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BPR(業務改革)

2020年3月16日(月)更新

激変する経営環境の変化や働き方改革の影響により、企業は抜本的な組織改革が実施し、高度化・複雑化するビジネス課題に取り組まなければいけません。BPRは企業規模の組織改革や業務委改革に効果的であり、産業構造そのものを変化できる優れた手法です。本記事はBPRの定義や業務改善との違い、注目される背景やメリット、さらには導入プロセスから具体的な手法、成功事例をご紹介します。

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「BPR(業務改革)」とは?「業務改善」との違い

BPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)とは、企業の目標を達成するために、企業活動や組織構造を全面的に見直し、再設計を行うことです。「業務プロセス改革」とも呼ばれています。

BPRと業務改善とは異なるため、それぞれの定義や特徴、考え方を知ることで理解が深まります。

BPR(業務改革)について

BPRは、1990年代初頭の長期不況に悩むアメリカの産業界で生まれ、その後、元マサチューセッツ工科大学教授マイケル・ハマー博士と、経営コンサルタントのジェイムス・チャンピー氏による著書「リエンジニアリング革命」により普及された概念です。

ビジネス課題の高度化・複雑化により、現代の経済活動は業務の細分化や専門化が進んでいます。しかし、プロセスも複雑化し、かえってコストの増大や効率性・利便性の低下が指摘されており、ビジネスプロセスの抜本的な改革が求められるようになりました。

また、日本ではバブル景気崩壊後の不況と大規模なリストラを背景に業務改革を迫られ、経営危機の突破手段として注目された歴史があります。

BPRでは、従来の組織体制や業務フロー、ビジネスルールなど抜本的な改革を行って大幅な効率化と生産性向上を目指します。

BPRの特徴

BPRの最大の特徴は、「 今あるものをゼロベースで見直し、大きく変えること 」を目的とし、企業に属する部門(研究開発から人事評価まで)全てを対象に、再統合・最適化を行います。

そのほかには、以下のような特徴が挙げられます。

  • トップの意思決定により進めるトップダウン型の改革
  • 業務内容の抜本的な見直し
  • 部署・部門間を超えた再編成を行う
  • 徹底的な顧客目線で進める
  • ITの積極的な活用

業務改善とは

業務改善とは、業務に関わるヒトやモノ、情報、コストのいずれか、またはすべての業務プロセス自体を変更し、業務効率を向上させることです。つまり、「 今あるものをより良くすること 」を目的としています。

業務改善は、主に商品・サービスの品質向上、コスト削減、組織体質の変化などの効果を得ることができます。

業務改善の具体的な手法として、品質管理・手順の再整備・承認プロセスの見直し・アウトソーシングなどが挙げられます。また、得られる効果としては、コスト削減・業務効率化などが期待できます。

【関連】業務改善を成功させるには?目的や進め方のポイント、具体例をご紹介/BizHint

業務改善はBPRの一部

「BPR」と混同されやすい「業務改善」は、既存業務への取り組み方に違いがあります。

BPRは「業務自体がそもそもあるべきなのか」という視点で抜本的な見直しを行います。BPRは企業に存在するすべてが対象で、権限委譲の強化や企業再編(企業統合、分離、分割)など、経営全体に関わる手法が採用され、事業や企業の収益構造が変わる程の大きな変化が起こる可能性があります。

一方、業務改善は「業務自体はそもそもあるべきである」という前提のもと、業務上に存在する「ムリ・ムダ・ムラ」を省き、効率化するための施策を検討します。

BPRは各業務フローのつながりも含めたビジネスプロセス全体を対象にしていますが、業務改善は会社の業務フローの中身のみが見直しの対象となります。そのため、業務改善はBPRの一部として認識されています。

【BPR(業務改革)と業務改善の違い】

BPRが注目されている背景と導入のメリット

BPRに注目が集まっている背景には、以下の要因が考えられます。

働き方改革の推進

現代の日本は少子高齢化、人口減少社会に突入しており、人材不足の問題が深刻化しています。そのため、中小企業を中心に人手不足を原因とする倒産が増えており、倒産の理由に「後継者の不在」「人件費の高騰」「求人難」などが挙げられています。

そのような背景から、現在では政府主導で罰則付きの働き方改革(年間有給休暇5日取得の義務化など)が推進されており、企業としても生産性向上への対応が必須となっています。

働き方改革を推進し、生産性を上げていくために、従来の業務プロセスやフロー自体を抜本的に見直し、付加価値業務の比率を高めることのできるBPRに注目が集まっていると考えられます。

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新たな技術・ツール導入を目的とした、根本的なビジネスプロセスの改善

人手不足の時代において、業務を継続し生産性を向上させていくためには、新たなシステム、ツールの導入が不可欠です。

しかし、部署や部門・業務ごとに部分最適化された業務が存在する状態では、それぞれに特別な事務処理や対応が必要です。その結果、本来目指していたバリュー・チェーン全体でのシームレスな連携が取りづらくなります。

そのため、新たなシステムやツールを導入するためには、部署や部門毎に部分最適化された業務を統合・整理する必要があり、部門横断的・包括的に全体最適化を推進するBPRの重要性が高まっているのです。

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BPR(業務改革)導入のメリット

こうした背景から、注目が集まるBPRを推進するメリットは、どこにあるのでしょうか。

業務フローにおける新たな発見と生産性向上

BPRは企業規模の業務フロー(複雑な指揮系統、意思決定プロセス)を把握することは、見直し後の飛躍的な効率化や生産性向上に繋がる意外な阻害要因が分かるなど、新たな発見につながります。

組織改革・産業構造変革が可能

BPRは専門化・細分化した職能別分業型組織を見直し、全体最適を促すことで、効率的な業務プロセスの導入や従業員の意識改革、柔軟かつ迅速な意思決定体制の構築が可能です。

BPRは、自社の定めるターゲット(顧客・市場)を中心にした再統合を果たす手法としても機能するため、組織改革・産業構造の変革に効果があります。

顧客満足度・従業員満足度の向上

BPRの実施は、結果的に生産性向上や高品質の製品・サービスの提供が可能となり、顧客満足度の向上につながります。

また、BPRによる企業目標の達成は従業員の昇進・昇給にも反映されるため、従業員満足度の向上にも効果的です。

【関連】従業員満足度とは?向上させる方法や、企業事例まで徹底解説/BizHint

BPRを進めるプロセス

BPRの導入を進めるには、5つのステップがあります。

全ステップの重要な共通点は「徹底した顧客目線」です。人事や総務であれば、従業員を「顧客」と定義します。顧客である従業員に高い付加価値を与えられているか、ニーズを効率的に満たせているかなどを厳しく確認し、見直しや改革を推進していきます。

ステップ1:業務内容の可視化

まずはBPRの目的・目標設定、および改革を行う対象となる業務範囲を決定するために、現在の業務内容を可視化します。

バリュー・チェーンを意識し、部門横断的に業務の現状を捉え、業務フローやその連携のみならず、業務に必要な工数や費用、収益や品質など、生産性に関する数値も押さえておくことも必要です。

ステップ2:分析と課題の抽出

ステップ2では、可視化された業務が本来どうあるべきなのか理想像を決定します。先進的な取り組みを行っている競合他社を参考にすることも効果的です。

また、バリュー・チェーン内の非効率的な部分を発見するためには、以下のような観点を持つことが有効です。

  • 廃止してもよい業務はないか
  • 部門毎に重複している業務がないか
  • 自動化できる作業はないか
  • 作業工程を簡素化できないか
  • 低コスト化・外注できないか

現状とあるべき姿を比較し、業務内容やフロー、アウトプットなどの成果項目に対し、ギャップや課題を抽出していきます。

分析にはABC分析やバランス・スコア・カード(BSC)の活用も有効です。

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ステップ3:対象と施策の策定

ステップ2で抽出された課題やギャップに対し、施策を検討していきます。優先順位とスケジュールを定め、プロジェクトとして取り組めるような体制を整備しましょう。

ステップ4:施策の実行

ステップ3で決定した施策を実行していきます。

ステップ5:実行結果の検証・修正

施策の実行後は、実行結果を検証し、想定していた成果が得られているかを確認しましょう。

理想とする状態に近づいていなければ、そのギャップを再度分析し、プロジェクトを軌道修正していきます。

BPRの手法

BRPの効果を最大化するための施策には、「業務効率化」と「組織力の強化」に分けられ、それぞれ実施する手法は多岐にわたります。それぞれを簡単にご紹介します。

アウトソーシング・BPO

アウトソーシングとは、企業内の業務を社外の人材や専門企業に切り出し、業務を委託する経営手法です。

アウトソーシングは新たな人材の獲得や設備投資が不要で、低コストでの業務効率化や製品・サービスの品質向上にメリットがあります。アウトソーシングにより、本来注力すべき新商品開発やマーケティングなど、より高度で重要なビジネス課題の解決に集中できます。

また、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)という手法もあります。これは、社内の定型業務や業務運用ノウハウを持たない業務プロセス全体を、継続的に外部の専門企業に委託する経営手法です。一般的に人事や総務といった間接部門の機能を丸ごと委託します。BPOの導入は経営資源の最適化につながり、企業ブランドの価値による競争力の強化につながります。

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ERPシステムの導入

ERPとは、Enterprise Resource Planningの略で、経営管理システムを指します。

このERP(経営管理システム)は、財務会計管理・予算管理・購買管理・営業支援管理・人材管理・マーケティング管理など、企業経営のコアプロセスをサポートする情報システムのひとつです。そのため、BPにおいて選択されやすい手法の1つとして認識されています。

【関連】【わかりやすく解説】ERPの意味とは?ERPパッケージや基幹システムとの違いまで/BizHint

シックスシグマの導入

シックスシグマとは、顧客満足度の向上や不良品率の低下を目指す、統計学の手法を活かした取り組みのことです。

製造部門のほか、サービス業や営業部門、企画間接部門に効果的です。トップダウンで行う手法でもあり、トップの強いリーダーシップが求められるBPRと相性が良い手法とされています。

このシックスシグマには、「DMAIC」というフレームワークがあります。

DMAICとは、Define(定義), Measure(測定), Analyze(分析), Improve(改善), Control(定着)の頭文字を取ったもので、シックスシグマを用いたBPRを実施する5つの手順のことです。

  • Define(定義):プロジェクトの目的、目標、体制、対象範囲、解決すべき課題などを明確に定義
  • Measure(測定):課題に関する現状のプロセスやデータを測定、収集
  • Analyze(分析):データを統計的に分析
  • Improve(改善):施策を立案し実行
  • Control(定着):組織内に新しいプロセスを定着させる

シェアードサービスの導入

シェアードサービスとは、社内の共通する業務を部門や子会社に集約し、コスト削減やサービス向上を目指す手法です。

アウトソーシングと同様、ビジネスプロセスを効率化させる効果が期待できるほか、横断する組織のガバナンスを保ちつつ、改革フローの構築が可能です。

【関連】「シェアードサービス」とは?意味やメリットや課題、導入ポイントから事例までご紹介/BizHint

ナレッジマネジメント

ナレッジマネジメントとは、企業が蓄積した知識・経験、営業ノウハウ、技術情報、顧客情報を全社に共有し、企業の競争力を活性化・向上させる経営手法です。

スケジュール・顧客情報のデータベース化や、チャット・社内SNSなどのコミュニケーションツールの導入、朝礼や全社会もナレッジマネジメントの手法に含まれます。

ピラミッド型経営の日本企業と相性が良く、情報伝達の促進や企業競争力・顧客対応力の強化、業務の効率化・統合などに効果的です。

【関連】ナレッジマネジメントの意味とは?成功&失敗事例や促進ツールもご紹介/BizHint

サプライチェーン・マネジメント

サプライチェーン・マネジメントとは、製造から最終消費者までの全ての供給経路を見直し、業務プロセスの効率化や最適化の実施により、収益の最大化を図る経営手法です。

サプライチェーン・マネジメントの実施は、需要変動への迅速な対応や在庫の最適化のほか、リードタイムやコストの削減に効果が期待できます。

情報の一元管理や意思決定プロセスの最適化、組織内の迅速な連携などが必要となるため、BPRの代表的な取り組みでもあります。

【関連】サプライチェーン・マネジメント(SCM)とは?メリットや導入方法をご紹介/BizHint

BPRの課題や注意点

BPRの導入には、注意したい点がいくつかあります。

これらを疎かにすると、想定以上の費用対効果が得られないばかりか、組織全体が形骸化してしまう危険性があります。

人材育成の強化が必要

BPRを行なうためには、強いリーダーシップを発揮できる人材が不可欠です。しかし、マネジメントを担う管理職や教育係は多忙で、BPR業務まで手が回らない傾向にあります。

そのため、マネジメント層以外の課題解決能力に長けた人材の育成と、実行力の強化を同時に行なう必要があります。

また、新たな構造改革には反発が付き物であり、従業員の業務改革意識の醸成も改革の一つとして認識することが必要です。

【関連】リーダーシップとは?意味や定義、種類、必要なスキルなど徹底解説/BizHint

トップダウンによる弊害を把握する

BPRは、経営者や経営陣であるトップが強いリーダーシップを発揮し、実行シナリオを描き、それを確実に実行する必要があります。

しかし、トップダウンによるBPRは現場との軋轢を生みやすく、ステークホルダー(利害関係者)との調整が難航する傾向にあります。

これら、関係各所の従業員の理解を得るためにもトップ自らが奔走し、組織全体にBPR業革の必要性を認識させなければいけません。

BPRに不向きな業務の割り出し

BPRはビジネスプロセスの抜本的な見直しを行なう手法ですが、中にはBPRの効果が薄く、スリム化が不向きな業務もあります。

IT技術が取り入れられていない業務は属人化している傾向が強く、BPRを行なうことで逆に業務プロセスが複雑化し、効率化を阻害する場合があります。

そのため、業務分析の段階でBPRが適切かどうかを見極める必要があります。

BPRの導入事例

BPRの導入事例は数多くあり、参考にすることでBPRによる経営成果を得ることができます。

シックスシグマ導入における成功事例

従来の企業活動に限界を感じた製造業を担う企業では、組織全体の生産性を向上するために、ボトムアップの補完と間接部門の改革を目的にしたBPRの実施を決定しました。

経営変革推進部門を新設し、自社用に改良したシックスシグマを採用。導入対象を全社・全事業とし、各事業部門が持つ課題に対して、シックスシグマ手法を活用したプロジェクトを発足し、解決を促す体制を構築しました。

その結果、金銭的なインパクトだけでも年間数千億の効果を得るだけでなく、社内のコミュニケーションの円滑化にも成功しています。

【参考】民間企業等における効率化方策等(業務改革(BPR))の 国の行政組織への導入に関する調査研究 (1)製造業A社「シックスシグマの導入による全社的改革の取組み」 24P/総務省

シェアードサービス導入における成功事例

中核事業の業績悪化により事業構造の変換を余儀なくされた製造業の企業では、従業員の能力向上を基にした組織力強化と、グループ全体の間接業務の効率化を目的としたBPRを実施しました。

中でも他の事業会社と連携し、間接業務を担うシェアードサービス専門の子会社はグループ全体のガバナンスを機能させつつ、組織横断的な業務の標準化を可能にしました。

その結果、グループ全体のトータルコストを半分まで削減することに成功しています。

【参考】民間企業等における効率化方策等(業務改革(BPR))の 国の行政組織への導入に関する調査研究 (2)製造業C社「組織改革・業務効率化(シェアードサービス等)の取組み」 29P/総務省

トヨタ方式を活用した岩手県の取り組み

財政状況が厳しくなっていた岩手県では、トヨタ方式を参考に、少ない人員でも効率的に業務を行なえる体制の構築を目指し、BPRを実施しました。

他部門への影響が大きい財務部と残業が多い農林水産部を皮切りに、挨拶や備品の整理整頓といった目に見える形で実現できるものから実行していきました。その後、BPRを中心的に行なうドリームチームを編成。

現場の技術者や担当者を巻き込みながら、業務改革成功を果たし、残業時間の削減に成功しました。

【参考】民間企業等における効率化方策等(業務改革(BPR))の 国の行政組織への導入に関する調査研究 (6)岩手県「トヨタ方式を活用した業務改革の取組み」 46P/総務省

※今回、ご紹介した事例は一部です。その他の事例は総務省が発表している「総務省 民間企業等における効率化方策等(業務改革(BPR))の 国の行政組織への導入に関する調査研究」でご確認いただけます。

まとめ

  • 日本は少子高齢化や人口減少社会への突入により、経営改革の手法としてBPRによる全社的な見直し行う企業が増えています。
  • BPRは飛躍的な効率化や生産性向上を目指し、組織全体の抜本的な改革を行う手法です。混同されやすい「業務改善」はBPRの一部で、業務改善は既存業務を前提に効率化する手法です。
  • BPRは徹底した顧客目線に基づく「目的の設定と対象となる業務範囲の策定」「分析と課題の抽出」「対象と施策の策定」「施策の実行」「実行結果の検証・修正」の5つのステップで実施されます。これには、管理業務を集約化できる情報システムの導入と、課題解決能力を持つ人材の育成が不可欠です。
  • 経営陣の強力なリーダーシップだけでなく、各部門から集めたBPを専門としたプロジェクトチームを中心に着実に実行していくことが必要です。
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