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2018年11月9日(金)更新

客単価

客単価とは消費者が 一度の購入時に支払う額です。店舗の売上は客数と客単価で決まるため、売上を最適化するにはビジネスの企画段階から客単価の数値目標を決め、定期的に測定する必要があります。本記事では客単価の意味や計算方法だけでなく、その重要性と活用方法を紹介します。

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客単価とは

売上を構成するのは客単価と客数ですが、その一つである客単価は事業の企画・運営の担当者にとって、決して無視できない数字です。まずは客単価の定義と一般的な計算方法を紹介し、客単価の重要性を解説します。

客単価の定義

客単価とは、消費者一人当たりが一度の購買時に支払う平均額です。例えば飲食店の客単価は、消費者が一度来店したときに支払う平均金額で、店舗の売上高を来店客数で割って求めます。

客単価=売上/客数

飲食店、小売店、ECサイトでも売上高と客単価の考え方は同じであるため、どんなビジネスでも通用する重要な用語です。

ただし基本は同じですが、目的に応じて定義すべき客単価は微妙に変わります。例えばテーマパークの収入はチケット、グッズ販売、飲食店など様々です。チケット収入やパーク内の全店舗の総売上を入園者数で割って客単価と定義するケースや、パーク内の1店舗ごとの客単価を見るケースもあります。用途に応じて使い分けが必要です。

客単価の計算方法

売上高は客単価と購入客数の掛算であるため、その式を変形すれば客単価は売上高を購入客数で割った数として計算できます。

売上高=客単価×購入客数

客単価=売上高/購入客数

非常にシンプルな計算方法ですが、注意点は「購入客数」について、同一客を購入時ごとに別カウントした延べ数で計算している点です。つまり、リピーターと新規客を区別していないため、独立した一人の顧客(ユニーク顧客)の購入回数が分からないという弱点があります。これは特定の顧客が何度も購入していても把握できないことを意味します。

そこで延べ数ではなくユニーク顧客数が知りたい場合は、上記の「購入客数」を「ユニーク客数×購入回数」と計算し、売上高は「客単価×ユニーク客数×購入回数」と表します。この方法は客単価、ユニーク客数、購入回数それぞれの数字を元に、消費者の行動を細かく分析できるメリットがあります。

売上高=客単価×ユニーク客数×購入回数

客単価を求めるには、この式を変形して売上高を購入客数と購入回数で割ります。

客単価=売上高/(ユニーク客数×購入回数)

客単価の重要性

客単価はビジネスモデルを組む戦略段階から意識すべき重要な要素です。コンセプトや売上目標を立てる段階から客単価も明確な目標を設定する必要があります。

売上は「客単価×客数」ですから、売上を増やすためには客単価をアップするか、客数を増やすか、あるいは既存客の購入回数を増やすかのどれかしかありません。客単価をおろそかにして集客数ばかりにフォーカスしても、客単価が下がれば事業は成長しません。売上拡大のためには、客単価と顧客獲得とのバランスが重要です。

中には売上の要素のうち、客単価に集中せざるを得ないビジネスモデルもあります。例えば電力事業者など地域に競合が少ない企業であっても、サービスを提供しているエリアの人口以上に客数を獲得しようがないため、客単価の勝負です。この場合、顧客維持とともに「客単価をどの程度に設定するか?」が重要な課題です。

継続中のビジネスの場合は、事業の企画段階でのコンセプトと客単価の整合性が取れているかどうかの管理も重要です。商品の平均価格を抑える代わりに、抱き合わせ販売(クロスセル)で客単価を増やす意図のつもりが、集客用の採算ギリギリの目玉商品ばかりが売れ、客単価を減らして利益を圧迫する状況にならないよう注意する必要があります。

このように、客単価は売上拡大に不可欠なだけでなく、事業コンセプトの企画段階から運営段階の成果測定に活用できる重要な要素です。

客単価を分析するメリット

客単価は売上を構成する重要な要素ですが、客単価を分析することで具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?

売上アップを見込めるのはもちろんですが、顧客理解のヒントも得られ、その結果としてLTVのアップも期待できます。また、客単価の水準は消費者がサービスに対して抱くイメージにも影響することから、ブランディングにも関わります。さらに、客単価は事業経営の尺度として活用でき、分析して得られた課題を今後の経営に応用することが可能です。

売上・LTVの最大化

上記では客単価は売上を客数で割ったものだと説明しましたが、客単価をより細かく分解すると、客単価は商品群の平均価格と購入数量の掛算で表すことができます。

客単価=商品平均価格×購入数量

客単価を構成する商品の平均価格と購入数量を分析することで、商品の価格が安すぎるのか、あるいは購入数量が少ないのかなど課題が判明し、売上を増やすための施策が見えてきます。

例えばディスカウントストアのように商品平均価格は安く抑えて複数商品の組み合わせ販売を狙う戦略なら購入数量の増加に向けた施策が必要ですし、書籍やファッションのような同一商品の複数購入が想定しづらい商品なら、組み合わせ販売に加えて商品価格を見直して客単価を上げる施策が考えられます。

LTV(Life Time Value)とは一人の顧客が一定期間または生涯にわたって企業にどれほどの売上や利益などの価値をもたらしてくれるかを測る用語です。購入頻度が変わらない限り、客単価を増やせばLTVはアップします。客単価の中身の要素を分析した結果、購入頻度を増やす方が効率的だと分かればLTVの増加に繋がります。

ブランディングの実現

客単価を分析すれば、最適なブランディングを実現する上での課題も分かります。例えば「気楽に来店して値段を気にせず注文できるリーズナブルな居酒屋」というコンセプトでブランディングをしたい飲食店で、客単価を分析すると、実はメニュー平均価格が競合店と比べて高く、かつ注文数が少ないという事実に気づくかもしれません。

このようなブランディング目標と現実の運営のミスマッチは売上だけに注目しても気づきづらく、客単価の内訳要素を分析して初めて発見できる課題です。このように、企業が目指すブランディングと、それに見合った製品・価格戦略になっているのかを把握するためにも客単価の分析は役立ちます。

適切な経営・運営が可能

事業の理念や、店舗のコンセプトを考えるのは企画担当者の役割ですが、実行する過程では想定外の事態がつきものですし、従業員に落とし込む際には意図する通りに伝わらない可能性もあります。

客単価の内訳を見れば、例えば「高級志向を目指しているのに現場レベルで安売りに走っていないか」など、ビジネスが想定通りに行っているのかどうかの測定が可能です。

売上高の目標が重要なのはもちろんですが、目標を達成するための実行組織である実店舗やEC店舗を適切に運営する必要があります。当初に策定した方向性が計画通りに実現されているかどうかを測定する手段の一つとして、客単価を分析することが重要です。

客単価をあげるためのポイント

客単価をあげるにはどうすれば良いのでしょうか?

客単価の公式によると、商品平均価格を上げるか、購入数量を増やすしかありません。商品の値上げは効果がありそうですが、敬遠してしまう消費者もいるため慎重に検討する必要がある課題です。特定の商品に人気が集中している店舗なら、主力商品を補完する商品を同時に提案するなどして購入数量を増やすことが課題です。

客単価を「点」ではなく、「線」で見る

客単価を上げるには、売上や客数など一つの数字にこだわりすぎず、組み合わせで考えるのがポイントです。

客単価は一度に購入する際の支払い額ですが、これはあくまでも購入時単発の「点」にすぎません。通販や小売店業では一ヶ月、一年などと期間を区切り、その中での顧客の購入回数も合わせて考えるのが一般的です。そうすることで購買行動が「点」から「線」になり、客単価の伸びる要因を探り当てられる可能性があります。

期間内での購買行動が「縦」の線だとすれば、他のデータと合わせた分析は「横」の線です。例えばDM(ダイレクトメール)、会員向けメールなどのプロモーションや、天候季節などの環境要因、顧客のライフサイクルも重要なデータです。客単価や購入回数だけでなく、他のデータとの組み合わせで顧客の購買行動を理解するのが重要です。

バスケット分析によるクロスセルの実施

クロスセルとは購入時に他の商品も抱き合わせて販売し購入数量を増やす戦術です。客単価を増やすには有効ですが、ただ闇雲に商品を組み合わせても効果が薄い場合がほとんどです。消費者の欲求や困りごとを起点に売れる組み合わせを発見する必要があります。

そこでバスケット分析を活用する方法があります。バスケット分析とは、過去の購買データから「何と何の商品が同時に購入されることが多いのか」を探り出す手法です。ビールとおむつの例が有名ですが、バスケット分析の結果、同時に購入されているものを訴求すれば購入数量が増える可能性があります。

バスケット分析のポイントは、商品カテゴリで分けるのか、あるいは商品名で分けるのかなど情報の粒度です。例えば「スナック菓子」と「清涼飲料水」が一緒に購入されていても、細部を見ると特定の商品ブランドの組み合わせに集中している可能性もあります。なるべく多くの粒度のパターンを試すことで分析ミスを減らすことができます。

商品付加価値を高めた上での値上げ

値上げは客単価を上げるための最もシンプルな方法です。しかし、値上げは消費者にとってネガティブな印象が強いため、既存商品の品質がそのままで値上げをすると、購入数量も購入頻度も減り客単価の減少に繋がります。

そこで、値上げの際はメリットも増えたと顧客が納得できるよう、商品の付加価値を高める必要があります。理想は値上げ前よりも割安感が強いと思えるほど付加価値をアピールすることです。

ただし、経営資源は限られているため、付加価値とコストのバランスに注意する必要があります。まずは「現時点で既に備えている、隠れた価値」を訴求するのが、安上がりかつ効果的です。例えば食業界では健康志向の高まりにより、美味しさだけでなく産地や調理方法も差別化の対象になります。

また、値上げの方法についても、全商品一律、一部商品のみ、プレミアムブランドの創出による値上げなど、工夫してみることも大切です。

プロモーション・スタッフ教育の実施

客単価を増やすためには適切なプロモーションやスタッフ教育も必要です。

プロモーションのポイントは、どんな目的で誰をターゲットにするか明確に決めることです。客単価アップにつなげるには、プロモーションを単に自社ブランドのリマインドとして使うだけでなく、商品購入後の顧客の困りごとに先回りしてソリューションを提案するような価値ある施策が欠かせません。

スタッフ教育の目的はサービスの質の向上と効率的なオペレーションを実現し、その結果として顧客の満足度向上、そして客単価アップにつなげることです。

飲食店の接客や通販の注文の受電でも、対応するスタッフによって成約率や注文数にばらつきが出ることは頻繁にありますが、成績が優秀なスタッフが当たり前に行なっている行動パターンを特定して他のスタッフに標準化すれば客単価のアップが期待できます。

客単価の活用方法

客単価をデータとしてビジネスに活用する方法を紹介します。客単価は売上に影響するだけでなく、顧客の生の声を反映しています。分析して終わらせるだけではなく、データとして経営に有効活用しましょう。店舗運営の改善に活用する方法と、ビジネスの目標の測定基準として活用する方法が考えられます。

店舗レイアウト・陳列順の変更

客単価のデータは、店舗のレイアウト作りや陳列方法にも活用できます。例えば別の店舗と客単価を比較して差があった場合、その差を生み出している原因を探り改善策を特定する方法が有効です。

実店舗の場合、店舗売上は床面積と、商品の数や種類によって左右されます。もちろん面積は広く、商品数量や種類も多い方が有利ですが、床面積の制約がある中でも工夫の余地はあります。複数店舗の客単価を比較してみれば、同じような床面積にもかかわらず、客単価も売上も上がる特徴を発見できる可能性があります。

店舗ごとに客単価を比較し、優秀店の店舗レイアウトや陳列方法を分析して展開することで、他の店舗でも客単価が伸びる可能性があります。

【参考】売上を伸ばす商品陳列のコツ/J-Net21 中小企業ビジネス支援サイト

顧客満足度向上のKPIとして活用

客単価は顧客が満足しているかどうかのKPIとして活用することができます。KPI(Key Performance Indicator)とは「重要業績評価指標」のことで、ビジネスで特に重視すべき評価基準を指します。つまり客単価そのものを事業の良し悪しの指標として活用するわけです。

【関連】KPIの意味とは?KGIやOKRとの違い、設定方法やポイントまで徹底解説/BizHint

顧客満足度のKPIとして客単価が活用できる理由は、客単価の高さは商品の価格設定が妥当で、また顧客が商品を複数あるいは何度も購入したい意欲の現れと解釈できるからです。商品群の平均価格や、購入時一回当たりの購入数量だけでは顧客満足度が分かりづらいかもしれませんが、掛け合わせた客単価なら総合的な満足度の指標として活用できます。

客単価をKPIにする際のポイントは、最適な客単価を設定したら、それよりも高すぎず低すぎない範囲を目指すことです。業態ごとにふさわしい客単価が存在するので、試行錯誤を繰り返しながら妥当な数字に調整していく必要があります。売上アップには客単価の向上は不可欠ですが、客単価アップが目的化しすぎないよう注意しましょう。

初回購入率向上のための適正価格の発見

客単価のデータは初回購入率を向上させるためにも活用できます。

初回客は本当にその商品に価値があるかどうか不安で、失敗したくないと感じています。そこで既存客の客単価や、可能なら他社の客単価のデータを活用することで、潜在顧客が「これは安い」とインパクトを感じる価格がわかります。また、「この商品でこの価格なら損はしないだろう」と安心して購入できる適正な価格設定の参考にできます。

また、既存客の客単価をセグメントで分けることも有効です。客単価を分析すると、画一ではなく低・中・高などの層に分かれていることが一般的です。理由はブランドや価格帯の好みが違う、定期購入など購入頻度が違うことなどが考えられます。ポイントは、客単価層や購入方法に応じてアプローチを分けることです。

初回購入者の中には、まずは安くお試しをしたい、口コミで信頼しているため通常価格でも購入する意欲がある、あるいは商品を試した経験がありお得な定期購入のプランを探しているなど様々です。既存の客単価と購買パターンを細かく分析すれば、潜在客層ごとに適正な価格をアプローチすることができ、初回購入率の向上が期待できます。

まとめ

  • 客単価とは売上を客数で割って計算するもので、売上や利益目標を達成するための重要な要素
  • 客単価を分析すれば商品価格や購入頻度など売上アップのための課題を発見できる
  • 客単価のデータは販売方法の見直しや顧客満足度の向上にも活用できる

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