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2018年11月12日(月)更新

ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)

ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)とは、一連の業務プロセスを継続的に外部の専門企業に委託することです。BPOはグローバル化への対応や業務効率化の有効な手法として注目されています。この記事では、アウトソーシングとの違いやメリット・デメリットのほか、BPO導入と事業者選定のポイントなどご紹介します。

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ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)とは

BPOビジネス・サービス、BPO事業者、オフショアBPOサービスといったBPO関連用語を見かけることが多くなっています。企業の全体最適に欠かせないビジネス・プロセス・アウトソーシングの意味や背景、アウトソーシングとの違いを知ることで、理解を深めることができます。

ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)の意味

ビジネス・プロセス・アウトソーシング(Business Process Outsourcing:BPO)とは、 社内の定型業務や業務運用ノウハウを持たない業務プロセスといったビジネスプロセスを、継続的にBPO業者など外部の専門企業にアウトソーシングする経営手法 です。

特に、本社バックオフィス部門である人事や経理など間接部門からBPOサービス導入による外部委託を進めるケースがほとんどです。

BPO導入による経営資源の最適化を促進することで、 企業ブランド価値の向上による競争力強化を図る ことができます。

BPO対象事業領域の一例

近年では、テクノロジーの発展により、システムソリューションやデータ処理、マーケティング、人材育成といった高度な業務も、一括して業務委託できる次世代BPOも登場しています。

BPOの対象となる事業領域の一例は以下になります。

対象事業領域 業務プロセス
人材採用系モジュール 採用計画作成、募集、書類選考、面接選考、採用決定、内定通知、入社書類受付など
人材育成 教育体系の構築、研修受講者の管理、講師や会場の選定、手配、研修効果の測定、記録など
経理 小口精算業務、月次試算表作成、伝票記帳、売掛金管理、買掛金管理、請求書発行、管理会計支援など
総務 備品管理、名刺管理、電報や供花の手配、出張時の各種手配など
受付業務 来客応対、給茶対応、代表電話取次、来客者情報の管理、報告など
事務代行 荷物の代理受け取り、開封、ナンバリング、仕分け、書類チェック、原本管理、納品など
コールセンター オペレーション対応、問い合わせ内容と対応履歴の記録、管理、報告など
フォーム 問い合わせフォームの設計、作成、問い合わせへの対応、対応履歴の記録、管理、報告など
システムソリューション データベースやネットワーク、情報システムの設計開発、ITコンサルティングなど
データ処理 スキャニング、データ入力、エラーチェック、データクリーニング、集計、分析、伝送など
印刷 帳票設計、データ管理、印刷、仕分け、梱包、発送手配など
マーケティング 顧客情報の取得、ターゲットリストの作成、情報発信、レスポンスの分析、報告など
物流系モジュール ピッキング、梱包、配送、在庫管理、定期報告など

適用対象事業の数が増えるほど導入後の組織構造が最適化されやすく、導入効果が高まる傾向があります。BPOを導入する業務の種類や構造によっては間接部門の完全外注化も可能です。

ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)が注目される背景

経済のグローバル化や国内市場の縮小、人材不足など時代の変化によって、組織の全体最適やコスト削減をはじめとした経営資源(ヒト・モノ・カネ)の効果的な活用の動きが進んでいます。これを受けてBPO市場規模の拡大と、それによるBPO専門企業の増加が見込まれます。

その裏付けとして、ある調査会社によるBPOサービスの調査では、2017年の国内BPOサービス市場は7.346億円(前年比4.7%)、2017~2022年までは年間平均成長率3.6%で市場が成長するといわれています。

【出典】IDC株式会社 国内BPOサービス市場予測を発表

アウトソーシングとの違い

ビジネス・プロセス・アウトソーシング(以下、BPO)が注目される以前より、業務を外部に委託する経営手法として、アウトソーシングが知られていました。しかしBPOは、アウトソーシングと比べて、委託する業務の範囲や期間に大きな違いがみられます。

アウトソーシングでは、 組織内部で行っていた業務プロセスの一部または複数を外部企業からサービスとして購入する といった意味合いが強いといえます。BPOでは 業務の一部ではなく、業務プロセス全てを業務委託 します。また、委託期間においても、アウトソーシングは人材不足や業務量の急増といった 一時的、または短期期間 に多く活用されている一方、BPOでは一時的な導入ではなく、 継続的に活用 することが前提となっています。

そのため、BPOの導入においては、現状の業務分析・可視化や最適なBPOサービス選定などの事前準備や、導入後の運用体制の確立といった大掛かりなプロジェクトになることが多く、BPO導入を 企業戦略として位置付ける 企業経営者も少なくありません。

【関連】アウトソーシングとは?メリット・デメリットや対象業務まで徹底解説/BizHint

BPO導入のメリット

ビジネス・プロセス・アウトソーシングの導入は、一般的に以下のメリットを得ることができます。BPOサービス導入によるメリットを正しく理解することで、導入目的の明確化を迅速に行なえます。

経営資源の有効活用

ビジネス・プロセス・アウトソーシングによる業務プロセスの外注化は、貴重な経営資源(ヒト、モノ、カネ、情報)の浪費を防ぎ、コア業務(コア・コンピタンス業務、コア事業)への集中投資を可能とし、迅速な事業展開に貢献します。

「選択と集中」、多角化経営に事業方針を転換する企業にとって、迅速な人員配置は不可欠であり、コスト・リーダーシップ戦略や差別化戦略といった独自戦略の早期策定・実行は、企業の競争優位性を高める効果が期待できます。

ビジネス・プロセス・アウトソーシングの対象となる部門(BPO部門)は、人事や総務、経理、企画広報、情報システムといった間接部門が多く、BPOによる業務プロセス全体の見直しと最適化・標準化は、 業務効率化やコスト削減といった業務改革、または組織改革を実現 できます。その結果、社員の業務負担を軽減することにつながり、注力すべき事業・業務の高品質化を図ることが可能です。

業務の効率化

業務効率化などの業務改善を実現するためには、必要な経営資源を投下するなど多くの時間や手間がかかるため、間接部門の業務における問題は放置されることも少なくありません。

そこでBPOサービス事業者が持つ委託業務に関する業務運用ノウハウを活用することで、業務効率化を図ることができます。

コスト削減

BPO導入による業務効率化と共にコスト削減にも繋がります。また、自社で経理業務を行うよりも各企業の経理業務を委託することで、BPOサービス事業者にもスケールメリットが生まれます。これにより 自社で行うよりも業務運用コストを削減 することができます。

このほかにも、 固定費となる人件費やシステム運用費などを変動化 することができます。

グローバル化への対応

間接部門では、法令の改や制度の変更などグローバル化への対応がますます必要となっているものの、自社だけで対応するのは難しいのが現状です。

そこで、適切な業務プロセス設計を行うためにBPO業者の専門スキルやノウハウを活用することでグローバル化への対応が可能になります。

コンプライアンスの向上

BPOサービス業者は業務上様々な情報を扱うことから、ISMSやJIS Qなどを取得して情報セキュリティの確保に努めている企業が多くあります。

そのため、情報漏洩防止やBPO導入企業との契約に基づく 適切なセキュリティ管理のほか、法制度の変化にも対処できる ためコンプライアンスの向上にも繋がります。

BPO導入のリスク・デメリット

ビジネス・プロセス・アウトソーシングは企業に多くのメリットを与える一方、デメリットも存在します。BPO導入におけるデメリットを理解することで、BPO導入可否の適切な経営判断を下すことができます。

業務ノウハウの蓄積とインハウス化が困難

業務プロセスを一括して委託してしまうと、社内に業務ノウハウを蓄積することが難しくなります。BPOサービス事業者は特定分野の専門的で高度な知識や経験を保有していますが、これらの共有を制限する場合が多く、 業務プロセスの不透明化や学習機会の消失 などが主な原因としてあります。

また、BPOから以前の環境へと再びインハウス化するには、組織の再編成や人材育成など多くの時間と経営資源が必要であり、サービスレベルの低下のリスクもあります。

情報漏洩リスクや業務品質の低下

BPOでは、一連の業務プロセスとして外部企業に委託されるため、従来のアウトソーシングに比べて お客様などの個人情報や機密情報といった様々な情報漏洩のリスクが高まります 。そのため、選定の際に情報セキュリティの品質については調べておく必要があります。

また、BPOによって業務自体は外部委託できても、確認や判断が必要な業務や管理業務など一部アウトソーシングできない業務もあります。そのため業務フローが変更されてミスが起こりやすくなって業務品質の低下を招く恐れがあるため、BPO事業者との連携が大切になります。

従業員のモチベーション低下

BPOの導入は大規模な組織内の構造改革や業務削減が伴い、従業員の業務に対するモチベーション従業員エンゲージメントを大幅に低下させてしまう要因となってしまいます。

ステークホルダーとの関係性悪化

入念な事前準備の実施と導入後の最適な運用体制を構築しなければ、あらゆるステークホルダーとの関係性を悪化させてしまう危険性があります。

BPOの導入プロセスとポイント

ここでは、BPO導入に必要な4つのプロセスと、導入効果を高めるためのポイントについてご紹介します。

4つの導入プロセス

ビジネス・プロセス・アウトソーシングの導入は、一般的に以下の導入プロセスを経ることが一般的です。

  • ステップ1:現状の業務分析と可視化
  • ステップ2:導入後の運用体制のイメージ確立
  • ステップ3:総コストの算出
  • ステップ4:BPOサービス事業者の選定

中でも最適なステップ4の「BPOサービス事業者の選定」は、BPO導入後の効果を高める重要な要因となります。明確にしたBPO導入の目的や重視すべき条件を設定し、以下のポイントに沿って、選定を行ないます。

導入目的の明確化

ビジネス・プロセス・アウトソーシングの導入は、初期段階で導入目的を明確にしておくことが重要です。導入目的の明確化は、BPOサービス事業者やBPOサービスを選択する際の条件設定を行うことにもつながります。しかし、ビジネス・プロセス・アウトソーシングの対象事業領域は規格化(BPOモジュール)されていることが多く、導入目的の明確化の参考になります。

また、BPOサービス事業者は複数の対象事業領域を保有しているため、BPOサービス選定においては、自社が適用したい事業領域を複数持つBPO事業者を選ぶことが望ましいといえます。

導入範囲(業務範囲)の見極め

ビジネス・プロセス・アウトソーシングの効果を高めるには、経営者やトップマネジメント陣が自社の業務プロセスをどの範囲まで適用するべきなのかをしっかりと見極めなければなりません。

そのため、導入プロセスのステップ1で「現状の業務分析と可視化」の段階で、「対象業務」、「導入による効果」、「業務プロセスの統一や窓口の一本化」という3つのポイントを意識して、自社業務の整理、および導入範囲(業務範囲)の設定を行ないます。

BPOの対象業務

一般的にビジネス・プロセス・アウトソーシングの対象業務は、ノンコア業務となります。

  • コア業務…×
  • ノンコア業務…○

BPO導入による効果

定型業務は業務プロセスの見直しや最適化が可能となり、大幅なコスト削減効果が期待できます。一方で、非定型業務はBPOサービス事業者の高度な知見や技術力、作業環境の活用による業務の高品質化や業務効率化が期待できます。

  • 定型業務…大幅なコスト削減
  • 非提携業務…業務の高品質化・業務効率化

業務プロセスの統一や窓口の一本化

業務プロセスの統一や窓口の一本化は、複数のBPOサービスを組み合わせることで組織の全体最適が可能となります。

BPOサービス事業者の選定ポイント

BPOサービス事業者を選定するときは、事業者が公開している顧客企業一覧や具体的な導入事例も参考に、以下の点について確認することが必要です。

  • BPOサービスにおける実績
  • 該当業務に関する専門性やノウハウ
  • 企業規模や事業規模、サービス提供範囲
  • 情報セキュリティに対する意識や環境の質
  • 委託可能な業務量
  • 価格設定・納期設定の適性
  • BCP(事業継続計画)対策

できるだけ多くの情報を収集して懸念を少なくすることが、最適なBPOサービス事業者(BPOサービス)の選択に繋がります。

選定のカギは情報セキュリティの高さ

BPOサービス事業者の情報セキュリティに対する意識を見極める際の基準となる指標が、ISMS認証(BPO導入検討企業からの信頼獲得と情報漏洩によるトラブル防止を目的とした、企業内部の情報セキュリティマネジメントシステムが国際標準に達していることの証明)です。ISMS認証の取得有無はBPOサービス事業者の選定において、大きな判断軸となります。

また、情報セキュリティ方針・情報セキュリティ管理体制の公開有無、「秘密保持義務」や「秘密情報の使用許諾」、「目的外の使用の禁止」、「再委託の禁止」などの項目が契約書に含まれているかどうかも、ビジネス・プロセス・アウトソーシング導入による情報漏洩リスクを最小限に抑える見極めといえます。

海外BPOサービス選択のポイント

海外BPOサービスを利用して、海外企業のBPO事業者にアウトソーシングすることを「オフショアBPOサービス」と呼びます。このオフショアBPOサービスの選定は、提供するBPOサービス事業者が日本を含む各国の言語や国民性を正しく理解し、高度な視点から高品質なサービスを低コストで提供してくれているかが見極めのポイントとなります。

「日本語能力のレベル」、「日本人の特質や国民性への理解」、「委託業務内容への理解や実績」、「委託元企業との連携および情報共有意識の有無」、「業務遂行に必要な作業環境やスキルの保有状況」、「納期や作業時間に対する感覚」などは、運用後のトラブルを防ぐ重要な要因として知られています。オフショアBPOサービス事業者選定する際に、これらの要因を重視することで、オフショアBPOサービスによるリスクを最小化し、コスト削減やサービス・業務の高品質化につなげることができます。

まとめ

  • 不確実性が増す現社会において、事業リスクを最小限に抑え、成長産業やコア事業への経営資源の集中、または多角化経営は、既に常識となりつつあります。
  • ビジネス・プロセス・アウトソーシングは、現在の大きな転換期において、重要な役割を担い、企業価値を高める、重要な経営戦略として認識されています。
  • 一方で、日本企業は世界に比べて、BPOの活用が遅れているという指摘もみられます。日本企業が再び世界経済に大きな影響を与えるためにも、最適なBPOの活用は不可欠といえます。

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