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連載:第2回 労務・人事の課題解決。知っておきたいポイント

【採用担当者向け】中途採用における面接のポイントや質問例・注意点を徹底解説

BizHint 編集部 2017年7月21日(金)掲載
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転職市場の求人倍率は2017年6月現在で2.43倍です。求人数も31か月連続で増加、バブル期並みの超売り手市場となっています。転職希望者は即戦力になるため、特に中小企業では有能な人材確保ができる手段の一つと考えています。一方で中途採用市場は玉石混合、良い人材を見極めるためには経歴やスキルの確認も含め新卒採用面接以上に注意が必要です。

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中途採用・転職市場の現状

厚生労働省が発表した2017年4月の有効求人倍率を見ると1.48倍となり、バブル期の水準を超えていることが分かりました。これは転職求人倍率でも同様の伸びを見せており、2017年6月の転職市場における求人数は2.43倍、2014年4月以降常に増加を続けています。

転職希望者は横ばい傾向にあるものの、求人倍率が2倍を超えている現在では、売り手市場の今をチャンスととらえ転職エージェントに登録したり、独自で転職活動を開始したりする人も増えています。

【参考】一般職業紹介状況(平成29年4月分)について/厚生労働省
【参考】 転職求人倍率レポート(2017年6月)/DUDA

転職求人倍率の高い業種・職種は?

IT関連業種など慢性的な人材不足の業種では、新人・中途採用どちらの求人倍率も高くなっています。それに加えて、中途採用では、即戦力となりうる人材が確保できるという要因から、特に求人倍率が高くなる業種や職種もあります。

業種別転職求人倍率

【出典】 転職求人倍率レポート(2017年6月)/DUDA

中途採用では、IT業界では転職希望者数よりも求人数が圧倒的に多く、求人倍率は5.70倍になっています。また、2016年10月以降はサービス業の求人倍率も増えてきており、2017年4月で2.84倍とそれまでIT業界に次いで求人倍率の高かったメディカル系を抜きました。しかし、メディカルは転職希望者数自体が少ないため倍率が上がる傾向にあり、希望者、求人数ともに多い業種は、サービス業2.84倍、メーカー1.74倍です。

IT業界の求人増加理由の一つに挙げられるのが、中途採用の人材は「即戦力」となる事です。新卒では、将来性を期待しつつ社内で育成が必要になりますが、業界全体の人手不足のため、新卒だけでは対応できない人材を中途採用で確保しようという傾向にあります。

【参考】 転職求人倍率レポート(2017年6月)/DUDA

専門職で多い中途採用募集

職種によっても求人倍率にばらつきがあることが以下のグラフから分かります。

【出典】 転職求人倍率レポート(2017年6月)/DUDA

業種と同様に、IT関連の技術職では希望者を大幅に上回る求人数があるため、求人倍率は7.04と非常に高くなっています。そして、現在求人数が応募者を大幅に上回っている職種が専門職です。ビジネスコンサルタントや金融のマネージャーなどのプロフェッショナルな職種で求人が増加しており、倍率は5.90倍、前年同比1.25倍と、非常に高くなっています。

【参考】 転職求人倍率レポート(2017年6月)/DUDA

中途採用面接においての事前準備

このように中途採用が売り手市場になっているいわば玉石混合とも言える場面では、面接でその人物をどのように評価するかが命題になってきます。対象者のキャリアを重視しつつ、自社にとってどのような人材が必要かを慎重に判断するための下準備として、求める人物像や経歴評価の基準を統一させます。

※中途採用の全体の流れについては、 中途採用とは?意味や母集団形成、面接のポイント総まとめの記事をご参照ください。

評価基準を統一させる

評価基準には沢山の項目があります。

例えば、「実務経験抱負で即戦力となりうるが、対人スキルや後輩が出来た時のマネジメントに問題がありそうな人物」と、「前者より実績は見劣りするものの、コミュニケーションスキルが高く、チームにすぐに打ち解けそうな人物」、2者のどちらを選ぶか、などが挙げられます。

人事担当者の好みで判断するのではなく、採用計画やその人の年齢などもふまえ、条件に優先順位をつけて社内で共有しておきましょう。

経歴評価

必要とするスキルは、公的な資格などがある場合には客観的判断が出来るよう、求人情報の応募条件として提示しておきます。

転職希望者の中には、メインで業務を行っていないにもかかわらず、以前の所属部署内で補助的な業務をしていたという理由から、職務経歴書に記載をするケースがあります。経歴詐称とまでは言いませんが、自己紹介の内容や応募者の自己評価を鵜呑みにせず、客観的な証拠を持って評価基準に適合しているかどうかを判断します。そして、必要によっては実技試験を行います。

中途採用面接時のポイント

中途採用では、キャリア、スキル、人物像など、新卒採用よりも確認事項が増えます。面接はそれらの事項をチェックする重要な場面となります。

応募書類に書かれていることの確認

中途採用や転職の応募書類には、履歴書とは別に職務経歴書が添付されることがほとんどです。従前のキャリアは個人情報の観点から事前調査が難しいため、面接で確認を行うことになります。また、自己申告の内容やスキルに過度な誇張がないかは、配属予定部署に関する専門知識を含む質問に答えられるかどうかで判断します。

前職入社後の業務内容について

前職の経歴やどのような業務に従事していたのか、応募先企業と業種が同じ場合どの程度、今後の業務に活かせるのかで即戦力となるかどうかが決まります。応募理由が曖昧な場合は、なぜ応募したのかも慎重に聞き出し、情報流出のリスクも考慮し話す内容には注意が必要です。

志望動機

中途採用者のほとんどが、それまでに働いた経験があります。志望動機の確認では、新卒採用のように面接官がポテンシャルを測るのではなく、応募者本人が社会人経験をふまえ、過去のスキルと入社後に必要なスキルを理解しながら話しているかが大切です。その上で、入社後の目標やスキルアップについての考え方、そこに至るまでに客観的な自己評価が出来ているかも重要な判断材料です。

転職理由

前職をやめた理由、応募に至った経緯は、志望動機よりも重要な項目と言えるでしょう。日本では、転職や中途採用の倍率が上がったとはいえ、まだ年功序列・終身雇用の考え方自体は企業にも残っています。その中で、応募者が退社を決意したのであれば、相応の理由があることが推察されます。

逆に、応募者の退社理由があまり明確でなかったり、転職理由が一般常識からかけ離れたりしていれば、入社後も継続的にポジティブに働くことが難しい人物である可能性が残ります。転職を繰り返しているケースの場合は特に慎重に応募理由、転職理由を確認してください。

また、中途採用応募者の中には、転職エージェントを介して現在の職を続けながら転職先の面接に臨むケースもあります。その中には、在職中の企業と応募先の企業とを天秤にかけて、条件の良い方を選択するという考え方の応募者もまぎれているのも事実です。入社の意思確認は当然のこととして、引き止めにあった場合どうするのか、退社予定のスケジュールなどを確認します。そして、いつから働けるか、応募者の条件と自社がマッチするかを判断します。

中途採用面接は複数人で

中途採用では、人事担当者の他に配属予定の部署の担当者も立ち会うことが推奨されます。理想としては、直属の上司、あるいは指導を担当する社員がいいでしょう。現場で直接かかわる人間が立ち会うことで、即戦力となりうるスキルがあるか、現在部署にいる人間と上手くコミュニケーションが取れるかの判断が出来るためです。

また、指導担当者との相性が良ければ、入社後も業務の引き継ぎがスムーズにでき、戦力として独り立ちできる期間が短縮できるというメリットもあります。

中途採用面接で有効な「逆質問」

新卒とは違い、社会人経験・現場経験があればこそ、応募者は前職と転職先の違いなど企業に「聞きたいこと」があるはずです。応募者の「聞きたいこと」を知ることで面接に望んだ理由が分かります。

中途採用では、面接官が応募者に対して質問するだけではなく「逆質問」が有効です。

逆質問とは

逆質問とは、応募者から企業面接官に質問をすることをさします。面接では、面接官が知りたいことを応募者に行うのが通例ですので、このような言い方がされるのでしょう。通常「逆質問」は、面接の最後に儀礼的に行われることが多いのですが、これを有効に機能させることで、応募者の内面や本音が見えてきます。

逆質問から分かること

逆質問は、応募者が企業や業務について「応募者自身が知りたいこと」を質問します。つまり「何をどの程度知りたがっているか=応募者の興味関心・仕事に対する意識」といえます。

具体的には、待遇、業務内容、福利厚生、自分のポジションなど何を重視しているのか、その優先順位と度合い、働く意欲などが挙げられます。

応募者の逆質問事例集

自己PRが出来る場面として就活サイトや求人媒体で逆質問の事例集を作成しています。そのため、マニュアル通りの逆質問をぶつける応募者もいるでしょう。面接官は、まずはこういったサイトを一読して、「傾向と対策」がどういったものかを理解してください。しかし、マニュアル通りの逆質問しかして来ないようであれば、さらに質問を引き出し、本音の部分を引き出します。

期待できる逆質問

候補者が以下のような逆質問をしてくる場合は、入社後に期待が出来る人材であると、一定の評価ができます。

業務内容を下調べした上での現場についての質問

応募者が入社に積極的なことが分かるばかりでなく、自社をどのように評価・分析しているかが判断できます。結果的に入社に結びつかない場合でも、一般の目線で自社がどのような理解、印象を持たれているのかを面接を通して知る機会になります。

同年代のスキルや職務についての質問

同年代の社員は、入社後のライバルとして同僚として、応募者には気になる存在でしょう。応募者に入社の意志があり、入社後の具体的なイメージを得ようとしている質問です。

自社で働く同年代の社員のスキルや、職位についての逆質問があれば、正しく説明した上で、応募者の現状のレベルを自己分析させ、どのように考えるのかを再度こちらから質問してもいいでしょう。

要注意人物の逆質問

入社の意識が低い、働くモチベーションが低いと予想できる質問の事例です。

質問はありません。

中途採用者は前職との比較をどうしてもしてしまうものです。にもかかわらず、なにも聞きたいことがないというのは入社の意欲が低い、あるいは入社後の業務内容に興味がないと判断できるでしょう。

待遇ばかりを気にする

企業の福利厚生や、休暇のとりやすさをある程度気にするのは通常の範囲です。しかし、もし他の逆質問を重ねても待遇やポジションなど、自分のことばかり気にする質問しか出ない場合は注意が必要です。

再就職はしたいが仕事に対するモチベーションが低い可能性があります。あるいは入社後制度を逆手に取り、一緒に働くメンバーの都合を考えず自分勝手なふるまいをする人物の可能性があります。

面接時やってはいけない質問例

中途採用では退社の理由など、ある程度個人の内面に入り込んで質問をすることは回避できません。しかし、興味本位で過去にこだわると、パワハラ、モラハラにつながります。やってはいけない質問内容は、新卒採用面接とほぼ同じです。さらに、当然のことですが、自社の印象をおとしめる圧迫面接も控えるべきです。

前歴や過去をふまえつつ、入社後のモチベーションや仕事に対する考え方を引き出す質問を行うことに注力します。

【関連】圧迫面接は企業イメージ毀損?就活面接でやってはいけない質問例とは / BizHint HR

パワハラ・モラハラに該当する質問

パワハラ、モラハラが起こる原因は面接官、経営者の資質や古い考え方によるところが大きいとされています。中途採用面接では、個人的な質問を含む内容も出てきますので、マナーを徹底することや、本番前にロールプレイングを実施して、質問内容が適切か精査をします。

過去への経歴に関する過度な質問

前職までの職務経歴は、中途採用では確認すべき重要項目です。業績や実績に本人の過大評価が含まれていれば、即戦力とならず配属部署にダメージがあるだけでなく、入社した本人も辛い転職人生を送ることになります。

客観的な質問や、評価項目で現在のスキルを判断することは大切ですが、過去の業務や転職前の企業での働きぶりの詳細を聞いた所でほとんど意味はありません

職に就いていない期間が長い理由を聞く

転職者の中には、職歴に空白期間のある人や転職を繰り返している人もいます。病気、事故、様々な理由が考えられ面接官としては必ず「なぜか」を確認するべきでしょう。しかし、このときに「がまんが足りないから、何度も転職しているのでは?転職してもそんなにラクじゃない。」という趣旨発言はパワハラに当たります。

応募者が履歴書に正直に書いているのですから、そのことをまず認めます。応募者が前職でパワハラにあったと訴えた場合、本人が答えられる範囲でかまわないと前置きした上で、どのような待遇を受けたのかを聞きます。応募者のストレス耐性はその回答から判断します。

応募者の職業観について

中途採用市場は活況とはいえ、転職希望者がすぐに再就職先が見つかるとは限りません。中には何度も中途採用の応募を繰り返している場合もあります。転職活動の期間が長いことを理由に、職業観に問題があると決めつけるような発言や、入社後の組合活動の意志など個人の思想信条に踏み込んだ質問は避けてください。

セクハラにも注意

当然ですが、性差で待遇や採用に不公平な扱いをすることは法律で禁じられています。中途採用で女性が応募してくるケースでは、より慎重に質問を選んで誤解を招かないようにしてください。

結婚観・出産について

男女ともに、結婚や家族のあり方については個人の問題です。例えば、女性に対して、「いい歳だから転職後してすぐ産休とか困る。」という出産、結婚時期に関する質問や、離婚歴のある男女に対して離婚理由の質問はしてはいけません。

シングルで子供を育てている男女の場合も、面接官個人の職業感や見解を押しつけるのではなく、社内制度の情報や手当の条件を正しく伝えるようにします。

異性や飲酒の好みや傾向

飲酒、趣味、異性の好みは全て個人の問題で、採用とは全く関係ありません。面接官の興味本位の質問やハラスメントが疑われる発言は、応募者の入社の意志を削ぐばかりではなく企業イメージのダウン、ひいては業績にも影響するという認識を持って面接にあたります。

【関連】面接官の心得や質問の内容、やり方のポイントを総まとめ / BizHint HR
【関連】面接官トレーニングで選考の精度や効果を上げる方法を、具体例を交えてご紹介 / BizHint HR

面接から合否の連絡まで

転職希望者は、同時期に複数社の面接を受けることも珍しくありません。候補者の選考に時間がかかった結果、さきにライバル社の採用通知を受け辞退されることを防ぐためにも、面接から合否までの手続きは速やかに行います。

結果連絡は1週間を目安に

通常面接から合否の連絡までは1週間程度とされています。あらかじめ選考までの期間の目安が分かっている時は、面接終了時に合否の連絡時期を伝えるようにします。

この通知一つで、候補者の安心につながりますし、企業に対する信頼も高くなります。また、合否から一週間程度の待機であれば、転職希望者が他社の受験を保留、引き止める効果も期待できます。

結果の連絡の遅延は採用辞退のリスクも

結果の通知が遅れるほど、候補者の不安は高くなります。また、不安からその企業への不信につながることもあるでしょう。転職希望者の多くは、早期に転職をしたいと考えているものです。そのため、条件や待遇面で他社を上回っていても、合格通知が遅かったという理由で採用を辞退する可能性もあるのです。

中途採用の場合は新卒採用以上に選考、入社までの手続きを短時間で行うようにします。

まとめ

  • 中途採用の求人倍率は31か月連続で上昇、バブル期並の売り手市場の傾向にある。
  • 中途採用の面接前には評価の優先順位を社内で共有し、経歴の評価方法も統一しておく。
  • 中途採用の面接ではキャリアやスキルの確認など、新卒採用よりも質問項目は多くなる。しかし、踏み込みすぎるとパワハラ、モラハラなど誤解を受けかねないので慎重に質問を選んで行う。
  • 中途採用では、逆質問が有効。逆質問とは応募者から面接官や企業に対して、面接の最後に儀礼的に行われてきたが、その内容によっては応募者のモチベーションや自己評価、入社後のビジョンなど重要な情報を得られる。
  • 中途採用の場合、面接から合否の連絡までは1週間以内に行うことが望ましい。遅くなるほど、採用辞退のリスクが大きくなる。

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