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2018年11月9日(金)更新

商品回転率

在庫が必要な商品(製品)の販売において、商品回転率は売上・利益を最大化させる上で重要な指標となります。商品回転率の向上は販売効率・投下資金効率を高めることにつながり、会社経営の重要指標となるROAにも大きな影響を与えます。今回は商品回転率(または在庫回転率)の定義や計算式・計算方法、売れ筋・死に筋商品の活用方法から商品回転率を向上させる対策をご紹介いたします。

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商品回転率とは

近年、インターネットの発展やIT技術の発達により、大企業だけでなく、中小企業や個人事業主が店舗型ショップやインターネット通販を展開しやすい環境が構築されました。商品(製品)の販売において、商品回転率は重要な指標となります。商品回転率の定義や在庫回転期間・リードタイムとの関連性、さらには商品回転率の考え方を知ることで理解を深められます。

商品回転率の定義

商品回転率(または在庫回転率)とは、「一定期間内に商品がどれくらい売れたか」を示す指標で、一般的に売上高(売上原価)を平均在庫高(平均在庫金額)で割った計算式で求められます。

主に製造業や小売業を営む企業や個人経営者が商品の仕入れから販売に至るまでの速さを示す指標として使われています。また、製造企業や卸売企業においても平均在庫高の計算に、その業界・業種特有のコストを含める場合があります。

一般的に商品回転率が高いと、その商品(製品)がよく売れており、店舗の売上・利益に貢献していることがわかります。一方で、商品回転率が高すぎると在庫切れを起こし、商品販売の機会損失につながってしまいます。逆に商品回転率が低いと、その商品(製品)の販売が上手くいっておらず、売れ残り(不良在庫、または滞留在庫)が発生するリスクが高くなります。

商品回転率の把握は顧客ニーズや売れ筋・死に筋商品の把握にもつながり、過小・過剰在庫による機会損失を防止することにもつながります。

商品回転率の計算方法

自社の販売状況を知る上で、商品回転率の算出は重要な業務のひとつです。適正在庫を実現する上でも正しい商品回転率の計算式・計算方法を知っておく必要があります。今回は商品回転率の基準や計算式・計算方法だけでなく、商品回転率と関連性が高い在庫回転期間の計算式もご紹介します。

商品回転率の計算式

一般的な商品回転率は、以下の計算式で算出されます。

商品回転率(在庫回転率)=期間中の売上高(売上原価)÷ 期間中の平均在庫高(平均在庫金額)

平均在庫高=(期間開始の在庫高+期間終了の在庫高)÷2
※1年間の平均在庫高を求める場合は、「期間開始の在庫高」に「期首在庫高(去年の在庫残高にあたります)を、「期間終了の在庫高」に「期末在庫高」をそれぞれ記入します。

算出対象となる期間内の売上高(売上高)と平均在庫高(平均在庫金額)を設定します。1年間の商品回転率を求める場合、平均在庫高(平均在庫残高)は期首在庫高(期首在庫金額または、期首棚卸資産額)と期末在庫高(期末在庫金額または棚卸資産)の合計を2で割った金額となります。

2017年の売上高が2,000万円、期首在庫高800万円、期末在庫高が650万円の場合、2017年の商品回転率は、以下の計算式となり、商品回転率は2.76となります。

2.76[商品回転率]=2,000万円[売上高]÷ (800万+650万÷2) [平均在庫高] ※小数点第三位は繰り上げ

在庫回転期間の計算式

在庫回転期間とは、売上目標に対して、「どれくらいの期間、商品(製品)を保有しているか」を指す指標で、在庫を全て売却するまでにかかる期間を指します。在庫回転期間は、商品回転率の逆の立場から考えることが多く、「抱える在庫をどれだけの期間で売却すべきか」という視点から、売上目標の立案や目標に対する商品回転率の目安の策定に役立ちます。一般的な在庫回転期間は、以下の計算式で算出されます。

在庫回転期間 (日数)= 平均在庫高÷売上高×365
※在庫回転期間を日数で算出するため、365日を掛けています。

前述の商品回転率の計算式の例で算出すれば、年間の在庫回転期間は132日となります。

132日[在庫回転期間]=725万[平均在庫高]/2,000万円[売上高]×365

在庫回転期間が短くなった場合、商品(製品)の販売状況が好調であると判断できます。一方で、在庫回転期間が長くなっている場合、売れ残り(不良在庫、または滞留在庫)や過剰在庫の可能性が考えられます。

このように在庫回転期間は、過去の実績から販売されている商品(製品)の状況を把握し、適切な対策を打ち出せます。

商品回転率の基準

商品回転率の基準は扱う商品(製品)や業界、または大企業と中小企業の規模間格差によって異なるため、明確な基準値は存在しません。また、一般的に消費期限が設けられている商品(製品)を扱っている場合は、消費期限が商品回転率の基準となります。企業が掲げる売上目標によって、商品回転率を設定することも多いため、商品回転率の基準は各企業によって、自由に設定できるといえます。

前述の通り、顧客満足度の視点から考えれば、在庫切れを誘発しやすい高い商品回転率の維持が必ずしも良い基準とも言えません。そのため、自社の商品(製品)の特徴や顧客の属性を考えた上で、最適な商品回転率を設定することが大切です。

売れ筋・死に筋商品の活用方法

商品回転率を適切に活用することで、店舗やインターネットショップの問題点を把握し、改善施策を打ち出せます。今回は、売上・利益を向上させ、店舗やインターネットショップを継続していく上での活用方法をご紹介します。

適正在庫の基本的な考え方

適切在庫を考える際は、商品回転率や平均在庫量(平均在庫数)に対する正しい考え方を持つことが大切です。考えるべき視点として、「顧客・消費者の視点」と「経営の視点」の2つが挙げられます。顧客の視点で考えると、顧客が欲しい商品(製品)がいつでも手に入れる状態(在庫数に余裕がある状態)は歓迎されるべきです。

一方で、経営の視点から考えれば、販売状況が好調(商品回転率が高い)な時は余裕のある在庫数は問題ありませんが、商品(製品)の訴求力が低下し、売れ行きが低迷した(商品回転率が低い)時は経営を逼迫する不良在庫となってしまいます。そのため、最適な商品回転率を設定する際は、相反する2つの視点をバランス良く保ち、臨機応変に調整していくことが求められます。

商品状況の把握による施策の策定

店舗やインターネットショップにおいて、売れ筋商品と死に筋商品の把握は、今後の新商品の入荷や在庫処理において、重要な判断要素となります。一般的に商品回転率の高低で、売れ筋・死に筋商品を判断でき、それぞれにリスクと対応策が異なります。

商品回転率 商品の性質 リスク 対応策
高い 売れ筋商品 在庫切れによる販売機会損失 在庫の増加、リードタイムの短縮
低い 死に筋商品 不良在庫(滞留在庫)・過剰在庫 値下げ・セール対象商品の指定

売れ筋・死に筋商品の把握は、来期の販売予測や新商品開発の重要な情報源となります。そのため、商品回転率や在庫回転期間の把握は、製造業や小売業、卸売業を営む経営者にとって欠かせない指標といえます。

顧客ニーズの把握

商品回転率の把握は、顧客ニーズの把握にもつながります。近年では、消費者価値観の多様化による、プロダクトライフサイクルの短期化が進んでいるため、顧客ニーズを商品回転率や在庫回転期間のみで、顧客ニーズを判断することは難しいと考えられます。消費者の購買意欲に影響を与えやすいインターネットやSNSから、潜在的な顧客ニーズを見つけ出し、裏付けとなる数値的根拠として、商品回転率を活用することも効果的です。

過小・過大在庫による機会損失の防止

店舗やインターネットショップにとって、適正在庫の維持は過小・過大在庫による機会損失の防止につながります。そして、適正在庫を実施する上では商品回転率の把握が不可欠です。商品回転率が高い場合、在庫切れによる機会損失を生み出すため、在庫数をコントロールする必要があります。

一方で、商品回転率の低下による不良在庫(滞留在庫)・過剰在庫の保有は、将来的に経営の逼迫要因となり得ます。そのため、商品回転率の向上ばかりに目を向けるのではなく、過去の実績から最適な商品回転率や在庫回転期間を導き出した上で予め振り幅を設定しておくことで、在庫数の柔軟なコントロールが可能となります。

商品回転率を向上させるためのポイント

商品回転率を向上させるためには、いくつか押さえておきたいポイントが存在します。今回は店舗やインターネットショップの経営者から現場社員まで知っておくべき、商品回転率を向上させるポイントをご紹介いたします。

リードタイムの把握

商品回転率と在庫回転期間を把握し、適正在庫を維持していく上で重要となる指標にリードタイムが挙げられます。リードタイムとは、発注から納品までにかかる期間を指します。近年では、インターネット通販事業を手掛ける企業・個人事業主が増えており、顧客にいち早く商品(製品)を届け、顧客満足度を高めようとする動きが活発化しています。

リードタイムの縮小は商品回転率を高めて在庫回転期間も縮小できる、店舗・インターネット通販にとって重要な指標として認識されています。そのため、適正在庫を考える上でも考慮したい指標といえます。

販売計画の事前立案

商品回転率の向上には、事前に販売計画を立案し、運営を通して、コントロールすることが大切です。店舗やインターネットショップの担当者は、販売員のマネジメントや梱包・発送などの店舗業務に忙殺され、商品回転率や在庫回転期間を意識した発注作業を怠りがちになります。

そのため、商品回転率や在庫回転期間の重要性を知ってもらうように現場の管理者や従業員向けの社員教育を施すことが大切です。また、事前に商品回転率を目標のひとつにすることで、発注時に適切な発注量を算出してから入荷する意識が芽生えます。

綿密な販売計画も効果的ですが、本部や事業主から目標商品回転率を支持し、簡単な販売計画を立てるだけでも、店舗の売上・利益に大きな差が生じます。企業としても現場のスタッフが商品回転率や在庫回転期間を迅速に把握・意識できるよう、業務システムの導入などを通して発注業務のサポートを施すことも大切です。

在庫状況の定期的な見直し

商品(製品)を販売する企業や店舗にとって、定期的な在庫状況の見直しは重要な業務のひとつです。過去の在庫状況と商品回転率を照らし合わせつつ、現在の在庫状況が最適なものであるかを確認することが求められます。可能であれば、毎月の在庫状況と前年の同月比を参考にしながら、商品回転率の向上に努めることも効果的です。

店舗担当者も含め、経営陣が中心となって、毎月の在庫状況を把握し、臨機応変に店舗コントロールをすることで、目標とする商品回転率の向上が可能となります。在庫別に適切な仕入れ数量を把握しつつ、現在のトレンドを理解した上で、売れ筋商品が在庫切れを起こさないように心がけることが大切です。

経営の視点(ROA)で考える

商品回転率は、会社経営で重要となるROA(純資産利益率)とも関わりが深く、企業の売上・利益に大きな影響を与えます。ROAには商品(製品)だけでなく、店舗運営に欠かせない土地や建物も含まれるため、商品回転率の向上はROAの向上にもつながります。そのため、店舗運営に関わる管理職(管理者)や社員は「経営の視点」を持って、商品回転率の向上施策の実施や在庫管理に従事させることが大切です。

また、競合店の販売状況の追跡は、競合他社から顧客を獲得するチャンスとなります(競合店が需要に応じ切れていない場合、自社の商品(製品)で代替が可能なため)。リアルタイムでの競合店の状況は、実際に店舗運営に関わる社員やスタッフが追跡しやすいため、近隣の顧客ニーズの把握とともに競合店の追跡作業を普段から心掛けておくことも大切です。

経営幹部だけでなく、店舗運営に携わる全ての従業員に商品回転率とROAの関連性・重要性を理解させるように社員教育を施すことが経営者の責務といえます。

商品回転率向上のための対策3選をご紹介

商品回転率を向上させる対策は、店舗やインターネットショップ上で、顧客の購買モチベーションを高める施策が効果的です。今回は商品回転率を向上させる、代表的な対策3選をご紹介いたします。

最適なマーチャンダイジングの実施

商品回転率は、期間を指定して、商品の販売状況を把握することができます。また、商品回転率を向上させる有効な手段として、販売価格の改定が挙げられます。商品の売れ行きの状況が、販売価格に起因することも考えられるため、商品回転率の把握とともに販売価格の見直すことで、商品回転率の向上が期待できます。

商品(製品)・サービスの販売促進戦略のひとつに、価格や販売形態を決定するマーチャンダイジングというマーケティング戦略が挙げられます。価格や販売形態の決定プロセスに商品回転率を組み込むことで、販売促進戦略の精度向上に期待ができます。

新規顧客とリピーターの獲得

商品回転率の向上には、商品(製品)・サービスの価値や販売価格の見直しが前提ですが、新規顧客とリピーターを増やすことでも商品回転率の向上が期待できます。競合他社の売れ筋商品を分析し、類似品を導入することで、他店から顧客の獲得が見込めます。

また、売れ筋商品を把握した上で、商品(製品)・サービスの品質を向上させることで、リピーターの育成にもつながります。このように商品回転率は、購入客を開拓するための施策の大元にすることができ、さまざまな店舗運営で売上・利益を高めるきっかけとなります。

店舗の顧客導線・商品陳列・スタッフ配置の変更

商品回転率の低下は、商品(製品)単体の訴求力だけに依存するわけではありません。店舗の顧客導線や商品陳列の仕方によっても影響を受けます。近年では、AI(人工知能)の発達やビッグデータの活用が進んでおり、来店客の動きと購買との因果関係を分析し、最適な顧客導線や商品陳列、販売員の配置の策定に役立てる試みがされています。

このように、店舗全体の問題点・改善点に着目し、死に筋商品の商品回転率を向上させることが可能です。来店客の動きに触れやすい販売スタッフや店舗管理者の知識・経験を活用し、店舗の顧客導線や商品陳列、スタッフ配置の変更を行うことは商品回転率向上に効果的といえます。企業としても、現場社員が柔軟な対応を実施できるように、権限委譲を行うことも重要です。

まとめ

  • 商品回転率は、商品(製品)を展開する会社や個人事業主にとって、店舗やインターネットショップを継続させるための重要な指標です。
  • 近年では、消費者価値観の多様化やファストアイテムの増加により、商品(製品)のプロダクトライフサイクルの短期化が進んでいます。
  • 商品回転率を迅速かつ正確に把握することで、適切な在庫管理と販売促進による売上・利益の向上が見込めます。

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