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2018年10月13日(土)更新

通年採用

通年採用とは、企業が必要とする人材を、必要とするタイミングで採用するための方法です。業務の多様化が迫られるこれからのビジネス世界において、多岐にわたる人材の確保は企業の生命線となります。そこで今回は、これまで一般的とされてきた一括採用との比較を通して、通年採用という制度を取り入れる意味やメリット・デメリットを考えていこうと思います。

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通年採用とは

通年採用とは、年間を通じて採用活動を行うことです。これまでの日本では、社員の採用は新卒者を対象として、春から夏にかけて実施するのが慣例でした。しかし、最近では秋・冬も引き続き採用活動を行う企業が増えてきました。

当初は、既卒者や帰国子女、留学生などを対象にして募集することが目的でしたが、現在では通常の採用期間で期待していた人材が集まらなかった場合や、内定辞退者が出たときの補完を目的とした通年採用が取り入れられるようにもなってきています。

人材確保が企業の生命線となるビジネス社会において、その採用形態の多様化が求められるなか、今後も通年採用を実施する企業は増えてくると思われます。

背景

1990年代前半までは、就職協定に則って、多くの企業が4月からの短期間で一斉に採用活動を実施していました。しかし、1997年の協定撤廃によって、採用時期をフレキシブルに設定できるようになったことで通年採用が取り入れられるようになってきました。

また、帰国子女や海外留学組が増加したこと、及び海外からの留学生受け入れのために、大学が秋入学制度を運用し始めたことで、秋卒業となる学生も増えました。その対応策としても、通年採用が重宝されるようになったことが挙げられます。ただその一方で、就職活動の長期化という問題が生じるようになった原因とも言われています。

一括採用と通年採用の違い

一括採用とは、企業が同時期に集中して採用活動を行うことです。これまで日本においては、一括採用が一般的な採用方法でした。企業にとっては、採用活動を集中的に実施することで、コスト軽減が図れることとなり有効な手段です。しかし、学生側の併願によって内定辞退の確率も高くなることで、採用計画の見直しや二次募集などの補完作業が発生するというデメリットがありました。

一方、通年採用は、年間を通して募集ができることで既卒者やグローバルな人材などの多様な人材を確保できることが利点です。また、採用にかける時間的な余裕が持てることで、選考にもゆとりが生まれ、しっかりと受験者を見極めることができ、入社後のミスマッチを回避することができます。

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通年採用 メリット

これまで一般的だった一括採用にもメリットとデメリットはありました。そして、そのデメリットを克服する上でも、通年採用という新しい形態が注目をされるようになってきました。そこで、一括採用に比べてこの通年採用が、企業側にとって、そして学生側にとって、どのようなメリットを享受できるのかということを見ていこうと思います。

企業側

必要な時期に必要な人材を採用できる

一年を通して採用ができる利点は、何と言っても必要な時期に必要な人材を採用できるということです。これは特に中途採用において効果を発揮することですが、企業では、欠員の補充や新規事業の立ち上げ、事業計画の変更などに伴い、急遽即戦力人材が求められることがあります。

そのような企業の求める能力を持つ人材を、タイミングよく採用する上で、うってつけの採用方法となります。

慎重に人選ができる

通年採用は、新卒就職活動時期のピークとは異なるタイミングで実施されるので、応募者数を抑えることができます。その結果、採用側に時間的余裕が生まれることで、複数回の面接などを通して応募者にじっくりと向き合うことができます。それによって、企業の求める人材となり得るかどうかを、しっかりと見極めることができます。

また、中途採用者に対しても、即戦力としての能力を備えている人材か、それを自社の環境で存分に発揮できる人材かということを慎重に判断できることになります。

多様な人材を確保できる

今後も増加が予想される既卒者や秋卒業の留学経験者、外国人留学生といった幅広い人材を確保できることは、さらなる業務の多様化を迫られる企業にとっての一助となります。

加えて、風土・文化の異なる企業での就労経験を持つ中途社員を積極的に採用することで、人材の多様化が促進され、ひいては企業体質の健全化維持にもつながります。

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学生側

採用の機会が増える

一括採用が主流であることは変わりませんが、そのために高い競争倍率をクリアできずに、なかなか結果の出せない学生もいます。短期間に内定を獲得できなかった学生にとっては、秋・冬にも活動を続けられることで、卒業後の就職先を確保できる可能性が高まります。

そして、その安心感から、腰を据えて就職活動に取り組むことができるようになります。

入念な準備ができる

一括採用では、短い期間に複数の企業の選考を併行して進めなければなりません。そうなると、一つの企業に対して、準備に割ける時間が限られてしまいます。その結果、すべての企業への準備が中途半端になってしまい、内定獲得までに至らないという悪循環が生じます。

しかし、通年採用であれば、採用時期が分散されることで、掛け持ちエントリーを避けられるようになります。そして、一社に集中して臨むための準備ができるようになることで、納得のいく就職活動を進められることになります。(内定獲得の可能性が高まります)

納得のいく企業を探せる

一括採用時に内定を獲得できたとしても、不全感の残っている学生もいます。本当に、この企業が自分に合っているのか、もっと能力を発揮できる会社はないのかという思いから、より相性の良さそうな企業を探す学生にとっても通年採用は機能します。

そのような学生は、すでに内定を獲得していることで、気持ちにも余裕を持って活動を進められ、結果的に自分に適した企業との出会いを見つけることができるかもしれません。

通年採用デメリット

通年採用を取り入れる企業は、徐々に増え始めています。多様化を迫られる企業にとっては、一人でも企業へ高い貢献を果たしてくれる人材を確保することが至上命題です。そのための有効な方法ともなっている通年採用ですが、その一方でデメリットも内包されています。ここでは、そのデメリットを企業、学生の双方から見ていくことにします。

企業側

志望度合いの高い人材の確保が難しい

新卒者の場合、一括採用で結果が振るわなかった学生たちを採用対象とすることにもなります。つまり、本来は入社したかった企業がありながらも、その夢が叶わずに仕方なく他の企業を探さなくてはならなくなったという学生です。そうなると、企業への志望度合い、熱意、モチベーションといったものが高くない応募者となってしまいます。

もちろん、気持ちを切り替えて就職活動を再開する学生もいますが、やはり志望順位が低いというイメージのまま活動をしている学生も多くなります。したがって、企業が求めるレベルの情熱を持った人材を確保することが難しくなるという現実もあります。

採用コストが増大する

一連の採用活動においては、選考のあとにも、内定者研修など入社にあたっての事前教育を実施することになります。一括採用の場合、それを一定期間で集中的に実施できるのでコストの抑制が図れます。

しかし通年採用の場合、選考時期が分散していることで、必然的に事前研修なども適宜ということになってしまいます。そこにも、新規採用コストが増大してしまうというデメリットが隠れています。

【関連】「採用コスト」 新卒・中途・職種毎の相場とコスト節約のための具体的方法 / BizHint HR

学生側

選考基準が高くなる

一括採用とは違い通年採用では、採用枠も小さくなり、選考に費やせる時間も十分に割けることから慎重な人選が行われることになります。

その結果、企業側は、採用コストと人材への期待度のバランスという天秤でシビアに学生を計るようになります。それは、一括採用よりも、選考基準が厳密になるということであり、当然、内定獲得のハードルも高くなるということです。

採用情報の収集が難しくなる

一括採用の場合、就職活動サイトなどを利用して、容易に採用情報を収集することができます。しかし、情報公開時期の長期化が必至となる通年採用の場合、情報公開にかかるコストが負担となります。そのため、特に中小企業のなかには情報を公開できないところも出てきます。

そうなると採用情報が顕在化しづらくなってしまい、学生は情報収集に手間暇をかけなくてはならなくなります。そうして、情報収集にかける労力が負担となり、いつしか通年採用へのエントリーを諦める人が増えていくことになります。

通年採用導入企業

最近では、IT業界を中心に大手企業、ベンチャー企業、中小企業にかかわらず、通年採用制度を積極的に導入している企業が増えています。そこで、実際に通年採用を導入している企業をいくつか、新卒対象、既卒対象に分けて紹介していきます。ちなみに、なかには新卒・既卒ともに通年採用枠を設けている企業も複数存在しています。

新卒事例

新卒者を対象とした通年採用の増加に伴い、選考方法なども企業ごとの風土に基づく特色が出ているようです。

大手企業

【株式会社ユニクロ】

一人ひとりが仕事について真剣に考え、主体的に行動し、納得した将来が送れるように、一年中いつでも応募を受けつけています。学年、新卒・中途、国籍を問わないオープンな採用方法にすることで、自分にふさわしい仕事とは何かを考えるチャンスを増やし、一人ひとりが主体的に、自由に応募できるようにしています。

fastretailing.com

【ソフトバンク株式会社】

企業は、必要な時に、必要な人材を採用するというのが本来あるべき普遍的な採用と考え、2015年より「ユニバーサル採用」をスタートしています。「情報革命で人々を幸せに」この経営理念に共感し、人類の未来に貢献したいという熱い思いを持った応募者を受け付けています。

recruit.softbank.jp

ベンチャー企業・中小企業

【サイボウズ株式会社】

「チームワークあふれる社会を創る」というビジョンを掲げ、チームワークを広める活動しているサイボウズ。このビジョンに共感して、サイボウズ自身のチームワークのために尽力し、公明正大で嘘をつかない人という指針で採用活動を行なっています。

cybozu.co.jp

【クックパッド株式会社】

「毎日の料理を楽しみにすることで、世界中に心からの笑顔を増やしたい」と考え続ける、1998年にレシピ投稿・共有サイトとして始まったクックパッド。「大胆に物事を考え、信じられないくらいの執着力でカタチにしていく人」この思いに共感し、共に切り拓く仲間を求めて通年採用を行なっています。

COOKPAD Inc.

既卒事例

新卒採用と併行して、既卒者の採用も実施している企業があります。新卒採用に負けず劣らずで、企業独自の採用スタイルが取り入れられるようになっているようです。

大手企業

【ソニー株式会社】

創業時より続く自由な雰囲気の中、様々な個性を持った社員が集い、自らのアイデアを考え抜き、仲間と意見を交わし、よりよいものを創り出すという社風はそのままに、成長戦略に焦点を当てて動き出したソニー。そのための新たなチャレンジに一緒に取り組む、新しい力を通年採用で募集しています。

sony.co.jp

【楽天株式会社】

楽天の開発部(エンジニア採用)では、自分の強みや専門性をいかし社会にチャレンジできる、それがグロバールスタンダードと考え、新卒・中途という区別をせず職種別採用を行なっています。応募段階から希望の職種と希望のサービスを選び、それに沿って選考を進め、入社前にどの部署でどのような仕事を担当するかを確定しています。

corp.rakuten.co.jp

ベンチャー企業・中小企業

【GMO TECH株式会社】

会社の成長を加速させるためには、新しいエネルギーと自由な発想、多様な価値観を持つ幅広い人材が必要不可欠という考えに基づき、通年採用を開始しています。新たなサービスを創りたいという同じ志を持った仲間と成功を信じて励まし合い、喜びも分かち合えるチーム、メンバーそれぞれが熱意を持って自ら考え、積極的に動く集合体を目指せる人を求めています。

GMO TECH株式会社

【株式会社Schoo】

「インターネット学習で人類を変革する」を企業ビジョンとして、オンライン動画学習サービスを運営するSchoo。「Discovery Recruiting」という名称の学歴不問・経験不問の若手ポテンシャル採用を実施しています。採用に際して問うことは、「企業ビジョンへの共感」と「新しい発見を世の中に提供できる人材かどうか」ということです。

corp.schoo.jp

まとめ

  • 採用の多様化に伴い、これまでの一括採用から通年採用へ移行する企業が増えてきている
  • 一括採用と同様に、通年採用にも一長一短がある
  • 通年採用のメリットの一つは、慎重に選考を進められることによる、人選ミスの抑制
  • 通年採用のデメリットの一つは、採用時期の長期化に伴う、コストの増大

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