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2018年11月8日(木)更新

人事システム

人事システムとは、社員に関する様々なデータを一元管理し、それを給与計算や処遇の決定、人材配置や人材育成、または人材マネジメントなどに活用するためのシステムの事を言います。今回は、この人事システムについてご紹介します。

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1.人事システムとは

人事システムとは、企業の社員に関する様々なデータを一元管理し、それを給与計算や処遇の決定、人材配置や人材育成などの人材管理、または人材マネジメントなどに利用するためのシステムの事を言います。

人事システムは、主に二つのカテゴリに分ける事ができます。一つは、勤怠管理や給与計算など人事部のルーチンワークを助ける、所謂「人事・給与系システム」。そしてもう一つは、その人材データを適正な人材配置や人材育成、戦略的な人事などに活用する「人材マネジメント系システム」です。詳細は「3.人事システムの種類と機能」でご紹介します。

2.人事システム導入の目的

それでは、人事システム導入の目的について見てみましょう。

業務の効率化やコスト削減

人事システムを導入していない場合、主にExcelや紙ベースで人事データを管理しているケースが多く見られます。しかし、人事データには社員の個人情報・所属部署・入退社の履歴・評価など様々な種類があります。これらを手作業で管理すると、作業が煩雑になるだけではなく、形態の違う様々なデータがあらゆる場所に存在するため、それを活かしきれなくなってしまいます。

これらを一つのシステムで一元管理する事で、まず人事部門の作業の効率化が図れ、本来のコア業務に集中する事ができます。それにより、管理コストの削減にも繋がります。

企業のパフォーマンスの最大化

今までバラバラだった人材データが同じ形態で一つに集まる事で、社員それぞれの特性が見つけやすくなり、優秀な人材の発掘や、適材適所の人材配置が可能となります。それぞれが自身の能力を生かした場所でスキルを発揮する事で、個人、ひいては組織のパフォーマンスを最大化する事に繋がります。

社員のモチベーションの向上

スキルや評価などの人材のデータ管理が適正である事、そしてそれが人材配置や処遇に適正に活用される事により、処遇に対しての社員の納得性も増します。

また、人事システムの中でも特に、社員個人の能力を発掘し戦略的人事に活かす事を目的とした「タレントマネジメントシステム」を導入する事により、社員は自身の目標や評価、そして今後のキャリアをより強く意識するようになります。そうする事で、社員個人のモチベーションを高める事にも繋がります。

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人材育成

特に「タレントマネジメントシステム」などの人材マネジメント系システムを導入した場合、社員の経歴・スキル・能力・評価などのデータを一元管理し分析する事ができます。そうする事で、優秀な人材、所謂「タレント」を見つけ出し個別の人材育成に取り組むなど、次世代リーダーの育成をいち早く実施する事も可能となります。

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3.人事システムの種類と機能

それでは、人事システムの種類について詳しく見てみましょう。

人事・給与系システム

まず、「人事・給与系システム」です。これらのシステムは、主に人事部の負担軽減を目的に提供されています。

勤怠管理システム

社員の出退勤・勤務時間などの「勤怠」を管理するシステム。通常の勤務に加えて、残業時間や休日出勤・欠勤などのイレギュラー勤怠も把握でき、そのデータを元に給与計算などを行います。そのため、給与計算システム等と連動しているケースも多くあります。

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給与計算システム

「勤怠管理システム」などで収集した勤怠データを使い、社員の給与計算を行う給与業務(給与管理業務)の補完システムです。毎月の給与計算のみならず、所得税などの計算・年末調整・扶養控除などの計算機能を備えるシステムも多くあります。また、その時点の最新の法令に準拠した自動計算を行えるシステムもあり、給与担当者による人為的なミスを防ぐ事が可能となります。

人事労務システム

基本的な社員情報を一元管理でき、労務関係の手続きを簡素化するシステムです。例えば、氏名・住所など社員の基本情報から、所属などの組織情報などを一元管理し、その情報を使って入社から退社までの手続きに関わる書類作成や手続きをスムーズに行います。また、社会保険・雇用保険・年末調整・人事の発令管理機能など、雇用関係の一連の手続きも自動入力で簡単に実施できるシステムも多数あります。

近年ではマイナンバー制度の制定に伴い、マイナンバー管理機能が追加されたものや、顔写真を設定できるものなど、様々な機能を備えたシステムが提供されています。

人材マネジメント系システム

次に「人材マネジメント系システム」です。このシステムは人事部のみならず、例えば各部署のリーダーや管理職、戦略部門、または経営者が利用する場合もあります。

採用管理システム

採用管理システムには「新卒採用向け」「中途採用向け」「アルバイト向け」など雇用対象を限定したものや、「リファラル採用向け」など採用方法に特化したものなど様々な種類があります。

主な機能は、母集団形成から応募者とのコミュニケーション、説明会などのプロジェクト管理、採用活動のスケジュール管理、応募者の管理、選考管理など採用にまつわる情報やスケジュールを一元管理できるものがほとんどです。このシステムを利用する事で、煩雑な採用業務をスムーズにすると共に、連絡や作業の抜け漏れを防いだり、複数人で同じ情報を共有できるなどのメリットがあります。

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教育・研修システム

社内での人材教育・研修に特化したシステムです。例えば、Web上で営業等のロールプレイングが行える機能や、eラーニングなどの動画配信を行う機能を有するシステムもあります。また、受講者の管理、課題やテストの管理などの機能を備えたシステムもあります。

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タレントマネジメントシステム

このシステムは、社員の持つ能力・スキル・経験などのデータを一元管理し、それを戦略的な人事に活かすシステムの事です。集約されたデータを可視化し分析する事で、適正な人材配置に活用したり、有能な人材を発掘し次世代リーダーとして育成するなどの目的で導入されます。

一言で「タレントマネジメントシステム」と言ってもその範囲は幅広く、「評価・目標管理」「能力管理」「モチベーション管理」に特化したものなど、様々な種類があります。

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4.人事システムの変遷

それではここで、人事システムの変遷について見てみましょう。

1980年代

この時代の日本は「終身雇用」「年功序列」という日本式のルールに従って人事制度が進められていました。そのため、利用されていた人事システムもその制度を補完するためのもので、主な機能は給与管理・勤怠管理・労務管理などに限定されていました。また導入も、一部の大手企業に限られていました。

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1990年代

バブルが崩壊し、これまでの「終身雇用」の制度が徐々に衰退してきた時代です。そのため一部で「年功序列」に代わる「成果主義」が導入されるなど、人事制度も多様化の片鱗を見せるようになります。これに伴い人事システムも、これまでのように汎用的なシステムではなく、各企業のニーズに対応できる柔軟なシステムが求められるようになりました。

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2000年代

この年代になると、雇用形態の多様化やグローバル化も進み、人事制度もより柔軟な対応が必要とされるようになります。そして、経営戦略の一つとして「人材活用(人財活用)」が叫ばれるようになります。そんな環境の中、これまでの勤怠管理や給与計算のみならず、人材の戦略的な活用を目的とした「タレントマネジメントシステム」が登場します。

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2010年以降

近年は変化の激しい時代であると言われており、人材や雇用体系も更に複雑化しています。そのため人事システムも多様化し、様々なニーズに個別に応えられるようになっています。導入が比較的簡単な「クラウド型」が主流となり、人事システムを導入する企業も増加しています。

5.人事システムの提供形態

それでは、人事システムの種類を提供形態別に見てみましょう。

ITシステムタイプ

まずは、ITシステムタイプを見てみましょう。

オンプレミス型

オンプレミス型とは、システム運用のために必要なサーバなどを自社で導入し、システムを構築する事を言います。

メリットとしては、通信速度が比較的早い事、自社サーバを利用するためセキュリティ面でリスク回避できる事、そしてシステムのカスタマイズが容易であるという点が挙げられます。一方デメリットとしては、サーバ構築などの初期費用が高額である事、構築のための時間が必要である事、またサーバなどの管理を自社で行う手間などが挙げられます。

クラウド型

クラウド型とは、インターネットを介してベンダー側のシステムを利用する事を言います。

メリットとしては、ベンダー側のサーバを利用するため、最短で1日程度で導入できる場合もあります。サーバ購入・構築などの初期費用も要らず、コスト削減にも繋がります。デメリットとしては、インターネット経由での利用となるためセキュリティ面に不安が残る点、自社のニーズに合ったカスタマイズが難しいといった点が挙げられます。

パッケージソフトタイプ

次に、パッケージソフトのタイプです。

ERP型

ERP型(Enterprise Resources Planning型)とは、企業の様々なデータを統合管理する事を目的に作られたソフトで、主要な機能(例えば、財務・会計・人事・調達・在庫管理など)を網羅したパッケージソフトの事を言います。

メリットとしては、パッケージ製品のため比較的短期間・低コストで導入でき、ベンダーからのサポートも受けやすいという点があります。一方デメリットとしては、その製品に装備されている機能しか利用ができず、他製品の機能は当然諦めざるを得ないという点にあります。自社のニーズに併せてカスタマイズが可能な場合もありますが、結果コストが膨らんだり導入に時間がかかるという弊害が出てしまいます。

ベスト・オブ・ブリード型

ベスト・オブ・ブリード型は、システムを導入する際に一つの製品やベンダーにこだわらず、様々なハード・ソフトウェアを検討し、それぞれを組み合わせてシステムを構築する事を言います。

メリットとしては、自社にとって最適な機能を網羅する事が可能になるという点が挙げられます。一方でデメリットは、それぞれ独立した製品を連動させるという難しいシステム構築が伴うため、開発までに工数や時間・コストがかかるという点です。

6.人事システム導入のステップ

それでは、人事システムを導入する際のステップを見てみましょう。

①人事システム導入の目的を明確にする

まずは、人事システムを導入する目的を明確にする事です。この目的が明確になっていないと、そもそもどのようなシステムを導入するのか、どのような形態で導入するのか、どう運用するのかが見えてきません。

「人事部門の負担軽減・コア業務への集中」「多様化する人材のパフォーマンスの最大化」などまず大きな目的を定め、その上で短期的・中長期的な目標を設定し、それを導入チームで共有しましょう。

②予算・導入規模・将来的な展開を検討する

目的・目標が決まったら、導入のための予算・規模・そして将来的な展開を検討します。その目的が組織にとってどの程度重要なのか、そしてこのシステムを導入・運用する事により、それがどの程度の期間でどのくらい達成できるのか、あらかじめ予測・計画しておく必要があります。

③必要な機能を網羅したシステムをピックアップする

予算や導入規模が決定したら、目的や目標に合ったシステムをピックアップしましょう。一説には人事システムだけで200種類以上あるとも言われています。その中で、自社のニーズに沿った機能や管理項目を持つシステムをいくつか選び、導入チームで比較検討しメリット・デメリットを挙げてゆきましょう。

④数社にデモや見積もりを依頼する

複数のシステムを比較検討したら、選考に残ったシステムについてベンダーに見積もりやデモを依頼しましょう。実際に担当者からプレゼンを受け、その場で質疑応答などを実施しましょう。可能なら、実際に使ってみてユーザビリティを確かめる事も重要です。

また、ベンダー側のフォロー体制や姿勢など人的サポートの精査も必要です。

⑤人的フォローも鑑みた上で導入システムを決める

機能・予算だけでなく④で精査した人的サポートも含め、自社の目的を一番実現できそうなベンダー、システムを選びます。特にタレントマネジメントシステム等、人材戦略を目的としたシステムの場合は、導入後も長くパートナーとしてやり取りしてゆく事になります。ベンダーとシステム選びは慎重に行いましょう。

7.人事システム導入のためのポイント

それでは、システム導入のためのポイントについてご紹介します。

社内におけるシステムの専門家を味方につける

クラウドサービスのようにインターネット経由でベンダー側のシステムを利用する場合は、比較的知識がなくとも容易に導入が可能です。しかし、それ以外のシステムの場合、システム構築・運用についての知識や技術のある社員の協力が必要となります。

あらかじめ該当部署に協力要請し、システム導入チームに加わってもらう、また運用段階でもサポートを依頼するなど、社内の協力体制を確保しておく事が必要です。

予算検討の際、将来のカスタマイズ等も視野に入れる

カスタマイズは導入時のみ必要と思われがちですが、人事システムの特性として法改正などによる都度のカスタマイズも必要となる可能性があります。クラウドサービスなど比較的簡単にカスタマイズができるシステムもありますが、あらかじめその予算についてもベンダーと擦り合わせ、想定しておく必要があります。

また、自社の人事制度の変化に伴う機能の追加や変更など、その際にどの程度の予算と期間が必要なのかも、あらかじめ把握しておく必要があります。

効果を急がず、計画的に進める

人事システムを導入すれば、すぐにコスト削減に繋がる、すぐに人材のパフォーマンスが最大化する、という事はあり得ません。例えばタレントマネジメントシステムであれば、まず全社員のスキルや能力などの情報の一元化のため、各部署や拠点に協力を依頼し、情報の入力・更新を促します。

これまでバラバラに存在していた情報をまとめるには、ある程度の時間が必要です。期間には余裕を持って計画的に進め、そのデータの完成を待ってから分析、そして戦略的な人材活用に活かします。急がず、順番にステップを踏みながら進めましょう。

他システムとの連携を確認する︎

見落としがちなのが、他システムとの連携の可否です。例えば、既に人事の基幹システムは導入されている状態で、タレントマネジメントシステムを導入する際、既存システムと新規システムの互換性がないと、既に一元化されている社員情報を活用できない、等という事にもなり得ます。

導入検討の際、既存システムについても詳しく知り、その上でベンダー側と相談しながら慎重に導入を進めましょう。

8.人事システムの企業事例

それでは最後に、人事システム導入の企業事例を見てみましょう。

日産自動車株式会社

日産自動車株式会社は、2017年に全世界共通のグローバル人事システムを導入すると発表しました。利用するシステムはクラウド型の「ワークデイHCM」を予定しています。このシステムを利用する事により、統一したシステムを利用したグローバルで均一な評価の実現と、全世界12万人以上の従業員の人材の有効活用を目的としています。

日産自動車は、各国においてこれまで異なる3つの人事システムを運用していました。そのため、全世界で統一的な評価が実施できない、という課題がありました。それを統一するために、2013年にプロジェクトを始動。人事制度について全世界共通で利用できる要素・逆に各国オリジナルの要素などを分析し、全世界で適正な人材配置を実施できるシステムを構想。その上で一部の拠点において試行を行い、今回の導入に至っています。

【参考】ZDNet Japan「日産自動車、2017年上期にグローバル人事システムを全世界規模で稼働」

株式会社ファーストリテイリング

ユニクロやGUを運営する株式会社ファーストリテイリングでは、世界共通の人事システムを導入しています。これは、世界約9万人の人材情報(人財情報)を一元管理し、そのデータベースを分析して優秀な人材を発掘し、適正な人材配置を実現する事を目的としたものです。

同社は、全社員の経歴・評価・キャリアなどを管理するシステムを構築。これにより現地に居なくても優秀な人材やモチベーションの高い人材を見つけ出す事が可能となります。各国の現地社員を、その国だけではなく世界で経営幹部などに起用するという本来の構想が実現可能となるのです。

【参考】日本経済新聞「ファストリ、国境越え人材登用 人事システム統一へ」

9.まとめ

  • 人事システムは人事部門の負担軽減や人材のパフォーマンスの最大化など、目的別に様々な種類のシステムが提供されている
  • 人事システムは主に「人事・給与系」「人材マネジメント系」に分けられ、特に人材の多様化が叫ばれる昨今では人材マネジメント系のシステムを導入する企業が増えている
  • 日産自動車やファーストリテイリングなど全世界に多数の社員を抱えるグローバル企業では、世界共通の評価と人材活用を目的とした統一人事システムの運用が始まっている

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