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2019年3月28日(木)更新

営業戦略

営業戦略は、自社の数値目標を達成するためにはなくてはならないものです。その一方で、営業戦略の立案をする際、何から手を付けてよいか分からない方も多いのではないでしょうか。本記事では、営業戦略の立案方法から、役に立つフレームワーク、そして営業戦略を立案するにあたってのポイントまで解説していきます。

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営業戦略とは

営業戦略とは、営業活動に必要な経営資源の配分を決定するとともに、営業目標の策定やその進捗状況を確認するといった一連の活動を指します。

単一事業しか展開していない中小企業の場合、営業戦略と経営戦略はほぼ同じと考えてよいでしょう。一方で、複数の事業を展開している場合は、経営戦略をベースに事業戦略が立案され、営業戦略に落とし込まれます。

営業戦略は、現状の分析から始まります。自社が展開しようとしている市場動向を抑えることはもちろんのこと、自社の製品やサービスの市場における優位性や競合の有無も把握する必要があります。

そのうえで、売上目標や市場シェアといった定量的な営業目標を立案していくことになるのです。

BtoB向け営業戦略の必要性

営業戦略には、マーケティング戦略や販売戦略が内包され、ほぼすべての業種かつ企業の大小に関係なく必要となる、重要な経営管理策です。特に、BtoB向けのビジネスを展開する場合は、その重要度は高まるといえます。

なぜならBtoBの場合、複数の要素を組み合わせて営業展開をする必要があるからです。例えばBtoBの場合、対面による営業への依存度が高く人的資源配置の最適化を検討する必要があります。そのほかにも、近年注目されているマーケティングオートメーションなどのマーケティング戦略も検討する必要があるでしょう。

限られた経営資源を最大限有効に活用するためにも、ターゲット顧客や販売方法を明確にし、戦略として示すことは重要なのです。

営業戦術との違い

営業戦略が立案されれば、具体的な行動計画に落とし込んでいきます。この具体的な行動計画こそが営業戦術なのです。

つまり営業戦術は営業戦略に基づき検討されます。営業戦略なくして営業戦術の立案はなしえないのです。

通常、営業戦略は営業部長やマーケティング部門を巻き込んで立案されます。こうして立案された営業戦略や組織構造に基づいて、「課」や「チーム」単位で営業戦術が練られていきます。

営業戦術は、営業戦略以上に具体的であることが必要です。その粒度は組織の仕事の進め方にもよりますが、「誰が」「いつまでに」「どの顧客に対して」「何をする」といった形で検討されていきます。

多くの場合、「営業マンAは、今月中に製造業のリスト100社を全て訪問し、顧客の課題を明らかにする」といった形で営業計画が確立されていくのです。このとき、訪問時に使うチラシや営業トークも検討され、そのための人的資源のアサインも同時に進められることも多いでしょう。

営業戦略の立て方

営業戦略の大きな目的は営業計画を策定することですが、いきなり営業計画を立案することはできません。営業計画は営業戦術フェーズで検討する側面が強く、その前に現状を正しく把握したうえで、目標を立案することが重要となります。

具体的には、【図表1】をイメージしながら営業戦略を立案していくとよいでしょう。

このときまず重要になることは、営業戦略はより上位の戦略である経営戦略、あるいはさらにその上位にある経営ビジョンに基づき立案されるということです。経営戦略上市場シェアを追わないことが決定されているのであれば、営業戦略でも当然市場シェアは重要視しません。このため、営業目標では市場シェアよりも値引きを抑えた利益率を重視することになるでしょう。

このように営業戦略はより上位の戦略を意識しながら進めておきます。ここからは、その具体的な手順を説明していきます。

現状分析

現状分析とは、販売しようとする商品やサービスが置かれている環境を正しく把握することです。現状を正しく認識しないと、目標の立てようがありません。

それでは現状はどのように分析すればよいのでしょうか。多くの場合、現状分析は内部環境と外部環境に分けて行っていきます。なお、より詳細な分析手法はSWOT分析でも後述します。

内部環境分析

営業戦略における内部環境分析とは、販売しようとする商品やサービスが顧客のどんな課題を解決するのか、どんな社会的な意義があるのかを把握することです。

同時に、営業活動の際に使うことができる経営資源も、このフェーズで把握します。営業戦略の場合、この時、最も重要視される経営資源は、人的資源であるといえます。

外部環境分析

外部環境分析では、販売しようとする商品やサービスの市場動向を把握から、今後の動静まで抑えていく必要があります。

そして重要なことが競合の把握です。競合を補足できたら、リーダーシップ戦略をとるのか、フォロワー戦略をとるのかといった基本戦略の検討材料になるでしょう。

数値を根拠とした目標設定

現状分析ができれば、目標を設定します。多くの場合、営業目標は数値で表されその数値は、「いつまでに」「いくら」を使って表します。

例えば、「2020年3月末までに100億円の売上を達成する」といった目標の立て方がもっとも一般的な例であるといえます。そのほかにも市場シェアで50%を獲得するといった市場シェアに着目する場合や、売上ではなく利益、あるいは伸び率に着目することもあるでしょう。

いずれにしても、どんな指標に着目して数値目標を立てるのかは、経営戦略に左右されることになります。

営業戦術の策定

現状が正しく把握でき、あるべき姿としての営業目標が数値として明確化されれば、いよいよ実行に移すべく営業戦術を検討していきます。

近年ではマーケティングオートメーションの進展から、インサイドセールスとフィールドセールスの両局面での営業展開が強く求められています。現実的には、SFA (セールスフォースオートメーション、営業支援システム)などのITツールの助けを借りながら戦術レベルでの行動計画に落とし込んでいくことになるでしょう。

なお、営業戦術策定フェーズでは、KPI (Key Performance Indicator、重要業績評価指標)を設定することも重要となります。KPIを設定することで、営業を担当するメンバーそれぞれが、いつまでに何を達成する必要があるのかが明確になり、それが評価指標にもなります。

モニタリング・レビュー

営業目標達成の成否を握るのが、営業活動のモニタリングと定期的なレビューです。

日々の営業活動は、ある程度のリアルタイム性をもって進捗状況を把握し、営業目標を達成するために軌道修正が必要です。さらに、定期的なレビューで活動内容を共有し、営業目標の達成度合いの早期補足も重要になるのです。

このフェーズでも、SFAといったITシステムを活用することで進捗情報の見える化を実現できるため、業務効率の向上につなげることができます。

なお、このフェーズで問題点があった場合、【図表1】で示したように必要に応じて、現状分析から営業戦略の立案を見直す必要があります。

営業戦略の立案に使えるフレームワーク

営業戦略の立案にあたっては、いくつかのフレームワークが知られています。実はその多くが現状分析フェーズで使うことができるフレームワークであることは覚えておいてよいでしょう。

ここでは、有効なフレームワークについて説明していきます。

SWOT分析

現状分析フェーズで使える代表的なフレームワークがSWOT分析です。SWOT分析は、Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)の頭文字をとった分析手法です。

SWOT分析では、【図表2】のように内部環境として強みと弱み、外部環境として機会と脅威に着目して、現状分析を進めていきます。

なお、外部環境をより厳密に漏れなく行っていくためのフレームワークとしては、PEST分析が知られています。PEST分析とは、Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)の頭文字をとった分析手法で、こうした要素分野から調査をすることで外部環境分析の精度を高めることができます。

【関連】SWOT分析とは?やり方や事例、役立つフレームワークもご紹介/BizHint

5Force分析

現状分析において、これから販売する商品やサービスにかかわるプレイヤーに着目する分析手法が5Force分析です。

具体的には、「競争業者」「売り手」「買い手」「新規参入業者」「代替品」の5つの側面から、商品やサービスが置かれている環境を認識します。

営業戦略上、競合の把握や代替品の把握は特に重要です。こうした競争業者との優劣は、直接販売戦術に影響を与えることになるからです。

【関連】ファイブフォース分析とは?意味や目的、進め方から業界事例をご紹介/BizHint

PPM分析

PPM分析とは、プロダクトポートフォリオマネジメントのことです。

グラフの縦軸に「市場の成長率」をとり横軸に「市場占有率」をとったうえで、そのグラフ上を「花形」「問題児」「金の生る木」「負け犬」4つのエリアに分割します。

一見すると分かりづらいPPMですが、経営戦略上とても重要な視点を与えてくれます。それは、自社の各事業の与えられた役割です。

成功している企業は、「花形」に位置づけられる今後を占う派手な事業がある一方で、それを支える地味な「金の生る木」に位置づけられる事業が存在しているものなのです。 これは、営業戦略上でも役立てることができます。

例えば、「競合が多いA商品にプロモーションコストをかけていくが、その利益はB商品の市場シェアをあげることで賄おう」などのケースがあります。

このように、PPM分析は、営業戦術立案フェーズにおいて参考にすることができるフレームワークであるといえるのです。

【参考】ビズハック「プロダクト・ポートフォリオ・マネジメンPPM)」

営業戦略成功のポイント

ここまでは営業戦略を立案するための手法に主眼を置いて説明してきました。ここからは、営業戦略を立案していくうえで注意するべきポイントについて説明します。

KPIを設定したPDCAの実施

通常、部門に設定された営業目標に基づいて営業担当者それぞれに対し、営業目標が割り振られます。しかし、これだけでは営業目標を達成するためには十分ではありません。より細かな行動指標としてKPI を設定する必要があるのです。

具体的には、1週間の訪問数や見積提出件数といった指標が考えられるでしょう。こうした指標は進捗度合いを確認しながら、場合よってはKPI の数値自体を変更します。

ここで重要なことは、あまりにも細かい管理は営業担当者のモチベーションの低下を招きかねないため、バランスの良い営業管理が求められます。

営業目標との乖離を早期に補足する

営業目標との乖離はできる限り早期に補足し、必要に応じて営業戦術を修正する必要があります。何も対策をせず、営業目標を達成できませんでした、では済まされません。

このため、営業戦略の立て方で説明した「モニタリング・レビュー」の実施は、営業目標の達成に大きく左右されるといっても過言ではありません。

モニタリングやレビューを日々継続的に実施していくうえでは、ITシステムが役に立ちます。SFAを導入することで、営業活動を行う営業担当者も、管理者も業務効率に繋げることができるでしょう。

テンプレートを使った営業戦略の策定

営業戦略を立案するといっても、最初は何から手を付けていけばよいのかわからない方も多いのではないでしょうか。ここまで説明してきた営業戦略の立案の仕方やフレームワークを参考にして頂くとともに、テンプレートをうまく使っていくことも重要です。

特に営業戦術フェーズにおいては、営業担当者の動きを見える化して進捗を確認するためには、管理するためのシートが必要になるはずです。インターネット上には数多くのテンプレートがありますので、自社の営業戦術にあったものをうまく使ってください。

また、導入が進んでいるSFAを使えば、こうしたテンプレートはあらかじめ準備されており、Webブラウザ上で管理できるようになるでしょう。

まとめ

  • 営業戦略とは、営業活動に必要な経営資源の配分を決定するとともに、営業目標の策定やその進捗状況を確認するといった一連の活動のことです。
  • 営業戦略は、経営戦略や経営ビジョンを前提に現状分析から開始され、モニタリングやレビューを通じ、必要に応じて修正を行うことで精度を上げていきます。
  • 営業戦略の立案を行うためには、フレームワークやテンプレートを活用することが重要であり、必要に応じてSFA導入を検討するとよいでしょう。

<執筆者>
香川 大輔 中小企業診断士

千葉大学工学部卒業。ベンチャー企業における営業、企画、マーケティング業務を経て、富士ゼロックス関連会社でシステム提案営業に従事。

2015年、中小企業診断士登録。現在では独立し、地域に密着した経営支援や新規事業コンサルティングに加え、セミナー活動や執筆活動など幅広く活動している。


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