はじめての方はご登録ください(無料)会員登録
search

2018年11月28日(水)更新

在庫管理

在庫管理の本質は、先に支出するお金を管理することにあります。重要性は理解されつつも、煩雑さなどを理由についおろそかになりがちな在庫管理ですが、先にお金が出ていることを認識することがポイントです。企業規模、業種や業態に沿った在庫管理システムを導入し、在庫管理の効率化に取り組むことで、企業の収益性や財務体質は改善していきます。

在庫管理 に関するビジネス事例や製品の情報を受取る

在庫管理とは

在庫管理といえば、保有している現品を適正に管理することをイメージしやすいですが、その本質は、在庫の形で先に支出した資金を期待した利益を上乗せして効率的に回収するための一連の管理プロセスを意味します。

狭義の在庫管理は、商品などの入庫業務以降の保管や運搬などの管理業務を意味しますが、広義では、入庫業務前の業務であるの需給予測、仕入先への発注等の業務プロセスを含めて管理の対象とします。

この記事では、主に狭義の在庫管理についてご紹介します。

在庫の種類

在庫の種類は業種によって多様な種類や形態が異なりますが、「お客様に販売できる価値を有した完成品」と「価値を創成中の未完成品」の2つに大別できます。

完成品の例

  • 製品(製造業)
  • 商品(卸売業、小売業など)
  • 完成品(建設業など)

未完成品の例

  • 原材料(製造業,建設業)
  • 仕掛品(製造業)
  • 未完成工事(建設業)
  • 半製品(製造業)

在庫管理の業務一例

狭義の在庫管理業務は次表のとおりとなります。

業務名 摘要
受入 仕入先から届いた商品を倉庫に仮置きする
受入検査 数量やスペックなど条件通りの納品か検査する
入庫・仕入確定 検査完了後適正な商品を棚卸資産及び買掛金に計上する
保管 商品の形態、種別などによって適切な保管方法を選定し、品質を維持しながら一定期間保管する
出荷指示 商品、数量、日時など出荷情報を指示する
ピッキング 出荷指示に対し必要な数だけ商品を保管場所から抜き出す
品揃え・検品 ピッキング後に特定の場所に集め、出荷指示との確認を行う
出荷 自社倉庫から注文先へ搬出する
棚卸 棚卸ルールに基づいて実在庫数を確認する

在庫管理の重要性

在庫は「既に支出し、現金化を待っている資産」です。適正な在庫管理が行われていないとどのような問題が発生するのか、顧客満足度視点と収益性と資金効率視点で理解することが重要になります。

在庫管理ができていないとどうなるのか

2つの視点から見た場合の在庫管理ができていないために生じるリスクは、それぞれ以下が挙げられます。

顧客満足度の視点

  • 適切な保管を行わないと商品の機能劣化などの問題が生じる
  • お客様の欲しいものが欲しい時に提供することができない

収益性と資金効率の視点

  • 在庫不足の場合、売上の機会損失となる
  • 過剰在庫の場合、資金回収の遅れや資金ショートが発生する
  • 過剰在庫の場合、在庫の保管コストや値下げ、廃却費用などにより収益性が悪化する

在庫管理のメリット

適正な在庫管理プロセスを構築することで上記の問題を解決し、「顧客満足度の向上」と「財務体質の健全化」を実現することができます。

在庫管理の課題

一連の在庫管理業務に発生する課題は企業によって様々ですが、特に「帳簿上の在庫と実在庫が合わない」在庫差異の問題は、多くの企業が日々取り組んでいるテーマです。

在庫差異とは?

在庫差異は、日々の入庫や出庫を記録した在庫台帳やシステム上の在庫データと棚卸した実在庫数が合わないことです。

棚卸とは一定期間ごとに保有している商品の在庫の数量を実測し、在庫の金額を評価、計算することをいいます。

在庫差異の金額が大きくなると、企業の収益性や資金繰りに大きな影響が出る可能性があります。

在庫差異の発生原因

  • 在庫管理ルールがない、もしくは曖昧になっている
  • 在庫管理ルールを従業員に徹底していない
  • 倉庫などの5Sが徹底されず、現品管理に手間がかかる
  • 発注数など台帳やシステムへの記入忘れや記入ミスなど人為的なミスが発生している
  • 発注時期など台帳やシステムへの記入、入力のタイミングがずれている
  • 棚卸の実施間隔が長

適切な在庫管理を行うための方法とは

適正な在庫管理を行うためには、以下の4つが重要です。

  1. 在庫管理ルールの明確にし、ルールを守るよう従業員への教育を徹底すること
  2. 紛失や機能劣化を防ぐために、ロケーション管理を行うこと
  3. 在庫差異をなくすために棚卸の実施期間を短縮すること
  4. 在庫管理業務の生産性向上を図るためにIT化など効率化を行うこと

在庫管理ルールの徹底

在庫管理ルールとは、例えば、入庫時点で入庫金額と仕入先の金額に差異が発生した場合、誰がどのように調査し、どのように解決するのかを決めることです。

5W1Hの切り口で整理しますが、特に「誰が」を決めることが大切です。

さらに5W1Hの切り口でのルールを策定することは、在庫管理システムの導入など効率化を図る上で重要な要素となります。

ロケーション管理の実施

ロケーション管理とは商品をどこに置くかを事前に決定し、どこに置かれているかを正確に把握することです。適切にロケーション管理を行うことで、ピッキング作業の効率化や誤出荷の防止などの効果があります。

ロケーション管理には、入庫する場所を事前に決める固定ロケーションと任意の場所に入庫ができるフリーロケーションの2つがあります。

固定ロケーション管理

固定ロケーション管理とは、商品ごとに、倉庫内のアドレスが付与された特定の場所に保管する運用のことです。

メリットとしては、商品が探しやすく在庫の有無が一目でわかること、作業者がわかりやすいことなどがあります。

デメリットとしては、商品ごとに場所が必要にため無駄なスペースが生じること、商品構成が変化した場合に場所の構成を変更する必要などがあります。

フリーロケーション管理

フリーロケーションとは、どの商品もどの場所に保管することができる運用をいいます。

メリットとしては、空いている場所に保管できるためスペース効率が良いこと、商品構成の変更にも柔軟に対応できることなどがあります。

デメリットとしては、同じ商品でも違う場所に保管しているため、在庫の有無が確認できないこと、ピッキング作業の効率が悪くなることなどがあります。

業種に合った期間での棚卸の実施

棚卸作業は、実在庫を確認し、決算に反映させる重要な業務です。

現物を実際に確認する実測が前提となるため非常に手間のかかる作業であり、期末時の一大イベントとなっている企業も多くあります。

棚卸には、主として製造業で行われている「一斉棚卸」と主として小売業で行われる「循環棚卸」の2つがあります。

  • 一斉棚卸
    一斉棚卸とは、棚卸日には、入荷・出荷など通常業務を取りやめて全ての商品・場所を一斉に確認する棚卸です。決算値を確定する上で正確な数値が把握できるメリットはありますが、棚卸日には通常の営業がストップしてしまうデメリットがあります。
  • 循環棚卸
    循環棚卸とは、多店舗展開を行う小売業などで行われている棚卸で、お店ごとに異なった日に棚卸を行います。店舗ごとに行うため棚卸作業が少ない人手でできることや、他の店舗では営業がストップしないなどのメリットはありますが、企業全体の在庫数値の正確性に信頼性が損なわれる可能性があります。

在庫管理業務の効率化

在庫管理は業種や事業規模によって多種多様なため、100の企業に100の在庫管理があるといっても過言ではありませんが、効率化に取り組むうえでの共通するポイントは、以下の3つが挙げられます。

  1. 在庫管理ルールを明確にすること
  2. 5Sの徹底など従業員の業務品質を高めること
  3. システムやRFIDタグの導入等投資効果を検証したIT化を推進すること

在庫管理を効率化させる「在庫管理システム」

在庫管理業務を効率化するためにはIT化の推進が欠かせません。「在庫管理システム」はもちろん、RFIDタグやハンディターミナルなどのITツールの導入も効率化にはとても有効な施策となります。

在庫管理システムの種類

在庫管理システムは、商品や部品の入庫から出庫までの管理を行い、販売・生産工程の一部を構成していることが特徴です。

そのため、需要予測を含む販売管理システムや生産管理システムなどと密接な関係を持っており、システム導入にあたっては他のシステムとの関連性を考慮する必要があります。

最近では、販売や生産に係る情報の一元管理を実現するERP(Enterprise Resources Planning)が企業の基幹システムとして、様々な業界・業種の企業に広く導入されています。

また業種によっては、輸配送・倉庫・在庫などを主要機能とする「物流管理システム」や入出庫管理・検品など倉庫業務を主要機能とする「倉庫管理システム」など特化したシステムも導入されています。

【関連】【わかりやすく解説】ERPの意味とは?ERPパッケージや基幹システムとの違いまで / BizHint

在庫管理システム導入のメリット

RFIDタグやハンディターミナルなどのITツールや在庫管理システムを導入することで在庫管理業務は劇的に改善します。

メリットとしては、以下の2つが挙げられます。

  • 人為的ミスの削減などによる現場作業の標準化と効率化が図れる
  • 在庫の見える化が実現することで、売れ筋商品の把握など戦略やアクションに繋がる

また、導入効果の最大化を図るための重要ポイントは、以下の3つが挙げられます。

  • 導入目的を明確に共有すること
  • 現状の延長線上の導入ではなく、必要に応じ業務プロセスなどは見直しを行うこと
  • 在庫管理業務やシステムへの理解を深めるための従業員教育などに取り組むこと

どのような企業に向いているのか

IT化技術の発展により、現在では企業規模や業種によって柔軟にシステム構築ができる環境になっています。

また在庫管理システムも「ERPの一部の機能として導入」や「他の業務システム(会計や購買など)と組み合わせた導入」、あるいは「在庫管理システム単独の導入など、企業の目的にあわせた導入」など、形態を選択することができます。

さらに、最新技術を採用したクラウド型でのシステム導入も急速に浸透し始めています。

在庫管理システムツールのご紹介

IT技術の急激な進展により、企業にとってシステム導入の選択肢は広がっています。業種・業態や事業規模に応じて最適なシステム導入を進めるとよいでしょう。

小規模事業者向け

在庫管理システムに限らず、小規模事業者のシステム導入は「クラウド」がお勧めです。

「クラウド」とは、ユーザーがサーバなどハード類や業務ソフトを持購入しなくても、インターネットを通じてIT事業者が提供するサービスを必要な時に必要な分だけ利用できる導入形態です。

「クラウド」でのシステム導入のメリットは以下の3つが挙げられます。

  • システム導入・運用コストが削減できる
  • 最新のセキュリティ技術で安心・安全な運用ができる
  • 企業の成長に合わせ、システムをいつでも選択できる

クラウドは、会計、購買、販売管理など業務領域ごとITサービスを提供しているのが主流となっています。

最近ではIT事業者が連携し、各社が提供する業務システムを組み合わせて(データ連携させて)、より便利で有効なサービスの提供が増えています。

下図は、在庫管理システムに関連するデータ連携の事例です。

【出典】(株)ZAICO freeeとスマート在庫管理がデータ連携し、在庫管理から請求書作成まで一気通貫でできるようになりました

小規模向け会計クラウド大手の「freee」と在庫管理クラウド「スマート在庫管理」((株)ZAICO)を連携させた、出庫業務と売上・請求業務をシームレスに行えるサービスを提供しています。

中小企業向け

中小企業には、パッケージソフトの利用が有効です。パッケージソフトとは店頭で販売されている市販の業務ソフトウェアをいい、標準的な業務プロセスや機能を提供しています。

それに対し、自社の業務プロセスやルールを重視して自社に最適にフィットするシステムを構築することを「スクラッチ」といいます。

パッケージソフトは、入庫と仕入・買掛管理、出庫と請求・売上管理など関連性の深い業務を一連の業務機能として提供しています。

また、IT事業者は、業種や業務別に蓄積した知識や経験を背景に、業種特化型や業務特化型など様々なソフトを提供しています。パッケージが持っている標準機能をベースとしていますが、顧客の要望に応じたカスタマイズや他社システム等との連携も柔軟に行えます。

下図は、株式会社アイルが提供する在庫管理・販売管理システム「アラジンオフィス」のシステム構成です。

【出典】(株)アイル 販売管理パッケージ(販売管理ソフト)「アラジンオフィス」

業務関連性の深い「販売管理」「出荷・入庫・在庫管理」「購買管理」で構成されています。会計パッケージと組み合わせることで、小売業であれば、会社の基幹業務はカバーできる構成となっています。

大企業向け

従来、大企業のシステムは自社開発(スクラッチ)が主流でした。

1980年代から日本でのIT投資は大企業を中心に拡大しましたが、当時のIT技術では自社開発が主流となっていました。

最近では、経済や企業のグローバル展開に伴い、「欧米系ERP+スクラッチ」でのシステム構築が多くみられるようになっています。これは、海外子会社が欧米系ERPを導入していることと、日本企業の強みである独自性はスクラッチでしか実現できないことが背景にあります。

下図は、欧米系ERPの一つである「Oracle E-Business Suite」の構成と業務連携図です。

【出典】富士通(株)富士通が提供するオラクルソリューション(Oracle EBS)

企業のすべての業務が完全に統合されたアプリケーションとなって、非常に高度かつ複雑であることが特徴となっています。

【業界別】在庫管理方法とポイント

前述のとおり、在庫管理は企業によって多種多様ですが、業界別に見るとそれぞれの業界固有の在庫管理のポイントがあります。

飲食業

飲食業の在庫管理のポイントは、「安心・安全」です。食材を無駄にすることを防ぐこと以上に、食品事故、食中毒を防ぐための在庫管理が重要となります。

また、飲食業の在庫管理で最も重要なことは保管期限管理です。原料の消費期限と製品、半製品の賞味期限の管理が適切に行われていることが、「安心・安全」を維持するために必須となっています。

消費期限とは、その期限を経過したものは安全面で悪影響を与えかねない期限で、賞味期限とは、その期限を経過すると品質や美味しさの劣化を招きかねない期限です。

飲食業の方は、納入日、解凍日、開封日、賞味(消費)期限、使用期限などの日付の管理台帳を作成し、ダブルチェックを実施するなど日付管理を徹底しましょう。

小売業

小売業の在庫管理のポイントは、売れ筋商品の在庫を切らさないことです。

滞留在庫の原因にもなりかねないリスクはありますが、お客様が欲しいものを欲しい時に購入できる仕組みを作ることが、顧客満足度を向上させ、結果的に売上を維持・向上させることになります。

ポイントとなるのは、システム化により売上情報や在庫情報の精度を向上し、徹底活用することです。

誰に、いつ、何が、いくつ、いくらで売れたのかの情報をきちんと把握することで、売れ筋・死筋商品の把握や商品別や得意先毎の粗利益や在庫の回転日数など、経営指標を計算することができるようになります。

また、売上や在庫情報を分析し、発見した課題に日々対応することで、販売予測や適正在庫量などのルール化やルールの見直しが可能となります。

製造業

製造業の在庫管理のポイントは、在庫種別による管理方法を適切に選択することです。

例えば、材料・部品や製品は現物があるため、適正なルールができていれば在庫管理は比較的容易ですが、製造の途中段階にある在庫(仕掛品)は材料などに加え、加工費(人件費)や製造経費が含まれています。

決算では、この仕掛品が期間損益に大きな影響を与える可能性があるため、適正な評価額を計算するためには、原価情報を的確に収集・加工・計算する仕組みが必要となります。

例えば、製造の進捗状況や労力費など賦課する費用を測定する仕組として、作業日報や製造指示書などがあります。

まとめ

  • 在庫管理とは、在庫の形で先に支出した資金を期待した利益を上乗せした資金を効率的に回収するための一連の管理プロセス のことです。
  • 在庫管理の対象となる種別や業務は多種多様です。
  • 在庫管理の重要性は「顧客満足度の視点)と「収益性と資金効率の視点)で理解することが大切です。
  • 数量差異など在庫管理に発生する課題は、「在庫管理ルールの明確化」「従業員の業務品質の向上」「IT化の推進」で解決することができます。
  • 在庫管理システムは企業の基幹業務の1つであるため、多様なITサービスが提供されており、自社の業態や規模によって適切に選択することが重要です。
  • 管理手法は様々ですが、業種ごとの重要な管理ポイントは外さないことが大切です。

注目のビジネス事例トピックを、逃さずチェック。

大手やベンチャー含め計150,000人以上の会員が利用しています。

BizHint の会員になるとできること

  • 事業運営のキーワードが把握できる
  • 課題解決の事例や資料が読める
  • 厳選されたニュースが毎日届く
  • アプリで効率的に情報収集できる
いますぐ無料会員登録

ビジネス事例や製品の情報を受取る

フォローしたキーワードの最新トピックをトップページに表示します。 フォローはでいつでも変更することができます。
フォローを管理する

目次