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2018年11月20日(火)更新

業務改善

業務に従事している中で、必ず直面する業務改善は、ビジネスパーソンにとって、永遠の課題といえます。また、なかなか業務改善の成果が出ずに頭を悩ましている方も多いのではないでしょうか。今回は業務改善を成功させるために知っておきたい基礎知識や、業務改善の目的、進め方、実行ポイントから業務改善の具体例までご紹介いたします。

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業務改善とは

ビジネスパーソンの永遠の課題といえる業務改善は、会社にとっても積年の課題といえ、いつの世も経営課題として考えられてきました。

業務改善が注目される背景や経費・業務削減との違い、BPR(業務改革)との違いを理解することで、業務改善のヒントをつかめます。

業務改善が注目される背景

現在、業務改善が注目される背景には、人口減少社会の進行と働き方改革の2点が考えられます。

総務省が発表している2016年に発刊された情報通信白書によれば、日本の生産年齢人口(15歳~64歳)は1995年をピークに減少に転じており、2015年時点では全人口の約6割の7,592万人まで減少しています。さらに2030年には6,773万人、2060年には4,418万人まで減少する超高齢化社会が到来するといわれています。

そのため、「業務改善をはじめとした生産性向上に取り組まなければ、日本の経済成長に深刻な影響を与えかねない」という考えが浸透し、会社にとっても大きな課題として認識されていると考えられます。

また、日本政府は少子高齢化社会への対応や長時間労働の是正、単線型の日本キャリアからの脱却、正規・非正規の非合理的な格差是正を掲げ、本格的な「働き方改革」に取り組んでいます。日本の政治情勢や労働者の価値観の変化に応じて、優秀な人材を獲得する上でも働きやすい労働環境の構築は、企業にとって重要な経営課題でもあります。

これらの外部環境の影響と、国際競争が激化し、経営の不確実性が増す中、売上・利益を最大化しようとする取り組みと相まって、業務改善が促進されるようになったと考えられます。

【参考】総務省 1 我が国の経済成長における課題 (1)人口減少社会の到来
【参考】首相官邸 働き方改革の実現

経費・業務削減との違い

業務改善と似た経営課題に、経費・業務削減があります。

経費削減はコストにのみ着目し、通信費や光熱費、オフィスの賃料などを対象にした削減策です。財務知識を有していれば、どの会社においても共通して実施できるため、多くの会社が実践しています。一方で、業務削減は業務上に必要とされるコミュニケーションやコスト、作業効率全てが削減の対象となり、経営資源であるヒト、モノ、カネを総合的に見直す削減策です。

しかし、業務改善は自社が属する業界や社内の業務プロセスによって、改善策が異なり、問題提議を行なってはじめて、問題や課題点が明らかとなるため、経費・業務削減と区別して考えなければいけません。また、目的や目標、改善策、実行計画の精度が低いと、本質的な解決策にならないことも多く、適切なプロセス化を行なわなければいけません。

BPR(業務改革)との違い

BPR(業務改革)とは、会社の掲げる目標を達成するために、企業活動や組織構造を全面的に見直し、再設計を行なう業務プロセス改革です。BPRは、部分的な業務プロセスではなく、会社に所属する事業部門全てを対象とした再統合または最適化を図ります。経営コンセプトや産業構造、ビジネスルールなども対象となる抜本的な組織改革のひとつであり、商品(製品)・サービスの品質向上や生産性向上、コスト削減といった部分的な業務の改善策である業務改善とは異なります。

業務改善は業務に従事する現場の社員が中心となって、現状分析・問題提起を行い、問題の分析および改善方法の立案、実行、評価を行ないます。

【関連】「BPR(業務改革)」とは?BPRの意味やメリット、導入方法、事例をご紹介/BizHint HR

業務改善の目的

会社の売上・利益に直結しやすい業務改善はさまざまな目的で実施されます。今回は代表的な業務改善の目的をご紹介いたします。

生産性向上と効率化

業務改善の多くが、組織や従業員の生産性向上と業務の効率化を目的として実施されます。業務のシステム化や設備投資を行うことで、単純作業を簡略化・効率化し、余剰時間を使って、売上・利益に直結する業務への注力が可能です。

また、業務の「選択と集中」は会社の業績に直結し、組織の生産性向上にもつながります。さらに、業務改善は経営資源(ヒト、モノ、カネ)を定量的に考察し、具体的な目標数値を算出した上で、改善策に取り組むことができるため、従業員の業務の効率化や意識改革を目的に実施されることもあります。

【関連】日本経済の課題「生産性向上」の意味や改善方法、取り組み事例をご紹介/BizHint HR

品質向上とコスト削減

業務改善は商品・サービスの品質向上とコスト削減の効果を生み出しやすい施策のひとつです。そのため、多くの会社が商品・サービスの品質向上とコスト削減を目的に、試行錯誤を行い、日々業務改善に取り組んでいます。

経費削減や業務削減といった直接的・短期的なコスト削減は、商品・サービスの品質や企業間競争力を低下させる可能性が考えられ、長期的な品質向上とコスト削減には不向きといえます。業務改善は、顧客満足度向上やサービス機能の強化を目的とした業務の見直し(システム化や新機器の導入)と継続的な改善が実行できるため、中長期的な品質向上とコスト削減策が実現できます。

労働環境の改善

業務改善を労働環境の改善に実施する企業も増えています。

業務の負担軽減は、従業員の裁量や能力で一定程度軽減できますが、中長期的・継続的に実施し続けることは難しいといえます。業務改善は、業務内容を「見える化」し、業務の集約や設備投資を行うことで、従業員の業務負担を劇的に削減・軽減できます。その結果、従業員は売上・利益に直結する業務に集中でき、長時間労働の是正や時間外労働の防止にもつながります。

また業務改善は、直接的な業務の他にもコミュニケーションの促進や業務のマンネリ化防止まで対象を広げられるため、社員満足度の向上も期待できます。

業務改善の進め方(方法)

適切な業務改善を進め、最大限の成果を得るには、適切な進め方(方法)を経なければいけません。今回は業務改善における代表的な進め方をご紹介いたします。

業務の全体像の把握

業務改善は、まず業務を可視化し、現状分析を行ない、業務の全体像を把握します。さらに、問題提起された業務が生産性・効率性ともに問題ないかを見極めるためにKPIの設定、データの収集を行なうことも業務の全体像を把握するのには有効です。また、現場社員のヒアリングやBPMN(ビジネスプロセスモデリング表記法)によって、業務を洗い出すこともできます。これらの手法で集約された業務内容の、どのプロセスに問題や改善点があるかを特定します。

また、業務改善の目的や目標を事前に決定することも大切です。単純なコスト削減という目的であれば、経費・業務削減で対応できます。しかし、業務改善は中長期的な取り組みであり、継続して取り組まなければいけません。定量化された目的や目標値を持つことで、従業員のモチベーションを維持したまま、業務改善の取り組むことができます。

問題分析と解決策の立案

業務改善の目的や目標を決定し、業務の可視化、洗い出し、問題点・改善点の特定を行なった後は、問題の分析と改善案の立案に移ります。問題の分析では原因分析が主な作業となります。業務プロセスを見直し、継続的・反復的に行なわれている業務に抜け穴やムダ・ムラがないかを確認し、業務改善の本質的な原因を特定していきます。業務を阻害している原因は業務フローチャートからさまざまな切り口で特定できるので、原因特定の際に併用することがおすすめです。

業務改善の改善策は、主に防止型改善策です。防止型改善策は継続的・反復的に行なわれる活動に有効であり、継続的に改良を行なうことに長けています(経費・業務削減は単発処理型改善策)。また、問題の再発防止や将来の問題の顕在化にも寄与します。

改善策は内容だけでなく、改善策評価と実行計画をセットで立案しなければいけません。改善策評価にはコストの有無や対象業務以外への影響範囲なども考慮します。実行計画は「実現可能かどうか」、「実施タイミングとして適切かどうか(繁忙期の回避)」、「担当従業員の理解を深められるかどうか」も考慮し、改善策評価と照らし合わせて、決定していきます。

改善案の実施

現場の担当者に立案した改善策を実行してもらいます。改善案を実行する際は不測の事態への対応や計画調整を行なえる体制を維持しておくことが大切です。中でも情報システムなどの設備投資は、想定外のトラブルが起こりやすいため、実施直後は影響範囲を超えた範囲まで問題ないかを確認しなければいけません。

また、業務改善策が計画通りに実施されているかどうかも適宜確認を行ないます。

業務改善に対する評価

事前に定めた、定量化された目標やKPIと照らし合わせながら、業務改善策の効果測定を行ないます。ここで重視したいのが、細かい評価と新たな改善策を繰り返し行なっていくことです。想定したよりも上手くいっていない原因や問題点を洗い出し、改善策自体の微調整だけでなく、必要に応じて新たな改善策も講じていきます。

これらの作業を繰り返すことで、継続的に業務改善を行なえ、生産性向上や業務の効率化につながっていきます。

業務改善を進める上でのポイント

業務改善は、対象となる業務だけでなく、業界や部門によって、さまざまな対応策が考えられます。そのため、ただ単純に業務をプロセス化させるだけでは真の解決には至りません。

本章では、業務改善を進める上で注目したいポイントをご紹介いたします。

業務改善に向けた環境構築

業務改善は業務に従事する従業員のモチベーションや考え方によって、成功可否が変わります。

事業の収益化を目的とした改善策において、労働時間の削減や賃金カットは本質的な解決になっておらず、かえって事態を悪化させてしまう可能性があります。そのため、経営者や管理者による、業務改善に適した環境の構築が必要不可欠です。経営者や部門責任者(部門長)、業務改善プロジェクト推進担当によるトップダウン形式での実施ではなく、現場を担う従業員が自主的に業務改善を行なえる組織風土を作っていかなければいけません。

中でも現場の社員に「業務改善が自分の仕事にどのように関係するのか」を気付かせてあげる必要があります。具体的には「業務改善を行なわなければ、自分の帰宅時間が遅くなる」、「労働時間は増えるが、実質的に給料が下がる」などの気付きが挙げられます。業務改善を行なわないことでの自らの不利益をわかりやすくすることも業務改善を成功に導く秘訣といえます。

優先順位を考える

業務改善では「何を優先させるか」を考慮することも大切です。個人が優先させる業務と組織が優先させる業務には、大きな隔たりがあり、個人の裁量に特化した業務改善はうまくいかないことが多いといえます。そのため、組織内で重要度・緊急度の基準を標準化し、現場の社員に浸透させておくことが大切です。

また、繁忙期には業務量が増え、優先順位の判断力が低下し、ミスを誘発しやすくなってしまいます。そのため事前準備として、業務内容や業務改善策の優先順位を整理しておくことも効果的です。この優先順位を考える行為は組織単位での業務改善にも有効です。

3つの視点で考える

業務改善は、「無くす(業務自体をやめる)」、「減らす(処理回数・頻度を減らす)」、「変える(業務自体を変える)」の3つの視点で業務を見直し、問題提起を図ると効果的です。業務プロセスの中の問題点の分析や改善策の立案の段階で、特定した業務を「無くす」、「減らす」、「変える」の視点で評価することで、具体的にどうするかを判断できます。

中でも「減らす」、「変える」の視点は、具体的な解決策を選択する判断軸にもなり、改善策の精度を高める効果も期待できます。また、これらの視点を用いることで、ルーティン作業の意義を見い出し、新たな問題の顕在化にも役立てることができます。

業務改善の具体例

業務改善にはさまざまな方法があり、所属する部門や従事する業務に応じて、業務改善策を生み出していかなければいけません。今回は業務改善に活用される、代表的な具体例をご紹介いたします。

マニュアル(手順書)の作成

業務改善で用いられる一般的な具体例として知られているのが、マニュアル(手順書)の作成です。マニュアルは現場の社員の理解を深め、各業務の権限・責任を明確化にし、業務自体のチェック体制の構築にも役立ちます。

また、業務時間の削減やノウハウの蓄積・継承、不正の発見・防止など幅広い分野で効果があります。業務を標準化し、バラつきを防ぐことで商品・サービスの品質を担保することもできます。そのため、業務改善を行なう手法としては効果の高い具体例といえます。

IT機器のビジネス活用

インターネットやテクノロジーの発展により、IT機器は企業経営になくてはならない存在と化しています。そのため、IT機器のビジネス活用は業務改善においても絶大な成果を出し、従業員の生産性向上や効率化に大きく寄与します。

IT機器のビジネス活用には、グループウェアによる情報共有化の促進、紙文書の電子化による時間・コスト・スペースの削減、クラウド導入によるIT機器の外部管理(保守・管理・運用の削減)などが挙げられます。

その他にも、決裁システムによる意思決定のスピード化、CMSの導入(業務のIT化)による業務負担の削減なども業務改善の具体例として知られています。

タイムマネジメント(時間管理)による業務改善

タイムマネジメント(時間管理)とは、1日に行なうべき業務を割り出し、1日の労働時間を適切に配分し、業務の生産性、効率性を向上させる時間配分術を指します。タイムマネジメントは配分した時間や情報を「見える化」することにより、業務に対する問題提起を促し、改善を行なうきっかけにもなります。

また、ビジネス社会において自らの業務に従事するだけでなく、周囲の人間を巻き込みながら、効率よく業務をこなしていくことがビジネスパーソンの腕の見せ所です。そのため、自らの業務とチームでの業務と必要時間を「見える化」し、情報を共有することで、個人・組織の業務改善を促進することができます。

現在では個人向け、組織向けのタイムマネジメントを促進するツールも販売されており、カスタマイズも可能なことから、組織の業務内容に沿った、適切なタイムマネジメントが可能です。

【関連】タイムマネジメントの意味とは?方法やコツをわかりやすく紹介/BizHint HR

アウトソーシングの活用

アウトソーシングとは、会社が担うさまざまな業務(仕事)を整理・分離し、外部の専門業者に委託するサービスの総称です。事務処理や受付業務、梱包・配送業務、店舗運営などさまざまな業務がアウトソーシングされており、現在では財務や法務といった専門性の高い間接部門(管理部門)のアウトソーシングも実施されています。

生産性向上や効率性を高める業務改善を進める中で、企業業績の向上に直接つながらない業務を洗い出し、外部の専門業者に委託することは、業務改善の対策としても有効です。

また、アウトソーシングは人材確保や設備投資にかかるコストを削減できるため、「選択と集中」の経営戦略を取りやすく、業務改善にも組み込みやすい施策といえます。

【関連】アウトソーシングとは?委託可能業務から導入メリットまでご紹介/BizHint HR

シェアードサービスの活用

シェアードサービスとは、企業グループが持つ間接部門(人事や総務、経理、情報システムなど管理部門)を一箇所に集約し、品質の改善、業務効率およびコスト削減を図る経営戦略のひとつです。

合併やM&Aによる企業統合の際によく用いられる手法でもあります。シェアードサービスはグループ企業で分散している知識やノウハウを一箇所に集約し、業務の透明性、責任の明確化を行ないやすいため、業務に対する問題提起が起こりやすく、業務改善を促進させる効果が期待できます。

また、シェアードサービスも業務改善も中長期的な取り組みであるため、相性も良く、今後グローバル経営が主流となるビジネス界において、注目されている業務改善手法として知られています。

【関連】「シェアードサービス」とは?意味やメリット、導入ポイントから事例までご紹介/BizHint HR

厚生労働省の業務改善助成金について

女性活躍社会や働き方改革を推進する日本政府は、積極的に業務改善を行なう会社に対して、助成金を支給しています。

業務改善助成金とは

業務改善助成金とは、中小企業や小規模事業者を対象とした助成金のひとつで、事業場内最低賃金の引き上げを促進するために導入された制度です。

生産性向上を目的とした設備投資及びサービス利用を行い、一定の事業場内最低賃金の引き上げに成功した際に、投資額の一部が助成金として支払われます。

【参考】厚生労働省 最低賃金引き上げ支援 中小企業向け業務改善助成金

支給対象者・要件

業務改善助成金の具体的な支給対象者は、厚生労働省が発表している「最低賃金引き上げ支援 中小企業向け業務改善助成金」をご確認ください。

【参考】厚生労働省 最低賃金引き上げ支援 中小企業向け業務改善助成金

業務改善助成金の導入事例

厚生労働省では、「最低賃金引き上げ支援 中小企業向け業務改善助成金 生産性向上の事例集 ~最低賃金の引上げに向けて~」の中で、業務改善助成金の導入事例を公表しています。今回は事例集で紹介されている導入事例のひとつをご紹介いたします。

福岡県で飲食業・販売業を営む企業において、助成金を活用し、多機能付きレジスターの導入と、従業員向けのIT研修受講を実施。導入後、顧客管理に関わる作業時間の短縮と、従業員のスキルアップを実現し、結果的に新規顧客の拡大・業績向上を果たすことができました。まさに、設備投資およびサービスの利用によって、業務の効率化と人材育成の両方が達成された好事例といえます。

その他にも「最低賃金引き上げ支援 中小企業向け業務改善助成金 生産性向上の事例集 ~最低賃金の引上げに向けて~」では、多くの導入事例が確認できます。

【参考】厚生労働省 最低賃金引き上げ支援 中小企業向け業務改善助成金 生産性向上の事例集 ~最低賃金の引上げに向けて~

まとめ

  • 業務改善は単なる業務の効率化やコスト削減だけでなく、従業員の意識やモチベーションにも大きく関わる取り組みのひとつです。
  • そのため、業務改善には、明確な目的と数値化された目標、業務の可視化、綿密な分析と改善策の立案、そして実行力と継続力が求められます。
  • その結果、得られるものも多いため、業務改善は企業経営を促進する上でも避けては通れない経営戦略ともいえます。

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