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HRテック

2020年7月1日(水)更新

「HRテック(HR Tech)」とはテクノロジーの活用によって人材育成や採用活動、人事評価などの人事領域の業務の改善を行うソリューション群を指す言葉で、HR(Human Resources)とテクノロジー(Technology)を組み合わせた造語です。スタートアップ企業が市場の成長を牽引しており、アメリカでは数十億円規模の資金調達に成功する企業も数多く現れるなど注目の集まっている分野です。

~この記事でわかること~

  1. HRテックが世界中で注目されている理由
  2. HRテックが現場でどのような業務効率化や変化をもたらしているのか
  3. これからの人事担当者が経営の戦略パートナー「戦略人事」が担うべき役割

HRテックの定義

金融とテクノロジーを掛け合わせたFinTech(フィンテック)、教育とテクノロジーを組み合わせたEdTech(エドテック)のように、この数年で「○○テック」と冠したサービスが著しい発展を遂げています。

この背景には、古くからある領域に規制や常識にとらわれずにテクノロジーを応用し、新たな価値をもたらそうとする考え方があり、これは人事領域でのテクノロジー活用「 HRテック 」も同様です。

HRテックとは、 クラウドや人工知能(AI)、ビッグデータ解析といった先端テクノロジーを駆使し、採用・育成・評価・配置など人事業務の効率化と質の向上を目指すサービス全般 を指します。

カバーする領域は、給与計算などの労務処理の効率化や業務改善から、採用管理、従業員情報の一元管理と分析によって、戦略的な人材育成と配置を実現しようとするタレントマネジメントなど、多岐にわたります。

今までの人事システムとの違い

人事業務の効率化を狙ったツールが登場したのは、ここ最近というわけではありません。 HR領域におけるテクノロジー先進国 アメリカを筆頭に、 SAPOracle といった大手のベンダーが提供する大企業向け 人事管理システム(HRMS) は一定の市民権を得ていました。

それらに比べ、HRテックは ビッグデータAIクラウド といった最先端技術を活用している点が特徴です。少し前の人事システムと比べ、初期コストを抑えられるのも大きな利点でしょう。

そして、インターフェースや操作性についても大きく改善されています。B2Cをお手本とした ユーザーインターフェース(UI)ユーザー体験(UX) の改善により、組織の大幅な生産性向上を見込めるようになりました。

なぜ今、世界中でHRテックが注目され始めているのか?

ここ数年でHRテックの注目は一気に高まりつつあります。

現在HRテック市場は 全世界で約140億ドル規模 まで拡大。また、世界最大級のHRテックイベント「HR Technology Conference 2019」(通算22回目の開催)には、450社以上のHR関連企業が出展しました。

さらに、 戦略人事を主導するCHRO(人事最高責任者)の必要性が高まり、人事が経営戦略に深く関わることが増えたため、HRテックの活用が拡がったことも考えられます。

国内においても、HRテックを主力としたスタートアップ企業やベンチャーが資金調達する機会が増えており、今後もHRテックの海外・国内市場が広がっていくことが予想されます。

【参考】REACH BRIEFSWorking Remotely: 65+ HR Tech Startups Outside The US In One Infographic

HRテックの進展を可能にした3つの動き

この加速度的なHRテックの進展には、 クラウドサービスの普及高機能デバイスの登場ビッグデータの分析 という3つの要素が関係しています。

クラウド型サービス(SaaS)の普及

従来のHRテックでは、企業がソフトウェアのライセンスを一括購入し、自社に設置したサーバーで人事データを管理する「 オンプレミス型 」が主流でした。

そのため新しいバージョンや機能が登場しても、さらなる投資に二の足を踏んだり、データ移行の問題で直ちに導入しづらかったのです。中小企業やスタートアップへの普及もコストの問題から限られていました。

しかしクラウド型のサービスを使うことで、企業は 初期投資を抑えながら常に新しいバージョンや機能を利用できる ようになり、中小企業でも導入が一気に進みました。

スマートフォンやタブレットなどのデバイスの急速な普及

従来の人事向けソフトウェアは一般社員の使用を想定していなかったため、人事担当者が社員から書類やメールで提出されたデータを手動で入力・管理を行うことが一般的でした。

しかし、高機能デバイスが一気に普及したことで、使いやすいインターフェースのサービスが次々と登場。社員が自分のデバイスで必要なデータを入力できるようになったため、 人事担当者の負担は最小化 され、正確なデータを リアルタイムに集約 することが可能になったのです。

また、人事担当者やマネージャーが口頭や書面、メールで伝える必要があった情報(面接時の申し送り事項や、社員の自己評価に対するフィードバックなど)も、スマホアプリなどを通じて、よりリアルタイムに行えるようになりました。

「ビッグデータ」を高速かつ容易に分析できるテクノロジーの登場

現在、人工知能(AI)や機械学習を活用して、採用や人事評価時のデータのみならず、日々の勤怠データ、さらには従業員が着用したウェアラブルデバイスからの膨大なデータまでも分析できるテクノロジーが次々と登場しています。

これにより、社員や企業に関するさまざまなデータを単に蓄積するのみならず、意思決定に役立てたり、将来の予測に使うことまでもが可能になりつつあるのです。

【関連】人工知能(AI)とは何か?歴史や種類、メリット、仕事アプリをご紹介 / BizHint

日本におけるHRテック市場の状況と、普及が進んでいる背景

日本においても、HRテック市場は拡大を続けています。

国内の市場規模としては、2017年の 約179億円 から、2018年には前年比約140%の 約250億円 となっており、2019年には 約355億円 、2023年には 1000億円 を超えると予測されています。

国内HRテックの市場規模

【出典】マーケティング資料「HRTechクラウド市場の実態と展望 2018年度版」(株式会社ミック経済研究所)

中でも「 採用管理クラウド 」と「 人事・配置クラウド 」の市場規模が伸びています。これは、現在の経営課題となっている人材採用や最適な人員配置において、定型業務を合理的に進めていきたいとする企業の方針が示されていると考えられるでしょう。

また、育成・定着クラウドの拡大も予想されており、今後はより人材育成や優秀な人材の定着に注力していくといった、人事部の役割の変化も読み取れます。

それでは、なぜ日本でも急激にHRテックの普及が進んでいるのでしょうか。

優秀な人材の獲得が厳しくなっている

企業の競争優位における「 人材 」の比重が高まりつつある昨今、いかにして優秀な人材を獲得し続け、活躍してもらうかが経営者にとって最重要課題です。

自社にとって「 優秀な人材 」がどのような人材なのか、これを明らかにするのは データ分析 が欠かせません。また、採用のコア業務に専念するためには、他の 人事業務の効率化 も重要でしょう。

これらの課題を解決してくれるのが、HRテックなのです。

公正かつ合理的根拠に基づいた組織運営が求められている

雇用の流動化が進みつつある今、これまでの人事担当者の記憶や経験則に基づく管理ではなく、公正かつ合理的根拠に基づいた組織運営が求められています。

こうした流れに対応して、 ブラックボックスになりがちだった人事管理を可視化・データ化 し、 科学的な人材配置を実現 しようとする取り組みが始まりつつあります。

グローバル展開に注力している企業では、国境を越えた人材登用・育成を下支えするタレントマネジメントシステムの導入が進んでおり、成長著しいベンチャー企業では、人工知能を含めた最新のテクノロジーを活用しようとする動きも見られます。

人事に求められるスキルの変化

同時に、経営者が人事に求める「ヒトと組織の専門家」としてのスキルや、事業貢献の要求水準も高まりつつあります。

人事にとっては、 単純業務の効率化と自動化を進め、より戦略的・創造的な業務に注力できる時間を創出することが至上命題 となっていると言えるでしょう。

HRテックの3つの役割

HRテック3つの役割

HRテックは大きく3つの役割に分類できます

  1. 人事データの一元管理・可視化・分析
  2. 煩雑な定型業務の削減・オペレーション効率化
  3. 従業員とのコミュニケーション円滑化による組織活性化・従業員満足度の向上

そしてこの3つの役割は、それぞれが補完関係にあるのです。

それでは、詳細について解説していきます。

1. 人事データの一元管理・可視化・分析

人事データの管理は、人事業務全体の大きな課題でもあります。

人事データといっても、採用候補者の個人情報、選考スケジュール、面接での評価といった採用業務関連データから、雇用している従業員の社員情報や給与情報、人事評価の内容など、データの種類・量は膨大です。

HRテックでは、クラウドシステムの活用により人事データの集約・一元管理を可能としました。さまざまなシステム間でのデータ連携もできます。

また、今まで定性的なデータに基づいて判断されてきた採用業務や人事評価も、定量データとして蓄積し可視化・分析を行えるようになったため、 公平かつ公正を担保たうえで迅速な意思決定を行える ようになります。

さらに、人工知能やディープラーニングを活用したデータ分析は、さらなる成長機会を必要としている社員を発見したり、退職リスクの高い社員についてアラートを出したりといった、 人の記憶力や経験則では難しかったきめ細かい人材マネジメントを実現 すると期待されています。

2.煩雑な定型業務の削減・オペレーション効率化

人事の業務は、従業員の入社や退社、昇進、出産などのライフイベントに応じた労務管理、採用活動時の応募者との日程調整など、煩雑な定型業務が多数あります。

これらの業務を手作業で行うのは、膨大な時間と労力が必要なため、戦略的、創造的な業務への支障が指摘されてきました。

HRテックは、これら定型業務の効率化を実現します。

雇用保険や社会保険の加入手続き、賃金の変更、住所変更といった定型業務が効率化されることで、 生産性向上 だけでなく、 人材育成計画・採用計画の立案 など、創造的な業務に時間を費やすことができるようになります。

また、従業員自らが情報を入力する「 セルフサービス化 」が進めば、人事の定型業務や社員の待ち時間を削減し、社員の個人情報を正確に収集できるため、情報伝達や転記の際に人的ミスによるエラーや修正時間のタイムラグも最小限に減らすことができます。

3.従業員とのコミュニケーション円滑化による組織活性化・従業員満足度の向上

優秀な人材の確保が難しくなる中で、自社への貢献意欲や愛着といった従業員エンゲージメントを高めることは、企業の競合優位性を保つうえで大事なポイントです。

高い意欲を持って入社しても、職場での現実と理想のギャップや、人間関係の課題などから、その熱量が低下してしまうケースも少なくありません。

しかし、人事データの分析や定型業務の自動化・セルフサービス化といったHRテックは、従業員エンゲージメント高める重要な手段になり得ます。

社員ひとり一人が納得のいく人事評価や配置を実現する、社員の最適なタイミングで労務手続きを簡単に進めることは、従業員満足度(Employee Satisfaction)従業員体験(Employee Experience)を改善し、優秀な働き手にとって魅力的な職場を実現する施策として有効です。

【関連】従業員エンゲージメントとは?企業の取組事例や向上施策、メリットまで徹底解説/BizHint

HRテックの主要4カテゴリと効果

HRテックの領域には「 採用管理 」、「 人事・配置 」、「 労務管理 」、「 育成・定着 」の4つのカテゴリに分類でき、それぞれ従業員や組織全体に有益な効果をもたらします。

採用管理

HRテックの中でも、今後市場規模が拡大していくとされているカテゴリが 採用管理 です。

採用管理システムでは、以下のような機能が備わっており、採用活動に必要な作業を自動化、大幅に効率化できます。

  • 求人の詳細内容の設定、編集・公開機能
  • 候補者・進捗管理機能、求人媒体・SNSからのデータインポート機能
  • 候補者・社内とのコミュニケーション機能
  • 分析・レポーティング機能 など

採用活動に関わる関係者に 優れたユーザー体験を与えること が重視されており、今後の採用活動を大きく変化させると期待されています。

近年では、低料金の月額料金で利用できるクラウド型採用管理システムも登場。深刻な人手不足で悩む中小企業も導入しやすくなっています。たとえば、Donutsが提供するジョブカン採用管理は業界最安値クラスの月額8,500円から利用でき、求人サイトとの連携が可能です。

採用ツールとしては、従来の対面式の面接に代わるオンライン面接を行える「 オンライン面接ツール 」なども登場しています。オンライン面接の導入は、地方の優秀な人材の獲得機会にもつながり、地方の応募者は交通費や宿泊費など物理的・金銭的負担を軽減できるため、さまざまな企業への応募機会にも恵まれます。

また、ここ数年で、社員の紹介・推薦による採用活動であるリファラル採用が注目を浴びています。それにより、このリファラル採用を活性化させるサービスなども広がりつつあります。

【関連】「採用管理システム」導入メリットと、比較・検討のポイント/BizHint

人事・配置

2つめのカテゴリが「人事・配置」です。経営者や人事によるタレントマネジメント (人材の最適配置)に大きな効果をもたらします。

代表的なツールが「 タレントマネジメントシステム 」です。

  • 従業員の社員情報や給与・勤怠状況といった基本情報の管理
  • 評価の内容といった人事データ管理機能
  • パフォーマンスを管理する人事考課機能
  • 目標管理機能

などが搭載されています。

また、可視化・定量化されたグラフや数値を用いた、説得力のある企画立案・提案の支援機能も充実。同一システム内の財務・人事データを活用することで、財務および人材戦略の策定から予算計画、将来予測までを一元管理できるため、 経営の効率化ツール としても注目が高まっています。

この分野で注目されているサービスの一つが、グローバル企業をターゲットに、人事管理や財務管理などのクラウドサービスを提供するアメリカの Workday(ワークデイ)です。日本では2015年からサービスを開始し、日立やファーストリテイリング、日産や楽天などの大企業を中心に導入が広がっています。

さらに人事データは、 望ましくない離職を防止する といったことにも活用可能。人工知能や機械学習によって離職の可能性が高い社員を特定したり、未来の離職率やパフォーマンスを予測したりして、アラートを出す機能も登場しています。

たとえば、Oracle HCM Cloudは、出退勤時間や残業時間、有休の取得回数、本人の健康状態や周囲との接し方など、従業員のさまざまな情報を活用し、社員それぞれに適したモチベーション向上のポイントを提示してくれます。

これらの分析は、優秀な人材の離職を防ぎ、採用・育成コスト削減や社員の体調・メンタルヘルスに改善を実現し、 良好な職場環境の構築 が期待できます。

【関連】タレントマネジメントシステムとは?導入メリットや注意点・お勧めシステムもご紹介 / BizHint

労務管理

人事担当者の業務負荷を高めている要因に、定型業務が多い「労務管理」があげられますが、現在は直感的に使いやすいツールも多数登場しており、 業務効率化が確実に進められている分野 でもあります。

労務管理カテゴリのツールは、「 給与計算システム 」「 勤怠管理システム 」「 労務管理システム 」の3つに大別できます。給与計算や勤管理については、以前からシステムの導入が進んでいましたが、ここ数年で大きくシェアを伸ばしているのが「 労務管理システム 」です。

給与支払・勤怠管理システムの代表的なシステムであZenefitsは、給与計算・支払、住民税支払、健康保険や確定拠出年金、ストックオプションといった社員福利厚生、採用手続き、勤怠管理などを自動化・効率化。クラウドシステムであるため、導入の初期コストや維持費の削減も可能です。

日本ではSmartHRオフィスステーションのように、社会保険・雇用保険手続きの電子申請(オンライン)を可能とし、法改正の自動対応やペーパーレスを実現するクラウド型労務管理システムが登場しました。

労務管理システムは、必要な情報の入力だけで申請書類の自動作成し、そのまま公的機関への申請を自動的に実行してくます。また、煩雑で多岐に渡る社員の労務関連情報を一元管理し、社労士との情報共有もスムーズに行えます。

【関連】労務管理とは? 主な業務内容や注意点、外部委託の活用や関連資格までご紹介/BizHint

育成・定着

従業員を育成・定着させるためには、それぞれの特性や悩みを理解し、そのうえで最適な育成プランを提供する、ボトルネックを取り除いてあげるといったことが重要です。

多くの企業は、従業員満足度やエンゲージメントをはかるために「従業員サーベイ」を実施していますが、従来のアンケートフォームやExcelでの調査は、継続的な調査の実施やデータ保管、分析作業に膨大な時間が必要です。そのため、毎月、隔週といった頻度で従業員サーベイを実施し、組織の変化を見つけることは難しいといえます。

そこで、おすすめなのが、「 従業員サーベイツール 」です。より高頻度、リアルタイムに近い形で実施ができます。

メールやチャットによって、「自己裁量の可否」、「チームの相互理解」、「従業員の成長に対する実感」といった従業員の声を抽出でき、回答結果を集計・分析することで、 個人や部署・チームごとのエンゲージメントを指数化 。また、過去に蓄積したデータから「どう分析し、どう課題を抽出すべきか?」まで踏み込んで実施することも可能です。

組織開発のプラットフォームであるGLINTは、エンゲージメント状況の可視化や、従業員エンゲージメントを高める要素を特定し、人事担当者や現場のマネージャーが採るべき打ち手を提案してくれます。

また、新入社員に研修コンテンツや社内手続きに必要な情報、組織にいち早く馴染むための社員紹介や組織文化を伝える社史など様々などの情報を 届け、定着を支援するオンボーディング(Onboarding)ツールなども存在します。

アメリカでは、新入社員ひとり一人にカスタマイズされた研修教材(eラーニング)やタスクリストの提供から実績評価までをオンライン上で行えるGreenhouse Onboardingというサービスが広がっており、日本でもオンボーディングツールへの注目が高まっています。

従業員エンゲージメントや従業員満足度を高めるHRテックとしては、そのほかにも「 社内コミュニケーションツール 」なども該当します。また、従業員同士が評価しピアボーナスを送りあう「Unipos」といったツールも登場。社員同士の結束力を高め、結果的に従業員エンゲージメントの向上に役立ちます。

戦略人事が担うべき役割とは?

これまで述べてきたように、人工知能やテクノロジーの目覚ましい進化により、HRテックは、人事担当者にとって大きな負担となっていた運用・管理、オペレーションを代替してくれるようになっています。

ただし、HRテックはあくまで業務効率化や精度向上の「 補助ツール 」にすぎません。

人工知能(AI)もまた、人による価値判断や意思決定を置き換えるものではなく、人間がそうした創造的、戦略的業務に専念できるよう、 サポートしてくれる存在 として見るべきでしょう。

それでは、煩雑なルーティンワークから解放されたのち、人や組織の専門家として経営陣のパートナー的存在となる 戦略人事 に求められるマインドや、人の手で行うべき業務の本質は何なのでしょうか。

組織の 「経営戦略・事業戦略」を実現するため人材戦略 や、より 具体的な採用・育成計画などの企画立案 は、経営者のパートナーとして戦略人事が担っていく領域です。

人事は、自社の経営戦略を経営陣と同じレベルまで深く理解したうえで、「 人や組織の専門家 」としての意識をもって、経営者の意思決定のサポートや助言にあたり、時には反対意見を述べてでも戦略を実現できる組織を創りあげることが求められます。

そのためには、自社のビジネスモデルや事業環境、組織を俯瞰したうえで、競争優位を維持するための人材戦略を考え続けることが必須となります。

「事業成長のために、どういった企業文化を創り、守っていくのか?」
「人事業務の中でアウトソーシングや自動化すべき部分はどこか?」
「逆に自社の強みとしてこだわり、内部でやり続けるべき事は何か?」

これからの人事には 経営者の横に立ち、同じ方向を見るという視座 が、いっそう求められるでしょう。

【関連】「戦略人事」とは?今、求められる理由と最新事例をご紹介/BizHint

重要度が増す「コミュニケーター」としての能力

最後に、人事が高めておくべきもう一つの力が「 コミュニケーター 」としての力です。

いくらデータ分析によって論理的な答えを用意できたとしても、導き出されたソリューションを実行に移せるかどうか、周囲に納得してもらえるかどうかは、人事やマネージャーのコミュニケーション力や熱量による部分が大きいのです。

自社の経営にどんなメリットがもたらされるのかを、合理的な根拠と感情的な訴求の両方から、経営陣に説得していく場面も増えるでしょう。

また、職場改善策を現場の管理職や社員にわかりやすく伝え、巻き込んでいく機会も増えます。だからこそ、人や組織の「あるべき姿」を伝えていく コミュニケーション力を磨き続けることが必要不可欠 です。

テクノロジーによって人事領域でできることが増えれば増えるほど、「人にしかできないこと」の部分での能力の差、そして「強い人事」のいる組織と、そうではない組織の差が開く時代に成りつつあると言えるでしょう。

まとめ

  • HRテックとはクラウドや人工知能(AI)、ビッグデータ解析といった先端テクノロジーを駆使し、採用・育成・評価・配置など人事業務の効率化と質の向上を目指すサービス全般である。
  • HRテックが注目されている理由には海外をはじめ、日本国内のHRテック市場が急速に拡大しており、CHROをはじめ、人事が経営戦略の上で重要な役割を果たすようになったためである。
  • HRテックには「人事データの一元管理・可視化・分析」、「煩雑な定型業務の削減・オペレーション効率化」、「従業員とのコミュニケーション円滑化による組織活性化・従業員満足度の向上」の3つの役割を担っている
  • HRテックは採用管理、人事・配置、労務管理、育成・定着の4つのカテゴリがあり、それぞれ自動化・効率化するHRテックツールが登場している

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