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2019年1月10日(木)更新

BPR(業務改革)

時代や環境、技術が変わる中で、変わらずに同じ業務を続けていませんか?業務フローを明確にすることで業務の無駄や重複などが見えてきます。BPRとは業務改革を指します。今回はBPR(業務改革)の効果をご紹介いたします。

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BPR(業務改革)とは、企業活動を抜本的に見直すこと

BPR(業務改革)とは、 企業の目標を達成するために、企業活動や組織構造を全面的に見直し、再設計を行なう「ビジネス・プロセス・リエンジニアリング」(Business Process Re-engineering)の略式用語 です。「業務プロセス改革」とも呼ばれています。

1990年代初頭の長期不況に悩むアメリカの産業界で生まれ、元マサチューセッツ工科大学教授マイケル・ハマー博士と、経営コンサルタントのジェイムス・チャンピー氏が提唱したことが始まりです。

最大の特徴は既存の業務内容やフローの改善ではなく、企業に属する部門(研究開発から人事評価まで)全てを対象にした再統合・最適化である点です。これにより、産業構造やビジネスルールの抜本的な改革を行なうことができ、大幅な効率化と生産性の向上を図ることができます。

世界経済は、IT技術、AI、ロボット産業の発展により、目まぐるしい進化を遂げています。その結果、従来の主力事業が赤字事業に転じることは珍しくありません。厳しい世界経済の中で、企業が生き残りを図るための経営コンセプトとして、BPR(業務改善)は多くの経営者に注目されています。

BPR(業務改革)と業務改善の違い

「BPR(業務改革)」と似た言葉に、「業務改善」がありますが、どのような違いがあるのでしょうか。この2つの違いは、 既存業務への「メスの入れ方」 にあります。

業務改革と業務改善の違いは、「改革」と「改善」の意味の違いを考えると理解しやすいです。「改革」とは、今あるものをゼロベースで見直し、大きく変えることを意味し、「改善」とは、今あるものをより良くすることを指します。

業務改善とは

ここで、「業務改善」の意味を再確認しておきましょう。

業務改善とは、業務に関わるヒトやモノ、情報、コストのいずれかまたはすべての業務プロセス自体を変更することで、業務効率を向上させる手法です。業務改善により、商品・サービスの品質向上、コスト削減、組織体質の変化などの効果を得ることができます。

業務改善の具体的な手法は品質管理、手順の再整備、承認プロセスの見直し、アウトソーシングなどが代表的です。また、業務改善ではコスト削減や業務効率の向上、従業員の意識など部分的な効果が得られます。

【関連】業務改善を成功させるには?目的や進め方のポイント、具体例をご紹介 / BizHint

BPR(業務改革)と業務改善の違いまとめ

BPR(業務改革)は、その業務自体がそもそもあるべきなのか、抜本的な見直しを行います。見直しの対象は企業内のすべてです。権限委譲の強化や企業再編(企業統合、分離、分割)など、経営全体を巻き込む手法が取られ、主力事業や企業の収益構造が変わる程の大きな変化も起こり得ます。

一方業務改善は、その業務自体はそもそもあるべきである、という前提のもと、業務を遂行する上で存在するムリ・ムダ・ムラを省き、効率化するための施策を検討していきます。

BPR(業務改革)は、各業務フローのつながりも含めたビジネスプロセス全体を対象にしていますが、業務改善は会社の業務フロー内のみが見直しの対象となります。つまり、 業務改善は、BPR(業務改革)の一部 ともいえるのです。

以下に違いをまとめました。

  業務改善 BPR(業務改革)
目的 今ある業務の効率化 企業目標の達成
見直す範囲 業務フロー バリュー・チェーン全体
変化のプロセス 少しずつ試行錯誤 抜本的に大きく
手法 作業手順の見直し、承認プロセスの見直し、マニュアル化、システムの導入、アウトソーシングなど シックスシグマの導入、シェアードサービスの導入、ERPの導入、権限委譲、組織の再編成(企業統合、分離、分割)など

なぜBPR(業務改革)に注目が集まるのか?導入の重要性

それでは、なぜ今BPR(業務改革)に注目が集まっているのでしょうか。その重要性について解説します。

人口減少が進む中で、生産性向上が求められている

既に日本は少子高齢化、人口減少社会に突入しており、人材不足の問題が深刻化しています。

産経新聞の発表によると、2018年には中小企業を中心に人手不足を原因とする倒産は過去最多ペースで推移しています。倒産の理由には、後継者の不在、人件費の高騰、求人難などが挙げられました。

【参考】【独自】人手不足倒産が過去最多ペース 月内にも前年水準超え/産経ニュース

また、株式会社帝国データバンクにより2018年に発表された「人手不足に対する企業の動向調査」によると、企業の50.9%が正社員不足を訴えており、過去最高を更新しています。

【図表1】従業員が不足している企業の割合

【出典】人手不足に対する企業の動向調査/帝国データバンク

採用にかかる費用も高騰しています。採用に関する事業を展開する株式会社ディスコの調査によると、 2020年3月卒業予定者の採用予算は増加傾向にあり、全体で11.8%の会社が「減る」と回答する中、32.5%の会社が「増える」と回答しています。

【図表2】2020年卒者の採用予算見込み

【出典】「2019 年卒・新卒採用に関する企業調査-内定動向調査/株式会社ディスコ

このような人材不足の状況下には、企業の生産性と競争力を高め、利益を確保し、人材の獲得や定着、次世代リーダーの育成に投資していくような改革が必要となります。人的資源が豊富だった頃の業務プロセスやフロー自体を抜本的に見直し、付加価値業務の比率を高めることが急務となっているのです。

新たな技術やツールを導入するために、根本的なビジネスプロセスの改善が必要

上記のように人手不足時代において、業務を継続し生産性を向上させていくためには、例えば後述するようなERPのような新たなシステム、ツールの導入が不可避となります。

しかし、特に日本企業において新たなシステムやツールを導入するためには、大きな障害があります。企業内の部門ごとに部分最適化された業務です。部分最適化された業務が存在する状態では、部門ごとに特別な事務処理や対応が必要となります。結果、本来目指していたバリュー・チェーン全体でのシームレスな連携が取りづらくなります。

したがって、新たな技術やツールを導入し、BPR(業務改革)を推進するためには、部分最適を排除し、部門横断的・包括的に全体最適化を推進することが必要となります。

【関連】「全体最適」とは?全体最適の意味や効果、実行方法から事例までをご紹介/BizHint

BPR(業務改革)の進め方と手法

BPR(業務改革)の導入を進めるには、6つのステップがあります。

全ステップを通じて重要なのは、徹底した顧客目線です。例えば人事や総務なら、従業員を顧客として定義します。そして、顧客である従業員に高い付加価値を与えられているか、ニーズを効率的に満たせているかなどを厳しく確認し、見直しや改革を推進していきます。

ステップ1:業務全体の可視化

BPR(業務改革)の目的・目標設定、および改革を行う対象となる業務範囲を定めます。その後、バリュー・チェーンを意識し、部門横断的にその業務に関する現状を捉え、可視化していきます。

業務フローやその連携のみならず、業務に必要な工数や費用、収益や品質など、生産性に関する数値もおさえておくことも必要です。

業務分析による業務仕分け

BPR(業務改革)の導入方法として一般的な手法が、業務分析による業務仕分けです。正社員が担うべき業務タスクとアウトソーシングできる業務タスクを分析し、業務仕分けを行う必要があります。

業務の性格を細かく分析し、AIなどの高度な業務システムの導入も検討しつつ、アウトソーシングが可能な業務タスクを洗い出すことが、BPR(業務改革)の成功を左右する鍵となります。

ステップ2:あるべき姿の定義

次に、本来その業務がどうあるべきなのか理想像を定めます。先進的な取り組みをしている他社などを参考にしても良いでしょう。

ちなみに、バリュー・チェーン内の非効率的な部分を発見するためには、例えば以下のような観点を持つことも有効です。

  • 廃止しても良い業務はないか
  • 部門ごとに重複している業務がないか
  • 自動化できる作業はないか
  • 作業工程を簡素化できないか
  • 低コスト化・外注できないか

ステップ3:現状と理想状態のギャップ・課題を抽出

現状とあるべき姿を比較し、業務内容やフロー、アウトプットなどの成果項目に対し、ギャップや課題を抽出していきます。

ステップ4:対象と施策の策定

ステップ3で抽出された課題やギャップに対し、施策を検討していきます。優先順位とスケジュールを定め、プロジェクトとして取り組めるような体制を整備しましょう。

ステップ5:施策の実行

施策の一例としては、以下の手法が挙げられます。

ERPシステムの導入

ERPとは、Enterprise Resource Planningの略で、経営管理システムを指します。このERP(経営管理システム)は、財務会計管理や予算管理、購買管理、営業支援管理、人材管理、マーケティング管理など企業経営のコアプロセスをサポートする情報システムの1つです。そのため、BPR(業務改革)において選択されやすい手法の1つとして認識されています。

【関連】【わかりやすく解説】ERPの意味とは?ERPパッケージや基幹システムとの違いまで / BizHint

シックスシグマの導入

シックスシグマとは、顧客満足度の向上、不良品率の低下を目指す統計学の手法を活かした取り組みを指します。製造部門のほか、サービス業や営業部門、企画間接部門に効果的です。トップダウンで行う手法でもあり、トップの強いリーダーシップが求められるBPR(業務改革)と相性が良い手法とされています。

シックスシグマには、「DMAIC」というフレームワークがあります。

DMAICとは、Define(定義), Measure(測定), Analyze(分析), Improve(改善), Control(定着)の頭文字を取ったもので、シックスシグマを用いたBPR(業務改革)を実施する5つの手順となります。

  • Define(定義):プロジェクトの目的、目標、体制、対象範囲、解決すべき課題などを明確に定義
  • Measure(測定):課題に関する現状のプロセスやデータを測定、収集
  • Analyze(分析):データを統計的に分析
  • Improve(改善):施策を立案し実行
  • Control(定着):組織内に新しいプロセスを定着させる

シェアードサービスの導入

シェアードサービスとは、社内の共通する業務を部門や子会社に集約し、コスト削減・サービス向上を目指す手法です。アウトソーシング同様にビジネスプロセスを効率化させる効果が期待でき、横断する組織のガバナンスを保ちつつ、改革フローの構築が可能です。

【関連】「シェアードサービス」とは?意味やメリットや課題、導入ポイントから事例までご紹介 / BizHint

ステップ6:実行結果の検証・修正

施策を実行したら、実行結果を検証し、思うような成果が上がっているかを確認しましょう。理想状態に近づいていなければ、そのギャップを再度分析し、プロジェクトを軌道修正していきます。

BPR(業務改革)導入の課題や注意点

BPR(業務改革)の導入には、注意したい点がいくつかあります。これらの注意点を疎かにすると、想定以上の費用対効果が得られないばかりか、組織全体が形骸化してしまう危険性があります。

人材育成の強化が必要

BPR(業務改革)を行なうためには、強いリーダーシップを発揮できる人材が不可欠です。しかし、マネジメントを担う管理職や教育係は繁忙なことも多く、BPR(業務改革)の業務が行ないにくい傾向があります。

そのため、マネジメント層以外の課題解決能力に長けた人材を育成し、実行力の強化を同時に行なう必要があります。また、新たな構造改革には反発が付き物であり、従業員の業務改革意識の醸成も改革の一つとして認識しなければいけません。

トップダウンによる弊害を把握する

BPR(業務改革)は、経営者や経営陣であるトップが強いリーダーシップを発揮し、実行シナリオを描き、それを確実に実行する必要があります。しかし、トップダウンによるBPR(業務改革)は現場との軋轢を生みやすく、ステークホルダー(利害関係者)との調整が難航する傾向にあります。

これら、関係各所の従業員の理解を得るためにもトップ自らが奔走し、組織全体にBPR業革の必要性を認識させなければいけません。

BPR(業務改革)に不向きな業務の割り出し

BPR(業務改革)はビジネスプロセスの抜本的な見直しを行なう手法ですが、中にはBPR(業務改革)の効果が薄く、スリム化が不向きな業務もあります。IT技術が取り入れられていない業務は属人化している傾向が強く、BPR(業務改革)を行なうことで、逆に業務プロセスが複雑化し、効率化を阻害する場合があります。そのため、業務分析の段階でBPR(業務改革)が適切かどうかを見極める必要があります。

BPR(業務改革)の導入事例

BPR(業務改革)の導入事例は数多くあり、参考にすることでBPR(業務改革)による経営成果を得ることができます。

シックスシグマ導入における成功事例

従来の企業活動に限界を感じた製造業を担う企業では、組織全体の生産性を向上するために、ボトムアップの補完と間接部門の改革を目的にしたBPR(業務改革)の実施を決定しました。

経営変革推進部門を新設し、自社用に改良したシックスシグマを採用。導入対象を全社・全事業とし、各事業部門が持つ課題に対して、シックスシグマ手法を活用したプロジェクトを発足し、解決を促す体制を構築しました。その結果、金銭的なインパクトだけでも年間数千億の効果を得るだけでなく、社内のコミュニケーションの円滑化にも成功しています。

【参考】総務省 民間企業等における効率化方策等(業務改革(BPR))の 国の行政組織への導入に関する調査研究 (1)製造業A社「シックスシグマの導入による全社的改革の取組み」 24P

シェアード・サービス導入における成功事例

中核事業の業績悪化により事業構造の変換を余儀なくされた製造業の企業では、従業員の能力向上を基にした組織力強化と、グループ全体の間接業務の効率化を目的としたBPR(業務改革)を実施しました。

中でも他の事業会社と連携し、間接業務を担うシェアード・サービス専門の子会社はグループ全体のガバナンスを機能させつつ、組織横断的な業務の標準化を可能にしました。その結果、グループ全体のトータルコストを半分まで削減することに成功しています。

【参考】総務省 民間企業等における効率化方策等(業務改革(BPR))の 国の行政組織への導入に関する調査研究 (2)製造業C社「組織改革・業務効率化(シェアード・サービス等)の取組み」 29P

トヨタ方式を活用した岩手県の取り組み

財政状況が厳しくなっていた岩手県では、トヨタ方式を参考に、少ない人員でも効率的に業務を行なえる体制の構築を目指し、BPR(業務改革)を実施しました。

他部門への影響が大きい財務部と残業が多い農林水産部を皮切りに、挨拶や備品の整理整頓といった目に見える形で実現できるものから実行していきました。その後、BPR(業務改革)を中心的に行なうドリームチームを編成。現場の技術者や担当者を巻き込みながら、業務改革成功を果たし、残業時間の削減に成功しました。

【参考】総務省 民間企業等における効率化方策等(業務改革(BPR))の 国の行政組織への導入に関する調査研究 (6)岩手県「トヨタ方式を活用した業務改革の取組み」 46P

※今回、ご紹介した事例は一部です。その他の事例は総務省が発表している「総務省 民間企業等における効率化方策等(業務改革(BPR))の 国の行政組織への導入に関する調査研究」でご確認いただけます。

BPR(業務改革)導入のメリット

BPR(業務改革)の導入は多くのメリットを生み出します。最後にメリットをご紹介いたします。

業務フローを俯瞰的に把握できる

BPR(業務改革)は、既存プロセスの改善ではなく、組織構造を対象にした抜本的な業務改革です。そのため、一部の業務システム・事業システムだけでなく、全社を取り巻く業務全般を俯瞰的に把握できます。企業規模で業務フロー自体の見直しを行なえることから、一見関係性のなかった業務が生産性向上を阻害している原因とわかるなど、新たな発見にもつながります。

また、従来の複雑な指揮系統や意思決定プロセスなどの見直しのきっかけにもつながります。

目標達成率の向上が期待できる

BPR(業務改革)は企業が掲げる目標の達成を目的にしています。そのため、BPR(業務改革)を行なうことで、飛躍的な生産性向上や効率化が可能となります。また、BPR(業務改革)はプロジェクトの目的やゴールを明確化できるため、関係者に継続して周知できる他、従業員の意識改革などにも効果が期待できます。

組織改革・産業構造変革に役に立つ

1970~80年代に高品質で安価な製品の製造に長けた日本企業では、組織を専門化・細分化した職能別分業型組織が一般的でした。しかし、バブル崩壊後、この産業構造を維持するための体力がなくなり、改革を必要とした経緯があります。そのため、業務プロセス改革や従業員の意識改革、縦割りの意思決定体制の見直しが必要となります。

このように組織改革・産業構造の変革を行なう上で、自社の定めるターゲット(顧客・市場)を中心にした再統合を果たす手法のBPR(業務改革)が適切と考えられます。

顧客・従業員満足度につながる

BPR(業務改革)は、企業の掲げる目標の達成を目的とした経営手法の一つです。BPR(業務改革)の実施の結果、生産性向上や高品質の製品・サービスの提供が可能となり、顧客満足度を向上させることができます。

また、目標達成を果たした際には、その恩恵は従業員にも還元されます。そのため、BPR(業務改革)による目標達成は従業員の満足度にもつながります。

【関連】従業員満足度とは?上げる方法と、向上事例・施策をご紹介 / BizHint

まとめ

  • 人口減少社会に突入している日本において、BPR(業務改革)による見直しは必要な経営改革の手法として認識されています。
  • BPR(業務改革)は企業目標の達成、生産性の飛躍的な向上を目指し、組織横断・抜本的な改革を行うものです。似た言葉に「業務改善」がありますが、これは既存業務を行うことを前提に、効率化することを意味します。
  • BPR(業務改革)は、徹底した顧客目線に基づき、「業務の可視化」「あるべき姿の定義」「ギャップ抽出」「施策の策定」「実行」「実行結果の検証・修正」の、6つのステップにより実施されます。管理業務を集約化できる情報システムの導入と、課題解決能力を持つ人材の育成が不可欠です。
  • そのため、経営陣の強力なリーダーシップはもちろん、各部門から集めたBPR(業務改革)を専門としたプロジェクトチームを中心に堅実に実行していくことが大切です。

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