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業務改善

2020年9月4日(金)更新

近年、人口減少による労働力不足や働き方改革の推進などの影響もあり、業務改善に取り組む企業が増えています。業務改善とは、現在の業務を見直し、課題を分析して改善策を実行する一連のプロセスを指すもので、生産性向上や自社の製品・サービスの品質アップ、コスト削減につながるだけでなく、労働環境の改善など幅広い面での効果が期待できます。今回は業務改善を成功させるために知っておきたい基礎知識や、進め方、実行ポイントから、有効な手法まで詳しくご紹介します。

業務改善とは

業務改善とは「現状での業務の進め方、情報や仕事の流れに関しての問題点を分析・抽出し、改善策を考え、それを実行すること」で、いつの世も経営課題として考えられてきました。

業務改善を行う目的

会社の売上・利益に直結しやすい業務改善はさまざまな目的で実施されます。

生産性向上と効率化

まず一番の目的が「生産性の向上」でしょう。

業務のシステム化や設備投資を行うことで、単純作業を簡略化・効率化し、余剰時間を使って、売上・利益に直結する業務への注力が可能です。

品質向上とコスト削減

業務改善は、顧客満足度向上やサービス機能の強化を目的とした業務の見直し(システム化や新機器の導入)と継続的な改善が実行できるため、中長期的な品質向上とコスト削減策が実現できます。

労働環境の改善

業務改善は、業務内容を「見える化」し、業務の集約や設備投資を行うことで、従業員の負担を劇的に削減・軽減できます。その結果、従業員は売上・利益に直結する業務に集中でき、長時間労働の是正や時間外労働の防止にもつながります。

経費削減との違い

業務改善と似た経営課題に、経費削減があります。

経費削減はコストにのみ着目し、通信費や光熱費、オフィスの賃料などを対象にした削減策です。一方で、業務改善は業務上に必要とされるコミュニケーションやコスト、作業効率全てが削減の対象となり、経営資源であるヒト、モノ、カネを総合的に見直す削減策です。

手法が一般的で、知識があればすぐに取り組める「経費削減」と違い、「業務改善」は自社が属する業界や社内の業務プロセスによって改善策が異なり、問題提議を行ってはじめて課題点が明らかとなります。

また、目的や目標、改善策、実行計画の精度が低いと、本質的な解決策にならないことも多く、適切なプロセスを経る必要があります。

【関連】コスト削減とは?その意味や考え方、方法とポイントなどご紹介/BizHint

BPR(業務改革)との違い

BPR(業務改革)とは、会社の掲げる目標を達成するために、企業活動や組織構造を全面的に見直し、再設計を行う業務プロセス改革です。部分的な業務プロセスではなく、会社に所属する事業部門全てを対象とした再統合または最適化を図ります。

業務改善は、業務に従事する現場の社員が中心となって、現状分析・問題提起を行い、問題の分析および改善方法の立案、実行、評価を行います

【関連】BPRとは?業務改善との違いや進め方と手法、事例をご紹介/BizHint

業務改善の進め方

適切な業務改善を進め、最大限の成果を得るには、適切な進め方(方法)を経なければいけません。

ここでは、おさえておくべき手順をご紹介します。

業務全体の見える化

業務改善は、まず業務を可視化し、全体像を把握することから始まります。そのためには、社内での情報収集が欠かせません。

現場社員へのヒアリングをはじめ、分析に必要なデータの収集、業務内容の洗い出しなどを行っていきましょう。

課題の分析~改善策の特定

業務の可視化、洗い出しを行ったら、課題の分析・改善点の特定に入ります。

業務プロセスを見直し、継続的・反復的に行われている業務に抜け穴やムダ・ムラがないかを確認し、業務課題の本質的な原因を特定していきます。業務を阻害している原因は「業務フローチャート」を作成することで、さまざまな切り口から分析・特定できます。

業務改善は、「無くす(業務自体をやめる)」、「減らす(処理回数・頻度を減らす)」、「変える(業務自体を変える)」の3つの視点で業務を見直し、問題提起を図ると効果的です。

中でも「減らす」「変える」の視点は、具体的な解決策を選択する判断軸にもなり、改善策の精度を高める効果も期待できます。

実行計画の策定

改善策は、内容だけでなく改善策評価と実行計画をセットで立案するようにしましょう。

改善策評価にはコストの有無や対象業務以外への影響範囲なども考慮します。実行計画は「実現可能かどうか」、「実施タイミングとして適切かどうか(繁忙期の回避)」、「担当従業員の理解を深められるかどうか」も考慮し、改善策評価と照らし合わせて、決定していきます。

改善案の実施

現場の担当者に立案した改善策を実行してもらいます。その際、不測の事態への対応や計画調整を行える体制を維持しておくことが大切です。中でも情報システムなどの設備投資は、想定外のトラブルが起こりやすいため、実施直後は広範囲に目を配る必要があります。

また、業務改善策が計画通りに実施されているかどうかも適宜確認を行いましょう。

PDCAサイクルでさらに改善していく

事前に定めた、定量化された目標と照らし合わせながら、業務改善策の効果測定を行います。

ここで重視したいのが、細かい評価と新たな改善策を繰り返し行い、PDCAサイクルを回すということです。想定したよりも上手くいっていない原因や問題点を洗い出し、改善策自体の微調整だけでなく、必要に応じて新たな改善策も講じていきます。

これらの作業を繰り返すことで、継続的に業務改善が実現でき、生産性向上や業務の効率化につながっていきます。

業務改善の具体的な手法

業務改善にはさまざまな方法があり、所属する部門や従事する業務に応じて対策が異なりますが、ここでは業務改善に活用される代表的な手法をご紹介いたします。

マニュアル(手順書)の作成

業務改善で用いられる一般的な手法として知られているのが、マニュアル(手順書)の作成です。マニュアルは現場の社員の理解を深め、各業務の権限・責任を明確化にし、業務自体のチェック体制の構築にも役立ちます

また、業務時間の削減やノウハウの蓄積・継承、不正の発見・防止など幅広い面でも効果があります。業務を標準化し、バラつきを防ぐことで商品・サービスの品質を担保することもできます。そのため、業務改善を行う手法としては効果の高い手法であるといえます。

ITツールの導入

ITツールのビジネス活用は業務改善においても絶大な成果を上げ、従業員の生産性向上や効率化に大きく寄与します。

~一例~

  • グループウェアによる情報共有化の促進
  • 紙文書の電子化によるペーパーレスの促進、時間・コスト・スペースの削減
  • クラウド導入によるIT機器の外部管理(保守・管理・運用の削減)
  • 決裁システムによる意思決定のスピード化
  • RPAによるルーティンワークの自動化による業務負担の削減

【関連】【用途別】業務効率化ツール12選!導入ポイントもご紹介/BizHint

タイムマネジメント(時間管理)による業務改善

タイムマネジメント(時間管理)とは、1日に行うべき業務を割り出し、労働時間を適切に配分し、業務の生産性、効率性を向上させる時間配分術を指します。

タイムマネジメントは配分した時間や情報を「見える化」することにより、業務に対する問題提起を促し、改善を行うきっかけにもなります。

また、ビジネス社会において自らの業務に従事するだけでなく、周囲の人間を巻き込みながら、効率よく業務をこなしていくことがビジネスパーソンの腕の見せ所です。そのため、自らの業務とチームでの業務と必要時間を「見える化」し、情報を共有することで、個人・組織の業務改善を促進することができます。

現在では個人向け、組織向けのタイムマネジメントを促進するツールも販売されており、カスタマイズも可能なことから、組織の業務内容に沿った、適切なタイムマネジメントが可能です。

【関連】タイムマネジメントの意味とは?方法やコツをわかりやすく紹介/BizHint

アウトソーシングの活用

アウトソーシングとは、会社が担うさまざまな業務(仕事)を整理・分離し、外部の専門業者に委託するサービスの総称です。事務処理や受付業務、梱包・配送業務、店舗運営などさまざまな業務がアウトソーシングされており、現在では財務や法務といった専門性の高い間接部門(管理部門)のアウトソーシングも実施されています。

生産性向上や効率性を高める業務改善を進める中で、企業業績の向上に直接つながらない業務を洗い出し、外部の専門業者に委託することは、業務改善の対策としても有効です。

また、アウトソーシングは人材確保や設備投資にかかるコストを削減できるため、「選択と集中」の経営戦略を取りやすく、業務改善にも組み込みやすい施策といえます。

【関連】アウトソーシングとは?派遣との違いやメリット、業務例までご紹介/BizHint

シェアードサービスの活用

シェアードサービスとは、企業グループが持つ間接部門(人事や総務、経理、情報システムなど管理部門)を一箇所に集約し、品質の改善、業務効率およびコスト削減を図る経営戦略のひとつです。

合併やM&Aによる企業統合の際によく用いられる手法でもあります。シェアードサービスはグループ企業で分散している知識やノウハウを一箇所に集約し、業務の透明性、責任の明確化を行いやすいため、業務に対する問題提起が起こりやすく、業務改善を促進させる効果が期待できます。

【関連】「シェアードサービス」とは?意味やメリット、導入ポイントから事例までご紹介/BizHint

業務改善を進める上での3つのポイント

業務改善は、業務だけでなく、業界や部門によって、さまざまな対応策が考えられます。そのため、ただ単純に業務をプロセス化させるだけでは真の解決には至りません。

本章では、業務改善を進める上で注目したいポイントをご紹介いたします。

1.QCDを意識する

QCDとは、「Quality(品質)」「Cost(コスト)」「Delivery(納期)」の頭文字を取った言葉で、業務改善を検討する上で非常に重要なフレームワークの一つです。

業務改善の内容について検討する際に、この3つの要素の全てが改善されるか、という点を常に意識して取り組むことにより、課題を整理でき、偏りの無い施作を策定することができます。

【参考】QCD ・ FA用語辞典/キーエンス

2.業務改善に向けた環境構築

業務改善は業務に従事する従業員のモチベーションや考え方によって、成功可否が変わります。そのため、トップダウン形式での実施ではなく、現場を担う従業員が自主的に業務改善を行える組織風土を作っていかなければいけません。

中でも現場の社員に「業務改善が自分の仕事にどのように関係するのか」を理解してもらう必要があります。

具体的には「業務改善を行わなければ、帰宅時間が遅くなる」、「労働時間は増えるが、実質的に給料が下がる」などの気付きが大切です。業務改善を行わないことによる不利益を明確化することも業務改善を成功に導く秘訣といえます。

3.優先順位を考える

業務改善では「何を優先させるか」を考慮することも大切です。

個人が優先させる業務と組織が優先させる業務には、大きな隔たりがあり、個人の裁量に特化した業務改善はうまくいかないことが多いといえます。そのため、組織内で重要度・緊急度の基準を明確化し、現場の社員に浸透させておくことが大切です。

また、繁忙期には業務量が増え、優先順位の判断力が低下し、ミスを誘発しやすくなってしまいます。そのため事前準備として、業務内容や業務改善策の優先順位を整理しておくことも効果的です。

業務改善に成功した企業事例

BizHintのオリジナル記事の中から、業務改革に成功した企業事例を3社ご紹介いたします。

情報共有の一元化で業務効率化

京都中央卸売市場内にある野菜の仲卸業、万松青果株式会社。卸売市場での取引高が年々減少し、仲卸業者数も減少している中、万松青果はこの10年間増収増益を続けています。

様々な業務改革を行ってきた中でも、一番影響の大きかった取組がサイボウズ社の「kintone」の導入でした。週報や業務改善や成果をまとめた記録をはじめ、日々の売上や利益の情報もkintoneで全社員が見られるようにしたそうです。

チームとしての一体感が生まれただけでなく、情報伝達や業務の効率化にも寄与。結果として、 従業員どうしの相互理解が深まり、経験の浅い従業員の教育ツールとしても大きな役割を果たしているのだとか。

【関連】従業員どうしが会話する仕掛け。青果市場のあり得ないオフィス「3つの約束」/BizHint

職人技を言語化してマニュアルに

創業55年の老舗クリーニング店「東田ドライ」。現在はインターネットでの宅配クリーニングサービス「リナビス」でも話題となっています。

クリーニング技術で 差が出るのは「作業者がどれだけ手をかけるか」という会社の姿勢。そのため同社では「人が携わる部分」「お客様の満足に直結する部分」に人と時間を割ける体制を構築。3年もの年月をかけて、職人技の85%をマニュアル化しました。

ポイントは、マニュアルをつくるための「言語化」を職人だけに任せなかったこと。教えられたスタッフのほうが職人の言葉や仕事を「言語化」し、マニュアルに落とし込んで、職人がチェックするという工程をとったそうです。

結果的、2014年からの5年間で、売上・社員数ともに約9倍に成長。

現在も、様々なIT化、機械化、仕組み化を推進しているそうです。

【関連】職人技の8割は言語化できた。職人の父vs仕組みの息子。社運をかけた親子喧嘩5年。売上は9倍に/BizHint

段階を追ってITツールを入れ、業務改革

長野県御代田町でレタスの生産・販売を展開する有限会社トップリバー。

同社では、古くて非効率な“昭和”のやり方で給与計算や財務会計を行っていましたが、クラウドサービスに移行して経営の自動化を実現させました。

導入の決め手は娘さんへの業務承継。属人化かつ複雑な状態では引き継ぐことができないと感じたことが大きいそうです。

まずは「G Suite」、その後クラウド会計ツールの「freee」を導入するなど、段階的にツールを入れて改革を行うことで、業務改善に成功しています。

【関連】「昭和のまま継がせたくない」、娘へ業務承継するために母が行ったこと/BizHint

厚生労働省の業務改善助成金について

業務改善助成金とは、中小企業や小規模事業者を対象とした助成金のひとつで、事業場内最低賃金の引き上げを促進するために導入された制度です。

生産性向上を目的とした設備投資及びサービス利用を行い、一定の事業場内最低賃金の引き上げに成功した際に、投資額の一部が助成金として支払われます。

【参考】最低賃金引き上げ支援 中小企業向け業務改善助成金/厚生労働省

支給対象者・要件

業務改善助成金の具体的な支給対象者は、厚生労働省が発表している「最低賃金引き上げ支援 中小企業向け業務改善助成金」をご確認ください。

【参考】最低賃金引き上げ支援 中小企業向け業務改善助成金/厚生労働省

業務改善助成金の導入事例

厚生労働省では、「最低賃金引き上げ支援 中小企業向け業務改善助成金 生産性向上の事例集 ~最低賃金の引上げに向けて~」の中で、業務改善助成金の導入事例を公表しています。今回は事例集で紹介されている導入事例のひとつをご紹介いたします。

福岡県で飲食業・販売業を営む企業において、助成金を活用し、多機能付きレジスターの導入と、従業員向けのIT研修受講を実施。導入後、顧客管理に関わる作業時間の短縮と、従業員のスキルアップを実現し、結果的に新規顧客の拡大・業績向上を果たすことができました。まさに、設備投資およびサービスの利用によって、業務の効率化と人材育成の両方が達成された好事例といえます。

その他にも「最低賃金引き上げ支援 中小企業向け業務改善助成金 生産性向上の事例集 ~最低賃金の引上げに向けて~」では、多くの導入事例が確認できます。

【参考】最低賃金引き上げ支援 中小企業向け業務改善助成金 生産性向上の事例集 ~最低賃金の引上げに向けて~/厚生労働省

まとめ

  • 業務改善は単なる業務の効率化やコスト削減だけでなく、従業員の意識やモチベーションにも大きく関わる取り組みのひとつ
  • 業務改善には、明確な目的と数値化された目標、業務の可視化、綿密な分析と改善策の立案、そして実行力と継続力が求められる
  • 業務改善は、企業経営を促進する上でも避けては通れない経営戦略の一つである

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