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2018年4月23日(月)更新

BPR(業務改革)

時代や環境、技術が変わる中で、変わらずに同じ業務を続けていませんか?業務フローを明確にすることで業務の無駄や重複などが見えてきます。BPRとは業務改革を指します。今回はBPR(業務改革)の効果をご紹介いたします。

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BPR(業務改革)とは

生産性向上のための業務改善とは異なるBPR(業務改革)。意味や違いを理解しておきましょう。

BPR(業務改革)の意味

BPR(業務改革)とは、企業の目標を達成するために、企業活動や組織構造を全面的に見直し、再設計を行なう「ビジネス・プロセス・リエンジニアリング」(Business Process Re-engineering)の略式用語です。また、業務プロセス改革とも呼ばれています。

1990年代初頭の長期不況に悩むアメリカの産業界で生まれ、元マサチューセッツ工科大学教授マイケル・ハマー博士と、経営コンサルタントのジェイムス・チャンピー氏が提唱したことが始まりです。

最大の特徴は既存の業務内容やフローの改善ではなく、企業に属する部門(研究開発から人事評価まで)全てを対象にした再統合・最適化である点です。これにより、産業構造やビジネスルールの抜本的な改革を行なうことができ、大幅な効率化と生産性の向上を図ることができます。

IT技術、AI、ロボット産業の発展により、世界経済は目まぐるしい進化を遂げています。その結果、従来の主力事業が赤字事業に転じることは珍しくありません。厳しい世界経済の中で、企業が生き残りを図るための経営コンセプトとして、BPR(業務改善)は多くの経営者に注目されています。

BPR(業務改革)と業務改善との違い

業務改善とは、対象となるのが業務に関わるヒトやモノ、情報、コストのいずれかまたは全ての業務プロセス自体を変更することで、業務効率を向上させる手法です。業務改善により、商品・サービスの品質向上、コスト削減、組織体質の変化などの効果を得ることができます。

しかし、業務改善が従業員や会社の業務フロー自体を重視している一方で、BPR(業務改革)は顧客志向を重視し、研究開発や製造、品質管理、供給、人事評価までのビジネスプロセス全体を対象にしています。

業務改善の具体的な手法は品質管理、手順の再整備、承認プロセスの見直し、アウトソーシングなどが代表的です。一方で、BPR(業務改革)は産業構造や組織構造全般を再構築するための業務システム改革を目的にしているため、権限委譲の強化や企業再編(企業統合、分離、分割)などの経営全体を巻き込む手法が取られます。

また、業務改善ではコスト削減や業務効率の向上、従業員の意識など部分的な効果が得られますが、BPR(業務改革)では主力事業が変わる程の高い生産性・効率の向上が見込めます。

【関連】業務改善を成功させるには?目的や進め方のポイント、具体例をご紹介 / BizHint HR

BPR(業務改革)導入の背景と日本の現状

アメリカ生まれのBPR(業務改革)は、長らく不況に苦しむ日本企業にとっても歓迎された経営コンセプトです。日本への導入背景や日本で実施されている日本企業の現状をご紹介いたします。

BPR(業務改革)導入の背景

日本において、BPR(業務改革)が注目されるようになったのは、経営に苦しみ、改革を求めていた1990年代のバブル崩壊後の時期にあたります。また、民間企業だけでなく、国や地方自治体も組織改革の手法として積極的に参考にするようになりました。

このBPR(業務改革)は、1980年代に世界を席巻した日本企業のビジネスプロセスを、米企業が参考にした経営手法として生まれた経緯があります。そのため、改革を求める日本企業に適した経営改革の手法として期待されていました。しかし、前述の通り、日本でBPR(業務改革)が注目された時期がバブル崩壊後であったため、皮肉にも人員整理(リストラ)とそれに伴う混乱を助長させる手法にもなってしまいました。

さらに、BPR(業務改革)は組織全体のビジネスプロセスを見直す手法を取るため、IT技術を駆使した業務システムのサポートが欠かせません。しかし、日本人従業員の就業に対する意識や知識・技術の不足により、IT技術投資の費用対効果が十分に得られない、改革視点を持つ人材の不足などの問題も生じています。

BPR(業務改革)の取り組みの実態

2014年に行われたBPR(業務改革)に関するアンケートによると、約7割の企業が、BPR(業務改革)を当たり前の取り組みとして認識しています。また、さらなる業務システム改革を目指し、情報収集を行なっている企業も増加傾向にあります。近年では管理間接プロセスや戦略策定プロセスを対象としたBPR(業務改革)のニーズが高く、生産コスト削減や管理水準・意思決定スピードの向上が目的として実施されています。

業界内の大手企業や上位企業においては、BPR(業務改革)の目標達成率が高い一方で、中小企業など中規模以下の企業では目標達成率が低くなっています。これは企画の先行やプロジェクトスコープが定まらないなど組織内の実行力に原因があるほか、経営陣と現場の認識のズレ、人材のスキル不足などの課題も指摘されています。

日本企業では、BPR(業務改革)を実行する強いリーダーシップを実行すると同時に、高度な情報システムによる標準化推進、人材育成、アウトソーシング拡大といった課題をどのように乗り越えていくかが焦点となります。

【参考】株式会社 日本能率協会コンサルティング BPR(業務の抜本的改革)に関する実態調査報告書 一般公開用 抜粋版

BPR(業務改革)導入の重要性

前述の通り、日本企業はBPR(業務改革)導入に必要性を強く感じています。その理由として、総務省の行政管理局がBPR(業務改革)を取り組んだ背景からも見て取れます。

人口減少社会への対応策

既に日本は少子高齢化、人口減少社会に突入しており、行政・民間関係なく、人材確保が困難化しています。また、仕事と育児・介護を両立した働き方を求める人が増えつつある中で、政府主導の「働き方改革」をどのように実現していくかが課題となっています。

その結果、企業は限られた人材の中でいかに競争力を高められるか、行政は限られた人材の中でいかに新規政策課題への対応を行なうかが鍵となります。業務の既存プロセスや業務フロー自体を抜本的に見直し、付加価値業務の比率を高める環境の構築が行政、企業ともに急務となっています。

日本経済の活性化の鍵

総務省では、国民や企業志向の利便性向上を目的としたBPR(業務改革)を実施しています。これより、政府が掲げる「600兆円経済の実現」という成果目標の達成に向けた組織構造を構築することができます。その一環である規制改革や行政簡素化、IT化の一体的推進に取り組むことで、「世界で一番企業が活動しやすい国」の実現が可能となり、日本経済の活性化につながると考えています。

企業も同様にBPR(業務改革)を図ることで、新たな需要の開拓や未来投資による企業競争力を高め、日本経済の活性化につなぐことが可能となります。

【参考】総務省行政管理局 業務改革の取組方針の背景

BPR(業務改革)導入のメリット

BPR(業務改革)の導入は多くのメリットを生み出します。その代表的なメリットが以下にご紹介する内容です。

業務フローを俯瞰的に把握できる

BPR(業務改革)は、既存プロセスの改善ではなく、組織構造を対象にした抜本的な業務改革です。そのため、一部の業務システム・事業システムだけでなく、全社を取り巻く業務全般を俯瞰的に把握できます。企業規模で業務フロー自体の見直しを行なえることから、一見関係性のなかった業務が生産性向上を阻害している原因とわかるなど、新たな発見にもつながります。

また、従来の複雑な指揮系統や意思決定プロセスなどの見直しのきっかけにもつながります。

目標達成率の向上が期待できる

BPR(業務改革)は企業が掲げる目標の達成を目的にしています。そのため、BPR(業務改革)を行なうことで、飛躍的な生産性向上や効率化が可能となります。また、BPR(業務改革)はプロジェクトの目的やゴールを明確化できるため、関係者に継続して周知できる他、従業員の意識改革などにも効果が期待できます。

組織改革・産業構造変革に役に立つ

1970~80年代に高品質で安価な製品の製造に長けた日本企業では、組織を専門化・細分化した職能別分業型組織が一般的でした。しかし、バブル崩壊後、この産業構造を維持するための体力がなくなり、改革を必要とした経緯があります。そのため、業務プロセス改革や従業員の意識改革、縦割りの意思決定体制の見直しが必要となります。

このように組織改革・産業構造の変革を行なう上で、自社の定めるターゲット(顧客・市場)を中心にした再統合を果たす手法のBPR(業務改革)が適切と考えられます。

顧客・従業員満足度につながる

BPR(業務改革)は、企業の掲げる目標の達成を目的とした経営手法の一つです。BPR(業務改革)の実施の結果、生産性向上や高品質の製品・サービスの提供が可能となり、顧客満足度を向上させることができます。

また、目標達成を果たした際には、その恩恵は従業員にも還元されます。そのため、BPR(業務改革)による目標達成は従業員の満足度にもつながります。

【関連】従業員満足度とは?上げる方法と、向上事例・施策をご紹介 / BizHint HR

BPR(業務改革)の導入方法

BPR(業務改革)の達成状況は、業界の大手企業ほど達成率が高く、中位以下の企業では達成率が低い傾向にあります。そのため、BPR(業務改革)を導入する際は、以下のポイントをしっかりと把握しておく必要があります。

業務全体の可視化

BPR(業務改革)は、業務効率を求める業務改善と異なり、部門から評価体制、ルール全てが対象となります。そのため、会社が関わる全ての業務タスクはもちろん、意思決定プロセスや人事評価体制も全て可視化する必要があります。

可視化することにより、ビジネスフローの全体の流れを把握でき、どのような方法で導入・具体化するかの改革目標を作成することができます。

意思決定プロセスの改革

職能別分業型組織が大半を占める日本企業では、意思決定プロセスが複雑化しており、意思決定のスピードが遅いとしばしば指摘されています。

そのため、BPR(業務改革)を行なう上では意思決定プロセスの改革が重要であり、意思決定に携わるマネジメント体制の確立と、意思決定を支援する環境の構築が必要です。これらの改革は改革スピードを高める効果も期待できます。

BPR(業務改革)導入の具体的な方法

BPR(業務改革)を導入するための具体的な方法は以下の手法が考えられます。

ERPシステムの導入

ERPとは、Enterprise Resource Planningの略で、経営管理システムを指す用語です。このERP(経営管理システム)は財務会計管理や予算管理、購買管理、営業支援管理、人材管理、マーケティング管理など企業経営のコアプロセスをサポートする情報システムの一つです。そのため、BPR(業務改革)において、選択されやすい手法の一つとして認識されています。

業務分析による業務仕分け

BPR(業務改革)導入方法として、一般的な手法が業務分析による業務仕分けです。人口減少社会を迎えている日本では、限られた人員数の中で最高のパフォーマンスを出すことが必要不可欠です。そのため、正社員が担うべき業務タスクとアウトソーシングできる業務タスクを分析し、業務仕分けを行なう必要があります。

業務の性格を細かく分析し、AIなどの高度な業務システムの導入も検討しつつ、アウトソーシングが可能な業務タスクを洗い出しがBPR(業務改革)の成功を左右する鍵となります。

シックスシグマの導入

シックスシグマとは、BPR(業務改革)の関連用語の一つで、顧客満足度の向上、不良品率の低下を目指す統計学の手法を活かした取り組みを指します。製造部門のほか、サービス業や営業部門、企画間接部門に効果的です。トップダウンで行なう手法でもあり、トップの強いリーダーシップが求められるBPR(業務改革)と相性が良い手法とされています。

シェアード・サービスの導入

シェアード・サービスとは、BPR(業務改革)の関連用語の一つで、社内の共通する業務を部門や子会社に集約し、コスト削減・サービス向上を目指す手法です。アウトソーシング同様にビジネスプロセスを効率化させる効果が期待でき、横断する組織のガバナンスを保ちつつ、改革フローの構築が可能です。

【関連】「シェアードサービス」とは?意味やメリットや課題、導入ポイントから事例までご紹介 / BizHint HR

BPR(業務改革)導入の課題や注意点

BPR(業務改革)の導入には、注意したい点がいくつかあります。これらの注意点を疎かにすると、想定以上の費用対効果が得られないばかりか、組織全体が形骸化してしまう危険性があります。

人材育成の強化が必要

BPR(業務改革)を行なうためには、強いリーダーシップを発揮できる人材が不可欠です。しかし、マネジメントを担う管理職や教育係は繁忙なことも多く、BPR(業務改革)の業務が行ないにくい傾向があります。

そのため、マネジメント層以外の課題解決能力に長けた人材を育成し、実行力の強化を同時に行なう必要があります。また、新たな構造改革には反発が付き物であり、従業員の業務改革意識の醸成も改革の一つとして認識しなければいけません。

トップダウンによる弊害を把握する

BPR(業務改革)は、経営者や経営陣であるトップが強いリーダーシップを発揮し、実行シナリオを描き、それを確実に実行する必要があります。しかし、トップダウンによるBPR(業務改革)は現場との軋轢を生みやすく、ステークホルダー(利害関係者)との調整が難航する傾向にあります。

これら、関係各所の従業員の理解を得るためにもトップ自らが奔走し、組織全体にBPR業革の必要性を認識させなければいけません。

BPR(業務改革)に不向きな業務の割り出し

BPR(業務改革)はビジネスプロセスの抜本的な見直しを行なう手法ですが、中にはBPR(業務改革)の効果が薄く、スリム化が不向きな業務もあります。IT技術が取り入れられていない業務は属人化している傾向が強く、BPR(業務改革)を行なうことで、逆に業務プロセスが複雑化し、効率化を阻害する場合があります。そのため、業務分析の段階でBPR(業務改革)が適切かどうかを見極める必要があります。

BPR(業務改革)の導入事例

BPR(業務改革)の導入事例は数多くあり、参考にすることでBPR(業務改革)による経営成果を得ることができます。

シックスシグマ導入における成功事例

従来の企業活動に限界を感じた製造業を担う企業では、組織全体の生産性を向上するために、ボトムアップの補完と間接部門の改革を目的にしたBPR(業務改革)の実施を決定しました。

経営変革推進部門を新設し、自社用に改良したシックスシグマを採用。導入対象を全社・全事業とし、各事業部門が持つ課題に対して、シックスシグマ手法を活用したプロジェクトを発足し、解決を促す体制を構築しました。その結果、金銭的なインパクトだけでも年間数千億の効果を得るだけでなく、社内のコミュニケーションの円滑化にも成功しています。

【参考】総務省 民間企業等における効率化方策等(業務改革(BPR))の 国の行政組織への導入に関する調査研究 (1)製造業A社「シックスシグマの導入による全社的改革の取組み」 24P

シェアード・サービス導入における成功事例

中核事業の業績悪化により事業構造の変換を余儀なくされた製造業の企業では、従業員の能力向上を基にした組織力強化と、グループ全体の間接業務の効率化を目的としたBPR(業務改革)を実施しました。

中でも他の事業会社と連携し、間接業務を担うシェアード・サービス専門の子会社はグループ全体のガバナンスを機能させつつ、組織横断的な業務の標準化を可能にしました。その結果、グループ全体のトータルコストを半分まで削減することに成功しています。

【参考】総務省 民間企業等における効率化方策等(業務改革(BPR))の 国の行政組織への導入に関する調査研究 (2)製造業C社「組織改革・業務効率化(シェアード・サービス等)の取組み」 29P

トヨタ方式を活用した岩手県の取り組み

財政状況が厳しくなっていた岩手県では、トヨタ方式を参考に、少ない人員でも効率的に業務を行なえる体制の構築を目指し、BPR(業務改革)を実施しました。

他部門への影響が大きい財務部と残業が多い農林水産部を皮切りに、挨拶や備品の整理整頓といった目に見える形で実現できるものから実行していきました。その後、BPR(業務改革)を中心的に行なうドリームチームを編成。現場の技術者や担当者を巻き込みながら、業務改革成功を果たし、残業時間の削減に成功しました。

【参考】総務省 民間企業等における効率化方策等(業務改革(BPR))の 国の行政組織への導入に関する調査研究 (6)岩手県「トヨタ方式を活用した業務改革の取組み」 46P

※今回、ご紹介した事例は一部です。その他の事例は総務省が発表している「総務省 民間企業等における効率化方策等(業務改革(BPR))の 国の行政組織への導入に関する調査研究」でご確認いただけます。

まとめ

  • 人口減少社会に突入している日本において、BPR(業務改革)による見直しは必要な経営改革の手法として認識されています。
  • また、BPR(業務改革)は管理業務を集約化できる情報システムの導入と、課題解決能力を持つ人材の育成が不可欠です。
  • そのため、経営陣の強力なリーダーシップはもちろん、各部門から集めたBPR(業務改革)を専門としたプロジェクトチームを中心に堅実に実行していくことが大切です。

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