正社員以外の雇用とするなど、ニーズ内容から雇用形態も明確にしていきます。

採用する職種と人数の決定

目的やニーズを元に、部署別・年齢別人員構成表を使用し、人員構成をシミュレーションします。経営戦略や事業計画にもとづいた人員構成表を作成し、現状のまま推移した人員構成表を比べ、ギャップが出たところが自社の採用ニーズとなります。その際には、部署ごとのニーズが把握できるため、採用する職種もこれにより見えてきます。

現状のまま推移した人員構成表は、離職者がいない場合と、今の離職率を織り込んだ人員構成を用意し、離職率が低かった場合などについてもシミュレートします。

求める人物像の明確化

また、採用目的の明確化と採用ニーズの把握、採用する職種と人数の決定によって、どのような目的で、そのようなスキルを持った人材が必要であるかなどが見えてきます。それらの情報から、必要な資格の要件、属性(年齢、性別、学歴)、タイプ(性格、行動特性、志向性)、勤務条件などの角度から整理し、人物像を明確化します。その際、職種や部署などによっても必要な人物像が違うため、自社内の雇用管理区分を明確にし、雇用管理区分ごとに人物像を整理します。

選考、採用方法の決定

明確化した人物像を基に、どこを重点的にみるのか、どのような選考方法にすればいいのかなどを検討し、評価方法を決めます。評価ポイントは面接チェックシートと人材像を比べて、確認できていない部分を確認し、重点的な確認部分を確認できる試験内容を検討します。選考内容や採用方法を検討後、合格ラインとして採用基準を決め、面接チェックシートに落とし込み完成させます。

採用スケジュールの作成

採用に関する全体のおおまかなスケジュールを作成します。フェーズごとに関わる社員が多くなることから、無理のなく計画します。また、採用のスケジュール・進捗管理の採用管理システムを活用することで、採用スタッフ内でスケジュール管理が容易になり、業務の効率化と、関係者内の情報共有ができるため、このような選択も一つの方法です。

【参考】BizHint:「採用管理システム」導入メリットと、比較・検討のポイント

採用ルートの選定

どのような募集方法をすれば、自社が求める人材が集まるのか、採用ルートを選定します。

新卒の場合は就職サイトや自社サイトなどのWEBからのルートや紙媒体での求人情報からのルート、合同説明会や大学での説明会からのルートなど、求める人材へつながるルートを検討し、選定します。

採用計画立案後

採用計画によって採用の方針を決め、実際の採用活動を行いますが、選考だけが採用活動ではなく、母集団形成のための広報や、選定、内定者へのフォローなどがあり、年間を通した「年間採用計画」とすることで、一貫性がある活動ができるため、採用成果を高めることができます。

「年間採用計画」の観点から、本書の採用計画は採用活動準備のためのものであり、その後にも「応募者の拡大」→「好意の増進」→「選考・内定」→「内定者フォロー」といった段階ごとに採用を進めていきます。それぞれの段階ごとにポイントをご紹介します。

応募者の拡大:求人媒体の選定

応募者を拡大するため、採用ルートに沿って、採用手法を決定していきます。就職サイトや合同説明会、紙媒体での広報など、従来の手段だけでなく、攻めの採用活動として、自社にフィットする人材を見つけ採用するダイレクトリクルーティングを選択する企業も増えています。

【参考】BizHint:「ダイレクトリクルーティング」とは?特徴と国内サービス総まとめ

好意度の増進:リクルーターの選定

企業に好意を持ってもらうため、直接メッセージを伝えることも有効な方法です。中小企業であれば、経営者が直接思いを伝えるのが効果的ですが、そうでない場合は、リクルーターを選定し、ターゲットや応募者と直接接触してPRやフォローを行います。

【参考】BizHint:リクルーターの意味とは?制度と活動、導入している企業について

選考・内定:面接官の選定・教育

面接にて、どのように進め、どのような質問をすべきなのかなど、面接官としての心構えとスキルが必要です。人事部門から、すでにスキルのある社員を選定する、あるいは事前に面接官として教育する必要があります。また、小さな会社や、経営層の採用など、経営者自身が面接を行うこともあるため、経営者も面接スキルを身につけることが必要となります。

【参考】BizHint:面接官の心得や質問の内容、やり方のポイントを総まとめ

内定フォロー:入社までの内定者フォロー

内定から入社までの期間に、企業と内定者の間ので考え方の違いやミスマッチがないよう、懇親会やセミナーなど内定者フォローを行います。

【参考】BizHint:内定者フォロー、正しくできていますか?内定辞退を減らす方法とは

まとめ

  • 採用市場を取り巻く変化に対応した採用を意識する必要がある
  • 「採用力」が採用成果をだすためのポイント
  • 採用計画の前に、自社の立ち位置認識や採用実績の振り返りが大事
  • 人員構成表などから将来をシミュレートし、定量的な採用計画を作成する
  • 「年間採用計画」を立てることで、採用計画から実際に社員が入社するまで、一貫性のある活動ができる

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